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2008年1月 7日 (月)

朝比奈の「運命」

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昨年大晦日に購入した朝比奈隆/NHK交響楽団によるDVD六枚組みのうち、ベートーヴェン/交響曲第5番「運命」を視聴しました。収録は1994年6月4日 第1235回定期演奏会、会場は当然NHKホール。

一言で言って大変な名演奏である。晩年、朝比奈さんは繰り返し繰り返しベートーヴェンとブルックナーを指揮していましたが、何回振っても毎回新しい発見がある・・・とご自身でおっしゃっていましたが、これほど堂々たるベートーヴェンは早々聴けるものではない。私が初めて朝比奈さんのベートーヴェンを聴いたのは十代の時で、FM放送から流れた「運命」を聴くにおよび、こんな重厚なベートーヴェンを指揮する人が日本に居るなんて・・・と、大変な感銘を受けた事が朝比奈さんを注目するきっかけとなった。

ベートーヴェンの交響曲全集を史上最多回数録音しているのが朝比奈さん。一般的には1970年代にビクターに録音(全曲ライヴ)した全集で広く注目されたようですが、その前に学研に録音したものが最初の全集。この学研盤での「運命」は大変遅いテンポで演奏されており、非常に朝比奈さんらしい個性的な解釈です。私の大好きな演奏なんですねぇ・・・。

さて、このDVDでの朝比奈さんは時折力が入った時に唸り声が聴こえるほど。終楽章へ向かって朝比奈さんの指揮振りも熱が入っているのが映像からハッキリ分かります。N響のホルン奏者が素晴らしい音を出しており、まったくもって安心して聴ける。壮大なる最後の一音が鳴り終わるとブラボーの声と共に大喝采を浴びる。感動と感謝の拍手は鳴り止まず、何度も何度も朝比奈さんはステージへと呼び出される。楽員が去った後も盛大な拍手は止まらず、今一度ステージに朝比奈さんだけ呼び戻され、聴衆の歓呼に答える事に。もっとも朝比奈さんのコンサートはいつもこうで、それだけ聴衆の感動が大きいという事ですね。

朝比奈さんのベートーヴェン・コンサートは何回聴いているか自分でも分かりませんが、大分昔、大阪へ第九交響曲を年末聴きに行った事がある。大阪での第九は二晩続けて演奏されており、その年は二晩とも聴いたのですが、初日と二日目とはテンポが全然違い、二日目の第三楽章はフルトヴェングラー並みに遅いテンポであった。終演後、私は楽屋で朝比奈さんに「先生、今日は昨日とは違って大変遅いテンポを取られておりましたね」という質問に対し朝比奈さんは、「弦が今日みたいなテンポでも持てるようになったので、敢えて遅いテンポを取ってみたんだ」とのお言葉を頂いた。毎回、朝比奈さんのベートーヴェンは新鮮なのです。ちなみに私の部屋にはお元気な頃に朝比奈さんから頂いた指揮棒があり、今となってはまさに遺品となってしまった。少なくとも日本では朝比奈さんのような指揮者はもう出てこないでしょうねぇ・・・。

この映像は16:9で収録されていますので、おそらくオリジナルはハイビジョンで収録されているのでしょう。是非、ブルーレイディスクで発売して欲しいものである。今日、ご紹介したDVDはNHKエンタープライズから発売された「朝比奈隆 + NHK交響楽団」というDVD六枚組みと特典CDが二枚付いたものですが、DVDはそれぞれ単売もされています。クラシック音楽のお好きな方には是非ご視聴頂きたいディスクです。

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