村治佳織 プレイズ・バッハ
村治佳織 プレイズ・バッハ
1. チェンバロ協奏曲第2番
2. G線上のアリア
3. チェンバロ協奏曲第5番
4. 主よ、人の望みの喜びよ
5. パルティータ第2番
6. メヌエット
村治佳織(ギター)
ゲヴァントハウス・バッハ・オーケストラ
クリスティアン・フンケ 指揮とヴァイオリン
2008年8月24-27日 ライプツィヒ、ゲヴァントハウス大ホールで録音
ユニバーサル ミュージック UCCD 9707(DECCA)
ギタリスト、村治佳織さんがなんとバッハを演奏したCDを購入した。バッハの時代にギターはありませんから、当然すべての曲が編曲によるもの。ふたつのチェンバロ協奏曲、編曲されたとは思えない、まるで最初からギター協奏曲として作られた曲のように感じるほど自然に聴こえるのには正直驚いてしまう。編曲はオーケストラのコントラバス奏者、ラインハルト・ロイシャーという人。チェンバロとギターとでは当然音域が違うため、編曲に当たって独奏パートの修正と弦楽パートのオーケストレーションも変更しているとの事。しかし前述したようにバッハ、オリジナルの曲のように極めて自然に聴こえます。
第5番の第2楽章ラルゴは映画のテーマ曲に使われたりして耳馴染みになっている曲で、村治さんのギターはしっとりと薫り高い(駄洒落ではないです)演奏で聴き惚れてしまう。私、独奏楽器としてのチェンバロは何故か苦手としており、この編曲されたギター協奏曲としての方が聴きやすい。
ソロで弾かれる有名曲、「G線上のアリア」や「主よ、人の望みの喜びよ」も楽しめますが、なんと言ってもこのCDの白眉は無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番。この、あまりにも有名なヴァイオリン独奏曲をギターで演奏するとは。特に終曲の「シャコンヌ」はヴァイオリニストにとって自分をアピールする最高の曲。ギターの大御所、アンドレス・セゴビアがその「シャコンヌ」のギター編曲版を弾いてからすっかりギター曲としても有名になっていますが、村治さんはパルティータ第2番全曲をギターで演奏しています。
オリジナルのヴァイオリンではチョン・キョンファのレコードを愛聴していますが、今回村治さんのギターを聴いて驚嘆すると同時に、ギター曲として聴いていてもまったく違和感がない。「シャコンヌ」の前の「ジーグ」も親しみやすいメロディで私の好きな曲。演奏ももちろん素晴らしい!
CD最後は日本盤のみのボーナス曲としてこれまた有名な「メヌエット」が収録されています。言わばアンコールピースのような感じでおまけとして入っているようですが、これもおまけ扱いではもったいないほど素敵な演奏。CDプレイヤーのリピート機能を利用してBGMとして、何かをしながらずっと流していてもいいかも・・・。
さてこのCDは最近話題になっている「SHM-CD」という仕様で発売されたもの。封入されている解説には以下のように記述してある。
*** 通常のCDとは別種の液晶パネル用ポリカーボネイト樹脂を使用することにより素材の透明性をアップ、マスター・クオリティに限りなく近づいた高音質のCDです。 ***
となっていますが最近、従来発売されていた音源をこのSHM-CDで再発売する事が活発になっている。しかし私は今回初めて購入したばかりで、ノーマルのCDと鳴き合わせをした事もないので、本当に音質アップが図られているかどうかは分かりません。ただ私としてはSHM-CD仕様で価格がアップするくらいなら、いっその事SACDで出してもらいたいと思っています。
とは言いながらも、このCDもお薦めです。
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