
「007/慰めの報酬」 2008年英・米合作
監督 : マーク・フォースター
音楽 : デヴィッド・アーノルド
原作 : イアン・フレミング
出演 : ダニエル・クレイグ、オルガ・キュリレンコ、マチュー・アマルリック、ジュディ・デンチ、ジェフリー・ライト 他
先週末(24日)から全国一斉に007シリーズ最新第22作が公開されました。大の007ファンの私は公開と同時に直ぐ観に行って来ました。劇場はわざわざ「新宿ミラノ座」まで出掛けています。此処は現在日本一の劇場で、スクリーンサイズは20.2mx8.85mという大きなもの。シネラマ方式を思わせる大きなスクリーンは左右が手前に大きく湾曲しております。お金を払って観る以上、私は出来るだけ大きなスクリーンと音声の音質に拘ってしまうのです。(笑)
今回のストーリーは前作「007/カジノ・ロワイヤル」のエンディング一時間後から話はスタートします。ですから前作を観ないでこの作品を観ると、半分以上訳の分からない映画になってしまいますから、是非前作をご覧頂いてから劇場へと足を運んで下さい。

ボンドとカミーユ(オルガ・キュリレンコ)
前作でボンドが初めて愛した女性、ヴェスパー・リンドが何故自分を裏切ったのか、何故自ら死を選んだのかを追求するため、彼女を操っていたミスター・ホワイトを捕らえるが、その後ろにいた南米の或る政府を転覆せんとする実業家、ドミニク・グリーンの陰謀と存在を知る事となる。そのグリーンには米CIAも絡んでいたのである。
ボンドはMから命じられた任務を遂行しながらも、復讐を果たすためグリーンに接近すると、同じく母と姉をレイプ後に惨殺された復讐のため、グリーンと取引をしようとしているボリビアの元独裁者、メドラーノ将軍を狙うカミーユ(オルガ・キュリレンコ)と知り合う。果たしてボンドの復讐相手はグリーンなのか、他にいるのか・・・?

ボンドとM(ジュディ・デンチ)
さて、今回の上映時間はなんと 1時間46分という、シリーズでも珍しい短さです。前作「カジノ・ロワイヤル」が2時間20分ほどでしたから、ストーリー的にはかなり凝縮されており、ほとんどアクション・シーンばかりで映画はポンポンと進んで行く。カメラワークも大変忙しくカット割が変わるので、目も眩む速さ。(笑)
ハッキリ申しまして、「007映画」を観ているという感触は皆無です。まぁ、前作でそれ以前の20作とは決別しての新シリーズ、という事でスタートしたそうですから、あまり懐古趣味に走ってもいけないのかもしれない。保守的な私は007シリーズといえば冒頭、ジェイムズ・ボンドのテーマに乗って、例のガンバレル・シークエンスから始まってもらわないと・・・。しかし残念ながら今回もお馴染みの冒頭シーンはありません。さらに劇中でも同テーマが流れてくれませんとね・・・。007映画ですから。(笑)
本作も前作同様、ボンドが自身の肉体を使ったアクションの連続。しかしまるでボンドがスーパーマンになってしまったかのようで、強過ぎる。(笑) そして容赦なく次々と出会う相手を殺してしまうので、MI-6の殺し屋的キャラクターで、従来のイメージからすると少々戸惑ってしまう。余談ですが、今回ボンドが使う拳銃、久々に懐かしいワルサー PPKです。やはりボンドにはワルサー PPKですね。(笑)
いろいろと不満のあった本作ですが、唯一従来のボンドガールのイメージとは違うカミーユ役のオルガ・キュリレンコ、彼女の眼力の凄さが印象に残っています。ボリビアの元諜報員という設定ですから、申し分ないキャラクターでした。ウクライナ出身だそうですが、とても魅力的な女優さんでした。あははは。
南米の一国を転覆せしめんとする実業家、ドミニク・グリーンを演じているフランス出身のマチュー・アマルリック、この人は申し訳ないですがミスキャストに感じましたね。喜劇役者のような顔立ちは、どうしても設定されたキャラクターとは相反する三枚目に見えてしまいました。
五代目ボンド役、ピアース・ブロスナン時代からMI-6の最高責任者「M」を演じているジュディ・デンチですが、前作も含め、やたらとヒステリックに怒鳴りまくっているキャラクターでして、冷静沈着なキャラクターだったバーナード・リーのMが懐かしいです。またMの秘書、マネーペニーとボンドのウィットにとんだやりとりも見られませんので、これもファンとしては物足りないですね。
そうそう、或るワンシーン、大分前の作品ですが、「007/ゴールドフィンガー」とそっくり同じシーンが出て来ます。私は思わず内心「アッ!」と思いましたから。この辺はスタッフの悪戯心でしょうね。これは観てのお楽しみ。(笑)
最後に私が100点満点で採点を付けるとすれば・・・、
単なるアクション映画として捉えれば90点。
007シリーズとして捉えると・・・・20点です。(笑)
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