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2009年10月20日 (火)

アリス=紗良・オット/ショパン:ワルツ集

Alice

ショパン:ワルツ集(全曲)

アリス=紗良・オット(ピアノ)
2009年8月、ベルリン、テルデックス・スタジオで録音
グラモフォン UCCG-1473(ユニバーサル ミュージック)

このCDは昨日買ったばかりです。行きつけのCDショップで何気なく試聴してみたら1曲目の「華麗なる大円舞曲」から惹き付けられる演奏で、即購入しちゃいました。アリス=紗良・オットというピアニスト、このCDが2枚目となるようで、デビュー作はなんとリストの「超絶技巧練習曲」ですって。しかし当然の事ながら未聴です。

ですから何の予備知識もなく聴いたピアニストで、CDを聴いてから経歴を調べてみたら両親は日本人とドイツ人で、1988年の生まれ。今年21歳という実に若いピアニストなんですね。毎年世界各地のコンクールで優勝を勝ち得ているという凄い新人です。

私はワルツが大変好きでして、ヨハン・シュトラウス一家のウィンナワルツはもちろんの事、チャイコフスキーの三大バレエ音楽の中で聴けるワルツも好きですし、ピアノによるショパンのワルツ集もこれまた大好きなのです。

ですからショパンのワルツ集はいろいろなピアニストで聴いて来ました。古いモノラル盤ではディヌ・リパッティの演奏が素晴らしいです。ステレオになってからの演奏では今更ですが、ルービンシュタインの演奏も好きです。日本公演で弾いた演奏が気に入ってレコードを購入したクリスチャン・ティマーマン。ところがレコードはイマイチ面白くなく、結局手放してしまったり。

さて肝心のアリス=紗良・オットの演奏ですが、表現が適切かどうか分かりませんが、なかなか「枯れた」演奏解釈なのです。ショップで試聴する際、ジャケット写真を見ると若い女性ピアニストなので技巧に任せて一気に弾き切る演奏かと思いきや、やや遅いテンポで弱音重視の解釈に「え、え・・・?」と良い意味での期待外れで俄然興味が湧き、ワルツ集の中でも私が一番大好きな曲、嬰ハ短調 作品64の2(CDの7曲目)を聴いてから購入か見送りかを決めよう・・・と。

この曲は結構速めのテンポで進めるピアニストが多く、なかなか自分の思い描くテンポで弾いてくれるピアニストが少ないのです。ところがアリス=紗良・オットの解釈はまさに私が思い描くテンポ、ダイナミクスで、CDプレイヤーの時間表示で45秒目からの大好きなメロディが、まるで未だ見た事の無いような綺麗な宝石がコロコロと転がるような様子を見る思いで聴かせてくれるのです。

その音色に酔いしれていると、1分13秒からの鮮やかなフォルティッシモで夢の世界から一気に現実に呼び起こされるような心持ちにされます。しかしまぁ弱音の美しいピアニストですねぇ。いやホントに素晴らしい演奏です!

有名な「子犬のワルツ」なんてあまりにもポピュラー過ぎるためか、技巧を駆使してやたらと速いテンポであっさり弾き切るピアニストが多い中で、アリス=紗良・オットは気持ち抑えたテンポで味わい深く弾いています。

さて、実を言いますとこのCD最高の白眉は、日本盤のみのボーナス・トラックとして入れられている「ノクターン 嬰ハ短調 遺作」なんです。これまた有名曲ですから曲名を知らなくても聴けば誰しもどこかで聴いた事があるノクターンですが、聴いていて私は鳥肌が立って来ちゃいました。

今までいろいろなピアニストで聴いて来た曲ですが、アリス=紗良・オットの演奏が最高と評価したいです。前述したように弱音がとても美しいピアニストで、冒頭からアリスの解釈に魅せられてしまい、私は目頭が熱くなってしまいました。

私のご贔屓ピアニスト、現役ではもうずっと以前からマルタ・アルゲリッチなのですが、アリス=紗良・オットにはアルゲリッチを初めて聴いた時以上の衝撃を受けました。まだ21歳でこんな演奏を繰り広げるなんて、凄いです。今後が楽しみです。そういえばヴァイオリンのチョン・キョンファを初めて聴いた時も同様の感動がありましたねぇ・・・。

Amazonに「リスト/超絶技巧練習曲」を発注しちゃいました。(笑)
このブログをお読みになった方、黙ってこのCDを買ってみて下さい。最後のノクターンには泣かせられますよ。

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コメント

おはようございます。
凄い推薦文ですね(^^) 大絶賛の「ノクターン」ぜひ聴いてみたいです。あまりクラシックを聴くことはないですが、それでもショパンの曲は学生の頃から好きでしたので。
秋の夜に、とてもよさそうですね♪

koukoさん、おはようございます。
あ、推薦し過ぎでしたでしょうか?(笑)
でも、ホントに21歳のピアニストとは思えない演奏でした。もう何年も購読していないクラシック音楽のレコード(CD)雑誌、「レコード芸術」で評論家がどういう評価をしているのかは分かりませんが、私は大変素晴らしい新人が登場したと思っております。
秋の夜長、ショパンは良いですね。

おはようございます。
KONDOH さんは芸術に造詣が深いですね・・・感心します。イヤホン、AUDIO-TECHNICA購入しました。値段も手頃で、僕にとっては、十分なもので・・・

おはようございます!

はい、黙ってアマゾンで購入しました。
KONDOHさんの宣伝効果のおかげで(?)、到着まで2~7日ほどかかるそうです。

楽しみに待ってまーす!

KONDOHさん、こんにちは!
私が先日CDショップでいきなり買いしたのは、Maurizio Pollini のJ.S.Bach 平均律クラヴィア曲集第1巻。Polliniは昔々Shopinの練習曲集でレコードデビューしたときからご贔屓です。PolliniといえばChopin弾きとしても名声が高いですが、Bachのソロアルバムは初めてのように思います。で聞いた結果は、あまりにも淡々と弾いているように感じましたが、これはもしかしたら聞き込むほどに味が出てくるのかなぁ、、、なんて、、、しかし、Bachのこの曲、もとはチェンバロ用ですので、ピアノであまり味付けしない方が本来の響きなのかもしれません。

アリス=紗良・オット、私も初めて耳にするピアニストです。かなり実力を持っているようですねぇ、今度私も聞いてみようかなあ、、、レーベルは同じ独グラモフォンですねぇ。

ramble-leicaさん、こんばんは。
芸術に造詣が深いなんて・・・、いえいえただ単に音楽が好きなだけであります。
イヤホン、皆さんからいろいろとご推薦を頂き、逆に未だ迷っております。(笑)

ろだごんさん、こんばんは。
おお! 早速ご購入頂きましたか。有り難う御座います。気に入って頂けると思います。

tamuraさん、こんばんは。
行きつけのショップに「ポリーニ初のバッハ」と大々的に宣伝していました。平均律をピアノで弾いた人ではグールドが有名ですが、結構ピアノで弾く人が多いですよね。
ポリーニはベートーヴェンを何枚か購入しましたが、常に冷静な解釈をするピアニストというイメージです。
味付けするバッハはやはりグールドですね。
アリス=紗良・オット、試しにお聴きになってみて下さい。私はすっかりやられました。(笑)

比較的最近私が購入したCDの中で、聞いた瞬間、ん、これは、、、と思ったのはGidon Kremer の無伴奏ヴァイオリンソナタ・パルティータかな。平均律のピアノ版ではやはりRichter版が一番好みです。比べてPollini版はおっしゃるように冷静に丁寧に演奏している印象ですね。この曲にインパクトを求めるのが可笑しいのかもしれませんが、、、今になっては不可能ですが、聞いてみたかったのは、Bill Evans が弾く平均律、、、ハハハッ!

tamuraさん、
クレーメルの無伴奏がtamuraさんの琴線に触れましたか。クレーメルは一枚も購入した事がないんです。リヒテルの平均律は定評がありますね。彼のベートーヴェン「熱情」は昔愛聴しました。名演だと思います。
ビル・エヴァンスの平均律、聴いてみたかったですねぇ・・・。エヴァンスは好きなジャズピアニストです。

はじめまして。

実は、私は、彼女が大阪で
リストのピアノコンチェルトを
大阪センチュリー交響楽団と
共演するのを聴いて以来、
大ファンになりました。

このショパンのCDは、当日、
大阪シンフォニーホールで
記念に買いました
(長蛇の列に並んで、サインももらったり
したのですが)。

彼女の演奏の魅力は、弱音だけでは
ないと思いますよ。

ショパンのワルツ集では、弱音にかなり
気を使って演奏しておられたようです
(パッケージの説明書きにあったように)。

でも、彼女の演奏は、上腕からストレートに
キーに落ちる強音も、作品に対する
解釈も、なかなか魅力的と
思います。

このCDだけではなく、リストの超絶技巧
練習曲も、彼女の、また異なった魅力が
出ていると思います。

とくにロマン派・国民楽派は、彼女の
得意とするところなようなので、
注目度が高いと思いますね。

いっぽう、ベートーベン以前の古典派に
ついては・・・。ううん。もしかすると、
ちょっと解釈が固いのか、苦手なのか、
演奏自身が、少し硬くて、運指が
楽譜に縛られているような印象を
受けました。
(それはそれで魅力的と思うのですが^^;)

我門隆星さん、はじめまして。
彼女の演奏をコンサートホールでお聴きになられたのですね。もう随分前からクラシック唯一のレコード雑誌「レコード芸術」も買わなくなっていますので、まったく先入観なしにショップの試聴CDを聴いて気に入ってしまいました。
彼女の弱音の事がブックレットに書いてありましたか。普段は輸入盤しか買わないのですが(安いから)、国内盤を買っても評論家の解説はまったく読まないのです。ですが今回は経歴だけ調べました。
ブログに書いたように超絶技巧も買いましたが、これから大変楽しみなピアニストですね。
ベートーヴェンやモーツァルトも聴いてみたいですねぇ・・・。

超亀コメントご免くださいませ。

このワルツ集(邦盤)、いつ買ったか忘れましたが、この正月明けにやっと開封しました。

聴き手の心の襞に分け入るような絶妙な緩急法に魂を射貫かれました。

イン・テンポの剛毅な演奏に比べたら揺らぎは大きいけれど、表現として合理的な範囲であり、テンポ崩壊やヒステリックな暴走とは無縁でした。

いちばん目を見張ったのは、ワルツ10番の14小節目・30小節目等々で、通常と異なる和声を採用していることです:
「ナポリ6度」に該当するかどうかはもう少し調べてみますが、通常のcis音でなくc音を弾いています。
最新の学術研究の成果を採り入れたのかも知れません。

nzzknさん、コメントを頂きまして、ありがとうございます。
このワルツ集は未だに愛聴しております。自宅はもちろん、移動中にもウォークマンで聴いております。
音楽がご専門の方でしょうか?
過去、交響曲のスコアは結構買い集めておりましたが、ソロ楽器関係は皆無であります。
ですからピアノ曲、ヴァイオリン曲を聴く場合、多分に感覚的なもので聴いております。ですが、好きな曲は自分で口ずさめるほど旋律が頭に入っているので、思いもしない解釈で音楽が聴けた時は嬉しいですね。
演奏解釈は無限に広がるものと思っております。
今後ともよろしくお願い致します。

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