
シベリウス/交響曲第2番 ニ長調
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
(1980年11月録音)
英EMI 3 41441 2

シベリウス交響曲&管弦楽曲集
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
フィルハーモニア管弦楽団
(1952年~1981年録音)
EMIミュージック・ジャパン TOCE-56063~66
最近、カラヤンのCDを集中的に買い漁っています。私は格別カラヤンの大ファン、というわけではないのですが(もちろん嫌いではないです)、ここへ来てカラヤンに関する本を二冊読んでみたら、本の影響で急にカラヤンのCDが欲しくなってしまったわけです。(笑)
で、それまでに持っているカラヤンのレコード、CDライブラリーを再確認してみたら、80年代の録音をほとんど聴いていない事に気が付きました。以前にも書きましたが、私がクラシック音楽にのめり込む切っ掛けになったのはカラヤン=ベルリン・フィルによる「運命、未完成」のレコードからなんですが、熱心にカラヤンのレコードを買い集めていたわけではないのです。
それでもカラヤンの指揮したチャイコフスキー、ドヴォルザーク、ワーグナー、ヴェルディを始めとするイタリア・オペラは好きでした。特にチャイコフスキーに関しては未だにカラヤンの指揮したものが最高と思っています。
しかしカラヤンが指揮したモーツァルトはダメですねぇ・・・。70年代、英EMIに録音した後期交響曲集なんて気持ちが悪いです。と言いつつ、そのCDを持っているのですが。「魔笛」や「フィガロの結婚」などのオペラもダメ。カラヤンの個性ともいうべきレガート奏法がモーツァルトにはアンマッチだと思うのです。
ベートーヴェンも悪くはないですが、格別素晴らしいとも思っていません。カラヤンの「運命」でクラシック音楽入門をしたわけですが、その後もっと素晴らしい演奏(朝比奈さんとか)に巡り会いましたからね。カラヤンのブラームスはわりと好きです。
前置きが長くなりましたが、今日のタイトル「カラヤンのシベリウス」の事。私がカラヤンの指揮したシベリウスでまともに聴いた事があるのは、交響詩「フィンランディア」くらいでした。この演奏もグラモフォンがカラヤン宣伝用に発売した廉価なオムニバス盤に入っていたもの。しかしこの演奏は名演でした。ところが肝心の交響曲は全然聴いた事がないのです。
現在は一昨年、カラヤン生誕100年を記念して発売されたCDの売れ残りを中心に買い漁っているのですが(理由は価格が安いので)、今日のシベリウスの作品もそういう中のCDなんです。
最初に聴いたのは1980年録音の第2番。カラヤンの再録音です。シベリウスの交響曲では第2番がもっとも有名で音楽ファンに親しまれていますが、これは素晴らしい演奏でした(私には)。第2番は私も好きな楽曲で、長く朝比奈さんのダイナミックな演奏を愛好して来ました。
カラヤンの指揮は朝比奈さんのダイナミックさとは正反対、極めて静的な解釈で、ピアニッシモ重視の解釈と言って良いでしょうか。確か80年代のカラヤンは極限までのピアニッシモを追求した演奏が多かったと何かで読んだ記憶があります。
第一楽章、第一主題の提示部分ではそこそこ速めのテンポを取っているので、あっさりしたつまらない演奏かなぁ・・・なんて思ったのも最初だけ。全体的に遅めのテンポを取り、北欧の寒々とした気候を思わせるようなシベリウスのオーケストレーションを実に丁寧に歌って行きます。フォルティッシモですらメゾフォルテくらいに抑えているかのような解釈で、自分のイメージとは少々違う印象で、戸惑ったくらいです。しかし曲が進むに連れてどんどんカラヤンの解釈に嵌ってしまうのです。
第四楽章冒頭、弦楽であの素晴らしい主題が伸びやかに歌った後(ベルリン・フィルの弦が素晴らしい!)、どの指揮者もファンファーレのように吹かせるトランペットを、カラヤンは抑え気味に品良く歌わせるのです。「おお~! こういう解釈もあるのだなぁ・・・」と、私は感動!
その後、徐々にクライマックスが築かれ、壮大で感動的なフィナーレを迎えて全曲が終わるのですが、私は一気にカラヤンのシベリウスが好きになってしまいました。シベリウスの第1番、第2番はチャイコフスキーの影響を強く受けた作風と言われておりますが、カラヤンのチャイコフスキーを最高と思っている私ですから、カラヤンのシベリウス解釈が自分好みだったとしても不思議はないわけです。
余談ですが、このCDのブックレットのデザインはつまらんですねぇ・・・。昔LPレコードで発売された時のジャケット(北欧の絵画)の方が数段素晴らしいです。もっとも輸入盤で僅か1,040円ですから文句も言えませんが。
生誕100年記念で発売された「シベリウス交響曲&管弦楽曲集」にも1960年に録音した第2番が入っているのですが、基本的解釈は同じでも、よりカラヤンらしい個性的な演奏になっているのは新しい1980年の録音の方です。もっともカラヤンを嫌う人にとってはこういう解釈が鼻持ちならないのかもしれませんが。(笑)
カラヤンはドイツグラモフォンと英EMIにシベリウスの交響曲を録音していますが、最終的にどちらも交響曲全集にまでは発展していません。第3番に至っては録音がないどころか、コンサートでも採り上げていなかったようです。もしかしたら曲想がカラヤンのお気に召すものではなかったのかもしれません。
もっとも私もシベリウスの交響曲でまともに愛聴しているのは第2番くらいでした。しかし今回の交響曲集で聴いた1980年録音の第6番がなかなか良いのです。楽しめた楽曲、演奏です。今日は少々長くなってしまいましたが、先日エアメールで届いたのがこのCD BOXです。

輸入盤ですが、内容はドイツグラモフォンがカラヤン生誕100年を記念して一昨年発売した、「カラヤン・シンフォニー・エディション」というCD 38枚組の大物。しかし送料を含めて私が払った金額は僅か7,440円です。(笑)
一枚当たり200円に満たないのですから嬉しいですね。この中にはベートーヴェン/交響曲全集(1970年代録音)、ブラームス/交響曲全集(1970年代録音)、ブルックナー/交響曲全集、ハイドン/交響曲、パリ・セット6曲、ロンドン・セット12曲、メンデルスゾーン/交響曲全集、モーツァルト/後期交響曲集その他、シューマン/交響曲全集、チャイコフスキー/交響曲全集が入っています。
この中ですでに持っていたものは中古で購入したベートーヴェン/交響曲全集のレコードと、ブラームス/交響曲全集、チャイコフスキー/交響曲全集のCDですが、後はいずれも初めての購入。まとめ買いしたい時にこの価格は懐にやさしくて嬉しいです。(笑)
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