宮本武蔵
京都の紅葉写真が続いていたと思ったら宮本武蔵…??? と、首を傾げた方も多いかもしれません。昨日の圓光寺は左京区一乗寺下り松町に所在しております。ここは剣豪、宮本武蔵が京都名門の兵法家、吉岡一門数十人を相手に果し合いを行った場所なのです。
武蔵は果し合いに向かう前、早朝にこの八大神社を訪れています。そこで武蔵は自分を守ってくれるよう神頼みをしたという説と、神仏に頼る己の弱さを恥じて、そのまま果し合いの場、一乗寺下り松に向かったという二つの説があるそうです。
私は高校生の時に吉川英治さんの大長編小説「宮本武蔵」を読み、武蔵の生き様に大変大きな感動を受けました。以来、映画、テレビで宮本武蔵の作品は気が付く限り見るようにしています。
宮本武蔵が果し合いに向かった時の松の一部が現代まで保存されているなんて感動ものです。
宮本武蔵の映画、テレビドラマを随分観て来ましたが、どの俳優さんも吉川英治さんの作品のイメージには程遠く、いつもがっかりしておりました。過去に中村(萬屋)錦之介さんが演じていた作品をそれまで知らなかったのですが、いつだったか、名匠内田吐夢監督による宮本武蔵五部作(東映作品)がテレビで放送されまして、録画して観たら・・・、これが素晴らしい作品なのです。
この作品を観た時に、「これぞ、自分がイメージしていた宮本武蔵!」と拍手喝采したいくらいでした。中村(萬屋)錦之介さんの武蔵を知ってからは、他のどの俳優さんが演じていても錦之介武蔵を上回る人はおりませんねぇ・・・(自分の中では)。
すっかり気に入ってしまい、その後市販DVDで全巻揃えてしまったくらい。すでに何度か観ていますが、観る度新たなる感動と得るものがあるのです。
この映画、一乗寺下り松での果し合いシーンだけモノクロになるのですが、黒沢明監督の名作「七人の侍」を思わせる素晴らしい演出。
まだ幼い吉岡一門の子を切る武蔵。吉岡拳法の師範、吉岡清十郎との果し合いで武蔵は木刀の一撃で勝利。恥を晒した兄に代わり次男坊、吉岡伝七郎が三十三間堂で武蔵に挑むも武蔵に返り討ち。
慌てた吉岡一門が子供を名目人に仕立て上げ、門弟全員で武蔵に襲い掛かるのが一乗寺下り松の決斗というわけです。
果し合いを見に来た佐々木小次郎(高倉健さん)。
三十三間堂は先日ご紹介した智積院の前に在ります。やはりここも一度は入ってみなくてはいけませんですねぇ・・・。
武蔵に恋するお通の役を入江若葉さんという女優さんが演じているのですが、これまた小説を読んだ時のイメージにピッタリでした。やや甘ったるいながらもしとやかなセリフ回しは一途に武蔵を恋い慕うキャラクターに最高の女優さんだと思います。
この内田吐夢監督による五部作は以下のように一年一作のペースで製作されていたのですね。
宮本武蔵 (1961年)
宮本武蔵 般若坂の決斗 (1962年)
宮本武蔵 二刀流開眼 (1963年)
宮本武蔵 一乗寺の決斗 (1964年)
宮本武蔵 巌流島の決斗 (1965年)
佐々木小次郎を演じている高倉健さん、ちょっと貫禄が有り過ぎ。(笑)
宮本武蔵を小説、映画に於ける架空の人物と思っている方がいらっしゃるようですが、実在の人物ですね。晩年に残した水墨画は優れたものが多いですし、武蔵が記した書物「五輪書」は海外にも翻訳出版されているそうです。
是非、レンタルでこの作品をご覧になってみて下さい。全五部、すべて素晴らしい作品ですよ。第一部の冒頭、カメラワークの凄さに感嘆してしまいました。
Canon EOS 7D + EF-S 15-85mm/F3.5-5.6 IS USM
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