ふたつのブラームス
山田一雄 指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
1978年5月7日 藤沢市民会館大ホールでのライヴ録音
TOWER RECORDS TWCO-1008
今日は17日に購入したばかりのCDを2枚ご紹介させて頂きます。いずれも最近発売されたばかりで、日本人とドイツ人の指揮者によるブラームスの交響曲です。
1枚目は「ヤマカズさん」の愛称で親しまれていた山田一雄さんが新日本フィルハーモニー交響楽団を指揮した第2番。CDのタスキには以下の事が書いてあります。
伝説の1978年藤沢ライヴ初日公演。最後まで熱い屈指の名演・豪演として有名なブラームス。当日の録音プロデューサー相澤氏秘蔵のオリジナル・マスターから最新CD化!
という事らしいです。
出所はともかくとして、ヤマカズさんらしい大変熱い演奏を繰り広げており、久しぶりにブラームスの第2番を堪能しました。正直申しましてベートーヴェンやブラームスの交響曲は俗に言う耳タコで、なまじっかな演奏では感動する事はなくなっているのですが、このヤマカズさんの第2番は良かったですねぇ。
或る意味朝比奈さんの演奏解釈に通づるような無骨なブラームスですが、こういう演奏は好きです。特に終楽章コーダの畳み掛けて行くオケの強奏、更にはティンパニの強打、正に手に汗を握るという表現がピッタリの演奏です。恐らくホールで聴いていたら圧倒的感銘を受けたと思います。
もう大分前の事になりますが、一時期ブラームスの交響曲に凝った事があります。それは第1番ばかりを集中的に聴いていたり、また或る時期は第2番を、というように1曲集中で聴いてました。
そういう時期に出会ったのが先日モーツァルトの交響曲の愛聴盤としてご紹介したばかりのブルーノ・ワルターがニューヨーク・フィルハーモニックを指揮した古いモノラル録音の第2番でした。この演奏は衝撃的でしたねぇ。とてもモーツァルトの第40番でロマン的解釈の名演を聴かせてくれた同じ指揮者とは思えない演奏。
言わばフルトヴェングラー並みに激しいダイナミックな演奏で、当時繰り返し聴いていたものです。ヤマカズさんの第2番はワルターほどではないものの、同様に「燃える」演奏です。ブラームスがお好きな方には是非ご一聴をオススメ致します。
クルト・ザンデルリンク 指揮
スウェーデン放送交響楽団
1990年5月4日 ストックホルムでのライヴ録音
WEITBLICK SSS0134-2(輸入盤)
もう1枚のブラームスは昨年惜しくも亡くなられたドイツの指揮者、クルト・ザンデルリンクがスウェーデン放送局のオケを指揮した第4番です。ヤマカズさんのブラームスが器用さには程遠い、無骨という言葉がピッタリの名演奏なら、ザンデルリンクのブラームスは実に流麗と申しましょうか、大変「美しい」演奏です。
前述したようにブラームスの交響曲に凝っていた頃、ザンデルリンクがドレスデン・シュターツカペレを指揮した第1番が大好きで、繰り返し聴いていたものです。今日ご紹介するこのCDはたまたま外資系某CDショップの新譜コーナーで見つけたもので、懐かしくなって購入したわけです。
比較的ゆったりとしたテンポで一音一音確かめるような丁寧な演奏解釈は、短調で書かれた第4番の悲しげなブラームスの旋律と実にマッチしていると思います。この第4番ではフルトヴェングラーの半世紀以上前の超古〜い英EMI盤が私のベストワンなのですが、第4番を聴くというよりフルトヴェングラーを聴くという趣の高い演奏なので、曲そのものを味わいたい時には今日のザンデルリンクの演奏を取りたいですね。
全4楽章とも大変な名演ですが、特に終楽章には泣かされました。終楽章だけは17日に購入したばかりなのに、すでに4回聴いております。そのくらい圧倒的名演(解釈)だと私は思っています。クルト・ザンデルリンク、ブラームスと相性が良いのか、年代を経てもブラームスに名演を残す指揮者ですねぇ。
第4番の前に「悲劇的序曲」が収録されていますが、こちらも名演ですよ。尚、このCDは第4番の作品番号が68となっていますが、これはミスプリです。第4番の作品番号は98ですから。
ブラームスの交響曲、2枚同時に良い演奏と出会い、嬉しくなって記事として急遽書かせて頂きました。音楽は素晴らしい!
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コメント
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おはようございます。
よいものと出会われた感動が伝わってきます^^ 音楽、本、絵画、写真。生きていく上での栄養ですね♪ これからの秋の夜長にはじっくりクラシックもいいでしょうね~^^
投稿: kouko | 2012年9月20日 (木) 07時12分
koukoさん、おはようございます。
音楽バカ、写真バカ、カメラバカの私ですから、好き勝手に能書きを書いているだけであります。(^^;
でもですねぇ・・・、私の身近で音楽は全くと言って良い程聞かない御仁を知っているのですが、とても私には信じられない事です。
投稿: KONDOH | 2012年9月20日 (木) 07時24分
こんばんは。
山田一雄の演奏は一度も聴いたことがありませんが、地元の藤沢市民会館での演奏なので、ちょっと興味あります。でも、どんな演奏だったのかはKONDOHさんのレビューで十分伝わってきますよ。
ザンデルリンクはベルリン交響楽団の新しい全集の丁寧でしとやかな演奏も良いですね。
投稿: yymoon | 2012年9月20日 (木) 23時37分
yymoonさん、こんばんは。
ヤマカズさんは嘗ての朝比奈さんのように熱狂的ファンがいらっしゃいましたので、拍手の様子で雰囲気が伝わって来ました。
ザンデルリンクのブラームス、ベルリン交響楽団との録音は4曲全部は聴いていないのですが、他のオケとも共通する良い演奏ですね。ドレスデン・シュターツカペレとの全集もオケの音色が良かったです。
投稿: KONDOH | 2012年9月21日 (金) 01時14分
最近、ブラームス聴いてません。
というか、クラシックややご無沙汰かな。
音楽聴くより、寝ちゃう情けないこの頃です。
投稿: swingphoto | 2012年9月21日 (金) 21時07分
swingphotoさん、こんばんは。
そうでしたか、音楽とは少しご無沙汰ですか。
音楽って心も時間も余裕がないとなかなか聴けないですよね。
まぁ、私は単なる暇人かもしれません。(笑)
投稿: KONDOH | 2012年9月21日 (金) 22時26分