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2012年11月 3日 (土)

私の愛聴盤 第10回

Prey_01

モーツァルト/オペラ・アリア集

ヘルマン・プライ(バリトン)
オトマール・スウィトナー指揮
ドレスデン国立歌劇場管弦楽団

1966年、ドレスデンで録音

東芝EMI TOCE-7296(廃盤)

今日は音楽の話題、それも私の愛聴盤にお付き合い下さい。
1998年、まだ69歳という若さで惜しまれながら逝去されたドイツ出身のバリトン歌手、ヘルマン・プライが私は大好きで、モーツァルトの主要オペラで聴くプライの歌唱を超えるものを未だ聴いた事がありません。

「フィガロの結婚」でのフィガロ、「魔笛」でのパパゲーノ、「コジ・ファン・トゥッテ」でのグリエルモ、以上3人の登場人物はプライで聴かないとこれらのオペラは聴いていても欲求不満に陥ります。(^^;

そのくらいプライの歌唱(表現)と声質はこの3人のキャラクターにピッタリで、まるでこの3役を歌うために生まれて来たのではないかと、そう思うくらい絶妙な歌唱を聴かせてくれるのです。今日ご紹介するこの「モーツァルト/オペラ・アリア集」は入手以来(10年以上前)繰り返し聴いている、まさに私の愛聴盤となっています。

このCDには「魔笛」「コジ・ファン・トゥッテ」「ドン・ジョヴァンニ」「フィガロの結婚」というモーツァルトの四大オペラから主要なアリアが全13曲収録されています。収録曲すべてに触れると記事が膨大な量になってしまいますので主な曲だけご紹介しておきます。

CD冒頭のトラック 1は「魔笛」からの「おいらは鳥刺し」です。スウィトナー指揮による素晴らしくも軽妙な前奏に乗ってプライが「おいらは鳥刺し、いつも陽気にホイサッサ!」と歌いだすともうヘルマン・プライがパパゲーノの衣装を纏ってオペラのステージで歌っているようなイメージが湧いて来ます。以前、ご紹介したショルティ指揮による「魔笛」全曲でのプライが演じたパパゲーノの方がよりいっそう素晴らしいのですが、このスウィトナー盤も十二分にプライの魅力を味わえます。

このCDでの注目曲はトラック 4、「コジ・ファン・トゥッテ」からのアリア、「あの男に眼差しを向けて」だと思います。ブックレットの解説によると最初モーツァルトはこの曲を書いたものの、大曲過ぎる(本CDで5'09")という理由でカットし、もっと短い曲に差し替えているのでこの録音は大変貴重なものになっているとの事。

しかしこのカットされたアリア、モーツァルトらしい大変素晴らしい曲で、全曲盤で聴く事が出来ないのは大変勿体ない事です。トラック 5の「女よ君らはよく浮気をする!」と共にプライの歌唱はまったくもって素晴らしいのひと言。

歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」のタイトルを日本語訳すると、「女はみんなこうしたもの」という意味です。(^^;
女は貞淑に見えてもみんな浮気者さ! という事で二人の士官、グリエルモとフェルランドが自分たちの婚約者の貞操を試すため、二人は変装して婚約者のフィオルディリージ、ドラベッラを誘惑してみるというオペラ・ブッファ(喜劇的オペラ)です。実に馬鹿げたストーリーですが、モーツァルトが書いた音楽は大変素晴らしいもので、舞台で演じられる回数の多い歌劇です。

他ではもちろんフィガロのアリアが最高です。「もう飛ぶまいぞこの蝶々」、これまた絶妙な歌唱を聴く事が出来ますよ。声質から演じる機会は多分なかったか、あったとしても機会は少なかったのではないかと思われる「ドン・ジョヴァンニ」からのアリアを聴けるという点でもこのCDは貴重な存在です。

生前プライは同じドイツ出身のバリトン、ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ(本年5月逝去)とレパートリーが比較的重なる事もあって、何かと比較されておりました。歌唱テクニックは問題なくディースカウの方が上でしたが、私にはテクニシャン過ぎて歌唱に暖かみを感じないのです。ファンも圧倒的にディースカウの方が多かったでしょう。

しかしプライの声質に私は人間的な暖かみを感じ、オペラ以外、シューベルトの歌曲などもディースカウよりプライの歌唱を好みます。ディースカウがパパゲーノを演じた「魔笛」全曲盤がありますが、おっちょこちょいでひょうきんで、それでいて寂しがりやのパパゲーノのキャラクターがまったく感じられず、実に不満の残る録音でした。

ヘルマン・プライのモーツァルト、本当に・・・本当に素晴らしいですよ。是非一度お聴き頂きたいです。
尚、プライは後年モーツァルトのアリア集を再録音していますが、指揮者、オケとも今日ご紹介した録音よりかなり劣りますので、入手出来れば今日のスウィトナー盤が良いです。
繰り返しますが、是非・・・(^^)

都合により、明日のブログはお休みさせて頂きます。

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コメント

おはようございます。
KONDOHさんの愛聴盤シリーズは、私のような門外漢にはとてもありがたいものです^^ その物語性からオペラはどちらかといえば取っつきやすく、TVなどでも面白そうだなと思ったりするのですが、 ご推薦のヘルマン・プライの歌声、必聴のようですね^^

koukoさん、こんばんは。
ありがとうございます。愛聴盤シリーズは自分が感じている事を書き記しているだけなので、まったくの個人的感想であります。(^^;
少しでも何か印象に残ってくれれば嬉しいです。

こんばんは。
ヘルマン・プライは、オペラ全曲盤では聴いてきましたが、アリア集では聴いたことがありませんでした。
ドレスデンとスウィトナーですからサポートもしっかりしてそうですね。
なお、以前にお薦めいただいたシューベルト3大歌曲のCDは購入済みです。正確なディースカウとは違ったルーズというかアバウトなな感じが持ち味のようで、楽しめました。

yymoonさん、こんばんは。
今日のCDはプライの魅力を味わうのにピッタリの録音です。
ディースカウは音楽学者や批評家、声楽を学んでいる方々には大変好まれたバリトン歌手だったと思います。もちろんyymoonさんも含めた一般の音楽愛好家にも大変ファンの多い人でした。
正確無比な歌唱は素晴らしいものですね。しかし私はディースカウの声質が自分の好みではなく・・・冷たく感じます・・・、やや「雰囲気」で聴かせるプライを圧倒的に好んで長年聴いています。

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