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2013年2月11日 (月)

松竹映画「東京家族」

Kazoku

松竹映画「東京家族」 2012年製作

山田洋次 監督作品

出演 : 橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優、小林稔侍、風吹ジュン 他
脚本 : 山田洋次、平松恵美子
音楽 : 久石譲

現在全国公開中

山田洋次監督の最新作品を観て来ました。「東京家族」です。
ご存知のようにこの作品は山田洋次監督が大先輩の松竹監督、故小津安二郎監督の名作「東京物語(1953年)」を下敷きにした作品で、現在の日本のそこかしこで見られる家族を描いています。

もうここで何度か申し上げている通り、山田洋次監督の作品は形を変えていても、常に「家族」をテーマにしており、今回の「東京家族」は文字通り「家族」そのものを描いた作品です。

瀬戸内海の小さな島に住む、平山周吉(橋爪功さん)と、その妻・とみこ(吉行和子さん)は、子供たちに会う為に東京へやって来る。やって来た家は医院を営む長男・幸一(西村雅彦さん)の家。その後、長女・滋子(中嶋朋子さん)の家に泊まるものの、仕事に追われる長男、長女の姿に何となく居心地の悪い老夫婦は・・・。

老夫婦の姿を通して現代日本が抱える問題や家族のあり方をいろいろと考えさせられる作品で、吉行和子さんが素晴らしい名演技で一時代前の「日本の母」を見事に演じています。これぞ「お母さん」という姿だと思います。私事ですが、15歳で母と別れた私にはこういう母親に憧れのようなものを感じました。

子供時代、優秀だった長男に比して、少し劣る末っ子の昌次(妻夫木聡さん)に何かと辛く当たって来た父の代わりに、いつも間に入って昌次を庇って来たとみこ。その心配種の末っ子のアパートを訪れたとみこは、そこで思わぬ人と遭遇する事に。貧しい生活をしているのだろうと心配し、小遣いまで用意して訪れてみれば、何と可愛い婚約者・紀子(蒼井優さん)を昌次から紹介されるのです。

長男・幸一の家に戻ったとみこは、幸一の妻・文子(夏川結衣さん)や周吉の前で、「東京に来て本当に良かった!」と本当に嬉しそうに言うのです。そして孫(幸一の次男)と一緒に二階へ上がるのだが・・・。

映画のラスト、故郷の島に帰った周吉が、次男の婚約者・紀子に感謝の言葉を掛けるシーンには思わず涙を誘われてしまいました。橋爪功さんも名演技でしたし、蒼井優さんも良かったですねぇ・・・。もちろんこのシーンは「東京物語」で周吉(笠智衆さん)が紀子(原節子さん)に話し掛けるシーンと同じですが、橋爪功さんと蒼井優さん、お二人の演技も本家に負けず劣らずの名シーンでした。

本来この作品は2011年12月公開の予定で撮影準備されていたのですが、3月11日の東日本大震災のために製作延期。更に山田洋次監督は被災地を実際に訪れてみて、新たに脚本を書き直し、老夫婦役も当初は菅原文太さんと市原悦子さんであったのですが、橋爪功さんと吉行和子さんに変更しています。

映画を見終えて、老夫婦役をチェンジしたのは成功だったのではないかと思います。以前、NHKのドキュメンタリー番組でこの映画の製作を追っていたのですが、ラストシーン(周吉が家でひとり残るところ)の撮影が終了したところでスタッフ一同から盛大な拍手が湧く中、山田洋次監督が橋爪功さんに「あなたに(この役を)お願いして良かった」と言葉を掛けるシーンが流れていたくらいなのです。

橋爪功さん、吉行和子さん、本当に素晴らしい演技でした。

リメイク作品は過去に数多く作られていますが、先ずオリジナル作品を超えたものを観た事がないです。しかし今回の「東京家族」に関してはオリジナルの「東京物語」を超えていると私は感じました。

山田洋次監督作品、今回も「あぁ、観て良かった・・・」と熱い感動を胸に受けながら劇場を後にしました。

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コメント

おはようございます。
KONDOHさんの記事を読ませていただいただけで、もうこの映画を観なくても、作品のすばらしさがわかってしまったみたいで、困ります(笑)。

山田監督のドキュメンタリーは私も見ましたが、主役の変更があった上での、あの発言だったということは、知りませんでした。

KONDOHさま!こんにちは。

この映画、見たくてウズウズしてました。震災後にこちらを訪れていただいた、というのは知ってましたが、キャストまで変えられたのですね。あとワイドショーなどの断片的な情報で色々知っていたつもりですが、KONDOHさまのレビューで胸がいっぱいになりました。
本当は今日あたり見に行きたかったのですが、仕事がたまっているのでこちら優先にしました、が、シネコンまで車で1時間20分。上映も遅いのが1本ある・・・猛吹雪にならないことを祈りつつ(笑)、大脱走を企てようかな・・・。

yymoonさん、こんばんは。
いえいえ、私が触れたのは映画のほんの一部であります。是非、ご覧になって下さい。
ドキュメンタリー、良かったですよね。配役の変更、監督もいろいろ考えたのでしょう。結果オーライだったと思います。

ろだごん(時々JIQ) さん、こんばんは。
山田洋次監督の作品に駄作はないです。是非、ご覧になって下さい。
しかし劇場まで車で1時間20分ですか。こちらは恵まれていると改めて感じます。雪の中を劇場まで。大変ですが、観る価値はあると思いますので。

Kondohさん、こんちは。私は今、外地にいるので簡単に山田監督の新作を見ることが出来ませんが、なるべく早く見てみたいです。山田監督の描く家族は昭和に成人を迎えた自分にとって懐かしい自分の両親の自画像であると同時に、なによりも人を赦すことのの大切さを教えてくれたと思います。

C51225さん、こんばんは。
山田洋次監督作品はどれも見る価値があると思います。戻られましたら是非、ご覧下さいませ。
今回の作品、多分男性なら皆さんご自分の母親と吉行和子さん演じる母親とがダブるのではないかと・・・。

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