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2014年1月17日 (金)

女王陛下の007

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「女王陛下の007」シリーズ第6作
原題 On Her Majesty's Secret Service
1969年 米英合作 イオン・プロ製作

出演 : ジョージ・レーゼンビー、ダイアナ・リグ、テリー・サバラス、バーナード・リー、イルゼ・ステパット、ガブリエル・フェルゼッティ 他
音楽 : ジョン・バリー
挿入歌 : ルイ・アームストロング(愛はすべてを越えて)
原作 : イアン・フレミング
監督 : ピーター・ハント

正月休みに自宅で観た映画を今日はご紹介。正月に観たと申しましても多分、もう10回以上は観ているのではないかと思います。^^;

前作「007は二度死ぬ」を最後(当時は)に「ボンド役者」と言われるのを嫌ってシリーズを降りてしまったショーン・コネリーの後、二代目ボンド役として登場したのがオーストラリア出身のモデル、ジョージ・レーゼンビーでした。しかしこの人も常にマスコミに追い掛けられる事に辟易して、次回作以降の契約が有ったにも拘らず、自分から契約を破棄したため、ボンド役はこの一本だけになってしまったわけです。

しかし、ボンド = コネリーというイメージがすでに定着していたため、レーゼンビーのボンドは評価が低く、この作品も一般的にはシリーズ中でも人気の低いものの一本ではないかと思います。

ですが、私は声を大にして、この作品を観ずして007シリーズを語るなかれ、と申したいです。イアン・フレミングの原作の面白さが良く分かる作品と言えましょう。前作で初めてフレミングの原作を無視して荒唐無稽なストーリーとなる脚本を仕上げ、映画化した反省から、本作品は再び原作に忠実に映画化しています。

本作ではボンドのロマンスがストーリーの重要な枠組みを占めており、果たしてショーン・コネリーにレーゼンビーのような演技が出来たものか、私は甚だ疑問に思うのです。愛したひとりの女性のために、情報部員を辞職しようとまで決意するという、それまでのボンドにはなかった内面的なものを吐露する複雑な演技。どうでしょう、コネリーにはあまり相応しいとは思えないのですが。

あらすじを簡単に申しておきます。日本で捕り逃がしてしまった(前作 007は二度死ぬ)犯罪組織「スペクター」の首領ブロフェルド(テリー・サバラス)を捜索していたボンドは、フランスの犯罪組織「ユニオン・コルス」のボス、ドラコ(ガブリエル・フェルゼッティ)から、スイスの弁護士グンボルトがブロフェルドに関わっている事を教えられる。

ドラコは以前、ボンドが海で自殺しようとしたところを助けた女性、トレーシー(ダイアナ・リグ)が実は自分の娘であり、彼女の荒んだ心を征服出来るのはボンドしかいないと言い、ボンドに娘と結婚する事を申し出る(強要する)のである。曖昧な返事をしたボンドはブロフェルドを追って、スイスはアルプスへと向かった。

007シリーズはジョン・バリーの音楽を抜きにして語れませんが、本作品こそシリーズ中最高のスコアを書いていると私は思っています。タイトルバックに流れるテーマ音楽は第2作以来、久しぶりにオーケストラによるインストゥルメンタル演奏ですが、この音楽が実に素晴らしい!

ボンドがトレーシーと出会うエピソードの後、メインタイトルが登場し、そのバックにメインテーマが流れて来るのですが、スクリーンは過去五作品の懐かしい登場人物たちが映し出されます。この音楽、自家用車で何十回聴いているか分かりませんが、全く飽きる事がありません。

舞台がスイスアルプスという事で、音楽はホルンを巧みに使い、アルプスの雄大な景色と実にマッチしています。特にアルプスを滑降して来るボンドとスペクターのスキーチェイスはカメラワークも含め、最高です。スキーチェイスシーンの原点が本作品にあります。

ソソファファミミレレ♩ソソファファミミレレ♩ と、同一音をふたつずつ並べた下降音型で始まる音楽が有るのですが、私にはとても新鮮で、良くこういうメロディが浮かぶものと、ほとほと感心します。そのメロディはボンドがトレーシーの車で逃げる途中、ロンドンへ連絡しようと公衆電話ボックスに入った途端、追って来たスペクターから銃撃されるのですが、そこで景気良く音楽が流れて来ます。「ジェ〜〜イムズ!」と必死で叫ぶトレーシーの車に乗り込み、凍った路面を走る車。追う者と追われる者、チャップリンの作品から連綿と続く、映画的面白さを見せるひとつのパターンですね。^_^

劇中、ボンドは英国系譜紋章院のヒラリー・ブレイ卿に成り代わってブロフェルドに会いに行きますが、名前を使っているヒラリー・ブレイ卿は紋章院実在の人物で、原作の冒頭に「ヒラリー・ブレイ卿に捧ぐ」と記されています。ちなみに「ユニオン・コルス」も実在の組織だそうで、原作ではボス名も本名で使われていますが、映画ではさすがに架空の名前(ドラコ)になっています。

フレミングは作品執筆時、ロシアのスメルシュ(後のKGB)、米国のCIA、各国の犯罪組織など、すべて実在しているものをそのままの名称で登場させ、尚且つそれらの幹部連中も実名で小説に書いており、スパイ小説としてリアリティが有ります。フレミング自身が元英国情報部員だったという事もあり、詳しいのは当然と言えば当然なのですが。

長くなりましたが(本当はもっと書きたい事が沢山有るのですが)、是非この作品をご覧になってみて下さい。良い作品ですよ。全シリーズ中、私は第4位に挙げたい作品です。上位3本は言わずもがなですね。^_^

最後にひとつだけ。前作でブロフェルドはボンドと会っているのに、この作品ではボンドと会った時に直ぐボンドと見抜けないのはおかしいのではないかと思った方、そう思われるのも不思議ではありません。ところが原作の発表順は「女王陛下の007」が先で、「007は二度死ぬ」の方が後なんです実は。これでご納得。^^;

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コメント

おはようございます。
この映画、見ておりません^^; 記事を読ませていただいて、これは見なければと思いました。KONDOHさんはホントお勧め上手ですね^^ ポスターですが、あの時代を感じるデザインですね。

koukoさん、おはようございます。
お褒め頂きまして、恐縮です。
是非、ご覧になって下さい。シリーズ中でも高い評価を与えて良い、本当に素晴らしい作品ですので。
そしてバックに流れる音楽もしっかりとお聞きになって下さいませ。これまた素晴らしい、映画のストーリーにマッチした傑作音楽ですから。
ポスター、そうですねぇ、時代の香りを感じます。

こんばんは。
この映画観たことがあるか不確かでしたのでyoutubeでチェックしましたら、スキーのシーンで思い出しました。
ジョン・バリーの音楽もスリリングで良さそうですね。

yymoonさん、こんばんは。
記憶が不確かという事は多分・・・あまり印象に残る映画ではなかったのでしょう。私は少し入れあげ過ぎでしょうから。(笑)

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