「男はつらいよ」寅次郎紅の花
松竹映画
「男はつらいよ」寅次郎紅の花
シリーズ第48作
1995年12月公開
出演 : 渥美清、浅丘ルリ子、倍賞千恵子、後藤久美子、吉岡秀隆、前田吟、下条正巳、三崎千恵子、太宰久男、佐藤蛾次郎、夏木マリ、田中邦衛 他
脚本 : 山田洋次、朝間義隆
音楽 : 山本直純、山本純ノ介
監督 : 山田洋次
この作品、実は「阪神・淡路大震災」の年に制作されています。今でも覚えておりますが、震災のあった日(1月17日)、私は風邪で寝込んでいまして、朝方テレビのニュースで大惨事を知る事となったのです。一日中、テレビで流される映像に大変なショックを受けたものでした。
その後、見事な復興を見せてくれましたので、東北も時間は掛かっても・・・という思いがあります。しかし阪神・淡路では原発事故はありませんでしたからねぇ。
この映画ははからずも寅さんシリーズの最終作となった作品です。撮影当時、渥美清さんは肝臓癌を患っており、医師から撮影は無理、と言われながらも渥美清さんの意志で作品を作り上げてしまいました。さすがに声は往年の張りはなく、痛々しいくらいのしわがれ声です。
登場シーンもほとんど座っています。これは激しい痛みに耐えながら演技をする渥美清さんの体を考えてのものだったそうです。
マドンナは通算四回目の登場となるリリーさん役の浅丘ルリ子さんです。過去三作品も含め、シリーズ最高のコンビでした。お互い好意を持っていながら、なかなかゴールイン出来ないのはいざとなると引いてしまうシャイな寅さんが原因。
さくらさんの息子、満男が愛する泉(後藤久美子さん)の結婚式をぶち壊し、逃げるように行った先が奄美群島の加計呂麻島(かけろまじま)。そこで遭遇したのは何と・・・。
映画冒頭、テレビニュースを見ていたくるまや一家は、大震災後にボランティア活動をしていた寅さんが偶然テレビに映っていてビックリ!(笑)
ラストシーンは寅さんがボランティア活動以来、久しぶりに神戸市長田区の被災地を訪れます。ここでパン屋を営んでいる石倉泰三、悦子夫妻と久々の対面。実はこのお二人は実在の人たちで、山田洋次監督に是非長田区をロケとして使って欲しいというラブコールがあって実現したもの。映画ではこのご夫婦を宮川大助、花子さんが演じています。
そして寅さんが長田区の被災者の方々に投げ掛ける言葉が、「皆さん、本当にご苦労さまでした」です。
この言葉が寅さんの、そして渥美清さん最後のセリフとなりました。
※ 渥美清(本名 田所康雄)さん、1996年8月4日 享年68歳没
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