« smc PENTAX67 105mm/F2.4 | トップページ | またフィルムが・・・ »

2014年3月 3日 (月)

アバド追悼盤 モーツァルト

Mozart_a

モーツァルト
ピアノ協奏曲第25番 ハ長調 K.503
ピアノ協奏曲第20番 ニ短調 K.466

マルタ・アルゲリッチ(p)
クラウディオ・アバド 指揮
モーツァルト管弦楽団

2013年3月 ルツェルン、KKLホールでのライヴ録音

独グラモフォン 479 1033(輸入盤)

先月発売された新譜です。1月20日に80歳で逝去されたイタリア・ミラノ出身の指揮者、クラウディオ・アバドの追悼盤とも言うべき1年前の録音です。

2013年、ルツェルン音楽祭でのライヴ録音で、私の大好きなピアニスト、マルタ・アルゲリッチをソリストに迎えたモーツァルトのピアノ協奏曲を2曲収録しています。私にとってアルゲリッチと言えばショパン、というくらいアルゲリッチの演奏するショパンを好んで聴いているのですが、近年モーツァルトの録音が少しずつ発売されるようになりました。

そのモーツァルトをアバドと共演(競演)。興味深く聴きました。CDの収録は第25番、第20番の順ですが、第20番から聴き始めました。俗に「短調のモーツァルト」という言葉がありますが、600曲を越える膨大な作品群の中でも短調で書かれた作品が大変少ないモーツァルトの短調作品は、独特の雰囲気を持っている事からそういう言葉があるわけです。

有名どころではト短調で書かれた交響曲第40番ですね。しっとりと悲しげな旋律で始まるト短調交響曲は好きな方も多いと思います。もちろん私も。何しろ私のモーツァルト入門はその交響曲第40番でしたから。

さて、ピアノ協奏曲第20番ですが、アバドの指揮が実に個性的です。クレッシェンド、デクレッシェンドが実にハッキリしていて、且つそれらを多用した解釈です。第一楽章は古典的な協奏風ソナタ形式ですから管弦楽による第一主題、第二主題の提示があるわけですが、今迄聴いて来たほとんどの指揮者は短調の寂しさを強調するようにやや劇的に指揮する人ばかりでした。

しかしアバドの解釈はそういう面を控えめにしたような感じで、同じ曲を聴いているような気がしません。実におとなしい管弦楽による主題提示です。比較的録音の新しい日本人ピアニスト、内田光子さんの指揮振りによる演奏も、やはり交響曲でも指揮しているかのような短調の「激しさ」みたいなものを強調した解釈でした。

アルゲリッチのピアノもそのアバドの解釈に添うような彼女としては地味目な演奏ですが、しかしながらモーツァルトの短調作品らしさをじっくりと味わわせてくれるセンチメンタル愁漂う演奏に私は魅せられました。

横浜の県民ホールで聴いたチャイコフスキーのピアノ協奏曲(指揮者は小沢征爾さん)、豪快なフォルティッシモはドレスの半袖から出ている丸太のような太い二の腕によってあの音が出ているのか・・・と思ったものです(失礼)。

ところが今日のモーツァルトは繊細なピアノです。アバドの解釈とも実に良くマッチしていると思います。ですが、第二楽章の中間部ではやや速めのテンポを取り、緊張感を聴き手に感じさせるほどの演奏が聴けます。

第三楽章、アルゲリッチの劇的な速めのソロで始まると、管弦楽が初めて激しく呼応するのですが、やがて元のペースに。その後、アルゲリッチのピアノが軽快な中にもやや激しいタッチで動き始めると、アバドもまた寄り添うように管弦楽を鳴らす、という或る種協奏曲らしい醍醐味を聴けるから嬉しいです。

いやいや、素晴らしい!
久しぶりに聴くニ短調ピアノ協奏曲の名演でした。

ハ長調で書かれた第25番は第20番とは対照的に、モーツァルトらしい天真爛漫的楽想の曲で、演奏も素晴らしいのですが、曲自体が第20番よりやや落ちるので、その分感動も第20番より落ちてしまいますね。

第20番に関しては長らくクララ・ハスキルとマルケヴィッチの古い録音を第一として愛聴して来ましたが、それに対応する良い演奏と巡り会ったという感想を持ったアルゲリッチ、アバド盤です。

ちなみにカデンツァはベートーヴェンが書いたものを演奏しています。第25番の方はフリードリッヒ・グルダのものを演奏している事を付け加えておきます。

« smc PENTAX67 105mm/F2.4 | トップページ | またフィルムが・・・ »

コメント

この二人の1968年のショパンとリストのCDを持っていますが、その初々しいジャケット写真とこの度のCDの写真を見比べると隔世の感があります。
アルゲリッチはモーツァルトをあまり録音していないと思いますので、アバドとの協演は貴重ですね。

yymoonさん、こんばんは。
そのCDは私も持っています。
実はモーツァルトのCD、裏ジャケットがいつ撮影したものか、実に若々しい二人が写っています。
アルゲリッチのモーツァルトは珍しいですよね。
そういう意味でもこのCDは貴重な録音となりました。

こんにちは。
アルゲリッチはラビノヴィチとの競演を、聴きに行った事があります。
譜めくりの人がもたついていると、かなりイラついたのか、
一瞬空いた左手で自ら『バシッ!』とめくったのが、
未だに印象に残ってます。

ぽちさん、こんばんは。
おお、そんなエピソードがありましたか!
何となくアルゲリッチらしさが出ているような・・・(^^;

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« smc PENTAX67 105mm/F2.4 | トップページ | またフィルムが・・・ »