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2014年4月11日 (金)

ワーグナー/「ニーベルンクの指輪」

Krauss

R.ワーグナー
楽劇「ニーベルンクの指輪」全曲

ハンス・ホッター、アストリッド・ヴァルナイ、ヴォルフガンク・ヴィントガッセン、ラモン・ヴィナイ、レジーナ・レズニック、ヨーゼフ・グラインドル、グスタフ・ナイトリンガー、ヘルマン・ウーデ 他

クレメンス・クラウス 指揮
バイロイト祝祭管弦楽団
バイロイト祝祭合唱団

1953年8月8、9、10、12日 バイロイト祝祭劇場でのライヴ録音

独ORFEO C 809 113 R(輸入盤)

写真が続きましたが、久々に音楽CDのご紹介を。それもワーグナー大作の全曲盤でCD 13枚組という大物。クラシック音楽にご興味のない方にとっては多分ご存じない音楽だと思います。ご容赦。

このワーグナー作品は「序夜と三夜のための舞台祝典劇」と呼ぶように、四日間掛けて上演される音楽劇です。その内容は・・・、

序夜 : ラインの黄金
第一夜 : ワルキューレ
第二夜 : ジークフリート
第三夜 : 神々の黄昏

そうそう、この音楽劇を知らない方々も、恐らく「ワルキューレ」第三幕冒頭に演奏される「ワルキューレの騎行」はお聞きになった事があるかもしれません。フランシス・フォード・コッポラ監督がベトナム戦争を描いた映画「地獄の黙示録」で、攻撃ヘリコプターが村を襲撃するシーンで盛大に鳴らされたのが「ワルキューレの騎行」でした。或る意味、この映画でこの曲が有名になったとも言えるでしょう。

物語自体は北欧神話などに基づいて、ワーグナー自身が書き上げた台本を元に音楽が書かれています。

ライン川に眠る黄金から作り上げた指輪を手にしたものは世界を支配出来る事から、この指輪を巡って天上の神々、地上の人間界、地下のニーベルンク族による争いを描いたスケールの大きな叙事詩と言えるでしょう。

四作ある中でも音楽的に特に優れているところから「ワルキューレ」だけがコンサート形式で演奏会が開かれる事も有るくらいで、それだけ聴き所が多い作品なのです。特に第三幕は何度聴いても飽きる事がありません。

今日ご紹介するこのCDの録音は、とんでもない大昔、1953年夏の上演を収録したものです。半世紀以上も前の演奏、録音です。もちろん指揮者、歌手とも生演奏を聴いた事などありません。まぁ、当然ですが。(笑)

なのに何故、そんな骨董的録音をご紹介するのかと申せば、ただただ歌手陣の圧倒的名唱が聴けるからです。その後、現代までバイロイト音楽祭での「指輪」をFM放送、CD、DVDやテレビ放送での映像等々、いろいろな歌手陣で聴いて来ましたが、およそ1950年代の演奏が歌手陣についての黄金期だったのではないかと思うからです。

天上の神々を支配するヴォータンを歌うハンス・ホッター。この人以上のヴォータンを未だ聴いた事がないです。ジークフリートやブリュンヒルデ役も本CDで歌っているヴィントガッセンやヴァルナイも大変素晴らしいです。しかし、後年登場した歌手の中に、より優れた人がおりますが、ハンス・ホッター以上のヴォータン歌いは出ていませんね。もちろん私の個人的感想ですが。

「ワルキューレ」第三幕第三場で歌われる有名な「ヴォータンの告別(さらば、勇ましい我が娘よ)」、聴いていると背筋が寒くなって来るほどの感動があります。後年のクナッパーツブッシュとの録音が更に素晴らしいのですが、とにかくオペラファンならどなたも共感して頂けると思います。

その他の歌手の中ではニーベルンク族のアルベリッヒを歌うグスタフ・ナイトリンガーが極め付けと言って良いほどの名唱です。アルベリッヒについても未だこの人以上の歌手を知りません。1950年代のバイロイトでは欠かせない人のひとりだったと思います。

さて、肝心の指揮者、クレメンス・クラウスですが、意外とあっさり、淡白な指揮ぶりに少々肩透かしを喰らったような感じです。クラウスの後年に登場したハンス・クナッパーツブッシュのゆったりしたテンポの堂々たるスケールの大きい演奏解釈に比べると、少々物足りなさを感じたのが本音です。

しかしながら、映画的表現を借りればオールスターキャストとも言える歌手陣の素晴らしい歌声を聴く演奏だと思います。

今日ご紹介のCDは、タワーレコード横浜店が閉店する時に投げ売りのような価格でワゴンに乗っていたのを見つけ、購入したものです。13枚組のCDですが、一日1枚ずつ聴いて全曲を聴き終えました。一日1枚と言いましても毎日続けて、という事ではありませんが。

実はこの演奏は随分前にイタリアのレーベルから発売されたもので聴いていました。イタリアからは海賊盤まがいのものが平然と出回っておりまして、オペラのライヴ録音もかなりあったのです。放送録音のダビングとか。

しかし今回のCDは正規ルートを通ったオーソライズ盤ですから、録音年は古いものの、音はしっかりした聴きやすいCDである事を付け加えておきます。

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コメント

おはようございます。
なんとタイムリーな!先週一週間インフルエンザでダウンしてたので、池田理代子の『ニーベルンクの指輪』を読み、クリスタナ・ローケン他の映画『ニーベルングの指輪』を見て、果ては岩波文庫の『ニーベルンゲンの歌』第一部を20数年ぶりに読み始めたところです。
音楽祭の演奏は聴いたことがありませんが、壮大なスケールの英雄叙事詩、ゲルマン悲劇の世界に同じくご関心をお持ちなことに不思議な縁を感じております。^_^

おはようございます。
もとになった北欧神話を読んだことがあり、こちらの歌劇にも興味を持ったことがありますが、長いな~ということでそのままに^^;
こういうものを何夜もかけて聴きに劇場へ出かけてゆくというのは、何と優雅なことでしょう。13枚をお聞きになったKONDOHさんも^^

おはようございます。
『指輪』は完走した記憶がありません^^;。
初心者には壁が厚いのかも知れません。

DECCAの「バイロイト・ボックス」に入っていたベームの物と、
格安で手に入れたブリリアントのノイホルト盤です。

動く絵があったほうが良いかなー^^;。

こんにちは。
このクラウス盤は、高くて手が出せなかったので(調べたらタワレコのネットでは今も1万円以上していますね)、イタリア盤をヤフオクで手に入れましたが、音が中波ラジオ並みで歌手達の良さを鑑賞するにはつらいですね。

カイルベルト盤がほぼ同じ歌手だったと思いますが、こちらは録音が驚くほど良いので、それで満足しています。

評論家の人たちは、本当に全曲聴いた上で、CD評を書いているのでしょうかね?

当時の歌手陣の実力は望めませんが、やはり指環は実演で鑑賞してしまうのが手っ取り早くていいです(2度経験あり、もちろんバイロイトではありませんが)。

こんにちは。
今、ワグナーのワルキューレの第一幕をYou Tubeで検索し、
聴きながらコメしています。(^^)
私は、オペラは、劇場で聴くのが好きで、ベルディやプッチーニや
モーツァルトを聴きに出かけたことはあります。
ワグナーのオペラを聞くのは、初めてです。
ワグナーは、堅苦しいイメージがあったのですが、繊細で素敵ですね。
いろいろな趣味を持っている人のブログを読んでいると、知識が広がりますね。

ななまるさん、こんばんは。
池田理代子さんて、確かベルバラの作者ですよね。指輪も描いていらっしゃるのですか。知りませんでした。(^^;
ワーグナーの指輪はいろいろなところで使われているようですね。
よろしかったら是非ワーグナーの音楽もお聴きになってみて下さい。

koukoさん、こんばんは。
おお! 北欧神話をお読みになっていらっしゃいましたか。う〜む・・・、尊敬しちゃいます。
四夜に掛けて上演する音楽劇、余程時間を作らなければ観に(聴きに)いけないですね。
私はまだ、生で四夜通った事がないのです。(^^;
13枚聴くのはやはりこの音楽が好きだから出来るのですね・・・。

ぽちさん、こんばんは。
指輪、まだ完走しておりませんか。
長いですからねぇ・・・。
大分前、ベームの「ワルキューレ」を休日の午後、ぶっ続けで全曲聴き通した事があります。
でも、今は出来ないですねぇ・・・(笑)
ノイホルト盤、お持ちでしたか。拙ブログをご覧頂いている或るお方が喜んでいらっしゃるかもしれませんよ。(^^)

yymoonさん、こんばんは。
ネットの価格を調べた事がないのですが、今でも1万円以上しているのですか!
そういう事ですと、私の入手価格では申し訳なく思ってしまいます。
イタリア盤、私が昔入手したのはチェトラのレコードなんです。今は持っていませんが。
カイルベルト盤も正規盤が出ましたね。私はまだ購入していませんけど、多分良いでしょうね。
評論家の方々ですか・・・。多分、全曲聴いている時間はないでしょうね・・・きっと。(^^;
大分前、レコード芸術誌の月評欄で、当時協奏曲を担当していたU氏がアシュケナージのラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番の再発盤で、とんでもない間違いを書いていました。
新旧ふたつの録音が有るのですが、その再発盤は新しい方だったのに、旧盤のつもりで評価されていました。指揮者もオケも違うのに。間違いに気が付かない編集者にも責任がありますが。
指輪、通しで2度お聴きになっていらっしゃるのですか。素晴らしいですね。私は未だ通しではないのです。

Maruさん、こんばんは。
Maruさんもオペラをお聴きになられるのですね。お仲間が拙ブログにいらっしゃるのは大変嬉しいです。
イタリアオペラも良いですね。これぞオペラ! という感じですから。
モーツァルトのオペラは大好きです。中でも「フィガロ」は何度聴いても飽きません。
ところでYou Tubeにワーグナーがあるのですか。ビックリです。
お聴きになったワルキューレの第一幕は叙情的で良いですね。第二幕、第三幕が大変劇的なので、その対比がとてもハッキリしています。
私のブログはタイトル通り、自分の関心事を自由気ままに記事にしております。それも独断と偏見で。(笑)
その中でご参考になる事があれば私としても嬉しいです。

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