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2014年11月28日 (金)

松竹映画「虹をつかむ男」山田洋次監督作品

Niji

松竹映画「虹をつかむ男」 山田洋次監督作品

1996年12月28日公開

出演 : 西田敏行、吉岡秀隆、田中裕子、倍賞千恵子、前田吟、田中邦衛、柳沢慎吾、下條正巳、三崎千恵子、佐藤蛾次郎、笹野高史、柄本明 他
脚本 : 山田洋次、朝間義隆
音楽 : 山本直純、山本純ノ介
監督 : 山田洋次

今日は素敵な映画、山田洋次監督の作品をご紹介させて頂きます。私はもう4、5回は観ています。

この作品、実は上記の出演者さんたちの脇役で「男はつらいよ 寅次郎花へんろ」という寅さんシリーズの第49作を撮影する予定でした。しかし同年夏、渥美清さんがお亡くなりになった事によって寅さんシリーズは終了してしまったわけです。

渥美清さん追悼の意味で「寅次郎花へんろ」の公開予定日だった12月28日に、この「虹をつかむ男」が公開されています。主役は西田敏行さんで、寅さんのマドンナ役を務める予定だった田中裕子さんが本作のヒロインを演じています。

そして準主役が吉岡秀隆さんで、両親役は倍賞千恵子さんと前田吟さんが演じており、寅さんシリーズとまったく同じ組み合わせの親子なのです。その他、映写技師の役で田中邦衛さんが良い味を出しています。

映画の舞台となっているのは徳島県の小さな町。この町唯一の映画館である「オデオン座(実在します)」の館主、白銀活男(西田敏行さん)のところへ両親と喧嘩し、家出をして来た亮(吉岡秀隆さん)が従業員として働く事になってストーリーは始まります。

映画館の館主が主役ですから、劇中で往年の名画が次々に紹介されます。主だったものは、「ニュー・シネマ・パラダイス」、「野菊の如き君なりき」、「雨に唄えば」、「禁じられた遊び」、「東京物語」等々ですが、映画のラストでは・・・あの映画が(後述)・・・。

本作は、「フィルム撮影」による映画に拘る山田洋次監督が、「映画が如何に素晴らしいか!」という事を言いたかった作品ではないかと思います。今や映画もデジタルで撮られる時代になりましたが、山田洋次監督はフィルムに拘っており、未だフィルムで映画を撮っています。

オデオン座で開催している「名画劇場3周年」を記念して上映された「ニュー・シネマ・パラダイス」を見終わった活男の幼馴染み、八重子(田中裕子さん)が活男に感動した面持ちでこう言います。

「イタリア言うたら遠い地球の裏側にある国やろ。その国の人たちが作った映画で、なんで四国に住む私たちが、感動・・・出来るんかしら?」

この言葉に対し活男が、

「なぁ〜・・・これが映画や!」と。

まったくその通り! それが映画なのです。

或る町の公民館で開催される出張映画会。しかし、町役場の斉藤課長(柄本明さん)は規則によって夜9時までに映画会を終了しろとの事。活男は夜7時開始の二本立てでは9時終了は無理と懇願するも、お堅い斉藤課長は首を振るばかり。ところが上映された映画は木下恵介監督の名作「野菊の如き君なりき」です。このシーンは笑えました。何故かは・・・申しません。(笑)ご覧になってください。

さて、ヒロイン役の田中裕子さんの演技が良いですねぇ。若い頃に東京へ出て結婚するも、夫と死別し、故郷に帰って来て実父の出資で喫茶店を営んでいるのですが、兄(笹野高史さん)から見合いを勧められるも、頑なに拒否します。実は、「或る人」からのプロポーズを待っているのです。

ところが・・・その「或る人」が実に鈍感な男で・・・。
まったく私と一緒なんですよ。(^^;

映画の後半、その「或る人」の口から思い切ってプロポーズしてもらいたいのに、鈍感男が気が付いてくれないために泣き崩れる八重子。じれったいやら悲しいやら・・・。ここは山田洋次監督の名演出です。観ているこちらも泣けて来ます。その時に流れる映画が「東京物語」です。

この映画はところどころで「寅さんシリーズ」の一場面を思い起こされるシーンが出て来ます。活男と八重子が雨の中をひとつの傘で歩くシーン。これは浅丘ルリ子さん演じるリリーさんとメロンの事で喧嘩したばかりの寅さんが雨の中を駅までリリーさんを迎えに行き、相合い傘で帰って来るシーンです。

八重子を家まで送ると八重子は玄関に入り、ドアから手だけを出すので、活男が八重子の手を握り返します。これは「男はつらいよ」第1作で御前様の娘、冬子に1日付き合って家まで送ると、少し酔っている冬子が玄関から手だけを出し、「お休みなさい」というシーンと同じなのです。

他では八重子の父が亡くなり、葬儀のシーンがあります。ここも「続・男はつらいよ」での葬儀シーンでマドンナ役の佐藤オリエさんのところへ山崎努さんが現れるシーンと同じです。

映画のラストは活男が亮の将来を考え、解雇する事に。そこで活男が亮に、「俺の気持ちは、今掛かっているこの写真が答えてくれる」と言って活男はなんと・・・・「男はつらいよ(第1作)」を見せるのです。スクリーンには第1作の名シーンが幾つか流れて来ます。

ラストシーン、活男が車に乗って出張映画会の為に走り去って行きますが、その時バックに流れる音楽は「男はつらいよ」のテーマ音楽なのです。まったく寅さん映画を見終わるような錯覚を覚えます。

で、車が走り去った後、小さな小屋から寅さんが登場するではないですか!
CGによる合成なんですが、スクリーンには・・・、

敬愛する 渥美清さんに
この映画を捧げる

とスーパーが出、渥美清さんが歌う「男はつらいよ」の主題歌が流れて来ます。

まさに寅さんのラストシーンなのです!

山田洋次監督による渥美清さんへのオマージュですね。

是非、是非・・・一人でも多くの人にこの名画をご覧頂きたいと思います。

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コメント

おはようございます。
面白そうな映画ですね。お話しを読んで観てみたくなりました。
「男はつらいよ」をあまり知らなくても楽しめるかしら?
知っていると10倍楽しめそうですね。(^^)
山田洋次監督は、フイルム撮影だったのですね。
映画を観る時は、そういうことも心してみますね。
洋画ばかり観て、あまり日本の映画を観てこなかった私ですが、イギリスに行った時に、機内で観た「小さなお家」という山田洋次監督の映画が素晴らしくて、これからは、日本映画もたくさん観ていきたいと思いました。
日本人にしか描けない繊細な心の描写がありました。

Maruさん、こんばんは。
はい、面白いですよ〜・・・・・(^^)
そしてほのぼのとした感動が残りますよ〜・・・・・(^^)
「男はつらいよ」をまったくご存じなくても楽しめます。これはきっぱり申します。
山田洋次監督作品は見終わった後に、必ず見て良かったなぁ〜・・・という暖かいものが心の中に残ります。これもきっぱり申します。(^^)

こんばんは。
この映画は観ていないかもしれません。西田敏行がちょっとネックだったかも。
でも、ヒロインが田中裕子ですし、KONDOHさんの解説で観たくなりました。
寅さんが亡くなってからもう18年も経っているんですね。歳をとる訳ですね。


yymoonさん、おはようございます。
ご覧になってませんですか。それでは是非、ご覧になってみてくださいませ。
yymoonさんは往年の名画にお詳しそうなので、楽しめると思います。
田中裕子さん、ほのぼのとして良いですねぇ・・・。この作品のヒロインにぴったりのキャラクターです。もっとも山田監督がそういう脚本を書いているわけですが。

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