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2015年2月18日 (水)

私の愛聴盤 第17回

Kna

クナッパーツブッシュ/ワーグナー名演集

楽劇「神々の黄昏」から
1. 夜明けとジークフリートのラインへの旅
2. ジークフリートの葬送行進曲

舞台神聖祝典劇「パルシファル」から
3. クンドリの語り「幼な子のあなたが母の胸に」

楽劇「ワルキューレ」から
4. ヴォータンの告別「さようなら、勇ましいわが子よ」〜魔の炎の音楽

楽劇「トリスタンとイゾルデ」から
5. 第1幕への前奏曲
6. イゾルデの愛の死「優しくかすかな彼のほほえみ」

3. キルステン・フラグスタート(ソプラノ)
4. ジョージ・ロンドン(バスバリトン)
6. ビルギット・ニルソン(ソプラノ)

ハンス・クナッパーツブッシュ 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

1956年〜1959年、ウィーンにて録音

ユニバーサル ミュージック UCCD-7046

今日は私の愛聴盤の中の愛聴盤ともいえるCDをご紹介させて頂きます。この盤に関してはもう何十回聴いているか自分でも分かりません。とにかく、繰り返し繰り返し聴いてもまったく飽きが来ないのです。飽きが来ないどころか、聴けば聴くほどにその演奏の素晴らしさに感動が深まるのです。

優れた演奏に対し、「名演」という賛辞の言葉がありますが、この盤に関しては「名演」なんて言葉ではまったく足りません。「超絶的名演」とでも申しておきましょうか。歌手、指揮者、オケ、まさに三拍子揃った超絶的名演がこのCDで聴く事が出来ます。

大分以前、ワーグナーの音楽について書いた時にもこのCDは私の推薦盤としてご紹介してはいましたが、今日改めて愛聴盤として記事にしました。6曲どれも皆素晴らしい演奏なのですが、中でも4曲目の「ヴォータンの告別」は体が震えて来るほどのまったくもって文句の付けようがない名演奏です。

ワーグナーの代表作として一番に挙げられるのは四夜に渡って上演される、楽劇「ニーベルングの指環」だと思いますが、その四部作の中では第2夜「ワルキューレ」が音楽的に一番優れていると思います。第3幕冒頭で演奏される「ワルキューレの騎行」はどなたも一度や二度、どこかでお聞きになっていると思います。一般的には映画「地獄の黙示録」のヘリコプターによる攻撃シーンで流れていましたので、ご記憶の方もいらっしゃるのではないかと。

しかしながら、音楽的に素晴らしいのは「ワルキューレ」の幕切れの部分です。神々の長、ヴォータンが自分を裏切った最愛の娘(ブリュンヒルデ)と縁を切るため、魔の炎でブリュンヒルデを囲み、父親としての苦悩と悲しみを切々と歌うシーンは実に感動的な音楽です。

今日ご紹介のこのCDにはその「ヴォータンの告別」から幕切れまでが収録されています。「ワルキューレ」の中でというより、「ニーベルングの指環」全曲の中でも一番音楽的に優れていると同時にもっとも感動的なシーンだと自分は思っています。

その感動的な音楽を指揮者のクナッパーツブッシュはとてつもなくスケールの大きな演奏解釈で聴かせてくれます。「指環」全曲盤は拙宅に何セットかありますが、どの指揮者も物足りません。

しかし、クナッパーツブッシュはやや遅めのテンポで弦を歌わせ、金管楽器には慟哭という言葉が相応しいくらい吠えさせます。まさにヴォータンの苦悩を表現しているかのように。そしてジョージ・ロンドンがまたその苦悩と悲しみを見事に表現しているのです!

私は前述したようにすでに何十回と聴いて来ましたが、聴く度に背筋がゾクゾクとする感動を味わい、目頭が熱くなるほどです。このCDの元になった音源が録音された時代にはハンス・ホッターという、歴代のヴォータン歌いの中でも傑出した歌手がおりますが、そのハンス・ホッターを除けばジョージ・ロンドンもまたこの録音で実に素晴らしい名唱を残してくれたと自分は思います。

ワーグナー好きにはそれぞれお気に入りの指揮者がいらっしゃるかと思いますが、私にはクナッパーツブッシュ以上の指揮者はいません。ワーグナーに関してはクナッパーツブッシュとその他の指揮者、と言っても良いくらい、天と地ほどの開きを感じています。他の指揮者が演奏する「ヴォータンの告別」は「ヴォータンの告別」では無い! と断言しても良いです。

CDプレイヤーの時間表示で2分54秒からの感動的演奏、そして3分59秒からのオケの歌わせ方と鳴らせ方、クライマックスへのコントロール、背筋が震えて来ます。それに続くヴォータンの嘆きが切々と歌われます。更に10分24秒からの弦楽器による悲痛な旋律を、クナッパーツブッシュが素晴らしいテンポと強弱でヴォータンの内面を吐露しています。いや〜・・・素晴らしい音楽、そして解釈です!

低弦のフォルティッシモから始まる魔の炎の音楽、そこから幕切れまでの演奏解釈、ジョージ・ロンドンの歌唱含め、圧倒的感動の音楽でこの演奏が終わります。もし、こうした演奏で舞台を見ていたら、私はぼろぼろに泣いてしまうでしょうね、きっと。

クラシック音楽がお好きな方、特にワーグナーがお好きな方には絶対お聴きになって頂きたいです。クナッパーツブッシュのワーグナー表現の「凄さ」が分かって頂けると思います。まぁ、ワーグナーがお好きな方ならこの録音はまずお聴きになっているかとは思いますが。

「ヴォータンの告別」ばかり熱く語ってしまいましたが、他の曲も勿論名演揃いです。「ジークフリートの葬送行進曲」もクナッパーツブッシュ以上の演奏を未だ聴いた事がありませんし、「トリスタンとイゾルデ」の前奏曲もしかり。

そしてここではワーグナー歌いとしての歴史的大歌手、キルステン・フラグスタートとビルギット・ニルソンの名唱も聴く事が出来ます。大分以前、クラシック音楽仲間と喫茶店でダベっていた際、我々が(録音として)聴けるワーグナー歌いのソプラノ(特にブリュンヒルデ)は誰が一番素晴らしいと思う? という話題が出た事があります。

結果は、キルステン・フラグスタートが第1位でした。次点がビルギット・ニルソンです。まぁ、二人はほとんど甲乙つけがたいけど、僅差でフラグスタートという意見が大勢を占めました。今日ご紹介のこのCDではその歴史的大歌手二人の名唱も聴く事が出来ますよ。

しかし、半世紀以上も前の、勿論リアルタイムで聴けるわけのない大歌手の名唱や指揮者の演奏を聴く事が出来る「録音」という技術を開発した方には感謝感謝ですね。

つくづく良い時代に生まれたものと思います。ちなみに本CDの価格は1,000円です!

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コメント

おはようございます。
熱く語られた文章を楽しく読ませていただきました。
KONDOHさんが、このアルバムをどれだけお好きか気持ちが伝わってきました。(^^)
1000円は、試しに聴いてみてもよいお値段ですね。
KONDOHさんが、書いていらっしゃる時間表示を見ながら、聴いてみるのも楽しいかもしれませんね。(^^)

 おはようございます。

 KONDOHさん、お勧めなので、先ほど注文しました。
 到着が楽しみです。

 と言っても、我が家のローエンドオーディオで聞くので、そこが難点です。

おはようございます。
この盤は日本だけの企画盤なのでしょうか。
ジャケットが安直な感じがしますので。
でも、音質が大変良いので、当時の超一流の人たちの素晴らしさが気軽に味わえますね。
普段は、このクナ盤と指揮の好みは別にしてショルティの「指環」ハイライト盤を持っていれば、カジュアルに楽しめますね。ハイライト盤ではテンシュテットも良いですが。

こんにちは!

お勧め盤、今回も購入しました!

時々思うのですが・・・田舎では「オーケストラ」の「クラッシックコンサート」など、滅多にありません(涙)。在京時代は「ぴあ」(懐かしい!)をながめつつ、年に何度かは聴きに行ったものです。

今、ミュージシャンのライブを映画館(シネコン)で「パブリック・ビューイング」のように高音質で聴き、映像を楽しむという事が行われていますが、クラッシックもやってくれないかなと思うことがあります。入場券は、普通の映画と同じくらいの値段で。
意外と望んでる人も多いと思うのですが。

あ・・・うちの町、映画館「も」なかったんだ!(号泣)

Maruさん、こんばんは。
お恥ずかしいです。(^^;
でも、私の正直な気持ち・・・感想なのです。
この「ヴォータンの告別」は特別です。今までいろいろな演奏を聴いて来ましたが、どれも足元にも及ばないという感じです。或る意味、神がかり的な演奏とも言えるでしょう。
もし、よろしかったらお聴きになってみてくださいませ。

pyosidaさん、こんばんは。
ご購入頂いたのですか!
ありがとうございます。このCDは素晴らしいと思います。
再生装置は関係ありませんです。「音楽」を聴いて頂くのですから、ラジカセでも感動は伝わって来ると思います。
愛犬の死、とても残念でしたね。どういうコメントを寄せて良いものやら分からなかったので、控えておりました。ご家族の一員だったでしょうから・・・。

yymoonさん、こんばんは。
もしかしたら日本独自の企画盤かもしれません。
LPレコード2枚分をCD1枚にしており、収録されていない音源もありますので。
嘗て、スーパーアナログディスクにもなっており、とても素晴らしい音が聴けます。
ショルティの「指環」全曲盤が私にとって初めて購入した「指環」セットでした。
当初クナッパーツブッシュで録音を始めたところ、ジョン・カルショーがいろいろな擬音を入れる事に嫌気がさして降りてしまったそうですね。で、当時ほとんど無名だったショルティが採用されたとか。「ワルキューレ」第1幕全曲が発売されていますので、それが録音の手始めだったのかも・・・と残念です。
もし、クナッパーツブッシュで全曲が録音されていたら、素晴らしい音質で聴く事が出来たのですよねぇ・・・。

ろだごんさん、こんばんは。
お買い求め頂きましたですか。恐縮です。でも、きっと気に入って頂けると思います。
パブリック・ビューイング、アメリカではメトロポリタンオペラが同時中継で映画館を使って上映されているようです。実に羨ましいですよねぇ・・・。
おっしゃるように日本でも映画館で上映してくれたら低料金で音楽を楽しめそうです。
都内での外来オケのコンサート、チケットが本当に高くなりましたし・・・。

 こんばんは。
 CDが到着して、聞いてみました。

 お勧めのヴォータンの告別、いいですね。演奏との重なり方が、ソプラノの時よりいい感じです。

 ただ、我が家で聞く時ですが、ローエンドオーディオの組み合わせではなく、より音が出る組み合わせで聞きたいと思いました。
 また、CD、紹介してください。

pyosidaさん、こんばんは。
もうお聴きになられましたか。(^^)
ヴォータンの告別、気に入って頂いて良かったです。
私も昨晩聴きましたし、今日は車でも聴きました。(^^;
この録音は再生装置のグレードが上がれば上がるほど良く聞こえると思います。そのくらい素晴らしい録音ですから。
最近流行りのヘッドホンアンプとヘッドホンの組み合わせも良いかもしれません。

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