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2015年7月10日 (金)

私の愛聴盤 第18回

Wf

ベートーヴェン/交響曲第7番 イ長調 作品92

ウィルヘルム・フルトヴェングラー 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

1950年1月18-19日 ウィーン楽友協会大ホールでの録音

発売元 : 英EMI

久々に私の愛聴盤をご紹介させて頂きます。ただし、録音は65年以上も前という、まさに歴史的音源であります。

もちろん私は生まれていません。(笑)

そんな自分が生まれる遥か前の録音を紹介してどうするの? と言うなかれ、この録音こそ私が今まで数え切れないほどの数の演奏を聴いて来た中で、未だにこの録音を凌ぐベト7の演奏を聴いた事がないからです。

終楽章など、まるでフルトヴェングラーのライヴ録音を思わせる、即興的に荒れ狂ったような演奏で、初めてお聴きになった方は度肝を抜かれるのではないでしょうか。ちなみにこの録音は英EMIによる正規のスタジオ録音です。録音場所は日頃ウィーン・フィルがコンサートに使っている大ホールですが。

第一楽章冒頭、オケが鳴らす全合奏による和音の音からしてもう他の指揮者とは隔絶した響きです。この指揮者独特の鳴らし方と申して良いのかもしれません。「英雄」の冒頭も同じで、フルトヴェングラー以上の鳴らし方をした指揮者を未だ聴いた事がありません。肉薄しているのは朝比奈隆さんくらいなものでしょうか。

その第一楽章からして聴いているこちらはフルトヴェングラーの魔術にでも嵌ったかのようで、弾むようなリズムの取り方、間の取り方、或る意味ベートーヴェンの書いたスコアを無視しているかのような演奏解釈に惹きつけられてしまいます。

展開部中間(254小節〜)でのオケの弾ませ方、ここもフルトヴェングラーの解釈こそ最高で、聴いていると思わず自分の体が同じリズムで弾んでしまいます。ジャズに当て嵌めれば、まさにスイングしちゃうのです。(^^)

第二楽章は悲しみの音楽です。遅めのテンポで暗く引きずるようなメロディとリズム。クライマックスではウィーン・フィルの慟哭が聞こえます。フルトヴェングラーのこの演奏を知っている者にとって、カラヤンを筆頭に、他の多くの指揮者の解釈は実に物足りないです。

第三楽章のスケルツォはリズムの権化。テンポの取り方といい、リズムの取り方といい、これ以上考えられないでしょう・・・というような演奏解釈。トリオに入るとテンポをぐっと落とし、「もう疲れました〜・・・」とでも言っているかのよう。(笑)

そして、前述したように荒れ狂うような阿鼻叫喚の終楽章がやって来ます。弾けるような弦のアクセント。さらに第二主題からテンポも加速し、オケは泣き叫びます。テンポの緩急がいっそうハッキリするようになり、弱音部分はまるでフォルティッシモへの伏線のよう。

展開部での荒れ狂い方は、このフルトヴェングラーの演奏を知ると、他のすべての指揮者は実におとなしい演奏に聞こえてしまいます。

コーダに向かって畳み込んで行くようなテンポと、これ以上ないというくらいにオケを鳴らすフルトヴェングラー。まるでオーケストラの絶叫を聞くかの如く、壮絶な勢いで最後の和音が全合奏されて全曲が終わります。

筆舌に尽くしがたいとはこのような演奏を言うのだと思います。もし、ベト7が耳タコで、未だフルトヴェングラーの演奏をお聴きになった事がないという方、是非お聴きになってみてくださいませ。

バイロイトの第9も素晴らしいですし、「英雄」も素晴らしい演奏を残しているフルトヴェングラーですが、「これぞフルトヴェングラー」という演奏は今日ご紹介したベートーヴェンの交響曲第7番だと思います、私は。

CDは何度も再発売されておりますので、お店に行けばいつでも入手可能のはずです。

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コメント

おはようございます。
今、ベートーヴェン/交響曲第7番 イ長調 作品92をYou Tubeで検索して、聴きながらコメントしています。(^^)
(ウィルヘルム・フルトヴェングラー 指揮の作品ではありませんが・・・)
おかげで、爽やか朝を迎えられました。
朝は、清らかなクラッシックが、いいですね。(^^)
KONDOHさんの愛聴盤のシリーズで、いろんな曲を聴かせていただいています。
18回も書いていらっしゃるのですね。
他も読んでみようかしら。(^^)

Maruさん、こんばんは。
最近のYouTubeは何でもあるのですね。
ベートーヴェンまでありましたか。
しかし、さすがにフルトヴェングラーはなかったですか。そうでしょうねぇ・・・。活躍した年代が年代ですからねぇ・・・。
私の愛聴盤は多岐に渡っているので、ブログ掲載はそのごく一部であります。(^^;

KONDOHさん、こんばんは。

フルトヴェングラーのベートーヴェン7番がお勧めなのですね。
私は、 クレンペラー/ウィーン交響楽団(56年)、カラヤン/ベルリンフィル(78年)、クライバー/バイエルン国立管弦楽団(82年)を聴いています。

KONDOHさんのお勧めなら間違いないので、今度聴いてみます。
次回の愛聴盤の紹介を楽しみにしています。

ななさん、こんばんは。
ななさんがお聴きの中、カラヤンとクライバーは私も持っております。
クレンペラー盤、私は最晩年、80歳を過ぎてから英EMIに録音した演奏(1968年10月、アビイロードスタジオ)が好きです。とても遅いテンポで、実にユニークな演奏です。オケはニュー・フィルハーモニア管弦楽団(フィルハーモニア管弦楽団)です。
或る意味、フルトヴェングラーとは対照的な演奏であります。今日ご紹介したフルトヴェングラー盤はとてもアグレッシブで、熱い演奏です。

こんにちは!
無事発注しました。。
ジャケット写真で探したら同じのがなく、EMIと録音年に注目したらすぐ見つかりました。
解説にも「すさまじいまでの演奏」と書かれてたので、いろんな意味で楽しみです。

iPhoneばかりで音楽聴いていたら、CDでも「十分高音質!」と感じてしまいました。
慣れは恐ろしいものです。

一つ質問なのですが、「名演」というのは認められるまで時間がかかるんでしょうか?
意外と古いものが多いですよね。
クラッシックの世界も後継者不足?と言う訳でもなさそうなので・・・。

こんばんは。
この録音はスタジオ録音の割に音があまり良くありませんが(私のは初期のCD)、そんなことは関係なく、フルトヴェングラーの魅力がたっぷり味わえますね。ウィーンフィルもさすがにフルトヴェングラーには逆らえなかったのでしょうね。
写真のボックスは持っていませんが、ほかの演奏はいかがですか。

ろだごんさん、
この演奏を購入されましたか。
録音が古いですから、最新録音のような音ではありませんが、鑑賞に障害が出るほどではありません。
Amazonで探してみたら、私が入手したBOXがまだ売られておりました。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/B004CHURXW/ref=pe_1105412_189913922_em_1p_7_ti

従来のマスターより状態の良いマスターが見つかったそうで、その新しいマスターを使ってCD化されております。

「名演」、難しいですね。確かに全体的な世評の評判が良くて名演として語り継がれる事が名演の定義なのかもしれませんが、すべての人がそれを良いと思うわけではないので・・・。
ですから厳密には個人個人で名演と思われる尺度が違うと思います。
それでもレコード、CDの世界では人気のない演奏は売れませんから初版で終わる演奏も結構あります。よって、繰り返し再発売される録音が名演とも言えるのかもしれません。それだけ聴き継がれているわけですから。
クラシックの世界も後継者不足だと、個人的には思っています。なので、未だに過去の録音を聴いているわけで・・・。演奏テクニックだけは現代の方が進歩していると思いますが。でも、上手い演奏が必ずしも感動させてくれるわけではないので・・・。

yymoonさん、こんばんは。
今回ご紹介した盤は新たに発見されてマスターからCD化されておりまして、確かに少し音質は向上しているようです。
フルトヴェングラーのライヴ録音は音の悪いのが多いせいか、自分は聴き慣れているような・・・(笑)
他のCDも従来から良く知られた英EMIの音源なので、フルトヴェングラーのCDをお持ちでない方には大変安価に入手出来ますので、オススメ出来ます。

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