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2016年1月20日 (水)

松竹映画「母と暮せば」

Hahato

山田洋次監督作品

松竹映画「母と暮せば」2015年度作品

出演 : 吉永小百合、二宮和也、黒木華、加藤健一、浅野忠信、橋爪功、広岡由里子、小林稔侍、本田望結 他
脚本 : 山田洋次、平松恵美子
音楽 : 坂本龍一
監督 : 山田洋次

実に哀しい映画でした。山田洋次監督が或る家族を通した「反戦映画」と言えるのではないでしょうか。反戦をテーマにした映画は数あれど、この映画ほど強烈な印象の残る作品は今迄観た記憶がありません。

山田洋次監督作品、本来ならば公開(昨年12月封切)と同時に観に行くのが常でしたが、本作品は内容が重そうに感じて、いつもより劇場へ足を運ぶのが遅くなりました。しかし、いざ観てみれば、上映時間の約二時間が非常に短く感じたのです。それだけこの作品に入り込んでいたという事ですね。

映画は1945年8月9日、米軍のB29が長崎に原爆を投下するところから始まります。当初の投下予定地は小倉だったのですが、雲に阻まれて小倉の町が見えなかったため、第二目標の長崎に変更されたのです。その原爆によって助産婦をしながら息子、浩二(二宮和也さん)の成長を見守る母、福原伸子(吉永小百合さん)は最愛の息子を亡くす事になるのです。

夫を結核で亡くし、浩二の兄(長男)はビルマで戦死し、伸子に残されたのは浩二だけ。その浩二も今度は原爆で・・・。悲しみに暮れる伸子。ところが三年後の或る日、伸子にだけ見える浩二が現れたのです。

物語はこのくらいにしておきますが、浩二の恋人、町子を演じる黒木華さんが本作品でも良かったですねぇ・・・。「小さいおうち」で初めて見た女優さんですが、どこにでもいる女性のように思わせてくれる自然な感じが私は好感を感じます。

「上海のおじさん」を演じる加藤健一さんですが、名前に記憶がありました。山田洋次さんが脚本を書いた映画「椿姫」に松坂慶子さんと共に主演していた俳優さんでした。ヴェルディの歌劇「椿姫」を下敷きに山田洋次さんが見事な脚本を書いた作品で、未だにディスク化されないのが不思議です。

ところで上海のおじさんの役、実に豪快で憎めないキャラクターですが、もし・・・すまけいさんがご存命だったら山田洋次監督、多分この役に抜擢していたのではないかと、映画を観ている間ずっと思っていました。過去、山田作品で演じていた、すまけいさんのキャラクターにどんぴしゃりだからです。

吉永小百合さんの演技の素晴らしさは言うまでもありませんね。

さて、劇中で浩二が『自分が死んだのは「運命」によるもの』という言葉に対し、伸子が発するセリフ、「運命なんかではない。人が用意周到に考えたモノによる悲劇なのよ」。

これがこの映画で山田洋次監督が言いたかった「核と戦争」に対する痛烈な批判ではないかと私は思いました。

坂本龍一さんの音楽も良かったです。エンドタイトルでの「鎮魂歌」の合唱も胸に響きました。そして最後に小さく長崎平和公園の平和祈念像が出ていたのがとても印象に残っています。

是非、一人でも多くの方にご覧頂きたい名作です。

この後、山田洋次監督作品がもう一本控えておりますよ。その映画のタイトルは「家族はつらいよ」です。名作「東京家族」の出演者による喜劇だそうで、楽しみです。

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コメント

こんばんは。
KONDOHさんの名解説でサユリストの私は是が非でも見なければという気持ちにさせられました(笑)
黒木華さんはどのように成長されるか楽しみな女優さんですね。
加藤健一さんは80年代に舞台で何度も見ました。『寿歌』『審判』『ザ・シェルター』とか。若い頃から非常に存在感のある役者さんでした。
でも実は最後に映画館で見たのは数年前のことです。もう自分でインターミッションを設定できない空間は辛くなりました。

おはようございます。
KONDOHさんは、「男はつらいよ」だけでなく、山田洋次監督のファンなのですね。
私は、邦画は、あまり観ないのですが、最近、少し観るようになりました。
「小さいおうち」は、観ましたよ。
しみじみと、人の心を描いた作品で、深く記憶に残りました。
山田洋次監督の映画をいろいろ観てみるのもいいなぁ~と、思っておりました。
今日の記事で、「母と暮せば」にも、興味が沸きました。(^^)

おはようございます。
山田洋次監督、渾身の一作でしょうね。
加藤健一さんのお名前も久しぶりに目にしました。
どんなお芝居をされたのか、見てみたくなりました。
「家族はつらいよ」♪ どんな作品になるのでしょう^^

こんにちは。
山田洋次監督のファンでおられるKONDOHさん。[母と暮らせば]は公開後すぐに観に行かれなかったのですね。私も観てみたい作品です!
核と戦争。原爆は無差別な殺人だと私は思います。そして親と子、母と息子というのはまた特別な思いがあると良く聞きます。子を想う母と、母を想う息子の気持ち・・・残された者の葛藤や戦争が残した大きな傷跡・・・
きっと誰もが、ただ普通に日常を生きていきたかったでしょう。
最後に鎮魂歌が流れるのですね。原爆で亡くなった方々の声なのでしょうか。平和を願わずにはいられませんね。
[家族はつらいよ]ですか~♪そちらもまた楽しみです(^o^)v

私事ですが、昨日やっと【スターウォーズ】を観てきました!3DでIMAXで!私はIMAXは初めての体験でしたので音、音響効果にただただ驚くばかり♪音を楽しむならIMAX、納得いたしました♪m(__)m♪

cucchi3143さん、こんばんは。
cucchi3143さんはサユリストだったのですか。(^^)
では、是非この映画をご覧頂きたいと思います。
黒木華さんも良かったですね・・・。「小さいおうち」の時も良かったですが、山田監督の下でどんどん成長しているように思います。
加藤健一さんをご存知だったのですか。私は「椿姫」で一度見ただけなんです。調べたら舞台中心に活躍されていらっしゃるのですね。この映画でもさすがの演技でした。

Maruさん、こんばんは。
はい、私は「男はつらいよ」のファンではなく、山田洋次監督のファンなのです。
山田作品はすべて観たいのです。ですから当然「男はつらいよ」もすべて観ているわけです。しかし、昔の作品はリアルタイムで観られない作品が多いですから、そういう作品はテレビ放送やDVDなどで観て来ました。
山田作品はいつも「観て良かった・・・」という熱いものが残ります。そういう作品を作れるのは山田洋次監督以外、もういないですね。
常に「家族」をテーマに作品作りをされていらっしゃる方で、我々に一番身近なテーマですね、家族は。

koukoさん、こんばんは。
はい、まさに渾身の一作です。
加藤健一さんをご存知だったのですね。私は文中にあるように「椿姫」で一度観ただけの俳優さんなのです。「椿姫」では主演でして、タクシー運転手を演じておりました。良い作品でしたよ。
「家族はつらいよ」、如何にも山田洋次監督らしいタイトルですね。(^^)

寅さん(^^)、こんばんは。
原爆は一般市民を相手として落とされたわけですから、アメリカは大変な罪を犯したのだと思います。しかし、それも「戦争」という、人間を変えてしまう争いが根底にあったわけで、難しい問題ですね。ひと口でああだこうだと、私のような者が安易に口に出来る問題ではないですね。
それでもやはり、この映画を観ると「核」というものの脅威を感じます。
山田洋次監督は常に「家族」をテーマにした映画を作っておりますので、「戦争」というものが如何に平和な多くの家族を壊して来たか・・・。
今回の作品は山田作品の中でもとても重いテーマの映画でした。逆にそれだからこそ多くの方にこの作品を観て頂きたいです。
で、この作品の後に喜劇ですよ〜・・・・(^^)
意外にもシリアスな「東京家族」の出演者たちで作られた喜劇。予告編を観ましたが、喜劇調の山田タッチが最高に生かされた作品かもしれません。
「スターウォーズ」をIMAX 3Dでご覧になられましたか。私も昨年暮れに同じIMAX 3Dで観ております。音響効果は凄かったでしょう・・・?(^^)

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