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2016年12月22日 (木)

私の愛聴盤 第21回

Uno

宇野功芳&大阪フィル/一期一会のコンサート

モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」序曲
モーツァルト/交響曲第40番 ト短調
ベートーヴェン/交響曲第5番 ハ短調「運命」
ハイドン/セレナード

宇野功芳 指揮
大阪フィルハーモニー交響楽団

2005年4月10日 大阪、ザ・シンフォニーホールでのライヴ録音

EXTON OVCL-00107

女声合唱指揮者・・・というより、音楽評論家として知名度の高かった宇野功芳さんが今年の6月10日、86歳でお亡くなりになりました。本来ならもっと早く今日の記事を認めたかったのですが、ご紹介するCDが一般的にはマイナーなので、今まで躊躇っておりました。

もう大分前になりますが、日本指揮者協会の立食パーティに参加した時の事です。宇野功芳さんとしばしお話しする機会があり、その時の会話の中で今でも忘れないエピソードがあります。

宇野さんはクラシック音楽雑誌「レコード芸術」のレコード月評、CD月評を長い間お続けになられておりましたので、私が「プライベートでCDをお聴きになる事ってございますか?」とお尋ねすると、

「いや〜・・・まったくないですねぇ・・・」と、苦笑いしながらお答えされました。

どんな事でも趣味で楽しんでいる分には良いですが、それを仕事にすると時には苦痛を感じたりするものです。毎月編集部から何十枚と渡されるテスト盤を聴いて評論を書く仕事をしていれば、プライベートで音楽を聴きたくなくなるのも理解出来ますね。

宇野さんは自ら編成した女声合唱団の指揮者として長い間ご活躍されていらっしゃいましたが、今日ご紹介するCDは女声合唱ではなく、メジャーなフルオーケストラを指揮したコンサートのライヴ録音です。大阪フィルといえば、改めて私が申すまでもなく、故朝比奈隆さんが手塩にかけて育て上げた日本を代表するオーケストラ。

その大阪フィルをクラシック音楽ファンなら「耳タコ」になっているであろう、超有名曲を今更振ってどうするの?・・・ましてフルオーケストラ相手の専門指揮者でもないのに・・・なんて思われたあなた、それは大変な間違いです。(キッパリ!)

私はこのCDを発売と同時に入手しておりますが、以来私の隠れ愛聴盤となっているのです。

演奏内容については書きたい事が沢山あるのですが、敢えて今日はあまり詳しく触れない事に致します。とにかく、ゴリゴリのクラシック音楽ファンの方ほど是非お聴き頂きたい超・・・超・超・超・超・超名盤ですから。(笑)

テンポ、間の取り方、ダイナミクスの作り方、ディミヌエンド、クレッシェンド、アッチェレランド、これでもかというくらいのティンパニの強打等々、これはモーツァルトの音楽でもなく、ベートーヴェンの音楽でもない、敢えて言うなら宇野功芳の音楽です。

初めて聴いた時の衝撃(感動)といったら・・・。いや、今でも繰り返し聴いておりますが、私は宇野さんに大喝采です!

世に「珍盤・奇盤」という珍しいレコードやCDを形容する言葉がありますが、今日ご紹介のCDもこれに当て嵌まるかもしれません。しかし、私は何回聴いても大きな感動を呼び起こされます。この演奏を一旦聴いたならば、今や世界的大指揮者と言われている小澤征爾さんの演奏が如何に面白くも何ともなく(失礼)、教科書通りの演奏かがお分かりになると思います。

多分、音楽を勉強している学生やプロの演奏家の方々は小澤さんのような演奏を好まれるのではないかと思います。それはスコアからまったく逸脱しない演奏だからです。

しかし、私は音楽を文字通り楽しんでいるのです。昨今のヴァイオリニスト、ピアニスト、皆さんテクニシャンが多くなりましたが、そうした演奏家の音楽に私は「ハート」を感じる事が実に少なくなりました。「機械音楽」に聴こえる事がしばしばです。

私は「ハート」を感じる音楽を聴きたいのです。そういう意味で、宇野さんの演奏(プログラムすべて)を聴いていると、私は「熱く」なります。これこそ「ハート」のある音楽なのです。他に新星日本交響楽団を振ったブルックナー/交響曲第8番も発売されていますが、これも名盤です。

オーケストラ指揮者として、もっともっとご活躍して頂きたかったです。

合掌。

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コメント

ご無沙汰しています。
宇野さんの指揮したCDは、90年前後にライブ録音された「英雄・第9リハーサル」と「運命・第1」を持っていて、いずれも個性的な熱演ですね。

ただ、オーケストラ(新星日本)の調子がイマイチなのと最前列で聴いているような録音のため、アラが目立つのが気になり、当時これは駄目だと思って、あまり聴かなかったのですが、今、聴いてみるとやはり惹きつけられますね。

宇野さんの死去は、クラシック音楽界のご意見番を失った感じです。

yymoonさん、こんばんは。
宇野さんのCDをお持ちでしたか。
正直、解釈そのものは大変個性的なので、好き嫌いがハッキリ出るでしょうね。
しかし、昨今の演奏家は皆没個性のように感じておりまして、宇野さんのような解釈はフルトヴェングラーやクナッパーツブッシュを彷彿とさせてくれるところがあります。
学者的な評論家が多い中、宇野さんのような方は貴重でしたね。

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