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チャイコフスキー/交響曲第6番 ロ短調「悲愴」
キリル・ペトレンコ 指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
2017年3月22日/23日、ベルリン・フィルハーモニーでのライヴ録音
Berliner Philharmonikerレーベル KKC6029(SACDハイブリッド)
今秋、サイモン・ラトルの後を引き継いで、いよいよベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者兼芸術監督の任に就く事になるロシア出身の指揮者、キリル・ペトレンコの「悲愴」がベルリン・フィル自主制作のレーベルで発売されたので購入してみました。
まったくの個人的感情なのですが、ベルリン・フィルやウィーン・フィルの音楽監督に就く人は、それなりの風貌を持った人になって欲しいと思っています。今、世界的に見ても「巨匠」という言葉に相応しい指揮者がいないですね。それこそ音楽も風貌も含めての巨匠が。
ベルリン・フィルの場合、フルトヴェングラー、カラヤンという堂々たる指揮者の後継がクラウディオ・アバドでした。カラヤンの後任にアバドが発表された時、「え!?」と思ったものです。ちなみにアバドは自分が贔屓にしている指揮者の一人ですが、ベルリン・フィルとは合わないのでは? と思ったのです。
しかし、ベルリン・フィルの芸術監督になってからはアバドの音楽も少しずつ変化し、充分任を果たしたのではないでしょうか。で、アバドの後がサイモン・ラトル。発表があった時、アバド以上に驚いたものです。私、サイモン・ラトルの音楽とは水と油の関係みたいで、まったく馴染めませんでした。あの風貌にも。(^^;
もう一つ個人的感情を言わせて頂きますと、ベルリン・フィルやウィーン・フィルの音楽監督はドイツ系の指揮者を希望していました。もっともウィーン・フィルは首席指揮者を置かない主義なので実際は該当しませんけど。
アバド(イタリア)、ラトル(イギリス)と来て、今度はペトレンコ(ロシア)ですか。ロシア出身の指揮者がベルリン・フィルに就く事には世界中がビックリしたようですが、私なんてそもそもキリル・ペトレンコなる指揮者を存じ上げていませんでしたから。(^^;
他人の顔の事をとやかく言える自分ではない事を承知の上で言わせて頂きますと、次期芸術監督の発表を知った時、「ペトレンコ? どういう人?」と思ってネットで検索しました。で、その顔を見て「なんか喜劇役者みたいだなぁ・・・」というのが最初の印象でした。(^^;
「巨匠」というイメージとは乖離していますが、今はその言葉に相応しい指揮者が皆無なので仕方ありません。ですが、しばらくしてBS放送でペトレンコ が指揮したドヴォルザークの「新世界より」を聴く事が出来ました。笑った顔はとても愛想の良い人に見えます。耳タコの「新世界より」もなかなかの名演で、少なくともラトルより期待出来そうです。そうそう、今迄CDの発売があまりなかったらしいですね。
で、先月ベルリン・フィルの自主制作盤が発売されたので興味を持って購入しました。チャイコフスキーの交響曲はカラヤンの演奏を第一に考えている自分ですが、ペトレンコの演奏を聴いて感じたのが評判の良いムラヴィンスキーの解釈に通ずる、メリハリ調のチャイコフスキーという事。ムラヴィンスキーほどではないですが、私には若干の物足りなさを抱きました。
チャイコフスキーの音楽はカラヤンのように、ある程度の「演出」をしてもらった方が私は楽しめます。「悲愴」の第一楽章第二主題、あの如何にもチャイコフスキーらしい甘く切ない旋律をカラヤンはテンポをやや落とし、じっくりと歌わせていて実に素晴らしい解釈なのですが、ペトレンコはテンポもほとんど落とさずにあっさりと進めてしまいます。ムラヴィンスキーの残された録音もそうですが、ザッハリッヒという言葉がぴったりのロシア人指揮者の伝統なのでしょうか?
もしかしたら、本場ロシアの伝統的解釈なのかもしれませんが、私には「あれ?」というガッカリ感が。しかし、第三楽章は凄かったですねぇ。久しぶりにベルリン・フィルの合奏能力の凄さを知る思いです。ラトル時代は何か自分が知っているベルリン・フィルとは違うような違和感をずっと感じていましたので、就任後はラトル以上にベルリン・フィルの凄さを少しは味わえるかもしれません。カラヤン時代は名手揃いでしたので、さすがにベルリン・フィルも今は、という感は拭えませんけど。
最近、BSでアンドリス・ネルソンスがライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団を指揮した演奏を聴いた際、もしかしたら今世界で一番のオケはゲヴァントハウスではないか、そう思うくらいの素晴らしい合奏能力でした。特に管楽器奏者が素晴らしいですね。
ベルリン・フィルに就けば、いろいろとペトレンコのCDも発売される事でしょう。顔の事で失礼な事を申しましたが、ペトレンコが指揮したベートーヴェンやブラームス、モーツァルトが聴ける日を楽しみにしたいと思います。
シューベルト/アルペジオーネ・ソナタ
シューマン/幻想小曲集、民謡風の5つの小品
ミッシャ・マイスキー(チェロ)
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
ESOTERIC ESSD-90201
拙ブログで時々「SACDを楽しむ」という記事を掲載して来ましたが、音楽とオーディオにあまり関心がない方は「SACDって何?」と思われていらっしゃるかもしれませんね。一般的に浸透しているコンパクトディスク、所謂CDは良くご存知かと思いますが、SACDはCDの上位フォーマットになる音楽ディスクメディアなのです。
ディスクそのものは一般的な音楽CDと同サイズ、直径12cmの光ディスクです。ちなみに普通の音楽CDは1980年にフィリップスとソニー両社によって規格が決定。当初12cmのディスクに60分の音楽が収録出来るよう考えられましたが、当時のソニートップが世界的指揮者、カラヤンに見せたところ、「私のベートーヴェン第九交響曲が一枚のディスクに収まるようにして欲しい」と言われ、記録ピッチを詰めて74分の音楽データが収録出来るようになったとか。これは有名な逸話ですね。
※ CDの仕様は以下の通り
データ形式 : リニアPCM
サンプリング周波数 : 44.1kHz
量子化ビット数 : 16bit
周波数帯域 : 20Hz〜20kHz
チャンネル数 : 2chステレオ
※ 対してSACDはというと
データ形式 : ΔΣ(デルタシグマ)変調
サンプリング周波数 : 2.822MHz
量子化ビット数 : 1bit
周波数帯域 : 20Hz〜100kHz
チャンネル数 : 2chステレオ、5.1chサラウンド
デルタシグマ変調・・・何それ?
まぁ、難しい専門用語はあちらに置いといて、当初のCDは高域が20kHzでバッサリ切れてしまっていたのです。人間の可聴帯域以上は必要ないだろう・・・という考えだったのですね。しかし、楽器には「倍音」と言われる整数倍の高周波がありまして、これが人間の耳には心地よく聞こえるわけです。当然CDフォーマットの20kHzを超える高周波なのです。
CDが発売された当初、アナログレコードに比較して音が良くないと言われたのは、高域を20kHzで切ってしまった事が原因と、多くの識者が唱えたため、やがてCDの上位フォーマットとして1999年5月、「スーパーオーディオCD」という音楽ディスクが発売されたのです。で、今年が丁度SACD誕生20年の節目となりました。私は某ハイエンドオーディオ雑誌の特集で誕生20年を知ったわけですが。(^^;
しかし、期待されて登場したものの一般にはSACDの存在をあまり知られてはおらず、その後発売点数も減少の一途。ノーマルなCDプレーヤーの音質向上が目覚ましく、通常のCDで何ら不満のない音質で音楽を聴く事が出来るようになりました。実際、同じ音源をCDとSACDとで比較試聴しますと、拙宅では音の空間表現、ホールトーンの出方、消え方にハッキリと違いを感じるくらいです。
ただ、再生装置のグレードが上がる毎にその差は歴然として開いて来る事をショップのオーディオ機器新製品試聴会などで確認しております。一時は消滅しかかっていたSACDもこの数年の間にCDショップのタワーレコードさん始め、オーディオメーカーのESOTERICさん、ハイエンドオーディオ雑誌を刊行しているステレオサウンド社等が往年の名演奏をSACDとしての発売を推進してくれています。
それも旧マスタリング音源をそのままSACDとして発売するのではなく、本国レコード会社のテープ保管倉庫を漁り、より品質の良いオリジナル・アナログマスターテープを探し出し、その多くを下手に音を弄らないフラットトランスファーで直接DSD(SACDのフォーマット)化してからSACDとして発売してくれています。
「何だ、そんな新鮮な音源をSACDだけで発売しているのか・・・自分はSACDプレーヤーなんて持っていないし」と思われた方、全く問題ありません。これらのSACDはその殆どがSACD層と通常のCD層の二層(ハイブリッド)で記録されておりますから、一般的なCDプレーヤーでもCD層を読み込んで再生してくれますので。CD層はSACDフォーマットをCDフォーマットにダウングレードしてマスタリングされているのです。
冒頭のジャケット写真は6月20日にESOTERICさんから発売されたばかりのSACDです。以前、「私の愛聴盤」でロストロポーヴィチの演奏でご紹介したシューベルトのアルペジョーネ・ソナタをミッシャ・マイスキーとマルタ・アルゲリッチが演奏しています。大好きな曲だったので購入してみたら、これがまぁ・・・ロストロポーヴィチと甲乙付け難い名演奏で、私は大感動を受けました。このところ毎日のようにこのSACDを聴いています。
この盤もハイブリッド盤ですから通常のCDプレーヤーで聴く事が出来ますので、品切れにならないうちに是非お買い求めください。本当に素晴らしい演奏、マスタリングです。同時収録されているシューマンの曲も実に素晴らしい!
少し前、某ショップで米JBLから発売されたスピーカーの試聴会が開催されたので、参加してみました。最近、JBLも元気がないので、どんな音かと少々関心を持ちまして。
1970年代に発売されていたらしい「L100 Century』という、そこそこ大きなブックシェルフスピーカーの復刻版で、発売されたのは「L100 Classic」というネーミングのスピーカー。見た目のデザインは似せていますが、現在の最新技術を駆使してのスピーカーになっているようです。
JBL L100 Classic ¥456,000(税別)
型式 : バスレフ型3ウェイ3スピーカー
ユニット : 25mmドーム型トゥイーター、125mmコーン型ミッドレンジ、300mmコーン型ウーファー
出力音圧レベル : 90dB、インピーダンス : 4Ω
質量 : W390xH637xD372mm/26.7kg
試聴用機材は以下の通り
マルチソース対応プレーヤー : Mark Levinson No519 ¥2,150,000
プリメインアンプ : Mark Levinson No585 ¥1,300,000
価格はどちらも税別
一部のオーディオマニアからは「ぼったくりオーディオの先駆けメーカー」とも揶揄されている、Mark Levinson社の機材を使っての音出しです。JBLもMark Levinsonも扱いはハーマンインターナショナルで、試聴会の先導役はハーマンの女性スタッフでした。こういった催しで女性が担当するというのは珍しいですね。ご自身も自宅にオーディオセットを持っているとの事。
ご存知のように、自分の名前を社名としてMark Levinson社を設立したマーク・レヴィンソン氏本人は大分前にMark Levinson社を去り、新たに別のブランドを立ち上げましたので、現在のMark Levinson社は事実上名前だけが残っています。しかし、215万円もするマルチソース対応プレーヤーですが、ディスクはCDしか対応していません。この価格でSACD非対応というのは如何なものでしょうか。
試聴に使われた音源はNASに収められているもので、すべてCDからリッピングした音楽データをマルチソース対応プレーヤーを使ってアンプに送り込んでいます。クラシック、ジャズ、ポピュラー音楽と、解説を交えながら再生していったのですが、一曲だけ「演歌(石川さゆりさん)」が再生されたのにはビックリ。女性スタッフがどうしても聴いて頂きたいとの事で。(^^)
で、スピーカーの印象について結論を先に申しますと、女性ヴォーカル、自分はパスです。ジャズピアニスト兼ヴォーカルのダイアナ・クラールもそうでしたが、声の「音像」が直径1メートルくらいの大きさで聴こえるのです。これには参りました。自宅で愛用しているスピーカー(英B&W)では真ん中空間にピンポイントで聴こえるダイアナ・クラールが、まるで1メートルほどの大口を開けて歌っているように聴こえるのです。(^^;
音像の大きさはユニット口径にも関係しているとは思うのですが、女性ヴォーカルはあの大きな音像では聴きたくないなぁ・・・というのが個人的実感です。女性ヴォーカルはおちょぼ口で聴きたいです。
しかし、ジャズはさすがにJBLです。良く鳴りますね。マイルス・デイヴィスのCBS盤は小気味良かったです。ジャズファンにJBLが好まれるのが良く分かりますね。つい最近、昔はJBL 4343にマッキンのアンプでジャズを聴いていた、という方と知り合いになりましたが、ジャズを聴かれる方にとってJBLとMcIntoshは黄金の組み合わせなんでしょうね。
クラシックもそこそこ不満なく再生するのは最近のJBLらしいところかもしれません。ここまでは付属しているサランネットを外しての試聴でした。このスピーカーには多分ウレタン製ではと思われる、とても分厚いネットが付属しているので、そのネットを装着して聴かせてくださいとお願いしました。
やはり想像した通り、付属ネットを装着して再生すると、高音域がかなり落ち込みます。ジャズが少しおとなしくなってしまいました。あのネットはデザイン優先で作られたと思いますが、個人的には外して聴いた方が良いように思われます。
画像を借用して掲載しました。ネットの色は赤、青、黒と三種類ありまして、お好みの色を選んで購入するわけです。ジャズを聴くなら、やはりJBLという印象を抱いた試聴会でした。
昨年に引き続き、今年も「アナログオーディオフェア 2019」に行ってみました。
名前通り、アナログレコード再生のためのオーディオフェアです。
しかしまぁ、真空管アンプの展示の多い事。
まぁ、自分も最近の事ですが新米ユーザーになった事もあり、興味津々で見て来ました。もちろん音も聴いています。
この真空管プリメインアンプはなかなか良い音を出していました。
こちらは主に女性向けに発売している真空管アンプ。白はちょっとチャーミングな佇まいですね。
名前もルビーとパール。女性たちの気を惹こうとしているのが見え見えかな?(^^)
壮観な眺め。ネットオーディオ機器でのCDリッピングと再生の実演(正面PCモニター)もやっていましたが、明らかにこういう処理が苦手(特にパソコン)と思われる年代の人たちが多く座っていた事もあり、売りたいがための実演だったと思います。
「失礼ですが、ここには私より年上と思われる方が多くいらっしゃいますので、云々」という前振りで機器の説明に入りましたから。(^^;
ですが、パソコンを必要としない機器(CDドライヴ内蔵)でして、CDを入れれば勝手にデータベースからジャケット写真と曲データを表示してくれます。もちろん、CDをそのままで再生する事も可能。
Technics(Panasonic)ブランドも着々とオーディオ事業に力を入れています。
SL-1200Mk6の後継機が展示されていました。2010年12月にMk6の生産を終えていたそうですから、およそ9年ぶりのニューモデルとなりますが、ようやくクラブDJからの需要に応えたわけですね。
従来のSL-1200シリーズの中古市場価格が一気に下落したようで、それを予見して春先、自分のSL-1200Mk4を高値のうちに手放せてラッキーでした。(^^)
こちらは一般的なオーディオファン向けで、PHONOイコライザー内蔵タイプ。
ケーブルアクセサリーのゾノトーンの試聴会では、カートリッジのリード線の鳴き合わせをやっていました。リード線というのはカートリッジと、そのカートリッジを取り付けるヘッドシェルとを結ぶ赤、白、青、緑色した、か細い4本の電線です。
いや〜・・・思っていた以上に、それこそ面白いように音が変わります。使用する線材でこうも変わるか、という感じです。私もシェル付属の線は使った事がなく、すべてサードパーティ製のを別途購入していましたが、その線が必ずしも自分好みとは限らないという事ですね。
しかし、東京国際フォーラムで毎年秋に開催されているハイエンドオーディオショーもそうですが、訪れている人はほとんど中年以降、高年齢の男性ばかり。女性もちらほらと見掛けはしますが、実に少ないです。もっとも十代、二十代の人たちが簡単に購入出来る機器はあまりないですからね。
というより、若い世代はヘッドフォン音楽で満足しちゃっているのが現状です。良いスピーカーで聴く音楽の素晴らしさをもっと知ってもらいたいです。それにはメーカー、雑誌、評論家による共同作業で若い世代が興味を惹く、ある程度安くて音の良い製品を出してくれない事には。
ところで、或るメーカーから超弩級のアナログレコードプレーヤーが発表されましたが、またまた価格がビックリですよ。
45,000,000円(税別)です。
いえ、桁の打ち間違いなんてしていませんよ。本当に4千5百万円です。ハイエンドオーディオ、ここまで来たり! という感じです。土地付き一戸建てが買えるお値段です。あ! こういう製品を買われる方々は、それこそプール付きのような大きなお屋敷(家ではなく)にお住いの超富裕層ですね。土地付き一戸建てなどと、何をみみっちい事を言っているのだ、自分は。(^^;
ちなみにハイエンドオーディオのハイエンドは「高音質」という意味で使われているのではなく、「高価格」という意味ですので、誤解のないように。
シューベルト/アルペジョーネ・ソナタ イ短調 D.821
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(チェロ)
ベンジャミン・ブリテン(ピアノ)
録音 : 1968年7月(英DECCA)
キングレコード K38C-70033(廃盤)
シューベルトの「アルペジョーネ・ソナタ」という曲をご存知でしょうか?
アルペジョーネという今はない楽器のためにシューベルトが書いた曲です。レコードの解説によると、アルペジョーネはチェロの大きさでギターのようなボディを持ち、弦はギターと同じく6弦で、24のフレットが付いています。しかし、そのアルペジョーネは流行しないうちに姿を消してしまったそうです。
なので、シューベルトが残したこの曲はおもににチェロで演奏されるようになったようです。
私がこの曲を知ったのはラジオから流れて来たのを聴いてからです。演奏者も今日ご紹介するロストロポーヴィチでした。一発で私はこの曲の虜になりました。その演奏のスーパーアナログ・ディスクがその後の「私の愛聴盤」となっています。
第一楽章アレグロ・モデラートの冒頭、ピアノが静かに儚いメロディを奏でたあと、チェロがシューベルトらしい憂いを含んだ主題を歌い始めます。ラジオで初めて聴いた瞬間、私は背筋にゾクゾクっと悪寒・・・ではなく、電流が走り抜けたような何とも言えない感動を受けたものです。当時、翌日にはレコード店に走り、レコード(通常盤)を入手したわけです。
古今東西、名曲と言われる曲は数多ありますが、その中でもこのアルペジョーネ・ソナタは最右翼と言えるでしょう。第二楽章のアダージョ、第三楽章のアレグレットと、全三楽章とも実にしっとりとした得も言われぬ感動を呼び起こします。
そしてロストロポーヴィチに寄り添ってピアノを弾いているのが何と、イギリスの作曲家、ブリテンです。ブリテンの曲といえば、小学校だったか中学校だったか、「青少年のための管弦楽入門」という曲を音楽の時間で聞かされたものです。皆さん、覚えていらっしゃいますか?
もちろん「青少年の・・・」以外にも「ピーター・グライムズ」や「戦争レクイエム」等々、有名曲は沢山ありますね。指揮者としてもモーツァルトの交響曲などに名演を残しています。今日ご紹介のアルペジョーネ・ソナタではピアノの名手である事も知りました。まさに多芸ですね。
CDは発売されているのか調べてみたのですが、Amazonでは有るようです。ご紹介のジャケット写真は日本盤独自のようで、CDの方がオリジナルかもしれません。是非、多くの方にこの名曲を知って頂きたいです。
モーツァルト/弦楽四重奏曲第17番「狩」& 第15番
スメタナ四重奏団
1972年4月24〜26日、東京・青山タワー・ホールにて録音
DENON COCO-70431(CD)
先日「CDリッピングのススメ」の記事で、最後に1枚100円で購入した中古CDを13点ご紹介しましたが、このスメタナ四重奏団のCDはそのうちの1枚です。思わぬ拾い物と言っては演奏者に失礼ですが、人気、実力ともに最高だった弦楽四重奏団の名演、これがたったの100円!(^^)
チェコの作曲家、スメタナの名を冠したスメタナ四重奏団は、途中メンバーの交代をしながらスメタナやヤナーチェク、ベートーヴェン等の弦楽四重奏曲で沢山の名演奏を残していますね。
CDの解説によると、このモーツァルトの演奏は、初のPCMデジタル録音の記念すべき演奏だそうです。ここから世界中のレコード会社がテープによるアナログ録音からパルス符号変調のデジタル録音へと徐々に切り替わって行ったのですね。まさに記念すべき録音を中古とはいえ、僅か100円で購入出来ました。そしてこの演奏が、飛び切りの名演でした。
私はモーツァルトの弦楽四重奏曲が好きで、アルバン・ベルク四重奏団の旧録音(独TELDEC)で楽しんでおりました。中でも「狩」と「不協和音」がお気に入りなのですが、今日ご紹介のスメタナ四重奏団の「狩」もアルバン・ベルク四重奏団と甲乙付け難い名演です。これを偶然とはいえ、100円で買えたのはラッキー!(^^)
100円で購入した13点のCDはすでにリッピングを終えてNASに入っておりますので、いつでも気軽に聴く事が出来ます。で、こちらのスメタナ四重奏団による「狩」はすでに五回は聴いているはず。とにかく録音が良いので聴いていて実に気持ちが良いのです。
購入価格を考慮すると、早くも今年購入一番の音源になるかも。(笑)
以前、半信半疑で中華製の格安USB-DACを購入し、予想外の・・・良い意味で衝撃を受けた事を記事に致しました。
で、その後、気になっていたもう少し価格の高い機種を結局導入してしまったのです。それが上の機種であります。製品紹介はこちらに。
以前ご紹介したTOPPING D10 USB-DACが搭載しているDACチップはオーディオファン、オーディオマニアならどなたもご存知のESSテクノロジー社のES9018K2Mでしたが、今回購入したSU-8は現行の最上位チップであるES9038Q2Mを左右チャンネルに1個ずつの計2個使われています。ただ、すでにハイレゾの新フォーマット、MQAに対応する新しいチップが発表されてはいますが。
ちなみにES9038PROというDACチップがアキュフェーズさんの最上位DACであるDC-950(税別 1,200,000円)に搭載されていまして、内外の高級機にも使われています。SU-8に搭載されているのはそのES9038PROの機能を縮小したチップのES9038Q2Mなので、購入前から音には期待していました。
参考までに両チップを比較してみますと、
ES9038PRO・・・8CH PCM 768kHz/32bit DSD 22.6MHz
ES9038Q2M・・・2CH PCM 768kHz/32bit DSD 22.6MHz
PROは8CHと余裕なのですが、その代わり発熱が大変大きく、電源部にコストが掛かるようです。2CHのQ2Mもそれなりにしっかりした電源部が必要になるのですが、SU-8は小さな筐体の割にはそこそこ大きな電源トランス、それも医療用のトロイダルトランスを内蔵しています。
私のSU-8の背面です。アナログバランス出力をプリアンプのアキュフェーズ C-2150とゾノトーンのバランスケーブルで接続しています。ハイレゾ音源だけでなく、CDからリッピングした音源も前回ご紹介したTOPPING D10を遥かに上回る音を出し、導入は正解だったとほくそ笑んでいます。(笑)
ただ・・・困ったと申しますか、或いは嬉しいと申したら良いのか?
試しに愛用しているSACD/CDプレーヤーのデジタル出力をSU-8とゾノトーンのデジタルケーブル(上の写真、真ん中)で接続し、CDの音を聴いてみたのです。そうしたらなんと、CDの音はプレーヤーそのままで聴くより、SU-8を通した音の方が良いのです。例えばオーケストラを聴いているとチェロやコントラバスの細かい動きがCDプレーヤー直より鮮明になるは、左右のステレオイメージも少し広がるは・・・で、かなりショックを受けました。(;_;)
「CDリッピングのススメ」の記事にコメントを頂いたROCKSさん宅では、CDプレーヤーで聴くよりリッピングした音の方が良いのでプレーヤーは捨てたとの事。私の方もSU-8を通して聴くCDリッピング音源は、愛用のSACD/CDプレーヤーより明らかに音質一段アップなのです。SU-8のそれはもう何倍も高いSACD/CDプレーヤーなのに。一応、メーカーの名誉のためにメーカー名、型番は伏せておきますけど。
最近、或るオーディオ雑誌で作詞家、松本隆さんが「数百万円もするDACをあれこれ使ってみたが、デジタルは価格は関係ないね。新しい方が音は良い」と、おっしゃっておりました。松本隆さんは以前、某ハイエンド向けオーディオ雑誌で、その雑誌お抱えのオーディオ評論家から勧められるままに数百万円のスピーカーを2セットも購入されてましたが、そういう方がデジタル(オーディオ)に関して仰る事は真実味がありますね。現在は30万円ほどのDACを購入されてお使いになっています。数百万円のDACから30万円のDACに買い替えです。(^^)
富裕層相手にボッタクリ商売をやっている内外のオーディオメーカー、ケーブル類のアクセサリーメーカー、いずれは淘汰されるでしょう。現に過去そういう商売をして来たメーカーの中にはもう消えているところもありますし。
もしかしたら、中国のメーカーが本気になって20万円、30万円くらい程度のオーディオ製品を設計、製造し発売したら、数百万円といったべらぼうに高い製品を出している欧米のメーカーは太刀打ち出来ないのでは? いや、日本の高級機メーカーも。
そう思ってしまうくらい、中華製格安DACに驚愕しています。ちなみにSU-8の購入価格は税込 27,000円です。基本、同じDACチップのアキュフェーズ DC-950は1,200,000円(税別)です。もちろん製品価格はDACチップだけで決まるものではありません。
中華製への興味が高じて、つい最近、3千円台のデジタルアンプにまで手を出してしまいました。(笑)
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