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2019年6月29日 (土)

ペトレンコの「悲愴」

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チャイコフスキー/交響曲第6番 ロ短調「悲愴」

キリル・ペトレンコ 指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

2017年3月22日/23日、ベルリン・フィルハーモニーでのライヴ録音
Berliner Philharmonikerレーベル KKC6029(SACDハイブリッド)

今秋、サイモン・ラトルの後を引き継いで、いよいよベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者兼芸術監督の任に就く事になるロシア出身の指揮者、キリル・ペトレンコの「悲愴」がベルリン・フィル自主制作のレーベルで発売されたので購入してみました。

まったくの個人的感情なのですが、ベルリン・フィルやウィーン・フィルの音楽監督に就く人は、それなりの風貌を持った人になって欲しいと思っています。今、世界的に見ても「巨匠」という言葉に相応しい指揮者がいないですね。それこそ音楽も風貌も含めての巨匠が。

ベルリン・フィルの場合、フルトヴェングラー、カラヤンという堂々たる指揮者の後継がクラウディオ・アバドでした。カラヤンの後任にアバドが発表された時、「え!?」と思ったものです。ちなみにアバドは自分が贔屓にしている指揮者の一人ですが、ベルリン・フィルとは合わないのでは? と思ったのです。

しかし、ベルリン・フィルの芸術監督になってからはアバドの音楽も少しずつ変化し、充分任を果たしたのではないでしょうか。で、アバドの後がサイモン・ラトル。発表があった時、アバド以上に驚いたものです。私、サイモン・ラトルの音楽とは水と油の関係みたいで、まったく馴染めませんでした。あの風貌にも。(^^;

もう一つ個人的感情を言わせて頂きますと、ベルリン・フィルやウィーン・フィルの音楽監督はドイツ系の指揮者を希望していました。もっともウィーン・フィルは首席指揮者を置かない主義なので実際は該当しませんけど。

アバド(イタリア)、ラトル(イギリス)と来て、今度はペトレンコ(ロシア)ですか。ロシア出身の指揮者がベルリン・フィルに就く事には世界中がビックリしたようですが、私なんてそもそもキリル・ペトレンコなる指揮者を存じ上げていませんでしたから。(^^;

他人の顔の事をとやかく言える自分ではない事を承知の上で言わせて頂きますと、次期芸術監督の発表を知った時、「ペトレンコ? どういう人?」と思ってネットで検索しました。で、その顔を見て「なんか喜劇役者みたいだなぁ・・・」というのが最初の印象でした。(^^;

「巨匠」というイメージとは乖離していますが、今はその言葉に相応しい指揮者が皆無なので仕方ありません。ですが、しばらくしてBS放送でペトレンコ が指揮したドヴォルザークの「新世界より」を聴く事が出来ました。笑った顔はとても愛想の良い人に見えます。耳タコの「新世界より」もなかなかの名演で、少なくともラトルより期待出来そうです。そうそう、今迄CDの発売があまりなかったらしいですね。

で、先月ベルリン・フィルの自主制作盤が発売されたので興味を持って購入しました。チャイコフスキーの交響曲はカラヤンの演奏を第一に考えている自分ですが、ペトレンコの演奏を聴いて感じたのが評判の良いムラヴィンスキーの解釈に通ずる、メリハリ調のチャイコフスキーという事。ムラヴィンスキーほどではないですが、私には若干の物足りなさを抱きました。

チャイコフスキーの音楽はカラヤンのように、ある程度の「演出」をしてもらった方が私は楽しめます。「悲愴」の第一楽章第二主題、あの如何にもチャイコフスキーらしい甘く切ない旋律をカラヤンはテンポをやや落とし、じっくりと歌わせていて実に素晴らしい解釈なのですが、ペトレンコはテンポもほとんど落とさずにあっさりと進めてしまいます。ムラヴィンスキーの残された録音もそうですが、ザッハリッヒという言葉がぴったりのロシア人指揮者の伝統なのでしょうか?

もしかしたら、本場ロシアの伝統的解釈なのかもしれませんが、私には「あれ?」というガッカリ感が。しかし、第三楽章は凄かったですねぇ。久しぶりにベルリン・フィルの合奏能力の凄さを知る思いです。ラトル時代は何か自分が知っているベルリン・フィルとは違うような違和感をずっと感じていましたので、就任後はラトル以上にベルリン・フィルの凄さを少しは味わえるかもしれません。カラヤン時代は名手揃いでしたので、さすがにベルリン・フィルも今は、という感は拭えませんけど。

最近、BSでアンドリス・ネルソンスがライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団を指揮した演奏を聴いた際、もしかしたら今世界で一番のオケはゲヴァントハウスではないか、そう思うくらいの素晴らしい合奏能力でした。特に管楽器奏者が素晴らしいですね。

ベルリン・フィルに就けば、いろいろとペトレンコのCDも発売される事でしょう。顔の事で失礼な事を申しましたが、ペトレンコが指揮したベートーヴェンやブラームス、モーツァルトが聴ける日を楽しみにしたいと思います。

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