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2020年5月14日 (木)

飢餓海峡

4171
NHK-BSプレミアム放送より

「飢餓海峡」 東映映画(1965年1月 公開)

- 配役 -
樽見京一郎/犬飼多吉 : 三國連太郎
杉戸八重 : 左幸子
弓坂吉太郎刑事 : 伴淳三郎
味村時雄刑事 : 高倉健
杉戸長左衛門 : 加藤嘉
本島進市 : 三井弘次
本島妙子 : 沢村貞子
樽見敏子 : 風見章子
東舞鶴警察署長 : 藤田進

製作 : 大川博
音楽 : 冨田勲
原作 : 水上勉
脚本 : 鈴木尚之
監督 : 内田吐夢

水上勉さんの代表作(読んでないですが)を東映が映画化した作品です。以前、NHK-BSで放送されたものを録画していたのですが、見たのはつい最近です。(^^;

見始めた時、モノクロとはいえ画質があまり良くないので1950年代初期の作品と思って見ていました。見終えてから調べると、16ミリのモノクロフィルムで撮影し、後から35ミリにデュープしているのだそうです。内田吐夢監督は日本人全体がおかれている飢餓の状況を描くために、ザラザラとした質感を求めたかったとの事。

内田吐夢監督と言えば、私が大好きな宮本武蔵(中村錦之助さん)も撮っています。やはり名匠と言われるだけありますね。映画の冒頭、下記のようなナレーションが流れます。

- 飢餓海峡、それは日本の何処にでも見られる海峡である。その底流に、我々は貧しい善意に満ちた人間の、どろどろした愛と憎しみの執念を見る事が出来る -

この作品のテーマですね。

昭和22年、東北から北海道を襲った猛烈な台風により、青函連絡船「層雲丸」が転覆して多くの死傷者が出てしまう。遺体収容に関わった函館警察の刑事、弓坂(伴淳三郎さん)は遺体の引き取り手のない2遺体に不信感を抱く。両名とも額に打痕の跡が。調べると生存者と遺体の数が乗客名簿より2名多いのである。

青函連絡船転覆の同日、北海道岩内の質店に強盗が押入り、一家を皆殺しにした後に大金を奪い、証拠隠滅のために放火。おりからの台風の強風により、街のほとんどを焼き尽くしてしまう。引き取り手のない2遺体は、質店に押し入った強盗たちの仲間割れの結果ではないかと、弓坂は捜査を始める。・・・そして10年が経ち。

主演は「釣りバカ」のスーさんを演じていた三國連太郎さん。若き日の三國連太郎さんを見ていたら、佐藤浩市さんはお父さん似なんだなぁと、思ってしまいました。三國連太郎さん、やはり名優ですね。凄いです。

東舞鶴の海で遺体となって発見された杉戸八重(左幸子さん)の捜査に関わるのは東舞鶴署の捜査主任、味村刑事(高倉健さん)。杉戸八重は大湊(青森県)で世話になった犬飼多吉が新聞に掲載されているのを見て、感謝の意を伝えたく犬飼が住む東舞鶴に来ていたのです。高倉健さんも若いなぁ・・・(^^)

そして老刑事を演じている伴淳三郎さん、渋いですねぇ。これまた名演技です。弓坂一家の様子に当時の一般的日本家族の生活環境が窺い知れます。

さて、この映画を見終わって、私は松本清張さんの「砂の器」と共通している部分を感じました。設定時代もほぼ同じですし、当時のまだまだ貧しい日本(人々)を描いているという事が、双方の作品に共通しているように思います。と同時に、貧しいながらも必死に生きようとしている人たちに共感を覚えます。

もうひとつ、追い詰められる犯人が時の流れの中、社会的に成功を遂げている設定も双方に共通しています。共に幼少期には想像のつかない貧困と苦労を味わっているという。

杉戸八重の一途な想い。可哀想でした。犬飼多吉が津軽海峡を死ぬ思いで渡った舟を焼いた後の灰、それを見つけた弓坂が布に包むのですが、その灰が大きな伏線となります。

しかし、ラストは思わず「え!」と、声を上げそうになりました。樽見(犬飼)にしたら、もう二度と飢餓(津軽)海峡を渡りたくなかったのかも。

余談ですが、後年テレビの時代劇やドラマで悪代官、悪奉行といった悪役を演じている俳優さんが、この映画では正義感の強い刑事の役を演じていた事が新鮮で、何か微笑ましさを感じました。と同時に、生前テレビの対談番組で三國連太郎さんが「主役を演じている人間にタチの悪い人が多くてねぇ。逆に悪役を演じている人の方が人間的には良い人の方が多いものですよ」と、おっしゃっていた事を思い出しました。

尚、18日(月)の13時から、NHK-BSプレミアムで再放送があります。是非、(録画して)ご覧になってください。素晴らしい作品ですから。

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