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2020年8月 1日 (土)

ベートーヴェン生誕250年(3)

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ベートーヴェン/ピアノ、ヴァイオリン、チェロと管弦楽のための協奏曲 ハ長調

スヴィアトスラフ・リヒテル(ピアノ)
ダヴィッド・オイストラフ(ヴァイオリン)
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(チェロ)

ヘルベルト・フォン・カラヤン 指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

1969年9月15-17日、イエス=キリスト教会(ベルリン)にて録音
独EMI 1C 065 10 2042 1(アナログレコード 廃盤)

以前、「SACDを楽しむ」のコーナーで当演奏のSACDをご紹介していますが、ベートーヴェン生誕250年という事で、久しぶりにアナログレコードを取り出してこの名演を楽しみました。

録音年が1969年9月という事ですから、多分・・・翌1970年の「ベートーヴェン生誕200年」に合わせて発売するための企画だったのではないかと思います。

現代ならアメリカとロシア、ドイツとロシア等のアーティストが共演しても、別に普通の事で話題にすらならないですが、当録音が行われたのは1969年です。まだまだ東西冷戦の真っ只中。

そういう中で東側のソビエト連邦出身で、世界的にも評価されていた三人のソリストと、西側のドイツ・オーストリア圏を代表するこれまた世界的指揮者カラヤンとベルリン・フィルが共演したのですから、録音当時クラシック音楽界では大変な話題になった事でしょう。

そもそもベートーヴェンの三重協奏曲って比較的地味な曲ですから、おそらく当録音によってこの曲もメジャーになったのではないかと。以後、様々なレコード会社で時代時代を代表するアーティストを使って録音されるようになりましたから。カラヤン自身も後年、独グラモフォンにアンネ=ゾフィー・ムター、ヨー・ヨー・マたちと再録音しています。

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レーベルを撮影しておきました。企画と録音はEMIですから西側の発売権は当然、独EMIと英EMIになります。ソ連側ソリスト三人はソ連国営メロディアレコード所属でしょうから、ソ連国内ではメロディアレコードから発売されたものと想像します。当時、日本ではメロディアレコードと契約があった日本ビクターから発売。その後、東芝EMIに発売権が移ったようです。

第一楽章冒頭、オケの低弦部によって第一主題が静かに奏されるのですが、カラヤンの解釈もベルリン・フィルの音色も実に素晴らしいです。カラヤンのベートーヴェン、特に交響曲の演奏では聴き手によって好き嫌いがハッキリ分かれると思いますが、少なくともこの曲でのカラヤンは非の打ち所がないと言って差し支えないでしょう。

この三重協奏曲、ベートーヴェンの作品としては若干パンチ力に欠けると思えますが、カラヤンはそういう弱さをまったく感じさせる事がありません。カラヤンの解釈にベルリン・フィルがまた完全無比とも言える合奏力で応えています。そこへリヒテル、オイストラフ、ロストロポーヴィチといった最高のソリストが交わるわけですから、実に聴き応えのある作品に変貌しているのです。

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ジャケット裏の写真です。録音時の様子が分かる貴重な写真です。ジャケットは比較的珍しい見開きの体裁です。日本盤では珍しくないですが、欧米では見開きジャケットは少ないですから。

短い第二楽章が終わり、第三楽章(ロンド形式)はチェロによる第一主題の提示で始まります。ロストロポーヴィチのチェロ、本当に素晴らしいですね。もちろんリヒテル、オイストラフも賛辞以外ありません。その三者をバックするカラヤンとベルリン・フィル。まさにこの演奏こそ超名演と称して良いのです。レコード録音の歴史の中でも大変貴重な演奏、録音と言えるでしょう。

6月、NHK-BSプレミアムでダニエル・バレンボイムの指揮とピアノ、アンネ=ゾフィー・ムターのヴァイオリン、ヨー・ヨー・マのチェロによる三重協奏曲の演奏が放送されました。オケはウェスト・イースタン・ディヴァン管弦楽団(私は初見)で、2019年10月、ベルリン・フィルハーモニーホールでのコンサートでした。

こちらのコンサートでの演奏もなかなか良かったです。映像を見ていると、チェロのヨー・ヨー・マは終始ヴァイオリンのムターを見ながら、ムターに合わせて弾いているように見えるのが微笑ましかったです。本来なら協奏曲については独奏者とオケによる丁々発止的演奏を聴きたいのですが、仲睦まじい演奏でした。

で、今日ご紹介の名演盤を知っている身としては、ついつい比べてしまうわけです。レコード録音って本当に素晴らしいですね。半世紀も前の名演を自宅で自由に繰り返し聴く事が出来るのですから。

お聴きになった事がない方、是非この演奏はお聴きになってください。国内盤のCDでも発売されておりますので。

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