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2020年7月15日 (水)

ベートーヴェン生誕250年(2)

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ベートーヴェン/交響曲全集

カミラ・ナイルンド(ソプラノ)
ガーヒルド・ロンバーガー(メゾ・ソプラノ)
クラウス・フロリアン・フォークト(テノール)
ゲオルク・ツェッペンフェルト(バス)
ウィーン楽友協会合唱団

アンドリス・ネルソンス 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

2017年3月〜2019年4月、ムジークフェライン(ウィーン)での録音

独グラモフォン 483 8503(5CD + Blu-ray Audio)

久しぶりのウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によるベートーヴェンの交響曲全集で、指揮は最近人気のアンドリス・ネルソンス(ラトビア出身)。ベートーヴェン生誕250年に向けて録音されたようです。そして日本では、昨年度の「レコード・アカデミー賞 大賞銅賞 交響曲部門(音楽之友社主催)」を受賞しています。

私が初めてネルソンスが指揮した演奏を聴いたのは、NHK-BSプレミアムで放送されたライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のコンサートで、曲目はモーツァルトの交響曲第40番とチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」でした。

まったく初めて聴く指揮者でしたので、何の予備知識も先入観もありませんでした。何しろクラシック音楽誌「レコード芸術」の購読を止めてから大分経ちますので、現役の指揮者、ソリストの知識が何も入って来ないのです。(^^;

しかし、その無知識が功を奏し、事前の情報がない事によって頭の中を白紙の状態にして音楽を聴く事が出来るメリットもあるわけです。

そのBS放送を見て(聴いて)ネルソンスに興味を持ち、独グラモフォンから発売されているブルックナーの交響曲第7番のCDを買って聴いてみたら、この演奏も良かったのですね。となると、ベートーヴェンの交響曲を聴いてみたい欲求が沸沸と。

生意気な事を申しますと、自分の場合どれだけ世評が高くとも、ベートーヴェンやブラームスの交響曲で感動を与えてくれる指揮者でないと、以後振り向く事はなくなります。そういう指揮者の多い事。(^^;

さて、ネルソンスのベートーヴェン、全9曲聴き通して感じたのは、ピアニッシモに非常に拘る指揮者だという事。ご存知だとは思いますが、音楽の強弱記号に「pp - ピアニッシモ - 非常に弱く」や「p - ピアノ - 弱く」、或いは「mp - メゾピアノ - やや弱く」といった、音を弱目に演奏する表現があります。で、ネルソンスはスコア(総譜)の強弱記号より一段弱くオケに演奏させている感じなのです。徹頭徹尾、ピアニッシモの表現に拘りを感じます。

そうしたネルソンスの解釈の中でも「田園」がもっとも素晴らしかったです。今迄、カール・ベームの録音を長年愛聴して来た事を拙ブログでご紹介しておりますが、そのベーム盤に勝るとも劣らない演奏です。オケが両者ともウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。曲想にオケの音色がマッチして、曲の魅力に浸る事が出来ます。

第2楽章、「小川のほとりの情景」とサブタイトルが付けられていますが、ウィーン・フィルの弦の音色がゆったり流れる小川のせせらぎを感じさせてくれます。ネルソンスの落ち着いたテンポに自分が野山の中、そこに流れる小川のほとりに座って新鮮な空気を感じながら、まさに野鳥たちの囀りを聞いているかのよう。

楽章の終了間際、木管楽器で奏される例の野鳥たちの囀り。フルートによるナイチンゲール、オーボエのウズラ、そしてクラリネットによるカッコウと、これまたウィーン・フィルの木管楽器のやや鄙びた音色が最高です。

この「田園」で唯一の不満と言えば、第4楽章「雷鳴と嵐」でのティンパニの録音くらいですね。もう少しオンマイクで収録していたら、嵐の描写に迫力が増していたと思います。その点、ベーム盤の録音はサブタイトルの描写に一役買っています。

拙宅にはいろいろな指揮者のベートーヴェン交響曲全集がありますが、それらを購入して来ると最初に聴くのはいつも第1番からです。だからと言って番号順に聴いているわけではなく、ベートーヴェンの交響曲の中では構成が比較的シンプルな第1番に、指揮者の個性が一番見て取れると考えています。第1番にガッカリすると、大抵他の曲もガッカリが続く事が多いのです。

ネルソンスの第1番、序奏が始まって数小節で「お! いいじゃん!」と。(笑)

第1番は「田園」に次ぐ名演です。第1番を聴き終えて、これは以後の曲も期待出来るかもと。有名な「運命」は終楽章の第一主題提示部分に不満を感じたものの、全体的には良かったと思います。その第一主題ですが、解釈があっさりし過ぎです、私の好みからすると。ここはもっと大上段に振りかぶるような解釈で聴かせて欲しいのです。カラヤンはそういうところは実に演出が上手いです。

ネルソンス、年齢を調べるとまだ41歳でした。指揮者としては中堅・・・というより、まだまだ若手と申して良いと思います。これから経験を重ねた後、ベートーヴェンも一段と素晴らしい演奏を聴かせてくれるかもしれません。期待しています。

尚、国内盤と輸入盤で幾つかのパッケージが発売されているようですが、私が購入したのはCD 5枚と全9曲のハイレゾ音源(96kHz/24bit)が収められたBlu-ray Audio 1枚とがセットにされた独グラモフォンの輸入盤です。これが一番安かったので。(^^;

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コメント

おはようございます
アンドリス・ネルソンスは素晴らしい指揮者のようですね。
ニューイヤーコンサートで見られるかもしれませんね。
楽しみです。 ♪

yutaさん、こんばんは。
ネルソンスは期待出来ますね。
ニューイヤーコンサートですが、実は今年、ネルソンスは初めて指揮しました。
しかし、まだまだ再登場があると思います。

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