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2021年3月30日 (火)

ジャクリーヌ・デュ・プレの芸術

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Jacqueline du Pré - 5 Legendary Recordings on LP

Warner Classics 190295754747(180g復刻重量盤)

未だにファンの多い夭折のチェリスト、
ジャクリーヌ・デュ・プレ(1945.1.26 - 1987.10.19)の遺産(英EMI録音)から選別された5枚組のアナログレコードセットです。
↑ 5枚のレコードはこのケースに封入されています。素敵な写真ですね。

2017年11月、ワーナー・クラシックスから発売。2011年に96kHz/24bitでデジタルリマスター(LP4を除く)されたマスターを元にレコード化されています。

基本、デジタルリマスターからレコード化されたものは購入しない主義なのですが、一枚当たりの単価の安さに惹かれて発売後しばらくしてから購入しちゃいました。(^^;

何しろその頃は大量のコレクションを処分し始めていて、最初は1,000枚を超える枚数だったので自宅へ引き取りに来てもらいました。(笑)
以後は100枚単位くらいで車に積んで持ち込み。ですから新規にレコードを増やさないようにしていたのです。なので、かなり逡巡しました。でも、結果は購入。(笑)

今、手元に残ったレコードは何回も篩に掛けられ、尚も残った数百枚(これでも多い)なので、これからも繰り返し聴いて行くであろう名盤たちです。五味康祐さんだったか、「大事なのは何枚持っているかではなく、何を持っているかだ」と、おっしゃっておりましたね。

さて、アナログレコードによる復刻盤は180gの重量盤というのが近年の定番になっています。大きなLPのジャケットはやはり良いですね。CDとは違います。それと盤質(多分、ドイツプレス)が非常に良いので、安心して音楽に集中出来る事が何よりです。

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LP 1
エルガー
チェロ協奏曲 ホ短調
歌曲集「海の絵」※

ジャネット・ベイカー(メゾ・ソプラノ)※
ジョン・バルビローリ 指揮
ロンドン交響楽団
1965年8月、ロンドン、キングズウェイ・ホール(チェロ協奏曲)
アビー・ロード・スタジオ(海の絵)

元は全て英EMIの録音ですが、現在はワーナー・クラシックスが吸収していますので、あの赤いロゴはありません。ワーナーのロゴは好きではありません。仕方ないですね。蘭PHILIPSが英DECCAに吸収されてからはPHILIPSのロゴが見られなくなったのと同じです。今度はその英DECCAから新録音のCDが出なくなっていますし、クラシックのレーベルは厳しい時代を迎えているようです。

「彼女はチェロを演奏するために生まれて来た」と、ニューヨークタイムズに絶賛されたそうですが、そういう彼女を病魔(多発性硬化症)が襲い、26歳の時に早くも最初の症状が出、僅か28歳で事実上の引退を余儀なくされています。その後、チェロの教師に転身したものの、闘病生活の後、42歳という若さで天に召されています。

彼女が最初に名声を得たのがコンサートで弾いたエルガーのチェロ協奏曲だったそうで、バルビローリの指揮による当録音も名演ですね。何度聴いてもしみじみと胸に熱いものが残る演奏です。

「海の絵」のジャネット・ベイカーも素敵な声を披露しています。

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LP 2
ハイドン/チェロ協奏曲第1番 ハ長調
ボッケリーニ/チェロ協奏曲 変ロ長調

ダニエル・バレンボイム 指揮
イギリス室内管弦楽団
1967年4月、アビー・ロード・スタジオ

これは国内盤を持っていたのですが、「え!?」と声を上げてしまうほど音に違いがあり、既に国内盤は売却しています。二束三文でしたが。EMIとグラモフォン、国内盤の音が本国盤より大きく劣るのはどうしてなんですかねぇ? カッティングエンジニアのセンスの問題?

第2番も良いですが、この第1番も素晴らしい演奏です。ボッケリーニも含め、やはりこれらの曲では第一に挙げるべき演奏だと思っております。

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LP 3
シューマン/チェロ協奏曲 イ短調
サン=サーンス/チェロ協奏曲第1番 イ短調

ダニエル・バレンボイム 指揮
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
1968年4、5、9月、アビー・ロード・スタジオ

シューマンのチェロ協奏曲はシューマン自身でヴァイオリン協奏曲にも改変しているのですが、チェロ協奏曲として自信がなかったのでしょうか?

チェロ協奏曲としてはシューマンもサン=サーンスも地味目の作品ですが、ここでの彼女はしっとりとしたチェロを聴かせてくれます。

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LP 4
R.シュトラウス/交響詩「ドン・キホーテ」

ハーバート・ダウンズ(ヴィオラ)
エイドリアン・ボールト 指揮
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
1968年4月、アビー・ロード・スタジオ(アナログLP 初発売)

「ドン・キホーテ」は長らく未発表の録音だったようですが、驚いたのは演奏が終了する直後、まだ最後の一音が鳴り止まぬうちに「ブラボー!」という掛け声と共に拍手が沸き起こるのです。これはオケの面々によるデュ・プレに対しての喝采と思われます、多分。しかし、アビー・ロード・スタジオでの録音ですから、レコードとして一般発売する目的だったと思うのですが・・・。

「ドン・キホーテ」は有名な作品ですからフルニエ、ロストロポーヴィチといった名チェリストたちが演奏、録音していますが、デュ・プレのチェロで聴く事が出来るとは思ってもいませんでした。貴重な録音ですね。

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LP 5
ドヴォルザーク
チェロ協奏曲 ロ短調
森の静けさ

ダニエル・バレンボイム 指揮
シカゴ交響楽団
1970年11月、シカゴ、メディナ・テンプル

このドヴォルザークには衝撃を受けました。「私の愛聴盤」最初の回でロストロポーヴィチの演奏を採り上げているのですが、デュプレの演奏は全く対照的で、ロストロポーヴィチの演奏が「静」ならデュプレの演奏は「動」ですね。それも激しく動き回る「動」です。(笑)

アタックは激しいですし、ピアニッシモからフォルティッシモまでの幅が広く、極めて情熱的な演奏と申し上げたいです。ドヴォルザークのチェロ協奏曲でここまでの演奏は他に聴いた事がありません。私は、チョン・キョンファのヴァイオリンを初めて聴いた時を思い出しました。同じ衝撃ですね。

若くして天に召された事が残念でなりません。もしもご存命で永く活躍されていたら、どれだけの名演を残した事か。

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