« あれから10年 | トップページ | 英DECCA盤のEDって何?(笑) »

2021年3月12日 (金)

クラシックのオリジナル盤について私感

5127

ベートーヴェン/交響曲第3番 変ホ長調 作品55「英雄」

ヘルベルト・フォン・カラヤン 指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

1962年3月 ベルリン、イエス・キリスト教会にて録音

独グラモフォン 138 802(1960年代半ばのドイツプレス盤)

先月22日、「レコード(Classic)で行こう!」の記事の中で、オリジナル盤について私は以下のように申しています。

「マイナーレーベルが主流のジャズと違ってクラシックはメジャーレーベルが主流でプレス枚数も桁違いに多いのです。ですからジャズとは価値が違うと私は思っています。」

以上の通り、記述しております。例えばドイツグラモフォンを例にしてみましょう。ドイツでプレスされたレコードはヨーロッパ近隣諸国に輸出されるでしょう。英国には英グラモフォンが在りましたから英国については英グラモフォンでプレスされていたかもしれません。ドイツプレスは米国にも相当な枚数が輸出されていたはず。日本は当初、マスターテープのコピーを貰い、国内でプレスしていたようです。

単純にジャズオリジナル盤愛好者から完オリ(完全オリジナル)と言われる初版プレスだけでもクラシックは相当な枚数だという事がお分かり頂けると思います。ドイツグラモフォンのドイツプレスに限定して、という事でも。

対してジャズのレーベルはほとんどが個人経営のマイナーレーベルです。マイナーもマイナー、ジャズ好きが高じて書籍で言うところの自費出版みたいなものです。人気レーベル、ブルーノートさえアルフレッド・ライオン(ドイツ生まれ)の個人経営でした。富裕層の道楽みたいなものです。商売が立ち行かなくなってからすべてをメジャーレーベルのリバティレコードに売却しています。

そうしたジャズのマイナーレーベル、初版プレスは200枚、300枚足らずという事は普通の事だったそうです。勿論輸出なんて有り得ず、アメリカ国内だけの販売です。日本と違い、音楽演劇は生で聴くもの、見るものという習慣から200枚ですら完売は難しかったと何かの本で読みました。クラシックと違い、ジャズは身近でミュージシャンが演奏していたわけですものね。

5129
センターレーベル

ですからジャズ(マイナーレーベル)は初版プレスでお終いという事が多く、ジャズのオリジナル盤が如何に貴重(枚数面で)かという事が分かると思います。長い年月の間に家庭内で廃棄されたりもしたでしょう。レコードにもよりますが、実物が残っている枚数は本当に少ないと思います。オリジナル盤に拘る日本では、市場価格が高騰するのも理解出来ます。

クラシックは前述したように初版プレスだけでも相当な枚数です。初期盤(今日掲載したようなレコード)と言われる盤も含めたら、相当な枚数になってしまいます。カラヤンのレコードなんて桁違いの枚数が全世界的に行き渡り、実際売れています。まるで一時のアイドル歌手並みに。(笑)

先月、たまたま通販専門の某クラシックレコード販売サイトを見たら、呆れるほどのボッタクリ価格。全数、ヨーロッパでの買い付けを謳い文句にしているようですが、現地なら相当安価に仕入れ出来るでしょう。

嘗て、アメリカへの「ジャズオリジナル廃盤買い出しツアー」なるものが横行し、商売になると見た現地レコード販売業者は日本人にだけはべらぼうな価格を突き付けるようになったそうです。そもそも現地販売業者にはオリジナル盤という概念がなかったわけで。結果、日本人がジャズの中古レコード(オリジナル盤)市場価格を上げる原因を作ったのです。クラシックも同様な道を辿るかも?

で、件の通販サイトですが、私が持っている今日の冒頭写真に掲載したカラヤンの「英雄」が、なんと5,500円という販売価格。私は数年前から表計算ソフトを使ってレコード、CDの購入は年月日、購入店舗、購入価格を記録しています。

ちなみにこのカラヤンのレコード、私は580円で購入しております。5,800円ではなく、たったの580円です。カラヤンのレコードなんて売れた枚数を考えればドイツプレスでも中古なら1,000円以下が妥当な販売価格だと思います。私が購入したお店は良心的な値付けをしていたという事ですね。国内盤の価格なんて目も当てられません。(^^;

その販売サイトではジャケット写真とレコードのセンターレーベルの写真を掲載し、「ジャケットは1966年6月印刷です」と表記があります。

5128
ジャケット裏、右下の拡大写真

これです。ジャケット裏、右下にこの当時ドイツグラモフォンは英デッカと同じように印刷年月を表示していたらしいです。ジャケット裏、実際の色はクリーム色、若しくはアイボリーと言ったら良いでしょうか、薄く黄色がかっています。それが当時のグラモフォンのジャケットです。

この写真は印刷文字を分かりやすくお見せするため撮影後、レタッチで露出をオーバー気味にしてあります。私が所有している盤は、ジャケットもセンターレーベルも販売サイトとまったく同じです。方や5,500円、方や580円。まぁ、商売は需要と供給とのバランス。売れるからボッタクリ価格にしているのでしょう。

この盤は私が購入した以降も、あちこちのお店でもう何度も見掛けています。それだけ出回っている枚数が多いという事です。いずれも1,000円前後(状態による)。そんなものだと思いますよ。580円で購入している私のはジャケット、盤とも状態良好です。スピンドル穴周辺にヒゲは無いですし、スクラッチノイズも少ない、とても綺麗な盤です。

その他ではプッチーニの「トスカ(グラモフォン盤)」がなんと11,000円です。もうビックリです。私は新品を3,600円で購入しています。カラヤンのトスカなんて都内の中古レコードショップを歩けば幾らでも見られます。状態、極めて良好で2,000円がいいところです。

あまりそちらの販売サイトを例に挙げると営業妨害になり兼ねませんのでこのくらいにしますが、私が申したいのはそうした異常な価格を見て稀少(貴重)盤なんだと勘違いして欲しくないという事なのです。

クラシックのレコードで本当の意味で稀少盤と言えるのは戦火の被害に遭わずに済んだ(残った)、歴史的アーティストによるSPレコードではないでしょうか?

モノラルLP、ましてやステレオLPなんて相当な枚数が全世界に残っているはず。地方にお住まいの方は近くにレコードショップなんて無い!
と、おっしゃるかもしれません。確かにそういう環境では通販に頼らざるを得ませんね。お金の使い道に困っているならともかく、一応レコードの価値を冷静に考えて頂きたいです。それが今日、私が申したかった事であります。

新幹線、いや・・・青春18きっぷで上京し、観光気分で都内、神奈川他近県の中古レコード店周りなんていうのは如何でしょう? (^^)

カラヤン、ベーム、バーンスタインのオリジナル盤、初期盤なんて、掃いて捨てるほどあちこちに存在していますので。

最後に今日の音源についてですが、昨年最後の記事(ベートーヴェン生誕250年)で採り上げているように、現在は交響曲全集の形でハイレゾ音源がNASに入っています。大分前にそのハイレゾ音源とこのレコードで聴き比べた事があります。媒体が違うので比べる意味はないと思いますが、音の好みで言えばレコードの方です。

マスターテープが新鮮なうちに作られたレコードはやはり良いですね。だからオリジナル盤信奉者がいらっしゃるわけか。

« あれから10年 | トップページ | 英DECCA盤のEDって何?(笑) »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« あれから10年 | トップページ | 英DECCA盤のEDって何?(笑) »