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2021年4月30日 (金)

女はみんなこうしたもの

モーツァルト/歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」

邦題 : 女はみんなこうしたもの

指揮 : カール・ベーム

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グンドゥラ・ヤノヴィッツ(ソプラノ)
ブリギッテ・ファスベンダー(メゾ・ソプラノ)
ヘルマン・プライ(バリトン)
ペーター・シュライヤー(テノール)
ローランド・パネライ(バス)
レリ・グリスト(ソプラノ)

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ウィーン国立歌劇場合唱団

録音 : 1974年8月、ザルツブルク音楽祭でのライヴ収録

独Grammophon 415 381-1(3枚組 アナログレコード)

モーツァルトの四大オペラのうちのひとつ、「コシ・ファン・トゥッテ」はカール・ベームが指揮した三つの録音を愛聴しております。

NHKさんがこのオペラを放送する際、原題の「コシ・ファン・トゥッテ」とは呼ばず、日本語訳の「女はみんなこうしたもの」で紹介しますね。何故だかは分かりませんが。ではと、今日のブログタイトル、私もNHKさんに合わせました。(笑)

3セット持っている録音の中で、一番のお気に入りがこちらです。1974年夏のザルツブルク音楽祭で収録されたものですが、お気に入りのバリトン、ヘルマン・プライがグリエルモを歌っています。同じく1960年夏のザルツブルク音楽祭でのライヴ録音もヘルマン・プライでして、最高のグリエルモです。

モーツァルトのオペラ、フィガロ(フィガロの結婚)、パパゲーノ(魔笛)、グリエルモ(コシ・ファン・トゥッテ)の三役は私にとってヘルマン・プライ以外考えられないのです。モーツァルトのオペラはいろいろな指揮者、歌手で聴いて来ましたけど、以上三役でヘルマン・プライ以上の歌唱を聴いた事が一度としてありません。

さて、「コシ・ファン・トゥッテ」ですが、内容が不謹慎だという事でワーグナーは酷評していたそうですね。確かに台本は極めて馬鹿馬鹿しい茶番劇ですが、音楽はやはりモーツァルトですね・・・素晴らしいです。

このオペラをご存知ない方のために簡単にご紹介しますが、グリエルモとフェルランド、二人の青年士官がそれぞれの恋人、フィオルディリージとドラベッラ(二人は姉妹)は貞淑で女性として素晴らしい事を自慢にしている。

ところが哲学者のドン・アルフォンソが「女はみんな心変わりするもの」と言い、それを実証するため、グリエルモとフェルランドに変装させ姉妹を誘惑させる事に。それにはお金を賭け、姉妹が誘惑に負けたらドン・アルフォンソの勝ち。姉妹が誘惑を退けたらドン・アルフォンソの負け。

とまぁ、そういう茶番劇です。姉妹の女中であるデスピーナもドン・アルフォンソからお駄賃を貰ったので、姉妹を誘惑に来た見知らぬ男たち(グリエルモとフェルランド)の誘いに乗るよう煽るわけです。

このライヴ録音は登場する歌手六人に穴がなく、とても素晴らしい演奏です。私にとって「コシ・ファン・トゥッテ」のベストワンです。レコードBOXに使われたステージからのワンショットがこのオペラの楽しさを表していますね。

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エリザベート・シュヴァルツコップ(ソプラノ)
クリスタ・ルートヴィヒ(メゾ・ソプラノ)
ジュゼッペ・タディ(バリトン)
アルフレード・クラウス(テノール)
ワルター・ベリー(バス)
ハニー・シュテフェック(ソプラノ)

フィルハーモニア管弦楽団
フィルハーモニア合唱団

録音 : 1962年9月、ロンドン・キングズウェイ・ホール

東芝EMI EAC-77232/34(3枚組 アナログレコード)

1964年まで、ベーム指揮による「コシ・ファン・トゥッテ」はザルツブルク音楽祭の人気演目だったようです。この東芝盤には豪華な分厚い解説書(対訳)が封入されているのですが、1961年のステージ写真と共にオペラ評論の第一人者だった音楽評論家、故高崎保男氏が解説を書いています。

ギュンター・レンネルト演出によるベーム指揮の「コシ・ファン・トゥッテ」を二回見る機会があったそうで、実に素晴らしい演奏であった事を書かれています。シュヴァルツコップが事実上ステージに立たなくなった事でこの「コシ・ファン・トゥッテ」は音楽祭から消えてしまったそうです。

ですから英EMIによるフィルハーモニア管弦楽団との当録音は、毎年ザルツブルク音楽祭の人気演目だった間にスタジオ録音されたわけです。

ただし、音楽祭と共通の歌手はシュヴァルツコップとルートヴィヒだけで、そこがこの録音の残念なところ。ですが、このスタジオ録音は歴史的名録音と評価されておりまして、その事に依存はありませんが。

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エリザベート・シュヴァルツコップ(ソプラノ)
クリスタ・ルートヴィヒ(メゾ・ソプラノ)
ヘルマン・プライ(バリトン)
ワルデマール・クメント(テノール)
カール・デンヒ(バス)
グラツィエラ・シュッティ(ソプラノ)

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ウィーン国立歌劇場合唱団

録音 : 1960年7月27日、ザルツブルク音楽祭でのライヴ収録

伊MELODRAM MEL708(3枚組 アナログレコード)

こちらはイタリアのMELODRAMレーベルから発売された1960年夏のライヴを収録したレコードです。多分、放送録音と思われます。著作権無視した録音がイタリアからはいろいろと発売されましたので。イタリアの放送局放出の録音が多かったですから、オペラだけでなくコンサート録音もいろいろ出ていました。

やはりスタジオ録音と聴衆のいるステージでのベームは違いますね。英EMIによるスタジオ録音のベームはいつも通りテンポが若干遅目です。スタジオ録音のベームは手堅いのですが、面白みに欠ける事もしばしばです。

ですが、冒頭の1974年と、この1960年のライヴは実に軽快で「コシ・ファン・トゥッテ」を堪能出来ます。聴衆を前にしたベームの指揮は音楽が生き生きしています。歌手陣の優れた歌唱もあって、「コシ・ファン・トゥッテ」を最高に楽しめる事が何よりです。

グラツィエラ・シュッティのデスピーナも可愛らしいです。グラツィエラ・シュッティを初めて聴いたのはマゼール指揮の「フィデリオ」で、ロッコの娘マルツェリーネを歌っていました。脇役的ソプラノが実にハマっています。レリ・グリストのデスピーナも良かったですし、ベームの「コシ」は本当に素晴らしいですね!

今日はベーム盤三種による「コシ・ファン・トゥッテ」をご紹介させて頂きました。オペラは音楽、演劇、文学とを合わせた総合芸術とおっしゃった方がおりますが、本当にそう思います。

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