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2021年4月 8日 (木)

リヒテル vs カラヤン

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チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調

スヴャトスラフ・リヒテル(ピアノ)
ヘルベルト・フォン・カラヤン 指揮
ウィーン交響楽団

1962年9月、ウィーンにて録音

独Grammophon SLPM 138 822(赤ステレオ、フラット最初期盤)

どなたも良くご存知の、クラシック音楽に関心がない方でも一度や二度何処かで耳にしている、あまりにも有名なチャイコフスキーのピアノ協奏曲。

私にとってのベストワンが今日ご紹介の録音です。今や死語になっている東西冷戦下、「鉄のカーテン」と言われたソ連の厳重なる包囲網でソ連の音楽家たちは簡単にはソ連を出て西側で演奏会を開く事が出来なかったわけです。

そういう中で行われた録音が以前ご紹介したベートーヴェンの三重協奏曲でした。ソリストはソ連のリヒテル、オイストラフ、ロストロポーヴィチの三名。しかし、今日ご紹介のレコードは東側リヒテルと、西側カラヤン、サシの勝負です。(笑)

1962年9月、録音場所はウィーンですから、ドイツ・グラモフォンにしてみればオケはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と録音したいところですが、当時ウィーン・フィルは英DECCAの専属契約でした。で、ウィーン交響楽団になりました。(多分)

しかし、カラヤンの棒の下、素晴らしい演奏を繰り広げています。リヒテルの鬼気迫るピアノと真っ向勝負といった気配。

そのリヒテル、今更私がどうのこうの言う必要はまったくなく、実に素晴らしいピアノを聴かせてくれます。或る意味「通俗名曲」とも言って良いチャイコフスキーのピアノ協奏曲が、何度聴いても・・・まるで初めて聴くような新鮮さを呼び起こさせてくれます。

録音も素晴らしいですね。左右の広がり、奥行き感、上下に消え行くホールの響き、1962年録音という古さを感じません。

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これはジャケット裏、右下のアップです。「3/63」という数字は以前もカラヤン盤でご説明しておりますが、1963年3月にジャケットが印刷されているという意味です。録音が1962年9月ですから、半年後になりますね。

ですから、私の盤は「オリジナル盤」と称して良いと思います。盤もグルーブガードの無いフラット盤です。ちなみに購入価格は800円でした。以前もカラヤン盤の項で申しておりますが、カラヤンのレコードは全世界的に大変な枚数が売れているのです。

ジャズの初版レコードと違い、最初期盤とはいっても相当な枚数が存在しているわけで、私の購入価格は妥当だと思っています。良心的なお店で購入しているからですが。

ちなみに「世田谷方面の通販サイト」では同じ盤を11,000円で販売しています。私に言わせればまったくの「ぼったくり価格」です。おまけにジャケットは私の盤よりまるまる一年遅れの1964年3月の印刷と表示。であるのに「独最初期盤」と表記して販売していますね。果たして「最初期」という言葉が当て嵌まるのか?

11,000円でも購入した方が納得されているのでしょうから、外野がとやかく言う事ではないですが、しかしまぁ・・・クラシック音楽ファンはお金持ちの方が多いのですね。(^^;

売り手側の「稀少盤」扱いに乗せられないようにしてください。このカラヤン盤、昨年だけでも私は二度中古店で見ています。中古店なんて私は偶にしか行かないのに。以前も申しましたが、クラシックの稀少盤は戦前のSPレコードだけです。

閑話休題 大分前にESOTERICさんから本録音のSACDが発売されまして、大変な人気で完売したようです。先月にはハイエンドオーディオ専門誌を発行しているステレオサウンド社からもSACDが発売されましたが、こういう添え書きがしてあります。

「一切の補正処理を行なっていないため、マスターテープに含まれるノイズや歪み、ドロップアウト等の瑕疵が市販商品と比較にならないほど含まれています。とくに第2楽章では、全編にわたって大きなノイズが常に聴こえます。」

仕方ないですね。幾ら大手レコード会社がマスターテープの保管に気をつけていても、アナログテープの自然劣化(磁力の低下、テープの物理的傷み)は避けられません。

その点、録音直後にレコード化されたものは音の劣化はありません。幸い、私が購入したものはジャケットも前ユーザーさんの扱いが良かったようで、とても良い状態です。盤質も大変良く、気になるノイズも有りません。偶に小さなスクラッチノイズが出る程度です。ESOTERIC盤もさすがに私が所有する盤には音の面で太刀打ち出来ませんでした。

私はESOTERIC盤のファンですが(笑)、アナログレコードの本国盤を持っている場合は基本的には購入しません。その他、関心の無い楽曲とかアーティストだったりの場合も購入しませんけど。

マスタリングに幾ら気を遣っても、マスターテープが傷んでいる場合はどうしようもないですからね。それでもESOTERICさんはマスターを選んで優れたマスタリングを行なっているから人気があるわけですが。あ、このチャイコフスキーのESOTERIC盤はなかなか良かったですよ。

でも、しばらくしてから結局手放しました。やはり、今日ご紹介のオリジナル盤には敵わなかったので。この経験から、各レーベルの本国盤を持っている場合はESOTERIC盤と言えども、スルーするようになったのです。

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