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2021年12月 9日 (木)

朝比奈隆、没後20年

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ブルックナー/交響曲第8番 ハ短調(ハース版)

朝比奈隆 指揮
大阪フィルハーモニー交響楽団

1976年8月23日、神戸文化ホール(公開セッション)

Disques Jean Jean JJ101-2AB(初出)

今年は日本を代表する名指揮者、朝比奈隆(1908-2001)さんの没後20年になります。お亡くなりになって早20年になりますか、本当に月日の経つのは早いです。「光陰矢の如し」ですね。

いろいろと思い出がありますが、友人のご両親が経営しているお店(料亭)に有志5人で朝比奈先生をお招きし、遅くまで音楽談義に花を咲かせた一夜が自分にとって一番楽しい思い出として残っております。朝比奈先生もお酒が進むとご機嫌になり、指揮台や楽屋でお見せになるお顔とは違う面を拝見出来ました。

さて、朝比奈先生は大変多くの録音を残しておりますが、私にとっては今日ご紹介する ↑ このレコードが原点中の原点と言える録音です。朝比奈隆を語るならこの録音を聴いてからにしてください、と申したいくらいで。

コンサートホールで何回も感動し、更には数多のブル8を後年録音しておりますが、やはり朝比奈先生のブル8はこのジアンジアン盤が原点になっていると言っても過言ではないと私は思っています。今、改めて聴いても私にとってブル8最大の名演奏と断言出来ます。

もちろんクナッパーツブッシュ/ミュンヘン・フィル、シューリヒト/ウィーン・フィルもブル8を語る時に欠かせない名演奏ではありますが、それらさえも敵わない演奏がジアンジアン盤なのです。

全四楽章とも素晴らしい演奏ですが第一楽章冒頭、ヴィオラ、チェロ、コントラバスによる第一主題の提示にはいつもワクワクさせられています。他の多くの指揮者はここの表現が弱くてガッカリさせられる事が多いのです。そして、第三楽章の耽美的響きには筆舌に尽くし難い大きな感動を覚えます。

終楽章、第三主題が奏される前のティンパニ、スコアの指示はメゾフォルテなのですが、朝比奈先生はフォルテに近い強さでティンパニ奏者に叩かせます。展開部に入る直前もティンパニを思い切り叩かせていて、私は毎回聴く度に「これこれ、これじゃなきゃ」と、ほくそ笑んでいます。

コーダでクライマックスが築き上げられ、いよいよ終結を迎える最後の二小節ですが、その二小節に跨る四つの音符にだけスコアにはリタルダンド(徐々に遅く)の指示があります。ところが、何とリタルダンドを無視して終わる指揮者がいるのです。著しくあっけない終わり方に物足りなさを感じます。

しかし、朝比奈先生はスコアの指示を実に上手く表現していて、大きな感動を伴って全曲が終わるのです。

このジアンジアン盤は私にとってブル8のベストワンです。

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ワーグナー/楽劇「ニーベルングの指環」全曲

ヴォータン : 池田直樹(バリトン)
ジークムント、ジークフリート : 大野徹也(テノール)
ジークリンデ : 西松甫味子(ソプラノ)
ブリュンヒルデ : 西明美(メゾ・ソプラノ)※
ブリュンヒルデ : 豊田喜代美(ソプラノ)※※
ブリュンヒルデ : 辻宥子(ソプラノ)※※※

朝比奈隆 指揮
新日本フィルハーモニー交響楽団
晋友会合唱団(合唱指揮 : 関屋普)

録音
1984年6月11日(ラインの黄金)
1985年10月12日(ワルキューレ)※
1986年4月19日(ジークフリート)※※
1987年10月3日(神々の黄昏)※※※

以上、東京文化会館でのライヴ録音

YAMANO MUSIC YMCD5001/15(初出CD)

もうひとつ朝比奈先生の残された録音で欠かせない楽曲はワーグナーの大作、楽劇「ニーベルングの指環」全曲です。これはコンサート形式で一年一作ずつ東京文化会館で演奏された時のライヴ録音で、日本人として初めて「指環」全曲を指揮した貴重な演奏であります。

客席に座っていた一人として、ところどころで鳥肌が立つ感動に襲われたものです。朝比奈先生のワーグナーも素晴らしいです。「ジークフリートの葬送行進曲」はクナッパーツブッシュ並の名演でした。

朝比奈先生のレコード、CDは一般市販されたもの以外にオーケストラのプライベート盤等も有り、とても全部は紹介し切れない(当たり前)ので、その中でも絶対欠かせない二つの音源を今日はご紹介させて頂きました。

「指環」の初出CDは30cmLPサイズの豪華なカートンボックス入りで、解説書、対訳もそれぞれ30cmLPサイズです。

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コメント

おはようございます。
そうですか、もう20年になりますか。晩年に前橋で8番を聴いたのが最後でした。
上京して5番、9番、ベートーベンの9番等を聴いたのが思い出されます。
会食なされたとか、これまた素敵な思い出ですね。
エネルギッシュな大兄に追いつくのがやっとです・・・。

Analog親爺さん、こんにちは。
はい、もう20年経ちました。
全然そういう感じを受けないのですが、時が過ぎるのは早いですね。
前橋や東京で朝比奈さんのコンサートをお聴きになられていらっしゃるとの事。良い思い出だと思います。
現役の指揮者で後継となられるような方がなかなか・・・という思いを持っております。

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