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2022年2月20日 (日)

ベートーヴェン/交響曲第4番

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ベートーヴェン
交響曲第4番 変ロ長調
「コリオラン」序曲

ヴィルヘルム・フルトヴェングラー 指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

録音 : 1943年6月、戦時中のライヴ録音

露メロディア M10-49725

以前、ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」のお気に入りディスクをご紹介させて頂きましたが、今日は第4番を。第4番は「英雄」と「運命」に挟まれている事もあって、名曲であるにも関わらず少々損をしているように思います。逆に「英雄」と「運命」はスコア通り振っても形になりますが、第4番はそうはいきません。

フルトヴェングラーのこの録音は以前記事にした事がありますが、第二次世界大戦末期、旧ソ連軍がベルリンの一部を占拠した際、既にテープ録音を完成させていたナチの録音システムをテープデッキ、録音済みテープ一式丸ごとモスクワに持って行ってしまったわけです。

で、戦後になってからソ連国内限定でフルトヴェングラー戦時中のライヴ録音をレコードにして販売していたのです。神田に在った新世界社というメロディアレーベルの輸入代理店が国営メロディアと交渉し、日本国内のみの販売という制約を付けてフルトヴェングラーの録音を全てプレスしてもらう事が出来たわけです。

この第4番もその中の一枚です。昔、西側で発売された非オーソライズ盤は第一楽章と第二楽章では聴衆のノイズ(咳払い等)が聞き取れるのですが、第三楽章以降は全くノイズが聞こえませんでした。まぁ、昔のフルトヴェングラー盤は滅茶苦茶でしたからね。日本のレコード会社が堂々と著作権違反のレコードを発売していましたから。

さて、このレコードでは全楽章を通して聴衆のノイズが聞き取れます。戦時下のフルトヴェングラーによるベートーヴェン、鬼気迫るとはこういう演奏を言うのでしょうね。私にとって第4番のレコードを語る時には絶対欠かせないレコードであります。

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ベートーヴェン/交響曲第4番 変ロ長調

フランツ・コンヴィチュニー 指揮
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

録音 : 1959年6月

旧東独ETERNA 8 25 413(第2版)

こちらは旧東ドイツ、エテルナレーベルのレコードです。オリジナル盤ではなく、二回目にプレスされた盤ですが音は大変良いです。CDとはひと味違います。

演奏はもう往年のドイツ系指揮者らしい解釈で、真に持って素晴らしいベートーヴェンが聴けます。私はこういう第4番は安心して聴く事が出来ますので、入手した当時なんて全曲を聴き終えた後、もう一度全曲を聴き直してしまったくらいです。名演です!

尚、イコライザーカーブはAESのようです。旧東ドイツですから米国のRIAAを採用するわけないですね。RIAAですとDECCA ffrrほどではないですが、低域過多で高域不足の再生音になってしまいます。

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ベートーヴェン
交響曲第4番 変ロ長調
交響曲第5番 ハ短調「運命」

ブルーノ・ワルター 指揮
コロンビア交響楽団

録音 : 1958年2月(第4番)

米COLUMBIA MS 6055(復刻盤)

オリジナルマスターテープを借り受けてカッティング、プレスした180g重量盤のレコードをオリジナルジャケット仕様に収めたサードパーティ(Speakers Corner Records)による復刻盤です。近年、アナログレコードの人気再燃で、こうしたサードパーティ製の復刻盤が結構発売されました。このワルター盤はそうした中の一枚です。

米コロンビアが指揮活動から引退していたワルターと交渉し、レコーディング用の臨時編成オケを振ってステレオ録音した音源は聴いて心温まる録音が多いですね。ベートーヴェンの交響曲全集では「田園」が名演として一番有名ですが、ワルターのベートーヴェンは奇数番号より偶数番号が良いように思います。

この第4番も私はお気に入りです。フルトヴェングラーとは真逆の解釈ですが、第二楽章は滋味深い演奏で、「あぁ、ワルターらしくて良いなぁ」と、感嘆してしまいます。

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ベートーヴェン/交響曲第4番 変ロ長調

ヘルベルト・フォン・カラヤン 指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

録音 : 1962年11月

独グラモフォン 138 803(赤ステレオ最初期盤)

カラヤンのステレオ録音による最初のベートーヴェン交響曲全集中の一枚。箱入りの全集は世界中で相当なセールスを記録したらしいですね。

フルトヴェングラー亡き後、ベルリン・フィルの終身音楽監督を引き受けて間もない頃のベートーヴェンですが、多分カラヤンとしてはフルトヴェングラーのイメージを払拭したかったでしょうね。どちらかと言えばトスカニーニ寄りの解釈ですから。

とは言っても、カラヤンのスタイルはほぼ出来上がっていて、後年繰り返し録音されたベートーヴェンも解釈として大きな違いはないですね。それでも私はグラモフォンへの最初のベートーヴェンを好みます。

1970年代のピアニッシモに拘った、言わば「カラヤンの美学」とも言うべき解釈とは違い、1962年に録音されたこの録音には壮年期の勢いみたいなものを感じます。

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ベートーヴェン
交響曲第4番 変ロ長調
「献堂式」序曲

ハンス・シュミット=イッセルシュテット 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

録音 : 1966年10月

英DECCA SXL6274(ED3 初出はED2)

楽曲そのものを味わいたい時、イッセルシュテットのレコードが一番かもしれません。イッセルシュテットとのベートーヴェン交響曲全集はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団にとってステレオ録音による初のベートーヴェン交響曲全集となっています。言わば、ウィーン・フィルにとっては記念的録音ですね。

イッセルシュテットのベートーヴェンでは第8番が極め付けの名演と思いますが、この第4番も良いです。レコード自体も序曲がカップリングされているだけですから余裕のあるカッティングです。したがってダイナミックレンジにも余裕があり、録音の良さを十二分に味わう事が出来ます。

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ベートーヴェン/交響曲第4番 変ロ長調

カルロス・クライバー 指揮
バイエルン国立管弦楽団

録音 : 1982年5月、ミュンヘンでのライヴ録音

Orfeo D'Or S 100 841

最後はクライバーのライヴ録音です。カール・ベームの追悼公演だったようで、第7番(SACDをご紹介済み)が同時に演奏されております。

演奏の方はクライバーらしい、やや早目のテンポで一気呵成に畳み込んで行くような趣があります。以前はこうした演奏があまり好きではなかったのですが、自分が大人になったのか(笑)、これはこれで楽しむ事が出来るようになりました。

いずれにしても、近年はベートーヴェンの交響曲で感動させてくれる指揮者が・・・以下自粛。

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