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プッチーニ/歌劇「蝶々夫人」全曲
蝶々夫人 : ミレッラ・フレーニ(ソプラノ)
ピンカートン(米国海軍士官): ルチアーノ・パヴァロッティ(テノール)
スズキ(蝶々夫人の召使): クリスタ・ルートヴィヒ(メゾ・ソプラノ)
シャープレス(米国領事): ロバート・カーンズ(バリトン)
ゴロー(結婚仲介人): ミシェル・セネシャル(テノール)
僧侶(蝶々夫人の叔父): マリウス・リンツラー(バス)
ケート : エルケ・シャリー(メゾ・ソプラノ)
ヤマドリ : ジョルジョ・ステンドロ(バリトン)
ヘルベルト・フォン・カラヤン 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ウィーン国立歌劇場合唱団
録音 : 1974年1月28-31日、ゾフィエンザール(ウィーン)
英DECCA SET 584/6(ED4 初出)
ある晴れた日〜・・・♪
と、蝶々さんが歌うアリアで有名なプッチーニの歌劇「蝶々夫人」のカラヤン盤です。随分昔、初めて聴いた「蝶々夫人」が、このカラヤン盤でしたから、私にとっては思い出深い録音であります。
イタリアオペラと言えばソプラノとテノールによる華やかなアリアの歌合戦的作品が多い中、「蝶々夫人」はほとんどそういった派手目のアリアは無く、叙情的な音楽に終始している稀有なイタリアオペラです。
アリアらしいアリアは前述した蝶々さんの「ある晴れた日に」くらいで、どちらかと言えば最後の悲劇(蝶々さんの自害)を暗示する全体的に暗い音楽が続きますので、オペラファンの方でも好き嫌いの分かれる作品だと思います。
フレーニは歴代の歌手の中でも最高の蝶々さんだと私は思っています。時代設定時の日本人女性の奥ゆかしさを、声を抑えて表現するフレー二の歌唱は蝶々さんのキャラクターにピッタリではないかと思うのです。何しろ蝶々さんがピンカートンの花嫁になったのは15歳という設定です。今なら中学三年生?
多分、フレー二の歌唱についてはカラヤンの指示によるものでしょう。オケも全体的に抑えめな表現で、作品の叙情性が見事に生かされております。ピンカートンを歌うパヴァロッティも他のイタリアオペラ作品で聴かれる良い意味での絶叫的歌唱ではないです。同じくカラヤンの指示通りに歌っていたのでしょう。
スズキを歌っているのがクリスタ・ルートヴィヒですから、主役三人にはまったく不満のない歌唱を聴く事が出来ます。オケはウィーン・フィルですし、録音も英DECCAらしい先鋭さのある大変素晴らしい音です。歌手、指揮、演奏(録音)の三拍子揃った、私にとって「蝶々夫人」のベスト盤であります。
尚、カラヤンにはフィルム撮影によるオペラ映画としての映像作品が残されており、先日NHK-BS 4Kでオリジナルフィルムを4Kスキャンした映像(音声は5.1ch)で放送がありました。ただし、音声と映像は別撮り(録り)で、映像は口パクです。テレビの歌番組と同じく、流れる音楽に合わせて口をパクパクするだけ。
ところどころで歌が流れているのに口は開いてない場面があり、違和感の大きい映像でした。(^^;
この映像作品はジャン・ピエール・ポネルの演出によるものですが、制作(1974年)された時代の欧米での日本に対する知識はこの程度だったのだろうなぁ・・・と思わせる、これまた違和感の大きい映像作品です。畳敷きの和室に革靴のままピンカートンもシャープレスも上がって来ます。(笑)
蝶々さんは顔を真っ白に塗りたくって、志村けんさんのバカ殿を思わせるほどで、多分ポネルは京都の舞妓さんの写真などを見て参考にしたのかもしれません。嫁入り前の蝶々さんの職業は芸妓でしたからね。歌手陣ではピンカートンがパヴァロッティからドミンゴに変わっていますが、他は英DECCAの録音と同じです。
- 1974年制作の映像作品 -
蝶々夫人 : ミレッラ・フレーニ(ソプラノ)
ピンカートン(米国海軍士官): プラシド・ドミンゴ(テノール)
スズキ(蝶々夫人の召使): クリスタ・ルートヴィヒ(メゾ・ソプラノ)
シャープレス(米国領事): ロバート・カーンズ(バリトン)
ゴロー(結婚仲介人): ミシェル・セネシャル(テノール)
僧侶(蝶々夫人の叔父): マリウス・リンツラー(バス)
ケート : エルケ・シャリー(メゾ・ソプラノ)
ヤマドリ : ジョルジョ・ステンドロ(バリトン)
美術・衣装・監督 : ジャン・ピエール・ポネル
ドミンゴのピンカートンですが、イマイチ清潔感のない男に見えて、15歳の蝶々さんが本当に惚れるだろうか? と思ってしまいました。(笑)
モーツァルト
ピアノ協奏曲第27番 変イ長調 K.595
ピアノ・ソナタ第11番 イ長調 K.331「トルコ行進曲付き」
ヴィルヘルム・バックハウス(ピアノ)
カール・ベーム 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音 : 1955年3月、ウィーン(K.595)、5月・6月(K.331)※
英DECCA LXT 5123(マトリックス 1A/1A オリジナル盤)
モーツァルト
ピアノ協奏曲第27番 変イ長調 K.595
ピアノ・ソナタ第11番 イ長調 K.331「トルコ行進曲付き」
ヴィルヘルム・バックハウス(ピアノ)
カール・ベーム 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音 : 1955年3月、ウィーン(K.595)、1960年1月(K.331)※
英DECCA SDD 116(ステレオ盤)
先日ご紹介したばかりのバックハウスのモーツァルト、「え!?」という事実を知る事になりましたので、今一度採り上げます。
つい最近になって、バックハウスが弾くモーツァルトのピアノ・ソナタ第11番「トルコ行進曲付き」のスタジオ録音には二種類(※印)有る事を知りました。その二つの録音は上記二枚のレコードでそれぞれ聴く事が出来ます。
一枚目のモノラル盤では1955年の録音が、二枚目のステレオ盤では1960年の再録音が収録されております。尚、ピアノ協奏曲第27番はどちらも1955年の録音です。
事実を知った時、自分にとっては大変な衝撃でした。上記冒頭のモノラル盤が世に出た初出盤になるのですが、その後にステレオ盤(英DECCA SXL2214)が発売(1960年頃?)されております。モノラル盤の方も録音自体はステレオ録音ですから、後年発売されたステレオ盤は最初に発売されたモノラル盤とは当然同じ演奏と思われていました。要するにモノラルかステレオかの違いだけという事です。
手元にあるキングレコードのスーパー・アナログ・ディスク(当然ステレオ盤)の録音データを再確認してみると、協奏曲共々1955年の録音と表記されています。
しかし、それは間違いだったのです。何故ならステレオ盤に収録されていた「トルコ行進曲付き」は何と、「1960年1月」の再録音だったのです。いやいやビックリです。
その事実が知られたのは英DECCAがバックハウスの英DECCA録音のすべてをCD化してBOXにまとめた全集が発売されたからです。その英DECCA録音の全集には1955年録音と1960年録音の二種がステレオで収録されており、その全集によって初めて1955年録音の演奏がステレオとして世に出たのです。
ホントかいなぁ?・・・と思い、モノラル盤とステレオ盤の「トルコ行進曲付き」をじっくり聴き比べてみました!
結果は?・・・違う演奏でした。とは申しましても二種の演奏はとても良く似ています。しかし、第一楽章の主題提示でテンポの取り方に違いがあります。モノラル盤の方がほんの僅か遅いです。と言うより、ルバートのかけ方に違いがあり、主題後半でそれがハッキリと分かります。
こんな事はモノラルのオリジナル盤を入手出来たから聴き比べられたわけで、繰り返しますが衝撃的でした。で、個人的には1955年録音の方が味があって、1960年録音より若干好みです。今迄、1955年録音と思ってずっと愛聴して来た1960年録音の方も名演に変わりありませんが。
という事で、ステレオ盤のピアノ協奏曲第27番とカップリングされていた「トルコ行進曲付き」の録音年、1955年というのは誤りです。キングレコードはずっと誤った表記をしていた事になります。もっとも英DECCAのステレオ盤には録音年の表記がないので、それも事実誤認となった原因の一端があるわけですが。
過去に掲載した記事、「スーパー・アナログ・ディスクの楽しみ(2)」と「モーツァルトのピアノ協奏曲(3)」の記事も録音年の修正を致しました。
イザイ/6つの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ
DISC 1
第1番 ト短調「ヨーゼフ・シゲティに献呈」
第2番 イ短調「ジャック・ティボーに献呈」
DISC 2
第3番 ニ短調「ジョルジェ・エネスクに献呈」
第4番 ホ短調「フリッツ・クライスラーに献呈」
第5番 ト長調「マチュー・クリックボームに献呈」
第6番 ホ長調「マヌエル・キロガに献呈」
ユリア・フィッシャー(ヴァイオリン)
録音 : 2017年、ミュンヘン音楽・演劇大学内ホール
haenssler CLASSIC HC20051(2枚組 180g重量盤)
今迄、音楽記事でご紹介して来たレコードはほとんど往年の演奏家ばかりですが、では現役の演奏家は聴いていないのかと問われればそんな事はなく、勿論聴いております。ただ、往年の名演奏を聴き知っている者にとって、なまじっかの演奏ではなかなか感動を受ける事がないのです。
今日ご紹介するイザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ、演奏しているユリア・フィッシャーはファンの多い女流ヴァイオリニストですが、自身のファンクラブ会員のみがストリーミングで聴く事が出来る音源だったそうです。
そのファンクラブ会員からディスク化の要望が多かったらしく、昨年全世界500セットのみでレコードが完全限定プレスで発売されたのですが、たちまちのうちに完売したようです。
CDでの発売予定は無いらしく、今時珍しい販売形態ですね。アナログレコードブームが産んだ発売形態というところでしょうか。で、私も購入してみました。
作曲したイザイはクラシックファンならご存知の名ヴァイオリニストで、この無伴奏ヴァイオリン・ソナタは当然バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータに習って作曲されており、各楽曲はそれぞれ名ヴァイオリニストや自身の弟子に献呈されております。
ユリア・フィッシャーの演奏はかなり熱のあるもので、全6曲を一気に聴き通してしまいました。私が初めてユリア・フィッシャーを知ったのはモーツァルトのヴァイオリン協奏曲集の演奏です。とても斬新な解釈に興味を持ち、以来ユリア・フィッシャーに注目しております。
現役のヴァイオリニストでは何と言っても一番にチョン・キョンファですが、実力差はあるもののユリア・フィッシャーも引き続き聴いて行きたいヴァイオリニストであります。
尚、レコードはドイツ・パラスト社でプレスされており、とても盤質が良いです。
また大きな地震が来てしまいました。拙宅周辺では先に停電が来まして、「あれ? ブレーカーが飛んだのかな?」と思ったのですが、電力を食う電化製品は使っていないのに変だなぁ・・・と思いながら外へ出たら、ご近所は真っ暗。
停電とは珍しいと思いながら家に入ると揺れ始めたのです。「あ、これは大きいな!」と思った途端ガタガタと大きな音がそこかしこから聞こえて来ました。
昨日の記事は事前の予約アップロードでしたから、停電が復旧した後に自動で公開されたものと思います。しかし、久々の停電でした。
再び被害を被った東北の方々にお見舞い申し上げます。今回の大きな地震も「3.11」の余震だそうで、まだまだ安心出来ないですね。
さて、今日は久しぶりにカメラの話題です。
マイクロフォーサーズ、何となく右肩下がり(需要)になって来ているように感じていましたが(個人の感想)、オリンパス、パナソニック両社からフラッグシップの新型機が発表・発売(OM-1)されました。
再びマイクロフォーサーズの需要が喚起される要因になればカメラ業界にとっても良いのですが。
ただ、フラッグシップ機とは言え、カメラ本体価格が結構なお値段ですよね。機種によりますがフルサイズセンサー搭載のカメラが購入出来ますので。デジタルカメラが普及して来た当時、一番コストの掛かるパーツが撮像センサーと言っておりましたけど、小さいマイクロフォーサーズセンサーを搭載したカメラの方が高くなっていますね。
多分、現在ではセンサーそのもののコストはサイズには大きく比例しなくなっているのではないかと想像します。
しかし、カメラの価格もインフレ気味ですね。オーディオ界では「ハイエンドオーディオ」と称して、中身の伴わない海外ブランドのボッタクリ価格製品をオーディオ誌、オーディオ評論家が一生懸命ヨイショして価格の正当性をユーザーに訴えておりますが、カメラ業界もそうならない事を願いたいものです。
そのうちカメラも「ハイエンドカメラ」なるボッタクリ価格の製品が出て来たりして・・・。あ、今でもボッタクリ価格のカメラ、レンズを大陸と日本向けに発売しているメーカーが在りますね。(^^;
カメラぐらい誰でも少し背伸びすれば買えるような工業製品であって欲しいと願っているひとりであります。
※ 製品写真はメーカーwebサイトより借用しています。
モーツァルト
ピアノ協奏曲第27番 変イ長調 K.595
ピアノ・ソナタ第11番 イ長調 K.331「トルコ行進曲付き」
ヴィルヘルム・バックハウス(ピアノ)
カール・ベーム 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音 : 1955年3月、ウィーン(K.595)、5月・6月(K.331)
英DECCA LXT 5123(1A/1A フラット盤モノラル)
以前、モーツァルトのピアノ協奏曲(3)でご紹介済みの演奏ですが、また同じ演奏の今度は最初期盤を今日は採り上げさせて頂きました。マトリックス番号を見ると両面とも「1A」のオリジナル盤です。
私が入手した盤はオリジナルではありますが、モノラル盤です。ちなみにステレオのオリジナルを一度中古ショップで見た事がありますが、盤の状態は傷有りでも3万円近い値が付けられており、びっくり仰天でした。
で、私が入手したモノラル盤ですが、ベームの「コシ・ファン・トゥッテ」英EMIオリジナルモノラル盤と同じく激安でした。このオリジナルジャケットが欲しかったですから、盤の状態はどうでも良かったので即買いでした。完全なるジャケ買いであります。
自宅で盤の状態を見るため取り出してみたら、何とマトリックス番号が両面「1A」でして、ここでもびっくり仰天。(笑)
盤の状態は普通の中古盤という感じです。
クリーニングした後、モノラル専用カートリッジ(DENON DL-102)で再生してみたら、バックハウスのピアノの音が実に綺麗な事に思わず頬が緩みました。今迄、米LONDONステレオ盤(英DECCAプレス)、キング・スーパー・アナログ・ディスク、CD(英DECCA輸入盤)、英DECCAステレオ再発盤と聴いて来ましたが、このオリジナル盤の音は別格です。
ウィーン・フィル独特の鄙びた木管楽器の音色も一段と素晴らしい音で聴けますし、いやいや嬉しい出遭いでした。
モノラルですから音が左右に広がらないだけで、まったく不満はありません。とにかくバックハウスのピアノがこんなに見事な音で聴く事が出来るのですから、改めてアナログテープによる録音は年代を経ると音が劣化(特に高音域)する事を再認識。
この事は同じバックハウスの演奏によるベートーヴェンのピアノ協奏曲でも実感しています。英DECCAプレスや独DECCAプレスの初期盤と、CD時代になってからプレスされたキングレコードの国内盤(輸入メタル原盤)とを聴き比べると高音域の違いは歴然。
もちろんCDやSACDに復刻されても同じです。CDやSACDはマスタリング時に劣化した音を補おうとイコライジングで弄り回す事になります。レコード録音史を考えると、SPレコード時代、アナログテープ時代、デジタル録音時代、一番劣化が激しいのはアナログテープ時代ですね。
今回、またまたオリジナル盤、初期盤の有り難さを思い知る事になりました。
モーツァルト/ピアノ協奏曲第27番 変イ長調 K.595
ヴィルヘルム・バックハウス(ピアノ)
カール・ベーム 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音 : 1955年3月、ウィーン
独DECCA LW 50081(10インチ 独最初期盤)
こちらはドイツプレスの10インチ盤(25cm)です。独DECCA盤でして、中古店のエサ箱で出遭った時、直ぐには自分が愛聴している演奏とは気が付きませんでした。12インチの英DECCAオリジナルとはジャケットが全然違いますので。価格はこれまた激安(千円で数百円のお釣り)でしたので、購入してみました。ただし、これもモノラル盤であります。
ただ、モノラル時代は通常12インチより10インチが先に発売される事が多かったようで、独DECCA盤ですが思い切って購入してみる事に。上記の英DECCA12インチ盤とダブりますけど。まぁ、思い切るほどの価格ではないですし。(^^;
こちらはジャケットも盤も奇跡的と言っても良いくらい状態が良いので、これは嬉しいですね。10インチ盤という事で、恐らく録音からプレスまであまり時間が経っていないので、マスターテープの鮮度良い音がレコードに刻まれているのではと期待しました。
独DECCA盤ですが、カッティングは英DECCAが行っているようなので、上記英DECCAの12インチオリジナルモノラル盤と聴き比べてみました。
ほとんど同じ音ですが、微妙・・・と言いますか、ほんの僅かですが10インチ盤の方がピアノの輝きが上回るような気がするのですが・・・。いや、もしかしたら10インチが先に発売されているからという贔屓目かもしれません。(^^;
12インチ盤には余白にピアノ・ソナタ第11番が入っていますが、10インチ盤はピアノ協奏曲のみです。ピアノ・ソナタの音も良いです。ピアノソロですから協奏曲以上にモノラルでまったく問題ありません。
長年に渡って愛聴して来たバックハウスとベームによるモーツァルトのピアノ協奏曲第27番、ようやくオリジナル盤で聴く事が出来るようになり、実に嬉しいです。
ベートーヴェン/交響曲全集
バーバラ・ヘンドリックス(ソプラノ)
ヘルヤ・アンゲルヴォ(アルト)
ヘルマン・ヴィンクラー(テノール)
ハンス・ゾーティン(バス)
日本プロ合唱団連合
東京藝術大学合唱団
ヘルベルト・フォン・カラヤン 指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音 : 1977年11月13日〜18日、普門館(東京・杉並)
TOKYO FM TFMCSA-0041/2
CDが初発売された時に入手して聴いているライヴ録音です。その後、SACD(非圧縮盤)とBlu-rayオーディオが発売されているのですが、その時は見送っておりました。しかし今回、改めてリマスタリングを行なってSACDシングルレイヤー(2枚組圧縮盤)として発売されたので購入してみました。音はCDと比較すると低域に若干ですが力強さが出て、ヴァイオリンの高音域に艶が出たように感じます。
しかし、CDからSACDになったからと言って演奏そのものの印象が変わるわけでは勿論ありません。普門館というバカでかい入れ物でのコンサート、元々クラシックのコンサート向きのホールではないですから、録音条件も決して良くはなかったでしょう。人気絶頂期のカラヤンですから、招聘元は少しでも多くの聴衆を入れて儲けたかったのでしょうね。
カラヤンにとって最後のベートーヴェンチクルス(コンサート)になったそうで、そういう意味では貴重な録音となっております。当時の東京FMスタッフによる録音も良いですし、カラヤンとベルリン・フィル全盛期の記録としても今となっては貴重な録音と個人的に思っています。
チャイコフスキー/三大バレエ組曲
1.「白鳥の湖」演奏会用組曲
2.「くるみ割り人形」演奏会用組曲
3.「眠れる森の美女」演奏会用組曲
ヘルベルト・フォン・カラヤン 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音 : 1961年9月(2)、1965年3月(1, 3)、ゾフィエンザール(ウィーン)
ESOTERIC ESSD-90171
このSACDはもう大分前に発売されたディスクですが、持っている事を忘れておりました。(^^;
英DECCAプレスのレコード(初期盤で白鳥と美女のカップリング)を持っているので聴き比べてみました。やらない方が良い事は分かっているのに。
やはりESOTERIC盤を聴くとオリジナルマスターテープの劣化を感じます。ESOTERIC盤も頑張っていますが。ただ、最近オーディオ誌で紹介されているESOTERICマスタリングセンターの室内写真(使用機材)を見ますとテープデッキは置いてないですから、ESOTERIC製SACDに使われているマスターはすべてレコード会社から提供されたデジタルデータなのでしょう。
英DECCAがデジタル化した時点で既にマスターテープは劣化が進んでいるわけで、SACDという特性の優れたフォーマットでも元の音源が良くなければフォーマットの優位性は発揮出来ないという、極めて当たり前の事にぶつかるわけです。仕方ないですが。
以前、ESOTERICのSACDは好みでないアーティスト以外は殆ど購入していましたが、最近は好みのアーティストですら購入しない事の方が多くなりました。もっとも食指が動かされる音源が出ていない事も理由のひとつですけど。
SACDの優位性は最新録音にあると思うのですが、嘗てのメジャーレーベルがクラシックの録音から離れてしまっていますので、期待出来ないですね。蘭PHILIPSが英DECCAに吸収され、その英DECCAも事実上消え去る状況です。英EMIもワーナーに吸収されて崩壊しました。
往年のアーティストを聴きたい時は再発売されるCDやSACDに頼らざるを得ないのですが、アナログ録音の音源についてはある程度の妥協が必要となりますね。
グダグダと愚痴めいた事を申しましたが、カラヤンのチャイコフスキーは良いですよ。バレリーナが踊れるような演奏ではないですが、演奏会用組曲の名演です。
DISC 1
ベートーヴェン
1. 交響曲第3番 変ホ長調
2.「コリオラン」序曲
DISC 2
3. ベートーヴェン/交響曲第7番 イ長調
4. ブラームス/交響曲第1番 ハ短調
カール・ベーム 指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音 : 1961年12月(1)、1958年12月(2)、1958年4月(3)、1959年10月(4)、イエス・キリスト教会(ベルリン)
TOWER RECORDS PROC-2326/7
壮年期のベームの張りのある演奏を集めたタワーレコードさんプロデュースのSACDです。このシリーズは良いものが多いので、結構購入しています。
ベートーヴェンは後年のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団との交響曲全集時の録音より、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団との演奏の方が良いと思われる方も多いのではないかと思います。
ブラームスの交響曲第1番は以前、独グラモフォンのオリジナル盤(モノラル)をご紹介済みですが、こちらのSACDは当然ステレオです。しかし、私はどちらかと言いますとオリジナルのモノラル盤の方を好みます。音にガッツがあり、演奏内容とマッチしていますので。(笑)
ブルックナー
DISC 1
交響曲第3番 ニ短調
DISC 2
交響曲第4番 変ホ長調「ロマンティック』
カール・ベーム 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音 : 1970年9月(3番)、1973年11月(4番)、ゾフィエンザール(ウィーン)
TOWER RECORDS PROC-2316/7
「SACDを楽しむ」という記事ですから、当然自分が愛聴しているSACDをご紹介するべきなのですが、このSACDはひとつ上のベートーヴェン、ブラームスのディスクと同じく、購入を結構迷いました。余計な出費までしてSACDを購入する必要はないだろうと。
しかし、いつもそう思いながらもESOTERIC盤含め、ついつい購入しちゃいます。どういう「音」になっているのだろう? という、たったそれだけの興味だけで。(^^;
このSACDはベートーヴェンとブラームス以上にハズレ感が大きかったです。残念ながらショルティの指環と同じでマスターテープの劣化が進んでいたようです。ウィーン・フィルの深みのある音色がかなりスポイルされています。
ただ、二曲とも演奏は素晴らしいので、こちらのコーナーでも掲載(推薦)させて頂きました。演奏の良さが分からなくなるほど音が劣化しているわけではないですから。もっとも演奏の良さが分からないほど劣化していたら、そもそもSACD化しませんね。
ブラームス/交響曲全集
DISC 1
交響曲第1番 ハ短調
DISC 2
交響曲第2番 ニ長調
悲劇的序曲
DISC 3
交響曲第3番 へ長調
ハイドンの主題による変奏曲
DISC 4
交響曲第4番 ホ短調
クルト・ザンデルリンク 指揮
ドレスデン・シュターツカペレ
録音 : 1971年、1972年、ルカ教会(ドレスデン)
独Eurodisc 85 782 XHK(4枚組)
長く愛聴して来ているザンデルリンクのブラームス交響曲全集です。その昔、日本コロムビア盤で初めて第1番を聴いて気に入ってしまい、即他の番号も入手したものです。その後、今日ご紹介のドイツ・オイロディスク盤と出遭い、日本コロムビア盤は手放しています。
演奏はもう一時代も二時代も前と申しましょうか、所謂往年の伝統的なドイツ系指揮者の解釈と言って良いと思います。現代の指揮者に慣れている方がザンデルリンクの演奏を聴いたら、ぬるくて聴けない、と仰るかもしれません。
しかし、私はザンデルリンクのブラームスが大好きなのです。テンポは常にゆっくり目で、一音一音確かめるように進んで行きます。第3番は特にゆっくりで、ザンデルリンクの演奏に慣れたら他の指揮者は早過ぎる、と思ってしまうのでは? 私はそういう思いを持つ事なく、ザンデルリンクはザンデルリンクで充分楽しみ、他のお気に入り指揮者についてはそれぞれの解釈を楽しんでいます。
第1番、私がザンデルリンクのブラームスを聴く切っ掛けとなった演奏です。落ち着いたテンポで始まる序奏部の後、第一主題もまたじっくりと提示されて行くのですが、オケの響きが何とも言えず素晴らしい!
なかなか渋い響きに感じますが、ザンデルリンクの解釈にピッタリと合っているように思います。ブラームスの曲想にも合った素晴らしい音色です。どっしりとした低弦の上にヴァイオリン群の落ち着いた響きが合わさって、得も言われぬ感動を受けるのです。今迄、何回この演奏を聴いて来た事か。
第2番も素晴らしい演奏です。穏やか、と言った表現がピッタリではないかと。ブラームスの田園交響曲と言われておりますが、ザンデルリンクの演奏はまさにそういう雰囲気を与えます。
第4番も第2番に準じた演奏解釈で、終楽章のパッサカリアも落ち着いた歩みです。良いですねぇ・・・、フルトヴェングラーの悪魔的雰囲気の演奏も素晴らしいですが、それとは対照的なザンデルリンクの解釈にも惹かれます。クラシック音楽は同じ譜面からいろいろな演奏を聴けるのが最大の楽しみと言えるでしょう。
余白に入っている「悲劇的序曲」と「ハイドンの主題による変奏曲」も名演です。このブラームス交響曲全集、是非多くの方々に聴いて頂きたい、とても素晴らしい演奏であります。
悲惨な戦争
ロシアよりミサイルをこめて
一般市民の住宅地にまで爆撃するのは無差別テロと何ら変わりがないように思うのですが・・・。
未来ある子どもの命まで奪っていますよね・・・(;_;)
ニュース映像を見ていると、気持ちが暗くなって来ます。
早く終わってほしいです。
ワーグナー/楽劇「神々の黄昏(たそがれ)」全曲
ブリュンヒルデ : ビルギット・ニルソン(ソプラノ)
ジークフリート : ヴォルフガング・ヴィントガッセン(テノール)
ハーゲン : ゴットロープ・フリック(バス)
グンター : ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)
グートルーネ : クレア・ワトソン(ソプラノ)
アルベリヒ : グスタフ・ナイトリンガー(バス)
ヴァルトラウテ : クリスタ・ルートヴィヒ(メゾ・ソプラノ)
- 3人のラインの乙女 -
ヴォークリンデ : ルチア・ポップ(ソプラノ)
ヴェルグンデ : グィネス・ジョーンズ(メゾ・ソプラノ)
フロスヒルデ : モーリーン・ガイ(アルト)
- 3人のノルン(運命の女神)-
第1のノルン : ヘレン・ワッツ(アルト)
第2のノルン : グレース・ホフマン(メゾ・ソプラノ)
第3のノルン : アニタ・ヴェルキ(ソプラノ)
ゲオルグ・ショルティ 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ウィーン国立歌劇場合唱団
1964年5月~6月、10月〜11月、ゾフィエン・ザール(ウィーン)
英DECCA SET 292/7(ED2 & ED3 混在)
このところワーグナーの楽劇「神々の黄昏」を何と三つも聴いてしまいました。そのうち二つは映像です。もちろんこのオペラはワーグナーの大作「ニーベルングの指環」の第3夜になる作品です。
以前、「ワルキューレの騎行」という記事でご紹介しましたが、今一度作品のタイトルを記述しておきます。
- ニーベルングの指環 -
序夜 : ラインの黄金(約2時間40分)
第1夜 : ワルキューレ(約3時間50分)
第2夜 : ジークフリート(約4時間)
第3夜 : 神々の黄昏(約4時間30分)
演奏時間はおおよその時間で、当然指揮者のテンポ如何で変わって来ます。
北欧神話を元にワーグナー自身で台本を書いており、ライン川の底にある財宝から作った指環を手にした者は世界を征覇する事が出来る事から、天上の神々と地上の人間界、そして地下に棲むニーベルング族とで指環を巡る争いをするという話しです。
三つも聴く事になったのはテレビ放送を録画したものの、ずっと放ったらかしで見ていなかった番組を見た事が切っ掛けです。NHK-BSでダニエル・バレンボイムがミラノ・スカラ座で上演したライヴ映像の放送があったのですが、録画しっぱなし。(^^;
で、二日かけて全曲見終えたのですが、バレンボイムやるなぁ〜と感心しちゃったのです。ただ、 ジークフリートを演じていた歌手にやや不満を感じたら、急にショルティの英DECCA録音を聴きたくなってしまい、後日、これまた二日かけて英DECCA盤の6枚組レコードを聴いてしまったのであります。(笑)
そのショルティ盤を今日はご紹介させて頂きます。英DECCAがショルティの指揮で録音した「ニーベルングの指環」は世界初のスタジオ録音となった、記念的な録音となっております。それ以前、バイロイト音楽祭でのライヴ録音(ラジオ放送目的)はありましたが、レコードの発売目的でのセッション録音は初めてだったのです。
オペラのスタジオ録音は大変なコストと時間が掛かりますので、近年はまったくと言って良いほどオペラのスタジオ録音は無くなりました。オペラファンとしては残念ですが。
ワーグナーの「ニーベルングの指環」ですが、四部作の中で音楽的に優れているのは誰しも「ワルキューレ」を挙げると思います。それは私も異存ありません。ですが、芝居(物語)中心に考えると「神々の黄昏」だと思います。歌手にもそれなりに演技力が求められます。生のステージや映像作品では歌手の演技が下手ですと面白味に欠けてしまいます。
ただ、録音を聴くだけなら一重に歌唱力だけが求められます。そういう点ではショルティの「神々の黄昏」は素晴らしいです。録音も加味したら、これ以上のものは他にありません。録音を考慮しなければバイロイトでのクナッパーツブッシュが上回りますが。
しかし、ショルティもクナッパーツブッシュに負けないほど、「神々の黄昏」でも名演を聴かせてくれます。「 ジークフリートの葬送行進曲」なんてクナッパーツブッシュに比肩するほどスケールの大きな演奏で、本当はショルティではなく、クナッパーツブッシュが指揮していたのでは? と思ってしまうくらいの超名演です。
6枚組のレコード、6枚目の第11面と第12面を聴くだけでもショルティ盤を所持する意味があります。何故なら第11面には「 ジークフリートの葬送行進曲」が、第12面は「ブリュンヒルデの自己犠牲」から幕切れ迄を聴く事が出来るからです。
「ジークフリートの葬送行進曲」については前述の通り、超が付く名演なのと、「ブリュンヒルデの自己犠牲」についてはビルギット・ニルソンのこれまた超が付く名唱が聴けるので、私は6枚目だけは何度も繰り返し聴いて来ています。それなのに最後の一音が消えると、毎回深い感動が襲って来るのです。
とにかくショルティ、凄いです!
これだけの名演を聴かせてくれるショルティ、何故他の作曲家の演奏(オペラを除く)がダメ(個人的見解)なのか理解に苦しみます。
さて、ニルソン以外の歌手陣も文句ありません。ヴィントガッセンのジークフリートは当時の定番的歌手ですからね。アルベリヒのグスタフ・ナイトリンガーも私にはこの人以外考えられないくらいです。
ハーゲンの役どころは「オテロ」に登場するイヤーゴと同じくらい「黄昏」では重要な役です。狡猾なハーゲンの策略によってジークフリートは騙し討ちされてしまうわけで、ハーゲンは或る意味主役的要素もあるわけです。ゴットロープ・フリックのハーゲンは素晴らしいですね。太く重々しい声質はハーゲンのキャラクターにピッタリです。
その他、ちょい役ですが3人のラインの乙女を歌っている歌手にルチア・ポップとグィネス・ジョーンズが入っています。どちらも私の好きな歌手なのですが、このショルティ盤は端役に至るまで名歌手が揃っており、この録音に対する英DECCAの力の入れ具合が分かります。
「ニーベルングの指環」は英DECCAの輸入盤CDを発売と同時に購入(1997年)しているのですが、レコードと聴き比べるとCDはガッカリします。ウィーン・フィルの弦楽器の艶、特にチェロやコントラバスの深く伸びのある音はレコードにCDはまったく太刀打ち出来ません。仕方ないですね、マスターテープの劣化が酷いらしいですから。それにしても英DECCAの奥行きをも描写する録音は素晴らしいです!
尚、私所有の英DECCA盤はED2とED3が混在したセットです。オリジナルと第2版が入り混じっているという、英DECCAや英EMIのセットには良く見られるおおらかな組み合わせです。(^^)
リブレットの掲載は基本行なっていないのですが、初めて一部をスキャニングして掲載してみました。録音時の様子が窺えますね。
ご参考迄に私が見た二つの映像作品は以下の通りです。
- 2013年6月、ミラノ・スカラ座(NHK-BS)-
ブリュンヒルデ : イレーネ・テオリン(ソプラノ)
ジークフリート : ランス・ライアン(テノール)
ハーゲン : ミハイル・ペトレンコ(バス)
グンター : ゲルト・グロホウスキ(バリトン)
グートルーネ : アンナ・サムイル(ソプラノ)
アルベリヒ : ヨハネス・マルティン・クレンツレ(バス)
ヴァルトラウテ : ヴァルトラウト・マイア(メゾ・ソプラノ)
ダニエル・バレンボイム 指揮
ミラノ・スカラ座管弦楽団
ミラノ・スカラ座合唱団
- 2012年、メトロポリタン歌劇場(WOWOW)-
ブリュンヒルデ : デボラ・ヴォイト(ソプラノ)
ジークフリート : ジェイ・ハンター・モリス(テノール)
ハーゲン : ハンス=ペーター・ケーニヒ(バス)
グンター : イアン・パターソン(バリトン)
グートルーネ : ウェンディ・ブリン・ハーマー(ソプラノ)
アルベリヒ : エリック・オーウェンズ(バス)
ヴァルトラウテ : ヴァルトラウト・マイア(メゾ・ソプラノ)
ファビオ・ルイージ 指揮
メトロポリタン歌劇場管弦楽団
メトロポリタン歌劇場合唱団
バレンボイムの指揮はなかなか良かったのですが、ルイージは私にはあっさりし過ぎで、ワーグナー作品としては物足りない解釈でした。
歌手についてはヴァルトラウト・マイア以外は知らない人ばかりです。ですから先入観念無しに聴く事が出来ました。スカラ座でのハーゲン役、ミハイル・ペトレンコが良かったです。ヴァルトラウト・マイアはいつも通り、名唱を聴けました。
OO7/ノー・タイム・トゥ・ダイ
(原題 : NO TIME TO DIE)
英イオン・プロ制作 ユニバーサル映画配給
- 配役 -
ジェイムズ・ボンド : ダニエル・クレイグ
マドレーヌ・スワン : レア・セドゥ
リューツィファー・サフィン : ラミ・マレック
ブロフェルド(スペクター): クリストフ・ヴァルツ
ノーミ(OO7) : ラシャーナ・リンチ
フェリックス・ライター : ジェフリー・ライト
マチルド : リサ=ドラ・ソネット
パロマ : アナ・デ・アルマス
M : レイ・ファインズ
Q : ベン・ウィショー
マネーペニー : ナオミ・ハリス
主題歌 : ビリー・アイリッシュ
挿入歌 : ルイ・アームストロング(愛はすべてを越えて/ジョン・バリー)
音楽 : ハンス・ジマー
原作 : イアン・フレミング
脚本 : ニール・ヴァーヴィス、キャリー・ジョージ・フクナガ 他
監督 : キャリー・ジョージ・フクナガ
- 4K Ultra HD Blu-ray Disc による鑑賞 -
発売前に4K版Blu-rayディスクが届いたので見てみました。一番気になっていた70mm IMAXカメラで撮影されたシーンがどうなっているのか?
やはり全編、シネマスコープサイズになっておりました。したがってグランドシネマサンシャイン池袋で観たIMAXカメラ撮影部分の映像は上下がバッサリと切られていて、「あぁ、劇場で観ていたところが無い・・・」と。映像ソフトにする場合は仕方ないのですかねぇ?
しかし、サラウンド音声に関しては最新のフォーマットで収録されていますので、劇場で観ていた時の音を彷彿とさせてくれます。クライマックスでボンドがサフィンの秘密工場へ乗り込んだ際、ボンドへ警告するサフィンの声が頭上から聞こえて来ます。部屋の天井を思わず見上げたくなるくらいリアルでした。(笑)
しかし、やはりサフィン役のラミ・マレックは全然迫力がないですね。歴代の敵役の中で最低と言いたいです。ミスキャストだと思います。
意味不明だったのが初めて登場する時に能面を被っていた事と、広い工場の床の一部に畳を敷いていたシーン。今回の鑑賞でも理由が分かりませんでした。監督が日系アメリカ人なので監督の意向だったのかもしれませんが、意味がなかったように思います。
音楽が「女王陛下のOO7」をオマージュしていた事がジョン・バリーファンの私としては嬉しかったです。今回の作品、良かったのはそれくらいでした。イアン・フレミングの原作をすべて映画化し終わってからは独自脚本で映画が制作されているわけですが、現在はOO7シリーズを模倣した「ミッション・インポッシブルシリーズ」の方が映画としては面白く感じております。新作が楽しみなのは「ミッション・インポッシブル」の方ですね。
劇場で観た感想はこちらで記事にしております。
プッチーニ/歌劇「トスカ」全曲
トスカ : レオンタイン・プライス(ソプラノ)
カヴァラドッシ : ジュゼッペ・ディ・ステファノ(テノール)
スカルピア男爵 : ジュゼッペ・タッディ(バリトン)
アンジェロッティ : カルロ・カーヴァ(バス)
堂守 : フェルナンド・コレナ(バス)
スポレッタ : ピエロ・デ・パルマ(テノール)
ヘルベルト・フォン・カラヤン 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ウィーン国立歌劇場合唱団
録音 : 1962年9月、ゾフィエンザール(ウィーン)
英DECCA 5BB 123/4(ED4)
この録音、当時提携していた米RCAのためにジョン・カルショウ率いる英DECCAのチームが録音しており、マスターテープが米RCAに送られて米国でレコードが発売されたようです。ですからオリジナル盤は米RCA盤という事になります。
カラヤンは自分のレコードが米国で大量に売れる事により、ある意味米国進出が叶うという事で米RCAのための録音に積極的だったという事を本で読んだ事があります。ベートーヴェンやハイドンの交響曲その他、米RCAで発売されております。
後年、米RCAとの業務提携が切れた後、ほとんどのマスターテープは英DECCAに返却されたわけですが、何故か今日ご紹介の「トスカ」だけはずっと米RCAが所持していたそうです。理由は分かりませんが、他の録音テープよりかなり遅れてから「トスカ」のマスターテープは英DECCAに返却されたそうです。
ですから英DECCA盤はED4が初出かもしれません。ED3が存在しているのかどうか分かりませんが、(P)1971となっていますので、時代的にはED4になりますね。米RCA盤はかなり豪華な仕様のボックスで発売されたそうですが、私は未だ見た事がありません。
プッチーニのオペラ、私は「トスカ」が一番のお気に入りです。この録音では恐らく当時最盛期だったと思われるレオンタイン・プライス(ジャケット写真)が見事にトスカを歌っています。有名なアリア「歌に生き、恋に生き」には素晴らしさに鳥肌が立って来たほどです。
私は歌に生き、恋に生きてきました。誰にも悪い事はしませんでした。困っている人がいれば手を差し伸べて来ました。
なのにこの苦しみの時に、主よあなたはなぜこのような報いを私に与えるのですか?
「カヴァラドッシを助けてもらいたければ私のものになれ」と、スカルピアに言い寄られたトスカが悲しみのうちに歌うアリアです。凡ゆるオペラのアリアの中でも特に有名なアリアですね。いろいろな名歌手が歌っておりますが、プライスも素晴らしいです。
カヴァラドッシを歌うジュゼッペ・ディ・ステファノもイタリアオペラで一時代を築いたテノールですから、ここでも過不足なく歌っております。スカルピアのジュゼッペ・タッディはもうひとつ個性が欲しかったです。ティト・ゴッビのスカルピアを知っていると、つい比較してしまいます。
カラヤンの指揮はさすがです。クライマックスでトスカがスカルピアを果物ナイフで刺し殺し、「これがトスカのキスよ!」と歌った直後のオケの強奏はまさにトスカの慟哭そのものです。カラヤンのここでの指揮ぶりは素晴らしい!
歌手、指揮者、オケ、録音と、四拍子揃った「トスカ」の名盤です。
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