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2022年3月 3日 (木)

ショルティの「神々の黄昏」

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 ED3

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 ED2

ワーグナー/楽劇「神々の黄昏(たそがれ)」全曲

ブリュンヒルデ : ビルギット・ニルソン(ソプラノ)
ジークフリート : ヴォルフガング・ヴィントガッセン(テノール)
ハーゲン : ゴットロープ・フリック(バス)
グンター : ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)
グートルーネ : クレア・ワトソン(ソプラノ)
アルベリヒ : グスタフ・ナイトリンガー(バス)
ヴァルトラウテ : クリスタ・ルートヴィヒ(メゾ・ソプラノ)
- 3人のラインの乙女 -
ヴォークリンデ : ルチア・ポップ(ソプラノ)
ヴェルグンデ : グィネス・ジョーンズ(メゾ・ソプラノ)
フロスヒルデ : モーリーン・ガイ(アルト)
- 3人のノルン(運命の女神)-
第1のノルン : ヘレン・ワッツ(アルト)
第2のノルン : グレース・ホフマン(メゾ・ソプラノ)
第3のノルン : アニタ・ヴェルキ(ソプラノ)

ゲオルグ・ショルティ 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ウィーン国立歌劇場合唱団

1964年5月~6月、10月〜11月、ゾフィエン・ザール(ウィーン)

英DECCA SET 292/7(ED2 & ED3 混在)

このところワーグナーの楽劇「神々の黄昏」を何と三つも聴いてしまいました。そのうち二つは映像です。もちろんこのオペラはワーグナーの大作「ニーベルングの指環」の第3夜になる作品です。
以前、「ワルキューレの騎行」という記事でご紹介しましたが、今一度作品のタイトルを記述しておきます。

- ニーベルングの指環 -
序夜 : ラインの黄金(約2時間40分)
第1夜 : ワルキューレ(約3時間50分)
第2夜 : ジークフリート(約4時間)
第3夜 : 神々の黄昏(約4時間30分)

演奏時間はおおよその時間で、当然指揮者のテンポ如何で変わって来ます。

北欧神話を元にワーグナー自身で台本を書いており、ライン川の底にある財宝から作った指環を手にした者は世界を征覇する事が出来る事から、天上の神々と地上の人間界、そして地下に棲むニーベルング族とで指環を巡る争いをするという話しです。

三つも聴く事になったのはテレビ放送を録画したものの、ずっと放ったらかしで見ていなかった番組を見た事が切っ掛けです。NHK-BSでダニエル・バレンボイムがミラノ・スカラ座で上演したライヴ映像の放送があったのですが、録画しっぱなし。(^^;

で、二日かけて全曲見終えたのですが、バレンボイムやるなぁ〜と感心しちゃったのです。ただ、 ジークフリートを演じていた歌手にやや不満を感じたら、急にショルティの英DECCA録音を聴きたくなってしまい、後日、これまた二日かけて英DECCA盤の6枚組レコードを聴いてしまったのであります。(笑)

そのショルティ盤を今日はご紹介させて頂きます。英DECCAがショルティの指揮で録音した「ニーベルングの指環」は世界初のスタジオ録音となった、記念的な録音となっております。それ以前、バイロイト音楽祭でのライヴ録音(ラジオ放送目的)はありましたが、レコードの発売目的でのセッション録音は初めてだったのです。

オペラのスタジオ録音は大変なコストと時間が掛かりますので、近年はまったくと言って良いほどオペラのスタジオ録音は無くなりました。オペラファンとしては残念ですが。

ワーグナーの「ニーベルングの指環」ですが、四部作の中で音楽的に優れているのは誰しも「ワルキューレ」を挙げると思います。それは私も異存ありません。ですが、芝居(物語)中心に考えると「神々の黄昏」だと思います。歌手にもそれなりに演技力が求められます。生のステージや映像作品では歌手の演技が下手ですと面白味に欠けてしまいます。

ただ、録音を聴くだけなら一重に歌唱力だけが求められます。そういう点ではショルティの「神々の黄昏」は素晴らしいです。録音も加味したら、これ以上のものは他にありません。録音を考慮しなければバイロイトでのクナッパーツブッシュが上回りますが。

しかし、ショルティもクナッパーツブッシュに負けないほど、「神々の黄昏」でも名演を聴かせてくれます。「 ジークフリートの葬送行進曲」なんてクナッパーツブッシュに比肩するほどスケールの大きな演奏で、本当はショルティではなく、クナッパーツブッシュが指揮していたのでは? と思ってしまうくらいの超名演です。

6枚組のレコード、6枚目の第11面と第12面を聴くだけでもショルティ盤を所持する意味があります。何故なら第11面には「 ジークフリートの葬送行進曲」が、第12面は「ブリュンヒルデの自己犠牲」から幕切れ迄を聴く事が出来るからです。

「ジークフリートの葬送行進曲」については前述の通り、超が付く名演なのと、「ブリュンヒルデの自己犠牲」についてはビルギット・ニルソンのこれまた超が付く名唱が聴けるので、私は6枚目だけは何度も繰り返し聴いて来ています。それなのに最後の一音が消えると、毎回深い感動が襲って来るのです。

とにかくショルティ、凄いです!

これだけの名演を聴かせてくれるショルティ、何故他の作曲家の演奏(オペラを除く)がダメ(個人的見解)なのか理解に苦しみます。

さて、ニルソン以外の歌手陣も文句ありません。ヴィントガッセンのジークフリートは当時の定番的歌手ですからね。アルベリヒのグスタフ・ナイトリンガーも私にはこの人以外考えられないくらいです。

ハーゲンの役どころは「オテロ」に登場するイヤーゴと同じくらい「黄昏」では重要な役です。狡猾なハーゲンの策略によってジークフリートは騙し討ちされてしまうわけで、ハーゲンは或る意味主役的要素もあるわけです。ゴットロープ・フリックのハーゲンは素晴らしいですね。太く重々しい声質はハーゲンのキャラクターにピッタリです。

その他、ちょい役ですが3人のラインの乙女を歌っている歌手にルチア・ポップとグィネス・ジョーンズが入っています。どちらも私の好きな歌手なのですが、このショルティ盤は端役に至るまで名歌手が揃っており、この録音に対する英DECCAの力の入れ具合が分かります。

「ニーベルングの指環」は英DECCAの輸入盤CDを発売と同時に購入(1997年)しているのですが、レコードと聴き比べるとCDはガッカリします。ウィーン・フィルの弦楽器の艶、特にチェロやコントラバスの深く伸びのある音はレコードにCDはまったく太刀打ち出来ません。仕方ないですね、マスターテープの劣化が酷いらしいですから。それにしても英DECCAの奥行きをも描写する録音は素晴らしいです!

尚、私所有の英DECCA盤はED2とED3が混在したセットです。オリジナルと第2版が入り混じっているという、英DECCAや英EMIのセットには良く見られるおおらかな組み合わせです。(^^)

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リブレットの掲載は基本行なっていないのですが、初めて一部をスキャニングして掲載してみました。録音時の様子が窺えますね。

ご参考迄に私が見た二つの映像作品は以下の通りです。

- 2013年6月、ミラノ・スカラ座(NHK-BS)-

ブリュンヒルデ : イレーネ・テオリン(ソプラノ)
ジークフリート : ランス・ライアン(テノール)
ハーゲン : ミハイル・ペトレンコ(バス)
グンター : ゲルト・グロホウスキ(バリトン)
グートルーネ : アンナ・サムイル(ソプラノ)
アルベリヒ : ヨハネス・マルティン・クレンツレ(バス)
ヴァルトラウテ : ヴァルトラウト・マイア(メゾ・ソプラノ)

ダニエル・バレンボイム 指揮
ミラノ・スカラ座管弦楽団
ミラノ・スカラ座合唱団

- 2012年、メトロポリタン歌劇場(WOWOW)-

ブリュンヒルデ : デボラ・ヴォイト(ソプラノ)
ジークフリート : ジェイ・ハンター・モリス(テノール)
ハーゲン : ハンス=ペーター・ケーニヒ(バス)
グンター : イアン・パターソン(バリトン)
グートルーネ : ウェンディ・ブリン・ハーマー(ソプラノ)
アルベリヒ : エリック・オーウェンズ(バス)
ヴァルトラウテ : ヴァルトラウト・マイア(メゾ・ソプラノ)

ファビオ・ルイージ 指揮
メトロポリタン歌劇場管弦楽団
メトロポリタン歌劇場合唱団

バレンボイムの指揮はなかなか良かったのですが、ルイージは私にはあっさりし過ぎで、ワーグナー作品としては物足りない解釈でした。

歌手についてはヴァルトラウト・マイア以外は知らない人ばかりです。ですから先入観念無しに聴く事が出来ました。スカラ座でのハーゲン役、ミハイル・ペトレンコが良かったです。ヴァルトラウト・マイアはいつも通り、名唱を聴けました。

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