ヴィヴァルディの「四季」(2)
ヴィヴァルディ/ヴァイオリン協奏曲集「四季」
ミシェル・シュヴァルべ(独奏ヴァイオリン)
ヘルベルト・フォン・カラヤン 指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団員
録音 : 1972年8月、スイス・サンモリッツで録音
独グラモフォン 2530 296(初出)
前回、イ・ムジチ合奏団によるヴィヴァルディの超有名曲「四季」をロベルト・ミケルッチ独奏の録音でご紹介しましたが、今日はカラヤン盤をご紹介。
あのカラヤンがヴィヴァルディの「四季」を?
と思われるかもしれませんが、カラヤンは何と二回も録音しております。一回目は今日の録音で、独奏ヴァイオリンはベルリン・フィルのコンサートマスターであるミシェル・シュヴァルべです。二回目は英EMIにアンネ=ゾフィー・ムターの独奏で1984年に録音しております。
この頃はベルリン・フィルとの確執が進み、オケはウィーン・フィルです。前年、女性クラリネット奏者のザビーネ・マイヤーの入団を巡り、反対するベルリン・フィル側と険悪な関係になっています。当時、ベルリン・フィルとウィーン・フィルは団員に女性は入れておりませんでしたからね。ジェンダー平等の現代では有り得ない確執ですが。
ベルリン・フィル楽団員との録音をご紹介する目的はジャケット写真が素晴らしいからです。リンゴで四季を表現しているこの写真はアイデアが素晴らしいと思うのです。
カラヤンのレコードはカラヤン自身のポートレートをジャケット写真に使った方が売れる、という考えをレコード会社は持っていたわけですが(当然ですね)、カラヤン自身は自分の写真が使われる事をあまり望んではいなかったようです。
で、カラヤンのポートレートが使われていないジャケットの中でも、この「四季」のジャケットは秀逸な一枚だと思い、今日ご紹介させて頂きました。
こちらはジャケット裏です。表にカラヤンを使わなければ裏に、という事でしょうか。
演奏については意外や意外、奇を衒う事のない実にオーソドックスな演奏なのです。超有名盤、フェリックス・アーヨ独奏のイ・ムジチ合奏団による演奏の延長上にあるような解釈で、「四季」の楽曲そのものを安心して聴く事が出来ます。
シュヴァルべの独奏も申し分ないですし、私は結構好きな「四季」の録音であります。
カラヤンは毎年、避暑のためにサンモリッツの別荘で夏を過ごしていたそうですが、商魂逞しい独グラモフォンはベルリン・フィルの楽団員をサンモリッツに集め、編成が少なくて済む楽曲を録音し、レコードにして発売しておりました。今日の「四季」もまさにそうした時期の録音なのです。
「楽壇の帝王」と呼ばれたカラヤン、何処にいても休まる事はなかったのでしょうね。
« クナッパーツブッシュの「神々の黄昏」 | トップページ | ホ〜ホケキョ! »
コメント