ベートーヴェンのピアノ協奏曲(6)
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第3番 ハ短調
フリードリヒ・グルダ(ピアノ)
ホルスト・シュタイン 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音 : 1970年6月、ゾフィエン・ザール(ウィーン)
日LONDON KIJC-9021
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番 ト長調
フリードリヒ・グルダ(ピアノ)
ホルスト・シュタイン 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音 : 1971年4月、ゾフィエン・ザール(ウィーン)
日LONDON K38C-70021
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調「皇帝」
フリードリヒ・グルダ(ピアノ)
ホルスト・シュタイン 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音 : 1970年6月、ゾフィエン・ザール(ウィーン)
日LONDON 360R-56007
ベートーヴェンのピアノ協奏曲、私がもっとも敬愛しているのはグルダのピアノにシュタインが指揮するウィーン・フィルがバックを務めた演奏です。以前、第4番と第5番は「スーパー・アナログ・ディスクの楽しみ」のコーナーでご紹介済みですが。
それこそグルダによるピアノ協奏曲全集はいったい何回聴いて来た事か。回数だけなら第3番、第4番、第5番の三曲が第1番、第2番に比べて多くなってしまいますが。有名曲三曲に比べますと聴く回数は少ないですが、第1番と第2番も演奏そのものは大変な名演です。
ちなみに普段聴いている音源は今日ご紹介しているキングレコードのスーパー・アナログ・ディスクによる第3番、第4番、第5番ですが、実はもう大分前にハイレゾ音源も購入済みでして、第1番、第2番はそのハイレゾ音源で聴いております。
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲全集
フリードリヒ・グルダ(ピアノ)
ホルスト・シュタイン 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ハイレゾ音源(PCM 192kHz/24bit)
第4番、第5番は極め付きの名演と称して良いと思います。第4番の第一楽章冒頭、それまでの古典的協奏風ソナタ形式のお約束を破り、いきなりピアノソロによる第一主題提示が奏されるわけですが、グルダのピアノは優しく語りかけるように始まります。
オケが引き継いで第一主題、第二主題を奏でるウィーン・フィルの美しい弦の調べ、最高です。指揮者のホルスト・シュタイン、日本では二流扱いにされている指揮者ですが、このピアノ協奏曲全集の指揮ぶりは奇跡的と言ったら指揮者に失礼になりますが、それほど見事な演奏なのです。特に第4番は第二楽章のウィーン・フィル、そう・・・オケを引っ張るシュタインの解釈が絶妙です。
イッセルシュテットも素晴らしい演奏を同じウィーン・フィルで繰り広げておりますが、シュタインはその一歩上を行く演奏と言って差し支えないと思います。
第5番「皇帝」と副題が付けられている第一楽章冒頭、オケによるトゥッティの直後にピアノのカデンツァから始まりますが、私は初めてこの演奏を聴いた時に少なからず衝撃を受けたものです。グルダのピアノはゆったり、まるで大河の流れの如く奏されるのですが、まさに「皇帝」という名が相応しい演奏です。その後に続くシュタイン指揮ウィーン・フィルの演奏もこれまた大変素晴らしいもので、録音の良さも相まって堂々たる「皇帝」の演奏になっています。私は超絶的名演と思っております。
もちろん第3番も繰り返し聴いている名演奏ですから、もしベートーヴェンのピアノ協奏曲全集を聴いてみたいのだけど、どの演奏が良いですか? と問われれば、私は迷う事なく今日ご紹介のグルダの全集をオススメ致します。
演奏、録音とも素晴らしいですから。
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