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2022年5月12日 (木)

なんちゃってSACDとは?

8461

ドヴォルザーク
交響曲第8番 ト長調
交響曲第9番 ホ短調「新世界より」

ヘルベルト・フォン・カラヤン 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

録音 : 1985年1月(8番)、1985年2月(9番)、ムジークフェラインザール(ウィーン)

ESOTERIC ESSG-90250

音楽CDの愛好家、若しくはコレクターの間で、一般発売されているSACD(スーパー・オーディオCD)の中に「なんちゃってSACD」と呼んでいるディスクがあります。

その「なんちゃってSACD」とは、CDフォーマット(44.1kHz/16bit)で録音されていた初期のデジタル音源を「ハイレゾ相当」にアップコンバートし、SACDフォーマット(2.8224MHz/1bit)で発売されているディスクの事を言っております。元がハイレゾ音源ではないので、或る意味揶揄した呼び方ですね。

4Kテレビ(3840 x 2160ドット)で地上デジタル放送(1440 x 1080ドット)やフルハイビジョンのBS放送(1920 x 1080ドット)を見るのと同じです。4Kテレビでは4Kに満たない地上デジタル放送、BS放送をそれぞれアップコンバート(画素補完)してテレビ画面表示しています。

ちなみにハイレゾ(High Resolutionの略)とは、上記CDフォーマット以上でデジタル録音された音源の事と、オーディオ業界で定義しております。近年の録音は96kHz/24bit、192kHz/24bit等、CDフォーマットを遥かに上回るフォーマットで録音されるのが普通で、そうした音源がオリジナルのハイレゾのまま音楽配信サイトで配信されております。若しくはダウンロード販売等。

で、昨今一部ディスク愛好家の間でSACDの人気が上昇しており、レコード会社以外からもSACDが発売されている事はディスク愛好家ならどなたもご存知ですね。ハイエンドオーディオメーカーのESOTERICさんは随分前からSACDを発売しています。その他、オーディオ雑誌を出版しているステレオサウンド社も積極的に発売していますし、何よりTOWER RECORDSさんからはレコード会社とタイアップして多くのSACDが発売されています。

限定枚数で発売されているESOTERIC盤は特に人気があるようで、私もかなりの枚数を購入しております。ただ・・・、

ESOTERIC盤の中には「なんちゃってSACD」がかなり含まれています。例えばカラヤンのデジタル録音は時代的にすべてCDフォーマットで録音されておりますので、現在まで発売されて来たSACDはすべて「なんちゃってSACD」という事になります。

今日ご紹介のカラヤンが指揮するドヴォルザークはデジタル録音ですが、44.1kHz/16bitのCDフォーマットで録音されております。ですから愛好家が揶揄して言う「なんちゃってSACD」です。ESOTERIC盤は解説の最後に使用したマスターを記してありますので、そこを見ると今回のカラヤン盤は44.1kHz/16bitlのオリジナル音源を96kHz/24bitにアップコンバートしたデジタルファイル(音源)からSACD化した事が記述されております。

ですから元はハイレゾ音源ではないのに、アップコンバートしてSACD化されたディスクに4,000円もの高いお金を支払って愛好家は購入する事になります。私もその一人です。(笑)

ですが、もう「なんちゃってSACD」の購入はこのカラヤンのドヴォルザークを最後に止める事にしました。自分でCDとESOTERIC盤を聴き比べてみると、確かに音(音質ではない)は微妙に違います。ただ、この違いはESOTERIC盤をプロデュースしている大間知さんの好みの音に合わせてイコライジングした結果なのです。

ステレオサウンド社オンラインから、新規に立ち上げたESOTERICマスタリングセンターを紹介する動画が公開されています。その動画の中でマスタリングの様子が見られるのですが、再生される音を聴きながら大間知さんがエンジニアの方に細かい要望を出しています。それを見て、ESOTERIC盤は大間知さんが好む音にマスタリングされているのだなぁ・・・と、私は思いました。

本家(レコード会社)から発売されたCDとESOTERIC盤SACDとを聴き比べると、前述したように音の違いが若干感じられますが、SACD化されたからと言って劇的な違いはありません。何しろ元の音源はCDフォーマットなのですから。確かに弦楽器の音色、低域の響き方等に違いはあるのですが、それはあくまでもイコライジングによって周波数特性に違いが生じたという事であって、音質がアップしたわけではありません。

しかし、イコライジングの結果、本家CDでは聴こえていた細部が少し曖昧になってしまうという事がディスクによっては生じています。あちらを立てればこちらが立たず、というところでしょうか。

ちなみにアップコンバートだけならMac用の高音質ファイル再生ソフト、Audirvana(現在はPC用も有り)でも出来ます。SACDと同じDSDフォーマット、若しくはそれ以上にもアップコンバート出来ますし、CDの定番リッピングソフトdbpowerampですらリッピング時にアップコンバートしてリッピングが出来ます。

古い音源(アナログ録音)のSACD化に関してはTOWER RECORDSさんの方法を私は支持します。TOWER RECORDSさんはアナログ録音のSACD化を積極的に進めており、レコード会社が所有するオリジナル・マスターテープからダイレクトに192kHz/24bit、若しくはDSD(SACDフォーマット)化しており、この手法こそSACDのメリットを活かしていると思います。

もちろんアナログテープは録音時より数十年という時代を経て劣化(音質とテープそのものの損傷)はしているわけですが、現時点での復刻としてはTOWER RECORDSさんのやり方が最良ではないかと。デジタル機器はどんどん進歩していますから、最新機材でのデジタル化はマスターテープの情報を現状で最大限引き出す事が出来ると考えています。

ESOTERIC盤も音源がアナログ録音の場合は演奏者次第になりますが、これからも購入するつもりです。ただ、それも使っているマスターがいつ頃デジタル化されたものなのか気になりますが。

今日は「SACDを楽しむ」の番外編みたいな記事になりました。

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コメント

こんばんは。
esotericは詳細データがあるので良いですが、Amazon musicのultra HDなどはデータも無いためどの様なものか見当がつきません。フェリクス

komoさん、こんばんは。
Amazon Music HDですが、一応CDフォーマットかハイレゾかは表示がありますね。

すみません、記入途中でアップしてしまいました。
Amazonmusicはフォーマットは分かりますが、出処が分からないという意味合いで書きました。
サブスクにそれを求めてはいけないかもしれませんが、、。
また、曲によってはultra HDとHDの混在が見受けられます。例えばイムジチ フェリクス アーヨ版ヴィヴァルディ四季の最終楽章だけがHDとなっています。

komoさん、
出処はレコード会社だと思います。でなければ著作権問題になりますので。
もっとも古い録音には既に著作権が切れている音源もありますが、そうしたものもレコード会社からの音源を使っているものと思います。
確かにフォーマットが混在している音源がありますね。それは私も気が付いておりました。あれだけの楽曲数です、中には手違いも有ろうかと鷹揚に考える事にしています。

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