2020年7月30日 (木)

スーパー・アナログ・ディスクの楽しみ(6)

4394
日本プレス

ポピュラー・コンサート

ハンス・クナッパーツブッシュ 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
キングレコード K38C-70039

ワーグナー指揮者として有名なクナッパーツブッシュが、なんとチャイコフスキーのバレエ「くるみ割り人形」組曲やシューベルトの「軍隊行進曲」といった、通俗名曲を録音した一枚です。

前回ご紹介した「ウィーンの休日」もそうですが、不器用に指揮した感じがなんとも微笑ましい演奏でもあります。

ですが、ニコライの歌劇「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲などは名演です。CDでも発売されていますので、是非一度お聴き頂きたいです。

4395
日本プレス

ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番 ト長調

フリードリッヒ・グルダ(ピアノ)
ホルスト・シュタイン 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
キングレコード K38C-70021

これはもう、極め付きの名演です。私にとってこの曲のベストワンでして、今迄何十回聴いて来たか分からないほど。

以前、「私の愛聴盤」で協奏曲全集をご紹介し、本コーナーでも「皇帝」をご紹介していますが、ベートーヴェンのピアノ協奏曲全集ではグルダとシュタインの演奏を第一としています。日本ではあまり人気のない指揮者ですが、その指揮ぶりが信じられないほど全5曲とも実に素晴らしい演奏を聴かせてくれます。

オケがウィーン・フィルというのもファンとしては嬉しい組み合わせです。第一楽章、従来の協奏的ソナタ形式をぶち壊すように第一主題が独奏ピアノで奏せられた後、弦楽器が静かに主題を引き継いでいくところなど最高です。

第二楽章冒頭の弦楽器もまた素晴らしい。ここはシュタインの見事な指揮ぶりに感嘆! グルダのピアノ、シュタインの指揮、ウィーン・フィル、三者が見事に演奏解釈で合致した事による超名演。何度聴いても飽きません。

4396
米国プレス

ニュー・イヤー・コンサート 1977

ウィリー・ボスコフスキー 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
キングレコード KIJC-9188

「ニュー・イヤー・コンサート 1977」とタイトルが付いておりますが、毎年元旦に開催されているコンサートのライヴ録音ではありません。スタジオ録音です。

シュトラウスファミリーのワルツが大好きだという事は拙ブログで何度も申しておりますが、そのワルツで感銘を与えてくれる指揮者が三人おります。前回も申しましたがカルロス・クライバーとカラヤン、そしてボスコフスキーです。ボスコフスキーは英デッカに沢山のワルツとポルカを録音しています。それらの録音、私にとっては何度も愛聴している大切な録音集であります。

4397
日本プレス

ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ 第30番・32番

ウィルヘルム・バックハウス(ピアノ)
キングレコード 360R-56011

ベートーヴェン最後のピアノ・ソナタ第32番、私の大好きな曲です。バックハウスと同じドイツ人ピアニストのケンプの演奏も名演ですが、このバックハウスの演奏も堂々としていて、スケールの大きな演奏です。

今更私が蘊蓄をグダグダと述べる必要はありませんですね。(笑)

そういえばバックハウスのピアノ・ソナタ全集のCDを私は持っていたのでした。しかし、もう10年くらいになるか、ピアノを習っている後輩(仕事上)の女性からベートーヴェンを聴いてみたいと言われ貸してあげたのですが、そのCD BOXはとうとう返って来ませんでした。今日の記事を書いていて思い出しました。(^^;

4398
日本プレス

ヴィヴァルディ/合奏協奏曲集「四季」

ウェルナー・クロツィンガー(独奏ヴァイオリン)
カール・ミュンヒンガー 指揮
シュトゥットガルト室内管弦楽団
第一家庭電器(キングレコード)DOR-0172

実はこのレコード、つい最近聴いたばかりなのです。(^^;

第一家庭電器でカートリッジを購入した際、景品として頂いたレコードなのですが、指揮者がミュンヒンガーという事で聴く事をせずにレコードラックに入れたままになっていたのです。ですから、最近取り出すまでレコードには一度も針を通していなかったのです。

三年ほど前から手持ちのレコードとCDを大量に処分しておりまして、その整理の時に「あ、こんなレコード持っていたんだ」と気が付いたわけです。

「四季」かぁ・・・と思いながらも、試しに一度聴いてみるか・・・と、ようやくこのレコードに針を落とす事になりました。そうしたらまぁ・・・良い演奏ではないですか。昔、有名なイ・ムジチ合奏団の演奏で聴き飽きていたヴィヴァルディの「四季」でしたが、久々に新鮮な気持ちでミュンヒンガーの演奏を聴く事が出来ました。

「食わず嫌い」ならぬ「聴かず嫌い」はやはりダメですね。所持している事すら忘れていたレコードでしたが、思わぬ名演に出遭って今は無い、第一家庭電器さんに感謝です。

2019年12月 1日 (日)

スーパー・アナログ・ディスクの楽しみ(5)

3614
米国プレス

ニュー・イヤー・コンサート 1975

ウィリー・ボスコフスキー 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
キングレコード KIJC-9202

ウィーンの元旦恒例行事、ニュー・イヤー・コンサートのライヴ録音で、これは1975年の演奏です。ウィンナ・ワルツ好きの私ですが、そのワルツを実に魅力的に指揮する三名の指揮者がおりました。

その三名とは、カルロス・クライバー、ヘルベルト・フォン・カラヤン、ウィリー・ボスコフスキーです。すでに三名とも存命してはおりませんが、残された録音で私は楽しんでおります。

ボスコフスキーはウィーン・フィルのコンマスだったからか、指揮台で自らもヴァイオリンを弾き、弓を指揮棒代わりに振っていました。私はNHKのテレビでその古い映像を見た事があります。生で見たかった!

3615
日本プレス

ウィーンの休日

ハンス・クナッパーツブッシュ 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
キングレコード KIJC-9006

同じウィーン・フィルですが、こちらはレコードの為のスタジオ録音。しかし、なんと指揮者はクナッパーツブッシュです。驚きますよねぇ・・・クラシック音楽ファンならワーグナー指揮者としてつとに有名ですから。

よくもまぁクナッパーツブッシュがこの録音を引き受けたものと思います。演奏の方は結構クナッパーツブッシュらしさが出ていますよ。^_^

3616
米国プレス

フランク/ヴァイオリン・ソナタ
ドビュッシー/ヴァイオリン・ソナタ

チョン・キョンファ(ヴァイオリン)
ラドゥー・ルプー(ピアノ)
キングレコード KIJC-9177

若き日のチョン・キョンファさん、ひた向きな演奏を聴けます。フランクのソナタ冒頭から、もうチョン・キョンファさんの世界に引き摺り込まれてしまいます。

後年、再録音しておりますが、この若き日の演奏も捨て難いものがあります。

3617
米国プレス

R.シュトラウス/交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」他

ヘルベルト・フォン・カラヤン 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
キングレコード KIJC-9106

カラヤンが英デッカに残したR.シュトラウスの管弦楽曲を集めた1枚。昔はR.シュトラウスの音楽はマーラーと共に比較的苦手にしていましたが、近年は結構親しんでおります。

カラヤンにこうした管弦楽曲を振らせると実に上手いですよね。「サロメ」からの「7つのヴェールの踊り」なんて、なんとも艶かしい演奏です。カラヤンの演出力が遺憾なく発揮されていますね。

3618
日本プレス

アルビノーニのアダージョ

ゲリー・カー(コントラバス)
ハーモン・ルイス(パイプオルガン、ピアノ)
第一家庭電器(キングレコード)DOR-0166

ソリストとしてのチェロ奏者は数多いらっしゃいますが、クラシック音楽界でコントラバスのソリストはあまりいらっしゃらないのでは?

ゲリー・カー、大変なテクニシャンです。生で聴いた事もありますが、まるでチェロを聴いているかのような心地良さを感じます。ジャズミュージシャンの中にはソロの途中で弓を使う人もおりますが、その弓弾きは例外なくどのミュージシャンの演奏もギーギーという音が聴こえるだけ。まるで素人がいたずらで弾いているかのよう。

しかし、ゲリー・カーは違います。ただテクニシャンというだけでなく、実に素晴らしい音色をコントラバスの太い弦から醸し出します。アルビノーニのアダージョ、泣けてくるような名演です。

2019年9月28日 (土)

スーパー・アナログ・ディスクの楽しみ(4)

3423
米国プレス

モーツァルト/交響曲第35番「ハフナー」
シューベルト/交響曲第8番「未完成」

カール・シューリヒト 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
キングレコード KIJC-9104

往年の指揮者、シューリヒトによるモーツァルトとシューベルト。こってりとした演奏を好まれる方には肩透かしを食うような比較的淡白な解釈です。或る意味、これがシューリヒトの真骨頂とも言えるのですが。しかし、じっくり繰り返し聴くと、なかなか味わいの深い演奏なのです。

「未完成」の音が思いのほか小編成に聴こえるのですが、シューリヒトの希望だったのか、或いは楽員のスケジュールの都合で「ハフナー」を演奏した楽員たちだけで「未完成」も録音してしまったのでしょうか。そんな事有り得ませんね。(笑)

3424
米国プレス

ブルックナー/交響曲第3番「ワーグナー」

カール・ベーム 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
キングレコード KIJC-9103

独グラモフォンに第7番と第8番を録音しているのですが、そちらはブルックナー好きの私にはイマイチ納得出来ない演奏でした。しかし、英デッカに録音した第3番と第4番は記念碑的名演奏。特にこの第3番は今迄聴いて来た演奏の中で、間違いなくベストワンです。

録音も良いですし、第3番を聴くなら先ずはこのベーム盤をオススメ致します。

3425
日本プレス

ブリテン/シンプル・シンフォニー

ベンジャミン・ブリテン 指揮
イギリス室内管弦楽団
キングレコード KIJC-9008

自作自演盤です。こうした録音がスーパー・アナログ・ディスクで発売されたという事に拍手喝采!

ロストロポーヴィチとのアルペジョーネ・ソナタではピアノを弾いたりと、多才ですね。指揮者としても他にモーツァルトの交響曲を指揮して名演を残しています。

3426
スイス・プレス

ブラームス/交響曲第4番

イシュトヴァン・ケルテス 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
キングレコード KIJC-9016

海水浴中の事故で亡くなったとの事ですが、指揮者としてこれから円熟を迎えるという時期だったと思いますので残念な事ですね。

「新世界から」を以前ご紹介していますが、このブラームスは格別個性的な演奏ではないものの、その分落ち着いて曲そのものを楽しむ事が出来ます。

スーパー・アナログ・ディスクのシリーズは英デッカの音源がメインなので、ウィーン・フィルが頻繁に登場するのがまた嬉しいです。

3427
日本プレス

フィメール・ヴォーカル・フォーエヴァー

さよならはダンスの後に(倍賞千恵子)
小指の想い出(伊東ゆかり)
可愛い花(ザ・ピーナッツ)
夜明けのうた(岸 洋子)
他 各人4曲収録

倍賞千恵子
伊東ゆかり
ザ・ピーナッツ
岸 洋子
第一家庭電器(キングレコード)DOR-0171

え!何これ!・・・って、思われたかも。(笑)

今は閉店してしまった家電量販店の第一家庭電器さんがキングレコードさんにお願いして製作したスーパー・アナログ・ディスクで、キングレコードさん所属の歌手4名(正確には5名)、その名曲をオリジナルマスターテープからカッティングしています。第一家庭電器さんがカートリッジを購入してくれたお客さんにノベルティとして配布していたのです。

一時、このレコードを自分のオーディオチェックとして使っていました。自分のコレクションに女性ヴォーカルのレコードやCDをあまり持ち合わせていなかった頃です。オペラ録音は沢山持っていましたが、「普通」の女性ヴォーカル録音はほとんど持っていませんでした。ポップスとか演歌とか、まったく聴かないものですから。女性ジャズヴォーカルを聴くようになったのはもっと後になってからの事です。

倍賞千恵子さんの歌が好きな私にとって、このスーパー・アナログ・ディスクは最高ですね。アンプを買い換えてから久しぶりに取り出して聴いてみたら、感動ものでした。(笑)

2019年9月 8日 (日)

スーパー・アナログ・ディスクの楽しみ(3)

3364
日本プレス

ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調「皇帝」

フリードリッヒ・グルダ(ピアノ)
ホルスト・シュタイン 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
キングレコード 360R-56007

今迄、いろいろなピアニストで聴いて(コンサート含む)来た「皇帝」の中で、私のベストワンがこのグルダの演奏です。初めて聴いた時、冒頭から「え!?」と驚かされたものです。理由は聴いて頂いた方が良いので、ここでは書きませんが。

日本では割と凡庸な指揮者扱いされているホルスト・シュタインがまた素晴らしいです。シュタインは協奏曲全5曲(全集録音)の指揮をしているのですが、どれも素晴らしい指揮ぶりであります。英デッカの録音がまた良いので、是非お聴き頂きたいものです。

そうそう、このスーパー・アナログ・ディスクは後に米国プレスで再発売されています。私は米国プレスも持っていますが、再発売されたという事は、それだけ人気があったのでしょう。

3365
スイス・プレス

金と銀/ニュー・イヤー・コンサート 1973

雷鳴と電光
朝の新聞
爆発ポルカ
金と銀(レハール)
他 全11曲

ウイリー・ボスコフスキー 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
キングレコード KIJC-9020

「ニュー・イヤー・コンサート 1973」とサブタイトルが付けられていますが、毎年元旦に行われるニュー・イヤー・コンサートのライヴ録音ではありません。レコード発売のための録音です。

ボスコフスキーはウィーン・フィルのコンサート・マスターだった方で、コンサートの時は指揮台上で自身もヴァイオリンを弾きながら、弓を指揮棒代わりにオケをリードしていました。私は音楽雑誌の写真でその事を知ったのですが、晩年にボスコフスキー自らが編成したヨハン・シュトラウス管弦楽団を率いて来日コンサートを行った合間に、NHKのスタジオで弓を振りながら指揮をする姿をテレビで見た事があります。

大好きな「金と銀」ですが、ケンペの指揮した演奏と双璧とも言える素晴らしい演奏を聴く事が出来ます。こちらはウィーン・フィルだけにオケは文句なし。

ウィンナワルツ超大好き人間の私ですが、今迄聴いて来たウィンナワルツ指揮者の個人的ベストスリーはC.クライバー、カラヤン、ボスコフスキーの三名です。

3366
米国プレス

ウィーンの森の物語
カラヤン・シュトラウス・コンサート

喜歌劇「こうもり」序曲
アンネン・ポルカ
狩りのポルカ
ウィーンの森の物語
他 全6曲

ヘルベルト・フォン・カラヤン 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
キングレコード KIJC-9172

その三名の指揮者の一人、カラヤンの演奏です。オケもウィーン・フィルですから最高の組み合わせです。元旦のニュー・イヤー・コンサートに只一回、指揮台に立ちましたが、それはもう全曲素晴らしい!の一言に尽きます。最近、その映像がBlu-rayで再発売(今迄はDVDのみ)されましたが、もちろん購入しました。

このレコードで聴かれる演奏もまったく文句ありません。英デッカの録音がLPレコード一枚分しか残されなかったのが痛恨の極みです。もっともっと録音して欲しかったです。

3367
日本プレス

ベートーヴェン/交響曲第8番 へ長調、第9番 ニ短調「合唱」

ハンス・シュミット=イッセルシュテット 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
キングレコード 310R-56001/2

ベートーヴェンの交響曲第8番は比較的地味な事もあってコンサートでもあまり採り上げられませんが、実に愛らしい曲で私は大好きです。

で、その第8番で一番素晴らしい演奏と思っているのがこのイッセルシュテットなのです。劇的な第7番と第9番の間に挟まれた第8番、意外と指揮者にとっても指揮しづらい曲なのかもしれません。往年の名指揮者、フルトヴェングラーはレコードのためのスタジオ録音は只の一度も行っていませんし、コンサートでも指揮する回数が極端に少なかったようです。ベートーヴェンがメイン・レパートリーであったにもかかわらず。

しかし、イッセルシュテットの演奏は全四楽章とも私にはベストです。スーパー・アナログ・ディスクで聴く「音」の方も最高ですし、本当に繰り返し聴いても飽きの来ない名演奏、名録音と言えます。

第9番もとても良い演奏です。そう言えば私が初めて聴いた第9番はイッセルシュテットの演奏だった事を思い出しました。このスーパー・アナログ・ディスクではなく、通常の盤でしたが。

3368
日本プレス

ボレロ・アンセルメ/フランス音楽コンサート

ラヴェル/ボレロ
オネゲル/交響的楽章「パシフィック231」
デュカス/交響詩「魔法使いの弟子」
ラヴェル/ラ・ヴァルス

エルネスト・アンセルメ 指揮
スイス・ロマンド管弦楽団
キングレコード K38C-70031

フランス音楽を得意としていたアンセルメの演奏です。日常、フランス音楽を親しんでいるわけではないですが、アンセルメの演奏は楽しめます。

「魔法使いの弟子」という曲、ディズニーのアニメ映画「ファンタジア」で使われていますが、楽しいアニメですね。ミッキーマウスが見習い中の魔法使いの役を演じています。「ボレロ」も名演と言える演奏だと思います。

スーパー・アナログ・ディスクですが、日本プレスはジャケットの体裁も凝った作りでして、後の米国プレスやスイス・プレスとはコストの掛け方が違いますので、大事にしたいです。

2019年8月21日 (水)

スーパー・アナログ・ディスクの楽しみ(2)

3280
日本プレス

ストラヴィンスキー/バレエ音楽「春の祭典」

ズービン・メータ 指揮
ロスアンジェルス・フィルハーモニー管弦楽団
キングレコード K38C-70005

名録音、名演奏の一枚。クラシック音楽を聴き始めた十代の頃、初めてこの曲を聴いた(アンセルメ指揮の盤)時は何が何だかさっぱり分かりませんでした。というより、これは狂人の作品かと思い、まったく馴染めなかったですね。モーツァルトやベートーヴェンとはあまりにも違う曲想に辟易したというのが正直なところ。

1913年5月、パリ・シャンゼリゼ劇場でピエール・モントゥーの指揮で初演された時、この音楽に対して賛成派と反対派との間で罵りあったり、殴り合ったりで大変なスキャンダルになったそうですが、時代を考えると有り得るのではないかと。私も最初は「なんだこの曲は!」という印象を受け、全曲通して聴けませんでした。(笑)

「春の祭典」の新譜を発売するレコード会社も曲や演奏の良さを宣伝するより録音の良さを強調していた時期もありました。私が初めて全曲を退屈する事なく聴けたのはコリン・デイヴィス指揮、アムステルダム・コンセルトヘボウの演奏。以後はこの曲も飽きる事なく全曲を聴く事が出来るようになりましたが、今も親しんでいる曲とは必ずしも言えませんですね。

しかし、メータのこの演奏は録音が良い事もあって、楽しめると思います。オーディオチェック用として。(^^;

3281
日本プレス

サン=サーンス/交響曲第3番「オルガン付き」

エルネスト・アンセルメ 指揮
スイス・ロマンド管弦楽団
ピエール・スゴン(オルガン)
キングレコード K38C-70004

この演奏も昔から定評のある良い録音ですね。アンセルメはフランスものに良い録音が多いように思います。私が初めて聴いたベートーヴェンの「田園」はアンセルメの指揮した演奏だった事を思い出します。一般的にはアンセルメのベートーヴェンを採り上げる人はいませんが。

以前、「SACDを楽しむ」という記事でシャルル・デュトワが指揮した演奏を採り上げていますが、演奏そのものはアンセルメの方を私は好んでいます。

3282
日本プレス

モーツァルト/交響曲第40番、第41番「ジュピター」

ヘルベルト・フォン・カラヤン 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
キングレコード 360R-56003

私、カラヤンが指揮したモーツァルトって、あまり好きではないのです。昔はどちらかと言うと嫌いでした。カラヤン独特のレガート奏法がどうにも鼻につきましたし、テンポの取り方にも馴染めなかったのです。「魔笛」の録音なんて本当に嫌いでした。

しかし、私の方が丸くなったからでしょうか(笑)、以前ほど毛嫌いする事は近年なくなりました。中でもこのウィーン・フィルを指揮した録音は前回ご紹介したベートーヴェンの第7番と同じく、ベルリン・フィルを指揮した時ほどカラヤン臭さはなく、大好きなモーツァルトを楽しむ事が出来ます。この録音も元々は米RCAのための録音でした。

3283
日本プレス

モーツァルト/ピアノ協奏曲第27番、ピアノ・ソナタ第11番「トルコ行進曲付き」

ウィルヘルム・バックハウス(ピアノ)
カール・ベーム 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
キングレコード K38C-70032

この二曲はどちらも私にとって極め付きのベストワンと言える演奏です。録音は超古い(1955年)ですが、れっきとしたステレオ録音。英デッカは1954年からステレオ録音を開始しています。他社はまだまだモノラル録音の時代にテープによるステレオ録音を始めているのですから、さすがに録音の良さを売りにしていた英デッカですね。

第27番はモーツァルトのピアノ協奏曲中、もっとも好きな曲でして、今迄いろいろな演奏を聴いて来ましたけど未だにこの録音を超える演奏にお目に掛かっていません。バックハウスはベートーヴェン弾きというレッテルが貼られていたそうですが、このモーツァルトは最高です。ベームの指揮も前回のブラームスの時と同じく大変素晴らしい相方を務めています。

3284
米国プレス

ブルッフ/ヴァイオリン協奏曲第1番、スコットランド幻想曲

チョン・キョンファ(ヴァイオリン)
ルドルフ・ケンペ 指揮
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
キングレコード KIJC-9133

これまた私にとって、この曲の極め付きの演奏。ESOTERIC盤のSACDも良かったですが、ESOTERIC盤を入手するまではこのスーパー・アナログ・ディスクで楽しんでいました。SACD入手後に改めてこのディスクを聴いてみれば、やはり良いなぁ・・・と思ったのが実感。

後年、テンシュテット指揮で再録音(英EMI)していてそちらも良いですが、オケに関してはケンペ指揮のこちらの方が好みです。

2019年8月11日 (日)

スーパー・アナログ・ディスクの楽しみ(1)

3245
日本プレス

ブラームス/ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調

ウィルヘルム・バックハウス(ピアノ)
カール・ベーム 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
キングレコード K38C-70020(廃盤)

アキュフェーズさんの純正PHONOボードを入手以来、またアナログレコードを聴くのが楽しくなっております。中でも以前、キングレコードさんからシリーズで発売されていた「スーパー・アナログ・ディスク」の音の良さを再確認。

そこで「SACDを楽しむ」とは別に、順次手持ちのスーパー・アナログ・ディスクをご紹介させて頂こうと思いました。すでに廃盤になっていますから、ご興味を持たれても中古レコード店でお探し頂くほかない事を予めお詫び申し上げます。

この記事を書く前、実際に中古が店頭に出ているのかどうか中古ショップとして知られているdisk unionさんに行ってエサ箱を見て来ました。そうしたら有りました! それもかなりの数枚。なので、この記事もシリーズで掲載させて頂きます。

さて、前置きが長くなりましたが、最初の一枚はバックハウスのブラームスです。私、ブラームスのヴァイオリン協奏曲とピアノ協奏曲は若干冗長に感じてしまい、個人的にはあまり好んで聴いてはおりません。しかし、この演奏によるピアノ協奏曲第2番は例外なのです。聴く度に深い感動を受けます。この演奏に関してはまったく冗長さを感じません。

と言うより、逆に毎回緊張して聴いてしまいます。それくらいバックハウスのピアノが素晴らしい事と、カール・ベームの指揮ぶりがまた素晴らしいからです。録音も良いですし、こういう演奏こそ歴史的名盤と称して良いと思います。日本プレスなので盤質も文句ありません。

3246
日本プレス

ドヴォルザーク/交響曲第9番 ホ短調「新世界から」

イシュトヴァン・ケルテス 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
キングレコード KIJC-9003(廃盤)

この盤も演奏、録音とも最高! 「新世界」はカラヤンが1960年代、独グラモフォンに録音した盤を私はベストワンとしていますが、カラヤンに勝るとも劣らない演奏がこのケルテス盤です。ケルテスはロンドン響とも録音していますが、そちらは聴いた事がありません。一般的にはこのウィーン・フィル盤の方が有名だと思います。

小学校か中学校か忘れましたが、音楽の時間に「家路」という歌を歌いましたね。「遠き山に 日は落ちて♪」という堀内敬三さんによる歌詞を覚えていらっしゃる事と思います。或いは下校時間にメロディだけが校内に流れていたり。あのメロディはこの曲の第二楽章から使われているのはあまりにも有名な事。

頭ごなしにクラシック音楽を嫌がる方、知らず知らずクラシックの名曲を聴いているものなんですよ。(^^)

この盤も日本プレス(日本ビクター)ですが、日本ビクターさんがアナログレコードのプレス工場を閉鎖してから一時このシリーズが中断してしまいました。プロデューサーの高和さんは世界各地で高品質なプレスが出来る工場を探し、見付けたのが米国の会社。で、シリーズ再開となりました。

3247
米国プレス

サン=サーンス/ヴァイオリン協奏曲第3番 ロ短調
ヴュータン/ヴァイオリン協奏曲第5番 イ短調

チョン・キョンファ(ヴァイオリン)
ローレンス・フォスター 指揮
ロンドン交響楽団
キングレコード KIJC-9160(廃盤)

この盤はシリーズ再開後に発売された米国プレス盤です。米国ジャズレーベルの盤質と比べたら天と地ほど違うくらい高品質ですが、それでも日本プレスと比べると若干スクラッチノイズは多いですね。ホントに若干ですが。

さて、サン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番はこの演奏が極め付けのベスト盤です。私はこの演奏で曲の良さを知りました。最初の購入はノーマルプレスの通常盤でしたが、スーパー・アナログ・ディスクで発売して頂けたのは実に嬉しかったです。通常盤とは「音」が全然違います。

チョンさんのヴァイオリン、第一楽章冒頭からそれはもう凄いのです。それこそ切れば血が吹き出すのでは? と思うくらい激しく、それでいながら美しいヴァイオリンで主題が弾かれると、もうチョンさんの世界に引き込まれてしまいます。

優れた女流ヴァイオリニストは数多おりますが、現役でチョンさんを超えるヴァイオリニストはいないですね。私個人の感想ですが。事実、この曲でチョンさん以上にアパッショナートに弾くヴァイオリニストには未だ遭遇していません。男女問わず。

もう・・・ただ黙ってお聴きくださいと申すしかありません。

3251
日本プレス

ベートーヴェン/交響曲第7番 イ長調

ヘルベルト・フォン・カラヤン 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
キングレコード KIJC-9004(廃盤)

元々は英デッカが米RCAと提携していた時に、米RCAレーベルで発売するために録音されています。我が国でもRCAレーベルの発売権を持っていた日本ビクターさんから発売されたようです。その時代を私は知りませんので、カラヤンについて書かれた本で知りました。

カラヤン壮年期の録音で、後年ベルリン・フィルと独グラモフォンに録音した演奏より落ち着いた味わいのある演奏です。オケがウィーン・フィルという事が多少なりとも影響しているのでしょう。木管楽器の音色が良いですね、ウィーン・フィルは。カラヤンのベト7はこの演奏を好みます、私は。

集中してアナログレコードを聴いていますと、やはりアナログの音は良いなぁという思いが強くなりました。