2021年10月20日 (水)

SACDを楽しむ(20)

5853

R.シュトラウス/歌劇「薔薇の騎士」全曲

元帥夫人 : クレア・ワトソン(ソプラノ)
オクタヴィアン : ブリギッテ・ファスベンダー(メゾ・ソプラノ)
オックス男爵 : カール・リッダーブッシュ(バス)
ファーニナル : ベンノ・クッシェ(バリトン)
ゾフィー : ルチア・ポップ(ソプラノ)
マリアンネ : アンネリーゼ・ヴァース(ソプラノ)
アンニーナ : マルガリーテ・ベンツェ(メゾ・ソプラノ)
テノール歌手 : ゲルハルト・ウンガー(テノール)

カルロス・クライバー 指揮
バイエルン国立管弦楽団
バイエルン国立歌劇場合唱団

録音 : 1973年7月13日、ミュンヘン

独Orfeo D'Or C 581 083 D

「SACDを楽しむ」、回を重ねて20回目になりました。

カルロス・クライバーの「薔薇の騎士」は人気の演目だったようです。実際、このライヴ録音を聴いてみると、クライバーの指揮ぶりに感動を受けます。

歌手陣も当時の一線級が揃い、全くもって素晴らしい「薔薇の騎士」でして、前回ご紹介したバーンスタイン盤でもゾフィーを歌っていたルチア・ポップがここでも同じ役を演じています。解説書にステージの様子を写した写真が掲載されていますが、容姿も可愛らしいゾフィーですし、歌声も素敵です。

それとオックス男爵を歌っているカール・リッダーブッシュ、従来知られている遠慮会釈のない間抜けで図々しいキャラクターの男爵というより、少しは常識のある人物という感じを声を聴いていると思ってしまいます。見事なオックス男爵です。

5854

ベートーヴェン/交響曲第7番 イ長調

カルロス・クライバー 指揮
バイエルン国立管弦楽団

録音 : 1982年5月3日、ミュンヘン

独Orfeo D'Or C 700 051 D

こちらもクライバー全盛期のライヴ録音。当日のベートーヴェン交響曲第4番は通常のCDで発売されていますが、第4番はアナログレコードで所持しています。

スタジオ録音された独グラモフォン盤と同じく、大変スタイリッシュな第7番です。必ずしも私好みの演奏解釈ではありませんが、クライバーらしさが表出された名演だと思います。

5855

アルゲリッチ/バッハを弾く

J.S.バッハ
1. トッカータ ハ短調 BWV911
2. パルティータ第2番 ハ短調 BWV826
3. イギリス組曲第2番 イ短調 BWV807

マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)

録音 : 1979年2月6〜9日、ベルリン

ESOTERIC ESSG-90161

嘗て、独グラモフォン盤のアナログレコードで散々聴き尽くしていた名演奏です。アルゲリッチのバッハ録音は珍しいので、そういう意味でも貴重な録音だと思います。

5856

モーツァルト
ピアノ協奏曲第20番 ニ短調 K.466
ピアノ協奏曲第27番 変ロ長調 K.595

クリフォード・カーゾン(ピアノ)
ベンジャミン・ブリテン 指揮
イギリス室内管弦楽団

録音 : 1970年9月24、25日 サフォーク、スネイプ・モールティングス・ホール

TOWER RECORDS PROC-2012

英国出身のピアニスト、クリフォード・カーゾンの名盤として一部ファンの人気を呼んでいる録音ですね。一部ファンとは大変失礼な言い方ですが、私はこのSACDで演奏を初めて聴きました。

実は購入目的、どちらかと言うとカーゾンよりブリテンの指揮ぶりに興味があったのです。第27番はモーツァルトのピアノ協奏曲で私が一番好きな曲目なので、興味深く聴かせて頂きました。

バックハウス、ベームのコンビのような超絶的名演とまでは申しませんが、楽しんで聴く事が出来ました。録音エンジニアはケネス・ウィルキンソンですから、音の方は文句ありません。

このSACDは本国アナログマスターテープから初めてダイレクトにDSD変換してからディスク化したそうです。ESOTERIC盤より、このTOWER RECORDS盤の方が良いとおっしゃる方もいるようで。

2021年10月 3日 (日)

SACDを楽しむ(19)

5802

シベリウス/交響曲第2番 ニ長調

朝比奈隆 指揮
大阪フィルハーモニー交響楽団

録音 : 1999年7月30日、大阪フェスティバルホールでのライヴ録音

EXTON OVCL-00753

新譜がSACDで発売されるという珍しいディスクです。CDとのハイブリッド盤なので、通常のCDプレーヤーでも再生出来ます。

1970年代に日本ビクターから発売されたライヴ盤の再発ではなく、世に出るのが今回が初めてというまったくの初発売です。朝比奈隆さん晩年のライヴ録音で、実に味のある演奏でした。

日本ビクター盤も良いですが、どちらを取るかと言えばこちらの新譜ですね。朝比奈隆さんはコンサート時、ご自身の反省目的のためなのか、可能であればライヴ録音(基本ワンポイント録音)してもらい、それをカセットにして朝比奈さんは頂いていました。

ですから権利関係さえ通れば相当数のライヴ録音が残っているはずです。もっとも当時の録音テープが残っていればの話しですが。何しろ発売目的での録音ではなかったですから。

5803

シューベルト/ピアノ・ソナタ第20番、第21番

マウリツィオ・ポリーニ(ピアノ)

録音 : 1983年12月、ウィーン(第20番)、1987年6月、ミュンヘン(第21番)

ESOTERIC ESSG-90245

完璧なシューベルトですね!

ベートーヴェンもそうでしたが、完全主義者のポリーニという感じを受けます。私にとってベートーヴェンは近寄り難いほどの演奏でしたが、こちらのシューベルトはまだまだ楽しめます。録音がまた素晴らしいです!

最近、マリア・ジョアン・ピリスのシューベルトを愛聴していたところでしたが、人間味を感じるのはピリス盤の方です。(^^;

5804

ワーグナー/楽劇「トリスタンとイゾルデ」全曲

トリスタン : ルネ・コロ(テノール)
イゾルデ : マーガレット・プライス(ソプラノ)
マルケ王 : クルト・モル(バス)
ブランゲーネ :ブリギッテ・ファスベンダー(メゾ・ソプラノ)
クルヴェナール : ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)
メロート : ヴェルナー・ゲッツ(テノール)

カルロス・クライバー 指揮
シュターツカペレ・ドレスデン
ライプツィヒ合唱団

録音 : 1980年〜1982年、ドレスデン

ESOTERIC ESSG-90183/5

発売から大分経っていますが、ESOTERICさんから発売されたクライバーのトリスタンです。録音はデジタル録音初期で、多分CDフォーマット(44.1kHz/16bit)で録音されていたものと思います。ですからSACDは単なるアップコンバートという事になります。

通常CDとの音の比較ですが、元々がCDフォーマットでの録音ですから大きな差はありません。個人的には弦の響きはESOTERIC盤の方に良さを感じます。それも敢えて言えば・・・というくらいですが。

演奏については今更私が蘊蓄を述べる必要がない名演ですね。

5805

ジョン・カルショウ、プロデュース

R.シュトラウス/歌劇「薔薇の騎士」全曲

元帥夫人 : クリスタ・ルートヴィヒ(メゾ・ソプラノ)
オクタヴィアン : グィネス・ジョーンズ(ソプラノ)
オックス男爵 : ワルター・ベリー(バス)
ファーニナル : エルンスト・グートシュタイン(バリトン)
ゾフィー : ルチア・ポップ(ソプラノ)
マリアンネ : エミー・ローゼ(ソプラノ)
アンニーナ : マルガリータ・リローヴァ(メゾ・ソプラノ)
テノール歌手 : プラシド・ドミンゴ(テノール)

レナード・バーンスタイン 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ウィーン国立歌劇場合唱団

録音 : 1971年3月22日〜24日、4月1日〜10日、ウィーン・ゾフィエンザール

ソニー・ミュージック SICC 10264/6

米CBSの音源ですが、ジョン・カルショウ率いる英DECCAの録音チームが米CBSのために録音した有名盤です。この「薔薇の騎士」の前に英DECCAは米CBSのためにバーンスタイン指揮による「ヴェルディ/ファルスタッフ」を録音。そのバーターとしてバーンスタイン/VPOによるマーラーの「大地の歌」、モーツァルトの交響曲「リンツ」とピアノ協奏曲第15番を英DECCAのために録音させてもらっています。

長らくニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団とのコンビで音楽活動に勤しんでおりましたが、ニューヨーク・フィルを離れ、活動の場をヨーロッパに移したバーンスタインは音楽が随分変わりました。クラシック音楽はヨーロッパが本場。バーンスタインも当初はその伝統に従っていたのかもしれません。

1968年、オットー・シェンク新演出による上演がウィーン国立歌劇場で行われており、大喝采を受けたそうです。その3年後に再演されており、その再演と並行して録音されたのが当録音との事。

元帥夫人をメゾ・ソプラノのクリスタ・ルートヴィヒが歌っているのが珍しいですね。カラヤン盤でルートヴィヒはオクタビアンを歌っていましたから。それよりグィネス・ジョーンズがオクタビアンを歌っている事の方が私は少々驚かされました。後にジョーンズは元帥夫人を歌っています。あ、ルートヴィヒと同じパターンだ。(^^)

それより何より、ゾフィーをルチア・ポップが歌っていて、実にチャーミング。(^^)

オペラを指揮する経験が浅かった録音当時のバーンスタインですが、なかなかの名演だと思います。「薔薇の騎士」は名盤揃いですね。

2021年8月13日 (金)

SACDを楽しむ(18)

5701

モーツァルト/歌劇「魔笛」全曲

ザラストロ : テオ・アダム(バス・バリトン)
タミーノ : ペーター・シュライヤー(テノール)
パミーナ : ヘレン・ドナート(ソプラノ)
パパゲーノ : ギュンター・ライブ(バリトン)
夜の女王 : シルヴィア・ゲスティ(ソプラノ)
パパゲーナ : レナーテ・ホフ(ソプラノ)
第1の侍女 : ハンネ=ローレ・クーゼ(ソプラノ)
第2の侍女 : ギーゼラ・シュレーター(ソプラノ)
第3の侍女 : アンネリース・ブルマイスター(メゾ・ソプラノ
弁者 : ジークフリート・フォーゲル(バス)

オトマール・スゥイトナー 指揮
ドレスデン・シュターツカペレ
ライプツィヒ放送合唱団

録音 : 1970年6月27日 - 7月9日、ドレスデン、ルカ教会

TOWER RECORDS(DENON) TWSA-1089/91

懐かしい演奏が最新リマスターでSACDが発売されたので、思わず購入してしまいました。昔、レコードで繰り返し聴いていたのですが、数年前にまとめてレコードを大量処分した時に手放していたのに・・・(^^;

「フィガロの結婚(ドイツ語版)」のレコードも一緒に手放していたのですが、そのフィガロも同時にSACDで発売されました。

この「魔笛」は東西ドイツが分断されていた時期の録音で、東側のアーティストによる演奏です。歌手陣も優れた人を集めていますが、この演奏に関しては指揮者のスウィトナーを聴くべき録音と思っております。モーツァルトファンの方には是非お聴き頂きたい名演です。

5702

J.S.バッハ/ブランデンブルク協奏曲(全曲)

カール・リヒター 指揮
ミュンヘン・バッハ管弦楽団

録音 : 1967年1月、ミュンヘン

ESOTERIC ESSA-90221/2

モダン楽器によるバッハの歴史的名演奏です。古楽器による室内合奏団が雨後の筍の如く現れる前の時代ですね、録音年代からすると。

フルートのオーレル・ニコレ、ホルンのヘルマン・バウマンと、ソリストにも名手を集めた演奏はリヒターのやや早目のテンポも相まって、緊張感を感じる名演です。

5703

ショパン/12の練習曲 作品10、作品25

マウリツィオ・ポリーニ(ピアノ)

録音 : 1972年1月、5月、ミュンヘン

ESOTERIC ESSG-90239

ベートーヴェンでは完璧過ぎて近寄り難い演奏を繰り広げるポリーニですが、何故かその完璧さがショパンには上手くハマっているように感じるのです。

なので、この練習曲集も好きな演奏です。

5704

メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲
サン=サーンス/ハバネラ
ラロ/スペイン交響曲

アルテュール・グリュミオー(ヴァイオリン)
ベルナルト・ハイティンク 指揮
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
マニュエル・ロザンタール 指揮
コンセール・ラムルー管弦楽団

録音 : 1960年5月、アムステルダム 1963年4月、パリ

ESOTERIC ESSD-90241

サン=サーンスとラロはTOWER RECORDSさんからもSACD化されており、そちらは以前ご紹介済みです。ですからこのESOTERIC盤の購入は随分迷ったのですが、結局購入してしまいました。

メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲はハイティンクの凡庸な指揮が曲をつまらなくしており、ただグリュミオーのヴァイオリンソロを聴くだけの演奏になっています。

この盤のメインはやはりラロのスペイン交響曲です。この曲の演奏では第一に挙げるべき録音だと思います。TOWER RECORDS盤と音を聴き比べてみたのですが、大きな違いはなく、あまり気にする必要はないと思います。それより、ハイティンクのつまらない指揮が最初に入っているESOTERIC盤より、TOWER RECORDS盤の方を私はオススメしておきます。

2021年7月 2日 (金)

SACDを楽しむ(17)

5550

ベートーヴェン
交響曲全集
「エグモント」序曲
序曲「コリオラン」

リン・ドーソン(ソプラノ)
ヤート・ファン・ネス(アルト)
アンソニー・ロルフ・ジョンソン(テノール)
アイケ・ヴィルム・シュルテ(バス)

フランス・ブリュッヘン 指揮
18世紀オーケストラ(古楽器による)
リスボン・グルベンキアン合唱団

録音 : 1984年〜1992年

ESOTERIC(旧 蘭PHILIPS) ESSD-90233/37

古楽器による演奏をあまり好まない私ですが、初めてベートーヴェンの交響曲を古楽器による演奏で聴いてみました。

古楽器による演奏は、極端なアーティキュレーションによってモダン楽器による現代のオーケストラ演奏とは、曲そのもののイメージがガラッと変わってしまう事が多いです。

数年前、既にお亡くなりになっておりますが、音楽評論家の宇野功芳氏が或る雑誌記事で古楽器演奏に関し、「極端なテンポと極端な強弱の取り方、古楽器演奏者のやりたい放題には本当に腹が立つ」というような事を書かれているのを読んだ時、私は我が意を得たりと思ったものです。

以前、拙ブログで書き記した事を繰り返しますが、古楽演奏者による極端なアーティキュレーションは、これが作曲された当時の演奏なのですと言わんばかり。と言うより、実際に音楽番組(NHK)のインタビューの中で、そのように話していた演奏家がおりました。私はそれを聞いて、「あなたはハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンの時代に生きていたのですか?」と、言いたくなったものです。正に「講釈師、見て来たような嘘を言い」ですね。(笑)

古典派の音楽は録音システムが確立された事によって往年の指揮者、ソリストによる名演奏が後世に残されています。現代の演奏家にとってはどうしても残された過去の名演と比較されてしまうわけです。オーソドックスな演奏ではそうした名演を凌ぐ事が出来ない。であるならば極端な思い切った演奏で目立ちたいのではと。これは多少穿った見方になりますが。

少々私も極端な見解を申しましたが、モダン楽器と古楽器とでは奏法(特に弦楽器)がそもそも違うようで。私は楽器をやりません(出来ません)ので詳しい事は分かりませんが、古楽器(ヴァイオリン)の場合はモダン楽器と違いビブラートをかけずに演奏するらしいですね。それは弦が違うからだそうですが。確かに弦の響きは古楽器とモダン楽器とでは違いを感じます。

さて、今日ご紹介の18世紀オーケストラによるベートーヴェンですが、私が持っている古楽器演奏のイメージとは違い、音の響きは如何にも古楽器ですが、曲の解釈そのものは現代オーケストラによるベートーヴェン解釈に近く聞こえるのです。

ブリュッヘンの指揮は以前もハイドンの交響曲を指揮したESOTERIC盤をこのコーナーで採り上げておりますが、まるでモダン楽器を指揮しているような解釈に私はアレルギーを起こさずに聴き通す事が出来たのです。したがってベートーヴェンの交響曲全集のESOTERIC盤も購入してみようかと思ったわけです。

楽章によっては自分のテンポ感とは相容れない部分もありましたが、全9曲と序曲を楽しんで聴く事が出来ました。オケの編成そのものがウィーン・フィルやベルリン・フィルといった現代オーケストラに比べると室内オーケストラ並に小さいですから、どうしても響きに物足りなさは感じます。特に「英雄」や「運命」、第9番は。

元々ブリュッヘンはベートーヴェンに関しては第3番「英雄」までしか指揮しないつもりだったようですが、コンサートの評判が良かった事とレコード会社の意向もあって全9曲を録音する事になったようです。したがって全9曲の録音(ライヴ含む)を完了するまでに年月を要しています。

後年、全9曲を再録音しておりますが、今日のESOTERIC盤は古い方と申しますか、最初の録音での全集となっております。

長くなりましたが、初めて聴いた古楽器オーケストラによるベートーヴェンを今日はご紹介させて頂きました。

2021年6月22日 (火)

SACDを楽しむ(16)

5519

モーツァルト/歌劇「ドン・ジョヴァンニ」

ドン・ジョヴァンニ : サミュエル・レイミー(バリトン)
レポレッロ : フェルッチョ・フルラネット(バス)
騎士長 : バータ・ブルチュラーツェ(バス)
ドンナ・アンナ : アンナ・トモワ・シントウ(ソプラノ)
ドン・オッターヴィオ : エスタ・ウィンベルイ(テノール)
ドンナ・エルヴィラ : アグネス・バルツァ(メッゾ・ソプラノ)
マゼット : アレクサンダー・マルタ(バス)
ツェルリーナ : キャスリーン・バトル(ソプラノ)

ヘルベルト・フォン・カラヤン 指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ベルリン・ドイツ・オペラ合唱団

録音 : 1985年1月、ベルリン

ESOTERIC ESSG-90209/11

ESOTERICの大間知さんはカラヤンがお好きなのか、カラヤンの録音が毎回のようにリリースされますね。で、今回の「SACDを楽しむ」は比較的最近発売されたカラヤン盤を採り上げてみました。

ちなみにこの「ドン・ジョヴァンニ」は、嘗てESOTERIC盤SACDのマスタリングを担当していた杉本一家氏の生前最後(2019年10月没)の仕事になっております。

「ドン・ジョヴァンニ」の録音盤は古くはフルトヴェングラー指揮によるザルツブルク音楽祭のライヴ盤、ジュリーニ盤、クレンペラー盤と、名盤が多いのですが、このカラヤン盤も名演です。個人的にはアグネス・バルツァによるドンナ・エルヴィラが素晴らしいと思っています。

5520

プッチーニ/歌劇「トゥーランドット」

トゥーランドット : カーティア・リッチャレッリ(ソプラノ)
皇帝アルトゥム : ピエロ・デ・パルマ(テノール)
ティムール : ルッジェロ・ライモンディ(テノール)
王子カラフ : プラシド・ドミンゴ(テノール)
リュー : バーバラ・ヘンドリックス(ソプラノ)
ピン : ゴットフリート・ホーニク(バリトン)
ポン : フランシスコ・アライサ(テノール)
パン : ハインツ・ツェドニク(テノール)
役人 : ジークムント・ニムスゲルン(バス)

ヘルベルト・フォン・カラヤン 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ウィーン国立歌劇場合唱団

録音 : 1981年5月、ウィーン

ESOTERIC ESSG-90243/4

カラヤンにとって、生涯一度も歌劇場で指揮する事のなかったオペラです。カラヤンのオペラ録音は公演と並行してレコード録音する事の多い指揮者でしたから、そういう意味ではこの「トゥーランドット」は珍しい録音になりますね。

トゥーランドット姫はビルギット・ニルソンのようなドラマティック・ソプラノに歌われる事が多い作品ですが、カラヤンが選んだトゥーランドット姫はリリックな声質のソプラノ、カーティア・リッチャレッリでした。

しかし、カラヤンは「トスカ」でもリッチャレッリを起用しておりますから、晩年のカラヤンは歴代の名ソプラノとは違う表現を試みたのかもしれません。

「ドン・ジョヴァンニ」と「トゥーランドット」、どちらもデジタル初期の録音ですからCDと同じフォーマットで録音されています。なので、せっかくSACD化されても、あまりメリットはありません。デジタルファイルのアップコンバートになるだけなのですが、その際のマスタリングをどうするかがエンジニアの腕の見せどころ。

5521

R.シュトラウス/交響詩「英雄の生涯」、交響詩「死と浄化」

レオン・シュピーラー(ソロ・ヴァイオリン)
ヘルベルト・フォン・カラヤン 指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

録音 : 1985年2月、ベルリン

ESOTERIC ESSG-90227

5522

R.シュトラウス/アルプス交響曲、メタモルフォーゼン

ヘルベルト・フォン・カラヤン 指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

録音 : 1980年12月、1982年1月、ベルリン

ESOTERIC ESSG-90240

R.シュトラウスの作品がオペラ(薔薇の騎士)含め、続けてリリースされているのですが、こちらもデジタル録音です。

SACD化するならアナログ録音でお願いしたいと思っておりますが、こればかりはどうにもなりません。カラヤンのメジャー録音(独グラモフォン、英DECCA、英EMI)はCDのBOX物で全録音を入手し、NASにリッピングした後、すべて売却しています。ン百枚ものCDを持っていても邪魔になるだけなので。(^^;

デジタル録音のSACD化は正直なところ、CDに比べて圧倒的に大きなメリット(音質面で)は感じられないので、毎回購入を迷いながらもつい購入しております。(笑)

まぁ、最新のデジタル機器を使ってのマスタリングですから、まったくメリットがないわけでは勿論ありません。今日ご紹介のSACDもCD(リッピング音源)とじっくり聴き比べてみれば、やはりデジタル録音初期のデジタル臭さは無くなり、弦楽器の響きにも艶が感じられます。

ところで、高音質ストリーミングでハイレゾ音源を聴くようになってから考えてしまいました。毎月僅か980円でハイレゾ音源を聴き放題出来るのに、わざわざ一枚4,000円近い金額を出してSACDを購入する意味はあるのかと。

厳密に聴き比べればまだまだSACDの方が若干上回りますが、相手は電波ですから。しかし、その配信も利用方法(機器、接続等)を今後考えて行けば幾らでも音質アップの手はあります。

う〜む・・・(笑)

2021年5月 2日 (日)

SACDを楽しむ(15)

5335

レハール/喜歌劇「メリー・ウィドウ」

ハンナ(裕福な未亡人): エリザベート・シュヴァルツコップ(ソプラノ)
ダニロ(伯爵でハンナの元恋人) : エバーハルト・ヴェヒター(バリトン)
カミーユ : ニコライ・ゲッダ(テノール)
ヴァランシエンヌ(ミルコの妻) : ハニー・シュテフェック(ソプラノ)
ミルコ : ヨーゼフ・クナップ(バリトン)
カスカーダ : クルト・エクィルツ(テノール)

ロヴロ・フォン・マタチッチ 指揮
フィルハーモニア管弦楽団、合唱団

録音 : 1962年7月、ロンドン・キングズウェイ・ホール

TOWER RECORDS(英EMI) TDSA-190(4月28日発売)

発売日にTOWER RECORDSさんから届いたレハールのウィンナ・オペレッタをご紹介します。

オペレッタとは、イタリア語で「小さいオペラ」という意味になるそうですが、日本では「喜歌劇」と表記しています。小さかろうが大きかろうがオペラとは言ってもオペレッタは基本喜劇なので、日本語の「喜歌劇」とは上手く言ったものですね。

セリフと歌でストーリーは進みますので、後年のアメリカン・ミュージカルのようなものと思って頂ければ良いと思います。「メリー・ウィドウ」はレハール(1870.4.30 - 1948.10.24)の代表作と申して良いと思います。「メリー・ウィドウ」とは日本語に訳すと「陽気な未亡人」という意味です。

嘗ては恋仲だったハンナとダニロですが、貴族社会では良くある身分違いのために二人は結ばれなかったのです。その後、ハンナは大金持ちと結婚したのですが、何と僅か八日でご主人が亡くなり、巨万の富を得てしまったのです。ハンナが得た財産を狙っていると思われるのが嫌でダニロはハンナから距離を置くのですが・・・。

この「メリー・ウィドウ」を指揮しているユーゴスラビア(現クロアチア)出身の指揮者ロヴロ・フォン・マタチッチ、日本ではブルックナー指揮者として名が通っており、マタチッチの喜歌劇? と、ブルックナーファンからは訝しがられるかもしれませんね。

調べてみると、マタチッチはウィーンで音楽を学び、歌劇場で鍛え上げて来た指揮者なのです、実は。晩年、NHK交響楽団の名誉指揮者となり、日本でもお馴染みの指揮者ですね。拙宅にもNHK交響楽団を指揮したライヴ盤が有ります。

で、この「メリーウィドウ」、演奏時間79分があっという間で、本当に楽しく聴く事が出来ました。元々LP時代から有名な録音でしたが、新規にオリジナル・マスターテープからデジタルリマスタリング(192kHz/24bit)が行われています。その名盤が800セットという限定(シリアルナンバー付き)ですが、復刻されました。

 オペレッタと言えばヨハン・シュトラウスの作品が有名ですが、レハールの「メリー・ウィドウ」もステージで演奏される機会の多い作品です。第二幕でハンナが歌う「ヴィリアの歌」は特に有名で、オペラアリアのコンサートなどでも良く歌われます。

「メリー・ウィドウ」はカラヤン盤も名演として音楽雑誌の「名曲名盤」を特集した記事で紹介されますが、マタチッチ盤も良い演奏ですよ。録音が英EMIとは思えないくらい鮮鋭で、英DECCA録音と言っても信じてしまいそうです。そのくらい良い音で収録されています。

久々にレハールのオペレッタを楽しみました。(^^)

2021年4月24日 (土)

SACDを楽しむ(14)

5293

R.シュトラウス/歌劇「ナクソス島のアリアドネ」

プリマドンナ/アリアドネ : グンドゥラ・ヤノヴィッツ(ソプラノ)
ツェルビネッタ : シルヴィア・ゲスティ(ソプラノ)
作曲家 : テレサ・ツィリス=ガラ(ソプラノ)
テノール歌手/バッカス : ジェイムズ・キング(テノール)
音楽教師 : テオ・アダム(バリトン)
水の精 : エリカ・ヴェストマン(ソプラノ)
木の精 : アンネリース・ブルマイスター(ソプラノ)
ハルレキン : ヘルマン・プライ(バリトン)
舞踏教師/スカラムッチョ : ペーター・シュライヤー(テノール)

ルドルフ・ケンぺ 指揮
シュターツカペレ・ドレスデン

録音 : 1968年6月、7月 ドレスデン・聖ルカ教会

TOWER RECORDS(英EMI) TDSA177/8

四管編成の大オーケストラ作品が多いR.シュトラウス(1864 - 1949)の作品ですが、この「歌劇「ナクソス島のアリアドネ」は僅か36名編成のオーケストラで演奏されるという、珍しい作品です。東西冷戦下の1968年、録音は西独エレクトローラ(独EMI)と東独シャルプラッテンとの共同制作。

このSACDはTOWER RECORDSレーベルからの発売で、本国にあるオリジナルのアナログ・マスターテープから192kHz/24bitでデジタル化したマスターを使い、800セットでの限定販売(シリアル・ナンバー付き)です。発売は昨年12月。

さて、この作品はプロローグと実際のオペラの二部構成で、プロローグではオペラに出演する歌手や作曲家、音楽教師のドタバタぶりが描かれています。本番のオペラはお伽話のような感じで、楽劇「サロメ」を作曲した人とは思えない作品です。

ギリシャ神話に登場するアリアドネの悲劇が描かれているのが本番のオペラなのですが、私はところどころワーグナーの楽劇「ワルキューレ」の第一幕とオーバーラップしました。

バッカスを歌っているのがワーグナーの作品で一時引っ張りだこだったテノールのジェイムズ・キング。ジークムントを歌っているような感じで、アリアドネがまるでジークリンデのよう。R.シュトラウスの音楽もワーグナーを意識して作曲したのではないかと思うほど雰囲気が似ている箇所があるのです。

しかし、R.シュトラウスの音楽も素晴らしいです。室内オーケストラほどの編成でありながら、時にフルオーケストラ並みの響きを奏でます。ですが、全体的にはお伽話に相応しい音楽で、R.シュトラウスに対する印象が大きく変わりました。

アリアドネを歌っているグンドゥラ・ヤノヴィッツがまた素敵な声を聴かせてくれます。声が少し若いですね。私が知っているヤノヴィッツはもっと後の時代なので、とても新鮮に感じました。

シルヴィア・ゲスティのツェルビネッタも見事なコロラトゥーラを聴かせます。ハンガリー出身のゲスティは東ドイツで活躍された方なので、西側での録音が少なかった事が悔やまれます(後に西側へ亡命)。素晴らしいソプラノですね! スウィトナーが指揮したモーツァルトのオペラでも歌っていますが、 3年前に惜しくも亡くなられております。

ところで私が一番驚いたのはバリトン歌手でもっとも贔屓にしているヘルマン・プライがこの作品に参加していた事。聴く前、歌手陣の名前は主役クラスしか注意して見ていなかったのです。
・・・が、

途中で、「あれ? この声ってヘルマン・プライじゃないのかなぁ?」と思ってインレットの配役欄を見直してみると、下の方に記述があるではないですか。ハルレキンというチョイ役にヘルマン・プライの名前がありました。やはり! プライ参加でこの録音の価値が一段上がりましたね。(笑)

ケンペ生誕110周年を記念したディスクですが、TOWER RECORDSさんは埋もれ気味になっている貴重な録音を復刻してくれますので、これからも期待しています。

2021年4月18日 (日)

SACDを楽しむ(13)

5276

BALLADS

ジョン・コルトレーン

録音 : 1961年、1962年

ESOTERIC ESSI-90133

少し前に発売されたESOTERICさんの米インパルスレーベルの人気盤を6枚集めたSACD BOXです。今日はその中の5枚をご紹介します。もう1枚「ジョン・コルトレーン・アンド・ジョニー・ハートマン」もこのBOXに入っているのですが、以前別件で取り上げていますので、今日はカットしました。

コルトレーンの「バラード」はジャズファンにはお馴染みの録音で、知らない方はいらっしゃらないかと。インパルスのコルトレーンは取っ付きづらいアルバムが結構あるのですが、これは別。やはりコルトレーンのバラードは格別です。

5277

ON IMPULSE!

ソニー・ロリンズ

録音 : 1965年

ESOTERIC ESSI-90134

嘗てオリジナル盤を持っていたのですが、大分前に売却しています。なので、オリジナル盤と音を聴き比べられないのですが、これだけを聴いている分には不満はありません。朗々と吹きまくるロリンズを味わえる事に変わりはないですね。

5278

OUT OF THE AFTERNOON

ロイ・ヘインズ

録音 : 1962年

ESOTERIC ESSI-90135

ドラムのロイ・ヘインズにとっての代表盤。しかし、私は一度もレコード、CDを購入した事がないので、自宅で聴くのは初めて。ジャズ喫茶で聴いた事は勿論ありますけど。ロイ・ヘインズのリーダーアルバムとは言っても、本人は少々控えめのリーダー作ですね。

5279

THE BLUES AND THE ABSTRACT TRUTH

オリバー・ネルソン

録音 : 1961年

ESOTERIC ESSI-90136

こちらも有名ですが、私はこのSACDで聴くのが初めてでした。もしかしたら、ジャズ喫茶で一度くらい聴いた事があるかもしれませんが、まったく記憶にありません。

つくづくジャズも自分は狭い範囲しか聴いていない事を実感。

5280

AND THE KANSAS CITY 7

カウント・ベイシー

録音 : 1962年

ESOTERIC ESSI-90137

このアルバムはもう・・・私の愛聴盤です。レコード、CDと、ずっと以前から聴いて来ています。ESOTERIC盤のリマスタリングもなかなか良いと思います。

ESOTERICさんのシリーズ、やはりデジタル録音の音源よりアナログ録音の音源を使って今後も続けて頂きたいと個人的には思っています。勿論クラシックの分野ですが。

2021年3月20日 (土)

SACDを楽しむ(12)

5157

ヴィヴァルディ/ヴァイオリン協奏曲集「四季」
ヴィヴァルディ/協奏曲集「調和の幻想」作品3から

フェリックス・アーヨ(独奏ヴァイオリン)
イ・ムジチ合奏団
ESOTERIC ESSD-90238

まさかESOTERICさんからイ・ムジチ合奏団の「四季」が発売されるとは思いませんでした。ヴィヴァルディのファゴット協奏曲集の記事の中でも述べておりますが、クラシック音楽を聴き始めた頃(18歳)に何度も聴いていた演奏なのです。

当時アルバイトで貯めたお金に不足分を父が出してくれた事で購入出来た、懐かしいステレオの音とは違うような気がするなぁ(当然ですが)・・・などと思い出しながら聴いていました。演奏は今聴いても素晴らしいですね。自分にとって、「四季」の原点と言えるでしょう。

現在、拙宅にはカラヤンの新旧二つの録音、ミュンヒンガー盤、チョン・キョンファ独奏盤の「四季」が有りますが、改めて「四季」についてはイ・ムジチ合奏団がベストという感想です。

ミケルッチ独奏の新盤も聴いた事がありますが、イ・ムジチ合奏団の「四季」は今日ご紹介のフェリックス・アーヨ独奏盤が自分の好みに合います。

尚、DECCAのマークが付いていますが、オリジナル録音はPHILIPSです。PHILIPSがDECCAに吸収された事によります。

5158

Accuphase Special Sound Selection 3(非売品)

1. ワーグナー/楽劇「ワルキューレ」〜ワルキューレの騎行
2. ショパン/幻想即興曲
3. ベートーヴェン/ヴァイオリン・ソナタ「春」〜第4楽章
4. プッチーニ/歌劇「ジャンニ・スキッキ」〜私のお父さん
他 全15曲

5159

Accuphase Special Sound Selection 4(非売品)

1. チャイコフスキー/バレエ「くるみ割り人形」〜ロシアの踊り
2. ベッリーニ/歌劇「ノルマ」〜清らかな女神よ
3. チャイコフスキー/バレエ「白鳥の湖」〜情景 ピアノ連弾版
4. モーツァルト/セレナーデ「グラン・パルティータ」〜フィナーレ
他 全17曲

以上二枚はアキュフェーズ製のSACDですが、オーディオ機器の音のチェック用に国内外のレコード会社から版権を買って製作しています。

以前、1と2をご紹介していますが、私もこれらのディスクで自分の装置のチェックに時々使っております。さすがに三次元的響きが聴こえる優秀な録音ばかりが散りばめられていますね。

5160

ヨハン・シュトラウス名演集

1. ワルツ「ウィーンの森の物語」
2. ワルツ「ウィーン気質」
3. トリッチ・トラッチ・ポルカ
4. シャンペン・ポルカ
5. ワルツ「南国のバラ」
6. 宝のワルツ
7. ワルツ「酒、女、歌」
8. 常動曲

カール・シューリヒト 指揮
ウィーン国立歌劇場管弦楽団
TOWER RECORDS TWSA-1004

私がシュトラウスファミリーのウィンナワルツが大好きになった切っ掛けを作ってくれた演奏です。勿論このSACDを聴いて、という事ではなく初めて聴いたのはレコードです。

会員制のレコードクラブから毎月送られて来るレコードの中にこの演奏があり、当時は指揮者カール・シューリヒトに知識がなく、二流、三流の指揮者だろうなんて思っていたものです。(^^;

演奏が良いのかどうかなんて最初の頃は分かりませんでしたが、ワルツやポルカの楽しさをシューリヒトの指揮によって教えられた結果になったのです。ワルツに耳が肥えた今(笑)、じっくりシューリヒトの演奏を聴いてみると、なかなか味があってシューリヒトらしい一見飄々とした感じを受けますが、大好きな「南国のバラ」も良いですし、「ウィーン気質」も楽しめます。

改めて申すまでもない事ですがウィーン国立歌劇場管弦楽団というのは、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の母体です。

5161

モーツァルト/クラリネット五重奏曲
ブラームス/クラリネット五重奏曲

レオポルト・ウラッハ(クラリネット)
ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団
ESOTERIC ESSW-90232

この演奏もまさかESOTERICさんから発売されるとは「四季」以上に思いませんでした。オリジナルは米ウェストミンスターレーベル(1949年設立のマイナーレーベル)ですが、親会社が二度三度と転々としている間にマスターテープが行方不明になってしまった事で有名な演奏なのです。

米ウェストミンスターのオリジナル盤(モーツァルトの方)は多少状態が悪くても中古市場では数万円、状態が良ければ10万円を超える金額が付けられています。LPレコードとしては例外的に稀少価値のあるレコードだと私も思います。何でもかんでも稀少価値が有るように見せてボッタクリ価格を付ける何処かの通販サイトとはまったく意味合いが異なります。

録音(1951年)が古いですから、既に著作権が切れた時点でオリジナル盤からダビングしたレコードが発売されています。実は私もそのレコード(ワーナーパイオニア盤)でウィーン・フィルの首席クラリネット奏者だったウラッハによる、モーツァルトのクラリネット五重奏曲を愛聴していたのです。

ところが、もう大分経ちますが、発売権を持っているMCAビクターがロスに在る倉庫でマスターテープを見つけたのです。で、ようやくマスターテープ起こしのCDが世に出ました。ESOTERICさんのSACDもそのマスターからのSACD化との事。マスターテープが見つかった事で、オリジナル盤の価値は多少落ちるのでしょうか?

このSACD入手後、オリジナル盤からダビングしたレコードとSACDとで聴き比べてみました。そうしたらSACDも良い雰囲気の音になっています。ダビング盤に負けません。マスターテープが発見されたとは言え、録音が1951年ですから磁気テープ特有の経年劣化も有るでしょう。テープがバリバリ新鮮なうちにレコードになったオリジナル盤からのダビング盤も結構いけてます。(^^)

それでも、これからはSACDで聴く事になるでしょう。余談ですが、イ・ムジチ合奏団の中古レコードを探していた時、私も持っているオリジナル盤からダビングしたワーナーパイオニア盤を二枚見ました。多分、オリジナルテープからのESOTERIC製SACDが発売されたので、それまで持っていたダビング盤を所有者の方は手放したのではないかと推測します。

2020年11月19日 (木)

SACDを楽しむ(11)

4790

サラ・ヴォーン・ウィズ・クリフォード・ブラウン

1. バードランドの子守唄
2. パリの四月
3. ヒーズ・マイ・ガイ
4. ジム
5. ユーアー・ノット・ザ・カインド
6. エンプレイサブル・ユー
他 全9曲

サラ・ヴォーン(ヴォーカル)
クリフォード・ブラウン(トランペット)
ハービー・マン(フルート)
ポール・クイニシェット(テナー・サックス)
ジミー・ジョーンズ(ピアノ)
ジョー・ベンジャミン(ベース)
ロイ・ヘインズ(ドラムス)
1954年12月18日、ニューヨークで録音
ESOTERIC ESSE-90223

今日は珍しくジャズのSACDです。それも大分前の録音、しかもステレオではなくモノラル。

モダンジャズ全盛期、米エマーシー・レーベルに録音された一連のクリフォード・ブラウンの演奏は、私如きがあれこれくっちゃべる必要はないですね。ジャズファンなら誰もが知っている名盤揃いですから。

サラ・ヴォーンの名唱にクリフォード・ブラウンのトランペットが絡むこの名盤ですが、実を申しますと私はこのSACDで初めて聴きました。次のダイナ・ワシントンも。(^^;

ジャズを聞き始めてしばらくはジャズヴォーカルって苦手だったのです。ですから一連のエマーシーの録音もコンボ編成の盤しか購入していなかったのです。黒人歌手の独特な発声と声質がダメだったみたいです。

4791

ダイナ・ワシントン・ウィズ・クリフォード・ブラウン

1. 恋人よ我に帰れ
2. アローン・トゥゲザー
3. サマータイム
4. 降っても晴れても
5. ノー・モア
6. アイヴ・ガット・ユー・アンダー・マイ・スキン
他 全8曲

ダイナ・ワシントン(ヴォーカル)
クリフォード・ブラウン(トランペット)
ハーブ・ゲラー(アルト・サックス)
ハロルド・ランド(テナー・サックス)
リッチー・パウエル(ピアノ)
ジョージ・モロウ(ベース)
マックス・ローチ(ドラムス)他
1954年8月3日、ロスアンジェルスで録音
ESOTERIC ESSE-90224

ですからジャズヴォーカルはジャズを聴き始めてから大分経って、それも白人女性歌手から少しずつ聴けるようになり、いつからか黒人歌手も聴けるようになったのです。なので、今では男女問わず黒人歌手のジャズヴォーカルは大好きです。(^^)

サラ・ヴォーン、最高です!(笑)

ダイナ・ワシントンの当録音は、エマーシー・レーベルと関係の深いミュージシャンをレコーディング・スタジオに集めての公開ジャムセッションです。

有名曲が並んでいます。私の好きな曲も入っていますし、楽しいジャムセッションの様子が伝わって来ます。

4792

クリフォード・ブラウン・アンド・マックス・ローチ

1. デライラ
2. パリジャン・ソロウフェア
3. ザ・ブルース・ウォーク
4. ダフード
5. ジョイ・スプリング
6. ジョードゥ
7. ここにいるのは何故?

クリフォード・ブラウン(トランペット)
ハロルド・ランド(テナー・サックス)
リッチー・パウエル(ピアノ)
ジョージ・モロウ(ベース)
マックス・ローチ(ドラムス)
1954年8月、ロスアンジェルス、1955年2月、ニューヨークで録音
ESOTERIC ESSE-90225

思えばエマーシー・レーベルで最初に購入したレコードがこの録音でした。A面B面とも当時気に入って何度も聴いていたジャズの愛聴盤でした。

最近、ESOTERICさんからエマーシーの名盤4枚が纏めてSACD化されて発売。クリフォード・ブラウンファンとしては嬉しい出来事でした。

「ジョードゥ」の演奏が大好きで、メロディを思わず口ずさんでしまいます。(^^)

4793

スタディ・イン・ブラウン

1. チェロキー
2. ジャッキー
3. スウィンギン
4. ランズ・エンド
5. ジョージのジレンマ
6. サンドゥ
他 全9曲

クリフォード・ブラウン(トランペット)
ハロルド・ランド(テナー・サックス)
リッチー・パウエル(ピアノ)
ジョージ・モロウ(ベース)
マックス・ローチ(ドラムス)
1955年12月、ニューヨークで録音
ESOTERIC ESSE-90226

クリフォード・ブラウンは若くして自動車事故で亡くなられたわけですが、もし無事に演奏活動を長く続ける事が出来ていたら、数々の名演奏を残していたでしょうね。

それを思うと実に残念であります。ジャズファンは彼が残した録音を楽しむほかありません。

尚、今日ご紹介した4枚の他にエマーシー・レーベルには、超・・・超有名盤が有りますね。「ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン」です。そちらは以前、ESOTERICさんからすでにSACD化されていますので念のため。残念ながらそのSACDは持っていないのです。