2017年1月27日 (金)

映画「武士の一分」山田洋次監督作品

Bushi

映画「武士の一分」2006年度 山田洋次監督作品

出演 : 木村拓哉、檀れい、笹野高史、坂東三津五郎、緒形拳、小林稔侍、桃井かおり、大地康雄、赤塚真人 他
原作 : 藤沢周平
脚本 : 山田洋次、平松恵美子、山本一郎
音楽 : 冨田勲
監督 : 山田洋次
製作 : 「武士の一分」製作委員会
配給 : 松竹

久しぶりに映画の記事です。しかし、あいも変わらず山田洋次監督作品です。(^^;

山田洋次監督の本格時代劇三部作のうち、「たそがれ清兵衛」と「隠し剣 鬼の爪」は大分前にご紹介済みですが、三部作最後の作品「武士の一分」を今日は。

昨秋、人気アイドルグループ「SMAP」の解散が話題になっていましたが、メンバーの一人、木村拓哉さんを山田洋次監督はこの映画の主役に抜擢しております。テレビのラブロマンス的ドラマで高視聴率を上げていた木村拓哉さん。しかし、製作が発表された時、正直・・・「え!?」と思ったものです。

どうも木村拓哉さんと時代劇が私には結び付かなかったのです。ですが、山田洋次さんの作品です。公開と同時に私は劇場に足を運びました。で、主役の木村拓哉さん、カツラがイマイチ合わないような。(^^;

ただし、映画作品としては第一級の素晴らしい出来上がりです。そもそも山田洋次監督作品に駄作はありませんから。何より、檀れいさんが素晴らしい妻役を演じております。私はこの作品を観て、檀れいさんのファンになりました。(笑)

宝塚の娘役としてのトップスターだった彼女は、この作品で銀幕デビュー。と同時に、この作品で日本アカデミー賞優秀主演女優賞と新人俳優賞のダブル受賞をしています。山田洋次監督作品に出演して、その後あちこちで引っ張り凧になった俳優、女優さんは枚挙にいとまがありません。檀れいさんも例外ではないですよね。余談ですが金麦のテレビCM、最高です。(^^)

時代劇とはいっても山田作品ですから、今回も「家族」を描いています。

現在の山形県と思われる海坂藩。藩主のお毒味役である三村新之丞(木村拓哉さん)は或る日、毒味で食べた貝の毒にあたり、失明してしまう。もし、失明が原因で家禄を解かれたら、と心配になった親戚縁者は、妻の加世(檀れいさん)に何とかしてもらうよう番頭の島田藤弥(坂東三津五郎さん)に頼んでみろ、と。気は進まないものの、仕方なしに加世は島田の屋敷へ向かう。

とまぁ、物語の発端はこういう感じです。

時代劇三部作、どれも感動する良い作品群ですが、この「武士の一分」も観終わった後には熱い感動が残りました。実はこの作品、私はすでに五回は観ています。(^^;

私、好きな作品は繰り返し何度も観る習性がありまして・・・(笑)
特に山田洋次監督作品と007シリーズは本当に繰り返し、自宅で観ています。「武士の一分」は音声が5.1chで収録されておりますので、臨場感たっぷり。雷鳴のシーンや雨のシーンでは自分がそこにいるような錯覚すら覚えます。

何より冨田勲さんの音楽が素晴らしく、映画をより一層盛り上げてくれます。やはり映画は音楽に魅力が感じられませんと楽しみが半減しますからね。

三村新之丞にとっての「一分(いちぶん)」とは何か。それはクライマックスに向けて重い意味が込められているのです。

熱い感動が残るこの作品、レンタルでも結構ですから是非ご覧になるようお勧め致します。

2016年8月29日 (月)

男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日

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松竹映画「男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日」1988年12月公開

出演 : 渥美清、三田佳子、倍賞千恵子、下條正巳、三崎千恵子、前田吟、三田寛子、吉岡秀隆、すまけい、尾美としのり、鈴木光枝、佐藤蛾次郎、笠智衆 他
脚本 : 山田洋次、朝間義隆
音楽 : 山本直純
監督 : 山田洋次

小諸なる古城のほとり 雲白く遊子悲しむ(島崎藤村)

今年8月4日は、渥美清さんがお亡くなりになって20年になるそうです。NHK-BSでは特集番組が組まれ、寅さん映画も何本かまとめて放映されましたね。

そこで私も久し振りにディスクを取り出し、今日ご紹介の作品を見ました。もう何回か見ているのですが、シリーズの中でも叙情的で好きな作品です。

舞台は信州小諸。一人暮らしの老婆(鈴木光枝さん)と小諸駅前で知り合った寅さん。老婆のご好意で一晩泊めてもらうと、小諸病院の女医である真知子(三田佳子さん)が翌朝、入院させるため迎えに来ます。しかし老婆は「病院は嫌だ、家で死にたい」と言うも、寅さんのひと言で入院する事に。

病室で老婆が寅さんに、「寅さん、あの先生もな・・・旦那さんと死に別れて寂しく暮らしてるだ。あんた慰めてあげてくれや。おらにしてくれたようにな」と。

それを聞いた寅さん、途端に元気に・・・(^^)

この作品、抱腹絶倒、爆笑の合間合間に、命の尊厳、そして誰しもが年老いてから向き合わなければならない「死」という問題に対し、山田洋次監督が映画を見ている我々に問い掛けをしているように思います。

真知子が運転する車に乗り込むシーン、老婆はじっと我が家を見つめ、「これが家、見納めだ・・・」と、涙ぐむ。老婆は死ぬなら家で死にたいと言っていたのです。

老婆の処遇に悩んでいた真知子が病院長(すまけいさん)に自分の気持ちを吐露した言葉に重みがあります。

「人生の最後をどう迎えるかを選ぶのは、その人の権利じゃないでしょうか?」

このシーンは胸にジーンと来ました。私の父は生前、自分で自分の事を出来なくなったら、自分で自分の命を絶つものだ、と言ってました。或る意味、昔の武士道精神でしょうか。
結局、父は自宅ではなく、病室で最後を迎えてしまいましたが、私は未だに家で最後を迎えさせてあげたかったという思いが残っています。

閑話休題 作品のタイトルはベストセラーになった俵万智さんの歌集「サラダ記念日」から来ているわけですが、ストーリーの途中途中に俵万智さんがこの映画のために書いた短歌が字幕で出て来ます。

ひょんな事から早稲田大学の教室に紛れ込んでしまったシーン、ここはもう大爆笑です。三國一郎さん演じる大学教授がまた良い味を出しています。

寅さんが早稲田の杜にあらわれて
やさしくなった午後の教室

小諸病院(実在します)の女医さんを演じている三田佳子さんも素敵ですね。映画の最後、おいちゃんやおばちゃんたちはまた寅さんがふられたと思うわけですが、実際は三田佳子さん演じる真知子の方が寅さんに想いを寄せていたのではないか、私はそう思いました。(^^)

寅さんが老婆の葬儀を終えて真知子が留守にしている間に家を去る時、真知子の姪の由紀に残す言葉、「いいか由紀ちゃん(三田寛子さん)、叔母様は女だ。悲しい事や辛い事があった時に、ちゃあ〜んと筋道を立てて、どうしたらいいかな?と考えてくれる男(ひと)が必要なんだよ。由紀ちゃん、そういう人探してやんな」と。すると由紀が、

「でも・・・その人が寅さんじゃいけないの?」との言葉に、寅さんは由紀がこしらえたサラダをひと口食べて真知子宅を去ります。

寅さんが「この味いいね」と言ったから
師走六日は「サラダ記念日」

旅立ってゆくのはいつも男にて
カッコよすぎる背中見ている

劇中、大学受験で悩んでいる満男(吉岡秀隆さん)が寅さんに、「大学に行くのは何のためかな〜?」と問い掛けるところがあるのですが、ここで山田洋次監督はとても良い事を言ってますね。もちろんその問い掛けに対する答えを寅さんが言うわけですが、さすが山田洋次監督! という思いです。

この事が、由紀とのやり取りの伏線になっているわけですが。

そこで名言を残した寅さんが、「久し振りにきちんとした事考えたら、頭痛くなっちゃった・・・」と。笑いました。(^^)
でも、山田洋次監督の言葉に相応しい大学生、今・・・どのくらい居るのでしょうか?

爆笑の連続の中に重い問題を問い掛けた本作品、是非ご覧になって頂きたいです。ひなびた小諸の町も素敵です。山本直純さんの音楽がまた各シーンにピッタリで。

文中の短歌はもちろん映画に合わせて俵万智さんが詠まれたものです。

2016年3月26日 (土)

「家族はつらいよ」山田洋次監督作品

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松竹映画「家族はつらいよ」

出演 : 橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優、小林稔侍、風吹ジュン、笹野高史、笑福亭鶴瓶 他
脚本 : 山田洋次、平松恵美子
音楽 : 久石讓
監督 : 山田洋次

現在、全国の劇場で公開中

悲劇と喜劇は背中合わせ。そういう事を改めて思わせてくれた作品です。久々に映画を観て笑わせて頂きました。「母と暮せば」で山田洋次監督は、戦争や原爆に触れたシリアスなドラマを作り上げたわけですが、その後に喜劇を持って来るという、何か山田洋次監督らしさを私は感じました。

一貫して「家族」を描き続けて来た山田洋次監督ですから、今回も変わらず「家族」がテーマです。極々平和な三世代家族と思われていた平田周造(橋爪功さん)一家。妻である富子(吉行和子さん)への誕生日プレゼントとして欲しいものを周造が尋ねると、富子は周造に「450円のプレゼントをお願い」と申し出ます。

「450円?」と訝しげに思う周造。すると富子は自分への誕生日プレゼントはこれをお願いしますと、すでに自分は署名捺印を済ませている「離婚届」を周造の前に突きつけるのです。びっくり仰天の周造!

おまけに長女・成子(中嶋朋子さん)が夫と別れたいと実家である平田家に泣きついてくる始末。(笑)
成子を追い掛けて来た夫の泰蔵(林家正蔵さん)が周造に執り成しを願い出るも、周造自身も妻から離婚を申し出られていると暴露し、平田家は大変な騒ぎに。(^^)

さて、世のご主人様。妻から誕生日プレゼントととして離婚届に判を押してくださいと言われたら、どうします?(^^)

笑えたのが富子のこの言葉。
「あなたと一緒にいる事が私のストレスなの!」

何十年も不満ひとつ言わず、健気に夫に尽くして来た、言わば古き良き時代の「日本の妻」を務めて来た富子だからこそ重みを感じるこの言葉。

しかし、最後は山田洋次監督らしい結末です。既婚者も未婚者も、男性も女性も、是非観て頂きたい問題作です。(笑)

ところどころ、寅さんシリーズを思い起こさせるシーン(例 : 周造が階段でこけたり)もありますし、何気なく背景に「東京家族」のポスターが貼られていたり。(^^;

その名作「東京家族」の出演者でコメディーを作ってしまうという・・・、山田洋次監督ならではの発想ですね。(^^)

そうそう、メインタイトルのアニメーションはイラストレーター横尾忠則さんの手によるものですが、その後の平田家の騒動を暗示させる面白い作りでした。

2016年1月20日 (水)

松竹映画「母と暮せば」

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山田洋次監督作品

松竹映画「母と暮せば」2015年度作品

出演 : 吉永小百合、二宮和也、黒木華、加藤健一、浅野忠信、橋爪功、広岡由里子、小林稔侍、本田望結 他
脚本 : 山田洋次、平松恵美子
音楽 : 坂本龍一
監督 : 山田洋次

実に哀しい映画でした。山田洋次監督が或る家族を通した「反戦映画」と言えるのではないでしょうか。反戦をテーマにした映画は数あれど、この映画ほど強烈な印象の残る作品は今迄観た記憶がありません。

山田洋次監督作品、本来ならば公開(昨年12月封切)と同時に観に行くのが常でしたが、本作品は内容が重そうに感じて、いつもより劇場へ足を運ぶのが遅くなりました。しかし、いざ観てみれば、上映時間の約二時間が非常に短く感じたのです。それだけこの作品に入り込んでいたという事ですね。

映画は1945年8月9日、米軍のB29が長崎に原爆を投下するところから始まります。当初の投下予定地は小倉だったのですが、雲に阻まれて小倉の町が見えなかったため、第二目標の長崎に変更されたのです。その原爆によって助産婦をしながら息子、浩二(二宮和也さん)の成長を見守る母、福原伸子(吉永小百合さん)は最愛の息子を亡くす事になるのです。

夫を結核で亡くし、浩二の兄(長男)はビルマで戦死し、伸子に残されたのは浩二だけ。その浩二も今度は原爆で・・・。悲しみに暮れる伸子。ところが三年後の或る日、伸子にだけ見える浩二が現れたのです。

物語はこのくらいにしておきますが、浩二の恋人、町子を演じる黒木華さんが本作品でも良かったですねぇ・・・。「小さいおうち」で初めて見た女優さんですが、どこにでもいる女性のように思わせてくれる自然な感じが私は好感を感じます。

「上海のおじさん」を演じる加藤健一さんですが、名前に記憶がありました。山田洋次さんが脚本を書いた映画「椿姫」に松坂慶子さんと共に主演していた俳優さんでした。ヴェルディの歌劇「椿姫」を下敷きに山田洋次さんが見事な脚本を書いた作品で、未だにディスク化されないのが不思議です。

ところで上海のおじさんの役、実に豪快で憎めないキャラクターですが、もし・・・すまけいさんがご存命だったら山田洋次監督、多分この役に抜擢していたのではないかと、映画を観ている間ずっと思っていました。過去、山田作品で演じていた、すまけいさんのキャラクターにどんぴしゃりだからです。

吉永小百合さんの演技の素晴らしさは言うまでもありませんね。

さて、劇中で浩二が『自分が死んだのは「運命」によるもの』という言葉に対し、伸子が発するセリフ、「運命なんかではない。人が用意周到に考えたモノによる悲劇なのよ」。

これがこの映画で山田洋次監督が言いたかった「核と戦争」に対する痛烈な批判ではないかと私は思いました。

坂本龍一さんの音楽も良かったです。エンドタイトルでの「鎮魂歌」の合唱も胸に響きました。そして最後に小さく長崎平和公園の平和祈念像が出ていたのがとても印象に残っています。

是非、一人でも多くの方にご覧頂きたい名作です。

この後、山田洋次監督作品がもう一本控えておりますよ。その映画のタイトルは「家族はつらいよ」です。名作「東京家族」の出演者による喜劇だそうで、楽しみです。

2015年12月15日 (火)

映画「007は二度死ぬ」

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007は二度死ぬ(原題 : YOU ONLY LIVE TWICE)
(1967年公開、シリーズ第5作)

製作 : イオン・プロダクション
(ハリー・サルツマン、アルバート・R・ブロッコリ)

原作 : イアン・フレミング
音楽 : ジョン・バリー
主題歌 : ナンシー・シナトラ
監督 : ルイス・ギルバート

出演 : ショーン・コネリー、丹波哲郎、若林映子、浜美枝、ドナルド・プレザンス、島田テル、カリン・ドール、バーナード・リー、デスモンド・リュウェリン、ロイス・マクスウェル 他

またまた超〜古い007映画のご紹介です。雨の日曜日、実はまた市販のBlu-rayソフトでこの映画を見ました。(^^;

ご存じない方のために申しますと、24本作られたシリーズの中で、唯一日本が舞台となった作品なのです。劇中、日本語も幾つかのシーンで聞こえて参ります。

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物語はジェイムズ・ボンドが暗殺されるシーンから始まります。もちろん敵国を欺く偽装ですが。

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このシリーズはボンドの上司、"M"の秘書であるミス・マネー・ペニーとのコミカルな会話が私は好きなんです。現在のダニエル・クレイグになってからはこういうシーンが無くなって、非常に残念です。

ロイス・マクスウェル演じるミス・マネー・ペニーは品があって良かったですねぇ・・・(^^)

これは日本に向かった英国海軍潜水艦でのワンシーンです。「自分の葬式」のために潜水艦への到着が遅れたという笑える演出。

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ところでこの作品、原作の小説とは似ても似つかぬストーリーになっています。当初原作を生かした脚本を書き上げたものの、製作者が日本に来てみると原作に描かれた日本とあまりの違いに驚き、改めて映画用の脚本を新規に書き直したとの事です。

原作者のイアン・フレミングは1950年代の日本を見て小説を書いておりますので、東京オリンピックを境に近代国家として経済が発展していた映画製作当時の日本とは、それはもう違いが大き過ぎたでしょうね。

映画は米ソの宇宙ロケットが突如行方不明となる事態が発生。ロケットがどうやら日本付近に降りている事を英国情報部がキャッチし、日本へボンドが派遣されるところから始まります。

国技館で日本の情報員、アキ(若林映子さん)と接触。ちなみに国技館でのこの撮影、観客はすべて一般募集したエキストラだそうです。当時の人気を物語っていますね。(^^)

若林映子さん、お綺麗ですね。手前大きな背中がボンド。

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ロケットが降りたとみられる地点付近を情報部の"Q"が持参した組み立て式の一人乗りジェットコプターで探索中、スペクターのヘリコプターから攻撃を受け、空中戦が始まります。

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このシーンで流れて来るのがオリジナル・バージョン(第1作、007/ドクター・ノオ)のジェイムズ・ボンドのテーマ。これがもう・・・映像にピッタリ嵌って、見ている私はアドレナリンが・・・(笑)

ロケ場所は阿蘇山などが使われています。この一人乗りジェットコプター、個人所有のものを借りて映画に使ったそうです。ですから実際の操縦は所有者ご本人です。

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捕らわれたボンドの前に、初めて顔を見せるスペクターの首領、エルンスト・スタヴロ・ブロフェルド。

しかし、山の火口下に作られているという設定のスペクターのロケット基地。このセットが凄いです。如何にもお金が掛かっている事が映画を見ると分かります。プロダクションがロンドンに持っている広大な屋外スタジオ(通称007スタジオ)にセットを組んでの撮影。

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ロケット発射準備中に流れるジョン・バリーの音楽がまた素晴らしく、緊張感が嫌がうえにも高まります。

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ヘリコプターが降りた火口を調べるボンドと日本の情報員、キッシー鈴木(浜美枝さん)。

ネタばらしをしちゃいますと、浜美枝さんは英語がまったくダメ。ロンドンで特訓を積んだものの、プロデューサーからダメ出しされ、丹波哲郎さんに日本へ帰るよう促したそうです。ところが浜美枝さんが「日本へ帰るくらいならここ(滞在先のホテル)から飛び降りる!」と丹波哲郎さんを脅したそうです。(徹子の部屋での丹波哲郎さんの談話)

仕方ないので、プロデューサーは若林映子さんと役を入れ替える事にしました。当初は若林映子さんがキッシー・鈴木役だったのです。この役の方がセリフが少ないからだそうですが、更にダメ押しで浜美枝さんのセリフはすべて吹き替えにする事に決定。ですから劇中で浜美枝さんが英語で話すシーンは本人の声ではありません。(^^;

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日本の情報部長、タイガー田中(丹波哲郎さん)率いる精鋭部隊がスペクターの基地に総攻撃するシーンです。

とまぁ、詳しいストーリーは省略しましたが、お話し自体は荒唐無稽とも言うべき作品で、本来持っている原作のイメージからは遠く離れた映画的効果を考えた作りになっています。しかし、プロデューサーはこれを反省し、次回作「女王陛下の007」では原作を見事に生かした優れた作品に仕上げました。

劇中、ボンドカー(若林映子さん運転)として登場するのはトヨタ 2000GTです。今見ても古さを感じさせない素晴らしいデザインのスポーツカーだと思います。
スペクターの一員、大里(島田テルさん)が経営する「大里化学」の本社ビルに使われたのが「ホテル オークラ」です。

銀座通りも出て来ますが、まるで東南アジアの国のように見えます。(^^;
タイガー田中の移動手段は専用の地下鉄。そうそう、第1作からこの第5作まで、エンドシーンは海や川など、必ず水のあるところで終わっているのが面白いです。(^^)

本作のラストシーン、その水のあるところで終わるのですが、なかなか笑えます。(^^)v

テレビ放送の日本語吹き替えでは"M"の指示に対し、マネーペニーが「ひっぱたいてやりますわ」で終わったのがとても印象的でした。その理由はこの作品をご覧頂ければお分かりになります。(^^)

※ 劇中の映像写真は今回も市販Blu-rayソフトから使わせて頂きました。

2015年11月29日 (日)

映画「007/スペクター」

Spectre

007/スペクター(IMAX版)

2015年、シリーズ第24作

イオン・プロダクション製作

原作 : イアン・フレミング
音楽 : トーマス・ニューマン
主題歌 : サム・スミス
監督 : サム・メンデス

出演 : ダニエル・クレイグ、クリストフ・ヴァルツ、レア・セドゥ、ベン・ウィショー、ナオミ・ハリス、レイフ・ファインズ、モニカ・ベルッチ、デイヴ・バウティスタ 他

007シリーズ最新作「007/スペクター」を観て来ました。正式公開は12月4日ですが、少し早く。(^^)

今回の作品、本来なら昨年秋に英国でプレミアが行なわれているはずでしたが、イオン・プロが前作に引き続き監督を依頼したサム・メンデスが他の作品に撮り掛かるため、製作を一年遅らせたそうです。余程イオン・プロはサム・メンデス監督がお気に入りなのでしょうね。

さて今回の最新作は「007/ダイヤモンドは永遠に」以来、久々に登場する謎の組織「スペクター」をボンドが追い詰めるストーリーです。

ただし、007シリーズはダニエル・クレイグのボンドから新シリーズとして映像化されており、第20作までとは完全に訣別しておりますので、今回登場する「スペクター」もショーン・コネリー時代とは繋がりはまったくありません。

ところで、今回の最新作のオープニング、私は感涙ものでした!
何故なら、007シリーズのオープニングと言えば何と言いましてもあの「ガンバレル・シークエンス」から始まってもらわなくては困ります。

Sp007
オープニングシーン

先日の「サンダーボール作戦」でご紹介したこのシーンです。叩きつけるような「ジェイムズ・ボンドのテーマ」と共にボンドがスクリーン右から登場し、こちらに向かって拳銃を撃つ、007ファンならどなたもご存じのオープニングですよね。

ダニエル・クレイグ版ボンドになった最初の作品「カジノロワイヤル」からこのオープニングがカットされていて、実に不満の残る007シリーズでした。

それが今回、このオープニングが復活したのです!(^^)

いや〜・・・実に嬉しかったです。やはり007シリーズはここから始まらないと007を観た気になりません。おそらく、007シリーズファンは拍手喝采だと思います。(笑)

で、今回のお話しは、前作で死を迎えた元上司、Mの遺言(スキアラという男を殺害せよ)に応えるためボンドはメキシコでそのスキアラを追うところから始まります。これがまぁ・・・凄いというか派手というか、手に汗握るとはこういうシーンだと思います。

その男から奪った指輪が・・・。
ボンドはメキシコからイタリア・ローマへ。そしてアルプス、タンジール、アフリカと、謎の組織を追うため東奔西走。

その途中で謎の組織と首領の鍵を握る男を追い掛ける。その男とは「007/慰めの報酬」で逃してしまったMr.ホワイトだった。そこからアルプスへ。

とまぁ、ストーリーの切っ掛けはこういう感じですが、あまり詳しく書き記すとこれから楽しみにご覧になられる方々から石を投げられるのでストーリーに触れるのはこのくらいにしておきます。ただ、結末はまったく考えもしない終わり方でした。えっ!・・・と。σ^_^;

それと、本作のヒロイン役の女優さん、どこかで見た女優さんだなぁと思いながらも、最後まで思い出せませんでした。帰宅後、分かりました。「ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロトコル」で殺し屋の役を演じていた女優さんでした。個性的な目に記憶がありました。^_^;

ところでこの作品、過去の作品のオマージュと思われるシーンが幾つかあります。私が気が付いたところでは「ロシアより愛をこめて」でのオリエント急行のシーン。「ゴールドフィンガー」からゴールドフィンガーの冶金工場に於ける狭い場所でのカーチェイス。「女王陛下の007」でのスイス・アルプス山頂に在ったブロフェルドのアレルギー療養所「ピズ・グロリア」など。これらが最新作のどのシーンに使われているかはご覧になってからのお楽しみという事で。(^^;

最新作を観終わって、私はボンドとスペクターの首領との関係に少し無理があるように感じました。これはまぁ、ご覧になる方によって感じ方に違いはあると思いますが。ボンドが少年時代に過ごした「スカイフォール」の焼け跡から出て来た一枚の写真が大きな伏線となっています。

スカイフォールとは前作「007/スカイフォール」で最後のクライマックスに登場したボンドの実家とも言うべきところです。

そうそう、久々にあの「白い猫」も出て来ますよ。(^^)v

最後に音楽の事を。嘗て、007シリーズと言えばジョン・バリーの音楽は切っても切れない縁で繋がっていました。しかし、そのジョン・バリーもすでに故人となっておりますから、あの音楽は戻って来ません。

「スペクター」も音だけはブンチャカブンチャカ鳴るのですが、耳にまったく残りません。ジョン・バリーが担当していた時は美しいメロディーも、アクションシーンでの派手な音楽も映像に寄り添い、ずっと耳に残ったものですが、クレイグ版007シリーズはいつも音楽に不満が残ります。

音楽が良ければ新007シリーズももっと良くなると思うのですが・・・。

今回も私は「IMAX方式」による上映で観ましたが、大きなスクリーンと鮮明な映像。そして音響も実に素晴らしかったです。それだけに肝心の音楽そのものがもっと良ければ・・・という気持ちが強く残った最新作鑑賞でした。

2015年11月27日 (金)

映画「007/サンダーボール作戦」

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007/サンダーボール作戦(1965年、シリーズ第4作)

イオン・プロダクション製作

原作 : イアン・フレミング(元MI6情報部員)
音楽 : ジョン・バリー
主題歌 : トム・ジョーンズ
監督 : テレンス・ヤング

出演 : ショーン・コネリー、クロディーヌ・オージェ、アドルフォ・チェリ、ルチアナ・パルッツィ、バーナード・リー、デスモンド・リュウェリン、ロイス・マクスウェル 他

007シリーズの最新作「007/スペクター」が12月4日から全国一斉公開されますので、今日は旧作を採り上げます。ご存知ない方のためにご紹介しますと、タイトルに使われている「スペクター」とは007シリーズ初期に登場していたボンドの宿敵である国際的犯罪組織の名前なんです。

第1作「ドクター・ノオ」ではノオ博士が組織の名前を言うだけに終わりますが、第2作「ロシアより愛をこめて」では、スペクターの首領(顔は見せず)が部下に対し、ノオ博士の仇討ちのためボンドを辱しめて暗殺する事を命じるわけです。

第3作「ゴールドフィンガー」では一旦スペクターはお休みし、今日ご紹介する「サンダーボール作戦」でいよいよ全貌を現す事になります。

月曜日の休日、「サンダーボール作戦」をまた見てしまいました。Blu-rayディスクですけど。今見直しても、とても半世紀も前に製作された映画とは思えません。全然古く感じませんです。

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スペクターの会議室

映画はメインタイトルの後、スペクターの会議の模様から始まります。

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部下たちによる作戦の成果報告があった後、幹部のエミリオ・ラルゴ(アドルフォ・チェリ)から原子爆弾2発を積んだNATO(北大西洋条約機構)の訓練機を乗っ取り、NATOに対し1億ポンドの金塊を要求するという作戦計画が明かされる。

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この会議時、顔を隠しているのがスペクターの首領。しかし、本作でも如何なる人物なのか明かされません。その名前すら。

で、日本が舞台となった第5作「007は二度死ぬ」で、ようやくボンドの前に顔を見せ、エルンスト・スタヴロ・ブロフェルドと名乗ります。

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英国秘密情報部(MI6)の会議室

原爆搭載機を奪われ、米英協力して行方不明となった原爆搭載機を捜索する事になり、英国情報部でも最高責任者Mから00(ダブルオー)要員に指令が下るわけです。

椅子が九つ有りますね。ダブルオーナンバーは001〜009まで9人居る事がこのシーンから分かります。^_^

007が一番最後に遅れて入ると、Mから遠回しに嫌味を言われるのですが、ちょっと笑えます。
で、ボンドは或る手掛かりからバハマのナッソーに向かうのです。

この映画はマイアミビーチなど、海のシーンが中心で、透明度の高いその海が実に綺麗です。それを見るだけでもこの映画を見る価値はあると思います。

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詳しいストーリーはもし「見てみようか」、と思われる方がいらっしゃった時のために省略しますが、クライマックスは奪われた原爆を取り返そうとする米国海兵隊とボンド、そしてスペクターとの海中での合戦です。

何しろ海中での撮影です。相当時間が掛かったものと思われます。余程綿密な打ち合わせがないと撮影出来ないでしょう。

原爆を海中で運ぶ水中戦車や一人用の水中スクーター。これらは皆原作に登場してまして、映画のためにわざわざ作ったのですから、凄いです。一番驚くのがラルゴが乗る二つに分離する大きなヨット、ディスコ・ボランテ号です。これも原作通りヨットを造ったのですから、何ともスケールの大きな映画です。

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海中での争いの際、大きなサメが突撃して来るシーンは迫力があります。この映画はサメが至る所で出て来ますよ。^_^;

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さて、やはり007シリーズはここから始まって欲しいですね、ダニエル・クレイグからの新シリーズはエンドタイトルの直前に登場するようになってしまいましたから。

そのクレイグ版ボンドから007も新シリーズとなったわけですが、「カジノロワイヤル」と「慰めの報酬」でボンドの敵が常に我らの「組織」という言葉を発していたので、私は「組織って、もしかしたらスペクターの事?」と、期待を込めて思ったものでしたが、最新作のタイトルはズバリ「スペクター」でした。^_^

やはりボンドの宿敵はスペクターでないと面白さが半減です。そのスペクター、第8作以降は登場していません。その理由を書き記すと長くなるので割愛しますが、「サンダーボール作戦」で映画製作に携わっていないのに、一応プロデューサーとして名前だけクレジットされているケビン・マクローリー氏との訴訟問題が関係しています。

今回ようやく再登場となるスペクター、最新作ではどういう形で登場するのか、ファンとしてはとても楽しみです。「サンダーボール作戦」でラルゴとフィオナ(ルチアナ・パルッツィ)がしていたスペクター党員を現す指輪が最新作の予告編にも出ていましたので、過去の作品との繋がりが果たしてあるのかどうか・・・?

ちなみに原作者のイアン・フレミングは実際に英国の情報部員だった人で、職務を引退後、自身の経験などを元に007シリーズの小説を書いたわけですが、原作には各国の情報組織や幹部が(当時の)実名で書かれているのでリアリティがあります。特に冷戦時代の敵国だったロシアについては実に詳細に記述しています。

また、大きな犯罪組織も実名で登場します。やはり本職だった人が書くものは凄いですね。ですからスペクターもひょっとしたら実在の組織?
なんて思ってしまいます。^_^;

そうそう、「サンダーボール作戦」でフィオナ役を演じるルチアナ・パルッツィというイタリア出身の女優さん。凄い美人で大変色っぽいですねぇ。(*^_^*)

後一つ。Mの秘書であるマネー・ペニー(ロイス・マクスウェル)とボンドとのコミカルな会話がショーン・コネリー時代の作品では面白かったです。初期作品の中での、一服の清涼剤です。^_^

※ 劇中の映像写真は、市販Blu-rayディスクから借用させて頂きました。

2015年8月29日 (土)

映画「アメリカン・スナイパー」

American

「アメリカン・スナイパー」 アメリカ映画(2014年)

原題 : American Sniper

監督 : クリント・イーストウッド
脚本 : ジェイソン・ホール
原作 : クリス・カイル「ネイビー・シールズ最強の狙撃手」(原書房)
撮影 : トム・スターン

出演 : ブラッドリー・クーパー(クリス・カイル)、シエナ・ミラー(タヤ・カイル) 他

配給 : ワーナー・ブラザーズ

市販 Blu-ray Disk で視聴

夏休み、劇場へ「ミッション : インポッシブル」を観に行き、自宅では今日ご紹介のBlu-rayで「アメリカン・スナイパー」を観て、その他レコーダーに録画してあった映画を4本観ました。映画三昧の夏休みです。(笑)

さて、「アメリカン・スナイパー」は劇場公開の時に見逃してしまったので、市販されたBlu-rayを購入して自宅で観る事に。

ひと言感想を申せば、「凄い映画」でした。

クリント・イーストウッド監督が描く「反戦映画」ですね。

この映画はイラク戦争に4回、米兵を守るための狙撃手として従軍した実在の人物、クリス・カイル氏(2013年、射殺され死亡)の自伝を元に映画化されています。

映画のキャッチコピーが「米軍史上最多、160人を射殺した、ひとりの優しい父親」となっています。

私は原作を読んでいませんので、映画を観ただけの感想です。小さい頃から父に狩猟のための射撃を教育されたカイル。アメリカを狙ったテロ行為をテレビで見てしまったカイルは祖国アメリカを守るため、海軍に志願する事に。

厳しい訓練に耐え、射撃の上手いカイルは特殊部隊ネイビー・シールズに配属され、イラクへ。戦地でカイルの狙撃能力が発揮され、多くの米兵の命を守って来た事によって米軍兵からは「レジェンド」として英雄視されるも、敵からは「悪魔」と呼ばれ懸賞金までかけられるほど恐れられた。

しかし、時には幼い子供や女まで狙撃の対象とする事に。繰り返し任務に赴いているうちに、徐々に自分自身の精神が蝕まれてしまいます。帰国する度に傷心する夫を心配し、妻のタヤは除隊して人間らしさを取り戻して欲しいと懇願するも、カイルと家族との溝は深まるばかり。

4回目の赴任の際、オリンピックの射撃で金メダルを取っている敵のスナイパー、ムスタファを射殺せよとの命を受け、壮絶な死闘を繰り広げる事に。

この映画を観ると、当たり前の事ですが、「戦争」というものが如何に人間の心を変えてしまうかが分かります。子供を射殺する時の心の葛藤。カイルにも可愛い子供がいるのです。

除隊後、心の病を患ったカイルは精神科医の治療を受ける。そして、同様に除隊後、心に傷を負って一般社会に馴染めない元軍人たちとの交流を医師から勧められ、カイルも少しずつ人間らしさを取り戻して行くのですが、

元軍人と出掛けた或る日・・・

戦争映画というのはいろいろな描き方がありますが、この映画はひとりの人間の「心」を描いた作品に私は感じ取れました。

クリント・イーストウッド監督らしい、「しみじみとした」作品になっていると思います。是非、ひとりでも多くの方にご覧頂きたいと思います。

安保法案に揺れる我が日本。戦争に正義など無い事をこの映画が語っているように思います。

2015年5月 7日 (木)

「007/スペクター」の事など

Thunderball
007/サンダーボール作戦

今日は久々、映画の話題です。映画と申しましても、まったくの娯楽映画なのですが。

007シリーズの最新作が今秋以降、全世界で公開されます。先ず、10月に全英で公開、11月には全米で公開。そして国内では12月公開予定となっていますので、2016年の正月映画という事になりそうです。

最新第24作のタイトルは・・・、

「007/スペクター(原題 SPECTRE)」に決まったようです。

007シリーズのファンの方々にとって、「スペクター」という言葉には懐かしさを感じるのではないでしょうか。(^^)

「007/ドクター・ノオ」で、ノオ博士が自分が属している組織を「スペクター(幽霊)」と紹介して以来、「007/ゴールドフィンガー」を除いて「007/ダイヤモンドは永遠に」まで、常に主人公ボンドの宿敵として描かれていた国際犯罪組織がスペクターですね。

日本を舞台とした「007は二度死ぬ」で、初めてボスのブロフェルドが顔を見せるという心憎い演出が施されていましたが、それまでは常に猫を抱いている様子は見えるものの、顔は隠されていました。ただ、ブロフェルドが死んだとされる「007/ダイヤモンドは永遠に」以降、スペクターは登場する事がありませんでしたが、それは「名称の権利関係」が影響して本家のイオン・プロダクションがその名前を使えなくなったから、という事が伝わっています。

元々「スペクター」という国際的組織が登場したのは原作者のイアン・フレミング(本物の元MI6情報員でした)と、ケビン・マクローリーという人との、映画化(イオン・プロの007シリーズが登場する以前)を想定した共同脚本(題名:THUNDERBALL)に登場したのが最初なのです。しかし、映画化権を買ってくれる映画会社はなく、その共同脚本は日の目を見る事なく、消えてしまったわけです。

そこでイアン・フレミングは改めて小説として自分ひとりで書き直し、007シリーズに加えたわけです。その後、一連のシリーズが映画プロデューサーのハリー・サルツマンとアルバート・R・ブロッコリ(イオン・プロダクション)の目に止まり、第1作「カジノロワイヤル」以外の全原作の映画権を取得し、ショーン・コネリーをボンド役とした「ドクター・ノオ(Dr.No)」が映画化されたわけです。
ちなみに「カジノロワイヤル」の映画化権は先に米コロンビア映画が取得していました。

さて、イオン・プロによる「サンダーボール作戦」が映画化される際、嘗てフレミングと共に映画化目的で共同執筆したケビン・マクローリーが「サンダーボール作戦」の権利は半分自分にある、という事で訴訟を起こされたらしいですね。

結局、映画「007/サンダーボール作戦」のメインタイトルにプロデューサーとしてケビン・マクローリーの名前を表示する事と、ケビン・マクローリー自身による(サンダーボール作戦の)映画化は10年以上間をおく、という事で和解したらしいです。と同時に、「スペクター」という名前を使う権利もケビン・マクローリーにあるという。

で、本家イオン・プロによる「007/サンダーボール作戦」とは別に、ケビン・マクローリーはボンド役をすでに引退していたショーン・コネリーを起用して、サンダーボール作戦を後に映画化しています。映画化時のタイトルは「007/ネバーセイ・ネバーアゲイン」です。以前、この映画はここで採り上げておりますね。

ダニエル・クレイグのボンド役から新シリーズとなった007シリーズですが、

007/カジノロワイヤル(2006年)
007/慰めの報酬(2008年)
007/スカイフォール(2012年)

3本作られておりますので、今回が4本目。金髪、青い目のボンドとしていろいろと言われているようですが、前作「007/スカイフォール」を観た時、一番に思ったのが老けたなぁ・・・という事。(^^;

やはり隔年できっちり作らず、間が長いと観る側は俳優さんの変化に敏感ですから。まぁ、その事はともかくとして、「007/カジノロワイヤル」と「007/慰めの報酬」はストーリーが続いているという、シリーズとしては珍しい作品なのですが、両作品とも劇中でボンドの敵役がしきりに「組織」という言葉を吐いていたので・・・、

ひょっとして、「組織」ってスペクターの事かなぁ・・・?

なんて、007ファンの私は思ったものです。過去の一連のシリーズとは訣別して、ダニエル・クレイグからは新007シリーズとして描かれていますので、もしかしたらまた「スペクター」の登場か?

そうしたら最新作のタイトルはそのものズバリ、「007/スペクター」でした。(^^)

もう・・・私は拍手喝采です。やはり007シリーズにはスペクターが登場しなくてはねぇ。寅さんに綺麗なマドンナが必要なように、007にはスペクターが必要です。(笑)

前作でようやくMの秘書、お馴染みのマネー・ペニーとQも登場し、ようやく007シリーズらしくなりました。

果たして、また「ブロフェルド」と名乗るボスが登場するのか否か。実に楽しみです

すでに最新映像の一部がネットで見られます。

こちらと

こちら

この最新映像を見ますと、「007/サンダーボール作戦」でスペクターの幹部、エミリオ・ラルゴと、とても色っぽかった女性(^^)、フィオナが指に装着していたスペクターの指輪が再び出て来ますね。

既に亡くなっていますが、ジョン・バリーの音楽がこれらの映像と共に流れていたら、最高なのですが。

撮影はオーストリアやメキシコ他が使われたようですが、新ボンドカーとして「アストンマーチン DB10」がお披露目のようです。すでに最新作のポスターも出回っているようですし、3年ぶりの新作には大いに期待しております。

2014年11月28日 (金)

松竹映画「虹をつかむ男」山田洋次監督作品

Niji

松竹映画「虹をつかむ男」 山田洋次監督作品

1996年12月28日公開

出演 : 西田敏行、吉岡秀隆、田中裕子、倍賞千恵子、前田吟、田中邦衛、柳沢慎吾、下條正巳、三崎千恵子、佐藤蛾次郎、笹野高史、柄本明 他
脚本 : 山田洋次、朝間義隆
音楽 : 山本直純、山本純ノ介
監督 : 山田洋次

今日は素敵な映画、山田洋次監督の作品をご紹介させて頂きます。私はもう4、5回は観ています。

この作品、実は上記の出演者さんたちの脇役で「男はつらいよ 寅次郎花へんろ」という寅さんシリーズの第49作を撮影する予定でした。しかし同年夏、渥美清さんがお亡くなりになった事によって寅さんシリーズは終了してしまったわけです。

渥美清さん追悼の意味で「寅次郎花へんろ」の公開予定日だった12月28日に、この「虹をつかむ男」が公開されています。主役は西田敏行さんで、寅さんのマドンナ役を務める予定だった田中裕子さんが本作のヒロインを演じています。

そして準主役が吉岡秀隆さんで、両親役は倍賞千恵子さんと前田吟さんが演じており、寅さんシリーズとまったく同じ組み合わせの親子なのです。その他、映写技師の役で田中邦衛さんが良い味を出しています。

映画の舞台となっているのは徳島県の小さな町。この町唯一の映画館である「オデオン座(実在します)」の館主、白銀活男(西田敏行さん)のところへ両親と喧嘩し、家出をして来た亮(吉岡秀隆さん)が従業員として働く事になってストーリーは始まります。

映画館の館主が主役ですから、劇中で往年の名画が次々に紹介されます。主だったものは、「ニュー・シネマ・パラダイス」、「野菊の如き君なりき」、「雨に唄えば」、「禁じられた遊び」、「東京物語」等々ですが、映画のラストでは・・・あの映画が(後述)・・・。

本作は、「フィルム撮影」による映画に拘る山田洋次監督が、「映画が如何に素晴らしいか!」という事を言いたかった作品ではないかと思います。今や映画もデジタルで撮られる時代になりましたが、山田洋次監督はフィルムに拘っており、未だフィルムで映画を撮っています。

オデオン座で開催している「名画劇場3周年」を記念して上映された「ニュー・シネマ・パラダイス」を見終わった活男の幼馴染み、八重子(田中裕子さん)が活男に感動した面持ちでこう言います。

「イタリア言うたら遠い地球の裏側にある国やろ。その国の人たちが作った映画で、なんで四国に住む私たちが、感動・・・出来るんかしら?」

この言葉に対し活男が、

「なぁ〜・・・これが映画や!」と。

まったくその通り! それが映画なのです。

或る町の公民館で開催される出張映画会。しかし、町役場の斉藤課長(柄本明さん)は規則によって夜9時までに映画会を終了しろとの事。活男は夜7時開始の二本立てでは9時終了は無理と懇願するも、お堅い斉藤課長は首を振るばかり。ところが上映された映画は木下恵介監督の名作「野菊の如き君なりき」です。このシーンは笑えました。何故かは・・・申しません。(笑)ご覧になってください。

さて、ヒロイン役の田中裕子さんの演技が良いですねぇ。若い頃に東京へ出て結婚するも、夫と死別し、故郷に帰って来て実父の出資で喫茶店を営んでいるのですが、兄(笹野高史さん)から見合いを勧められるも、頑なに拒否します。実は、「或る人」からのプロポーズを待っているのです。

ところが・・・その「或る人」が実に鈍感な男で・・・。
まったく私と一緒なんですよ。(^^;

映画の後半、その「或る人」の口から思い切ってプロポーズしてもらいたいのに、鈍感男が気が付いてくれないために泣き崩れる八重子。じれったいやら悲しいやら・・・。ここは山田洋次監督の名演出です。観ているこちらも泣けて来ます。その時に流れる映画が「東京物語」です。

この映画はところどころで「寅さんシリーズ」の一場面を思い起こされるシーンが出て来ます。活男と八重子が雨の中をひとつの傘で歩くシーン。これは浅丘ルリ子さん演じるリリーさんとメロンの事で喧嘩したばかりの寅さんが雨の中を駅までリリーさんを迎えに行き、相合い傘で帰って来るシーンです。

八重子を家まで送ると八重子は玄関に入り、ドアから手だけを出すので、活男が八重子の手を握り返します。これは「男はつらいよ」第1作で御前様の娘、冬子に1日付き合って家まで送ると、少し酔っている冬子が玄関から手だけを出し、「お休みなさい」というシーンと同じなのです。

他では八重子の父が亡くなり、葬儀のシーンがあります。ここも「続・男はつらいよ」での葬儀シーンでマドンナ役の佐藤オリエさんのところへ山崎努さんが現れるシーンと同じです。

映画のラストは活男が亮の将来を考え、解雇する事に。そこで活男が亮に、「俺の気持ちは、今掛かっているこの写真が答えてくれる」と言って活男はなんと・・・・「男はつらいよ(第1作)」を見せるのです。スクリーンには第1作の名シーンが幾つか流れて来ます。

ラストシーン、活男が車に乗って出張映画会の為に走り去って行きますが、その時バックに流れる音楽は「男はつらいよ」のテーマ音楽なのです。まったく寅さん映画を見終わるような錯覚を覚えます。

で、車が走り去った後、小さな小屋から寅さんが登場するではないですか!
CGによる合成なんですが、スクリーンには・・・、

敬愛する 渥美清さんに
この映画を捧げる

とスーパーが出、渥美清さんが歌う「男はつらいよ」の主題歌が流れて来ます。

まさに寅さんのラストシーンなのです!

山田洋次監督による渥美清さんへのオマージュですね。

是非、是非・・・一人でも多くの人にこの名画をご覧頂きたいと思います。

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