2020年6月27日 (土)

OO7/リビング・デイライツ

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OO7/リビング・デイライツ

(原題 : THE LIVING DAYLIGHTS)1987年12月 日本公開

英イオン・プロ制作 MGMユナイト映画配給

- 配役 -
ジェイムズ・ボンド : ティモシー・ダルトン
カーラ・ミロヴィ : マリアム・ダボ
ゲオルギ・コスコフ : ジェローン・クラッベ
ブラッド・ウィティカー : ジョー・ドン・ベイカー
レオニード・プーシキン : ジョン・リス=デイヴィス
ソーンダース : トーマス・ウィズリー
フェリックス・レイター : ジョン・テリー
M : ロバート・ブラウン
Q : デスモンド・リュウェリン
マネーペニー : キャロライン・ブリス

主題歌 : a-ha
音楽 : ジョン・バリー
原作 : イアン・フレミング
脚本 : リチャード・メイボーム、マイケル・G・ウィルソン
監督 : ジョン・グレン

前作までのボンド役、ロジャー・ムーアの後を引き継いで抜擢されたのは英国でシェークスピアなどの舞台俳優として活躍していたティモシー・ダルトンです。ロジャー・ムーアのボンドを私はまったく評価していない(おお・・・生意気)のですが、ティモシー・ダルトンは良かったですね。愛想は感じられませんが、スパイとしての冷徹さを感じますし、或る意味ショーン・コネリー時の緊張感みたいなものが映画から感じる事が出来ます。

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後のボンド役、ピアース・ブロスナンの抜擢を考えていたものの、当時ブロスナンはテレビドラマ「探偵 レミントン・スティール」で主役を演じており、ブロスナン自身はボンド役を受けたかったものの、テレビ局側が契約が残っているとブロスナンを手放さなかったそうです。で、オーディションの結果、ティモシー・ダルトンに決定。そのオーディションで演技テストの相手役を務めていたマリアム・ダボがそのままボンド・ガールとして出演する事に。

映画はまだ東西冷戦時だった時代のストーリー。ソ連の政府高官であるコスコフ将軍がソ連の重要機密を持って英国への亡命を希望しており、亡命については援助協力にボンドを指名していた。東側チェコスロバキアのブラティスラヴァでのボンドの任務は、コスコフの亡命を援助し、コスコフを狙うKGBのスナイパー(狙撃手)を射殺する事であった。

何やら「ロシアより愛をこめて」でタチアナ・ロマノヴァの亡命をボンドが助けるストーリーと似ていますが、原作の小説では東側の重要機密を持って東ベルリンから東西を仕切る壁を乗り越え、西ベルリンに脱出して来る同僚の英国情報員を守るため、東側のスナイパーを射殺せよという任務の短編です。小説はボンドシリーズの短編を集めた本に収録されており、その本のタイトルは「Octopussy and The Living Daylights」です。

OO7シリーズファンならお気づきだと思います。短編集のタイトルを二つに分け、「Octopussy」と「The Living Daylights」というタイトルで二本の映画が作られたわけです。ロジャー・ムーア時代に「オクトパシー(Octopussy)」という作品がありますね。

ところで「The Living Daylights」って、日本語にしたらどういう言葉が適切なのか私はずっと分からなかったので、或る時、日本に住んで何年も経っているアメリカ人女性に訊いてみました。『映画に「The Living Daylights」というのがあるのだけど、このタイトルを日本語に置き換えたらどういう言葉が適切?』と。

そうしたら彼女はしばし考え、右手の拳を左手の掌にパチンとぶつけ、「こういうふうにビックリする事ね。予期しない衝撃的な事にビックリする事」と申しました。

それを聞いて私は納得しました。(笑)
映画でボンドが東側のスナイパー(女性)を射殺しようと、ライフルのスコープを覗いた際、この女は本物のスナイパーではないと直感し、ボンドは女が構えていたライフルを撃ち抜くのです。

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任務を終えて戻る車中、オーストリア支局のソーンダースがボンドに「女だから、わざと外したな。Mには報告するからな」と言うと、ボンドは「プロ以外は殺さない主義でね。あの女は素人だよ」「あの女は死ぬほど驚いたはずだよ」と。

このシーンに映画のタイトルが反映されているのです。

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映画は原作の短編をプロットとして、そこからストーリーは大きく広がって行きます。さすがに長年シリーズの脚本を担当しているリチャード・メイボームの手腕が生かされていて、シリーズの中でも優れた作品のひとつだと私は思っています。

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本作品でカーラ・ミロヴィというボンドガールを演じているマリアム・ダボ、英国出身の女優さん。この映画出演で知られた後、雑誌でヌードなどを披露したそうですよ。チェリストの役柄で、英国に亡命したコスコフがパトロンであり恋人でもあるのです。このシーンはウィーンですが、ウィーンの綺麗な風景が劇中で見られます。庭園に流れるシュトラウスのワルツの調べに乗ってダンスに興じる人たち。その横を馬車に乗ったボンドとカーラが通り過ぎます。あぁ、行ってみたい・・・(^^)

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武器商人のウィティカーを演じているジョー・ドン・ベイカー。本作品ではボンドの敵役を演じていますが、後にピアース・ブロスナンがボンドを演じた「ゴールデンアイ」と「トゥモロー・ネバー・ダイ」の二本でボンドを補助するジャック・ウェイド(米国海軍)を演じており、その二本ではなかなかユニークなキャラクターでした。(^^)

音楽はジョン・バリーが担当していますから、どのシーンでも画面にピッタリの音楽が流れて来ます。しかし、主題歌を担当したバンド、a-haと意見の対立(アレンジ面で)が激しかったそうで、ジョン・バリーはこれに嫌気が差し、以後シリーズの音楽担当から離れてしまったのです。私はOO7シリーズが世界的に大ヒットした一因として、ジョン・バリーの音楽が大きく貢献していたと思うのです。

誰でも知っているあの「ジェイムズ・ボンドのテーマ」、映画のクレジットでは第1作「OO7/ドクター・ノオ」の音楽を担当したモンティ・ノーマンの名前が未だに映画のメインタイトル中にクレジットされていますが、実際は当時まだ無名だったジョン・バリーが作曲しています。所謂ゴーストライターという事です。これはジョン・バリーが日本でコンサートを開くために来日した際、記者会見で本人の口から言われています。

確かに「OO7/ドクター・ノオ」の音楽を聞いてみれば誰でも簡単に分かります。ジェイムズ・ボンドのテーマとそれ以外の音楽は別物です。ジェイムズ・ボンドのテーマ以外、モンティ・ノーマンの手による音楽は実につまらないですから。(^^;

プロデューサーもジョン・バリーのセンスを認めたのでしょう、第2作以降はジョン・バリーに音楽を任せるようになりましたから。ただ、第7作「OO7/ダイヤモンドは永遠に」の後、しばらくは一作おきに担当。で、第13作から第15作(本作品)まで連続したものの、前述した一件を理由にシリーズから離れてしまったわけです。ファンとしてはとても残念です。

ジョン・バリー担当以外の作品、音楽は実に面白くないです。これはハッキリと申します。まぁ、あくまで私自身の好みの問題ですが。ただ、ジョン・バリーが担当していない作品でも、主題歌だけは良いのが何作かありますね。(^^)

という事で、本作品はシリーズ中でも出来の良い作品なので、ご覧になってないのであれば是非に。当時、ソ連のアフガニスタン侵攻が世界で問題になっていたようですが、映画はそれを上手く利用しています。

※ 劇中画像は今回も市販のBlu-rayソフトから使わせて頂いています。

2020年6月 9日 (火)

OO7/ゴールデンアイ

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OO7/ゴールデンアイ

(原題 : GOLDENEYE)1995年12月 日本公開

英イオン・プロ制作 MGMユナイト映画配給

- 配役 -
ジェイムズ・ボンド : ピアース・ブロスナン
ナターリア・シミョノヴァ : イザベラ・スコルプコ
アレック・トレヴェルヤン : ショーン・ビーン
ゼニア・オナトップ : ファムケ・ヤンセン
ボリス・グリシェンコ : アラン・カミング
M : ジュディ・デンチ
Q : デスモンド・リュウェリン
マネーペニー : サマンサ・ボンド

主題歌 : ティナ・ターナー
音楽 : エリック・セラ
原案 : マイケル・フランス
脚本 : ジェフリー・ケイン、ブルース・フィアスティン
監督 : マーティン・キャンベル

五代目ボンド役、ピアース・ブロスナンの第1作になります。ちなみにタイトルの「ゴールデンアイ」は元の原作となったOO7シリーズの小説を書いていたイアン・フレミング(1908-1964)が晩年住んでいたジャマイカの別荘の名前であり、自身が英国海外秘密情報部(現MI6)のスパイとして所属していた時代の或る作戦が「ゴールデンアイ」というネーミングだったそうです。

当時、映画化の権利を持っていなかった「カジノ・ロワイヤル」以外、イアン・フレミングの原作すべてを映画化し終わっていたため、まったくのオリジナルストーリーによる作品。厳密には短編が残ってはいましたが。

同僚のOO6と共にボンドはソ連の兵器工場に侵入したものの、OO6は取り押さえられソ連の責任者に射殺されてしまう。しかし、ボンドは任務遂行し、兵器工場の爆破に成功する。

メインストーリーはそれから9年後となり、NATOの最新鋭ヘリコプターがデモンストレーション予定中に何者かに奪われ、その事件をボンドが追う事になる。

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お馴染み、映画冒頭のガンバレル・シーン。ブロスナンの撃ち方はご覧のようなスタイル。長年音楽を担当していたジョン・バリーが「OO7/リビング・デイライツ」を最後にシリーズから完全に離れてしまったため、音楽に関しては著しく物足りません。このガンバレル・シーンでのジェイムズ・ボンドのテーマの扱い方に、早くも私は不満を持ってしまいました。

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メインタイトル・デザインをこれまた長年担当していたモーリス・ビンダーが映画製作前に亡くなってしまったため、本作品からダニエル・クライマンという人が担当する事に。モーリス・ビンダーの手法を踏襲していますが、やはり何となく違いを感じます。(^^;

冒頭のガンバレル・シーンもモーリス・ビンダーが考えたものであります。

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本作品から"M"の秘書、マネーペニーを演じているサマンサ・ボンド。マネーペニー役としては三代目の女優さんですが、やはり私としては初代のロイス・マクスウェルが最高だなぁ・・・。しかし、人間は誰しも年齢を重ねますから、仕方ありません。ロイス・マクスウェルさん、2007年9月に80歳でお亡くなりになっています。綺麗な方でした。

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ボンドとナターリア・シミョノヴァ。

シリーズのボンド・ガールとしては、少々個性に欠けるような気が・・・。まぁ、好みの問題ですけど。

ポーランド出身で、元々はモデルさんだったようです。

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本作品からボンドの上司"M"を演じる事になったジュディ・デンチです。「え!? 女性?」と思いましたけど、世界的に女性の社会的地位向上という時代の波に乗った配役だったのかもしれません。

という事で、ブロスナンボンド第1作のご紹介でした。

※ 劇中の写真は市販のBlu-rayディスクから使わせて頂いてます。

2020年5月24日 (日)

メリー・ポピンズ

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WOWOW放送画面より

「メリー・ポピンズ」 アメリカ映画

(原題 Mary Poppins)1965年12月 日本公開

ウォルト・ディズニー映画配給

- 配役 -
メリー・ポピンズ : ジュリー・アンドリュース
バート : ディック・ヴァン・ダイク
ジョージ・バンクス : デヴィッド・トムリンソン
ウィニフレッド・バンクス : グリニス・ジョンズ
ジェーン : カレン・ドートリス
マイケル : マシュウ・ガーバー
エレン(家政婦) : ハーミオン・バドレー
ブーム(元海軍大将) : レジナルド・オーウェン
巡査 : アーサー・トリーチャー

製作 : ウォルト・ディズニー、ロイ・O・ディズニー
音楽 : アーウィン・コスタル
脚本 : ビル・ウォルシュ、ドン・ダグラディ
監督 : ロバート・スティーヴンソン

「サウンド・オブ・ミュージック」で、すっかり魅了されたジュリー・アンドリュース。久しぶりにその美貌と美声を楽しませて頂きました。今日ご紹介の「メリー・ポピンズ」、数年前にWOWOWさんで放送された時に録画していたのですが、そのまま放置し見ていませんでした。で、先日ようやく見ました。(^^;

初めて見る映画ですがディズニー作品らしく、実写とアニメーションを合成した映画で、実に楽しいミュージカル映画でした。細かい事を申しますと同じミュージカル映画「サウンド・オブ・ミュージック」と比較しますと、音楽に関しては「サウンド・オブ・ミュージック」の方が名曲(親しみやすい曲)が多いように思います。

両者で主演しているジュリー・アンドリュース、本当に素晴らしい女優さんですね。前述したように単に美人というだけでなく、声も実に美しいです。まさに美声。

ストーリーですが、ロンドンの桜通りに邸宅を構えるジョージ・バンクスは銀行に勤務し、性格も気難しく子どもたちの教育はすべて雇い入れた乳母(教育係)任せ。ところがその乳母も子どもたちのヤンチャぶりに嫌気が差して長続きしない。また辞めてしまったので、代わりの乳母を募集する事に。募集文を子どもたちが書いたものの、バンクスは子どもたちの要望のバカバカしさに破って暖炉に捨ててしまう。

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雲の上でお化粧をするメリー・ポピンズ。(^^)

暖炉に破り捨てられた募集文の紙は煙突から空へ舞い上がって行き、メリー・ポピンズの元に。それを見たメリー・ポピンズはバンクス家へ。

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傘をパラシュートのようにして空から降りて来るメリー・ポピンズ。

「サウンド・オブ・ミュージック」ではトラップ家の家庭教師としてやって来るマリアの役でしたが、「メリー・ポピンズ」ではバンクス家の乳母としてやって来るという事で、両者似たような設定ですね。調べる前、私は「サウンド・オブ・ミュージック」の後に「メリー・ポピンズ」が作られたものと思っていたのですが、逆でした。1964年に「メリー・ポピンズ」が、翌年の1965年に「サウンド・オブ・ミュージック」が公開されています。

メリーの友人、バートを演じているディック・ヴァン・ダイクも素晴らしい役者さんですね。OO7シリーズの作者、イアン・フレミング原作のミュージカル映画「チキ・チキ・バン・バン」でも主演していますが、「メリー・ポピンズ」でのダンスシーンはお見事です。

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私でも知っていた名曲「チム・チム・チェリー(Chim Chim Cher-ee)」を歌うメリーとバート。子どもたち、ジェーンとマイケルも一緒に建物の屋上で楽しみます。

そして映画のラストは、親子の絆を感じながら再び空へ舞い上がって行くメリー・ポピンズ。

恥ずかしながら、映画を見るまでは「メリー・ポピンズ」というタイトルが主役の名前だという事を知りませんでした。あははは・・・(^^;;;

外出自粛要請のせいと申しますか、お陰と申しますか、音楽、映画三昧です。(笑)

2020年5月14日 (木)

飢餓海峡

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NHK-BSプレミアム放送より

「飢餓海峡」 東映映画(1965年1月 公開)

- 配役 -
樽見京一郎/犬飼多吉 : 三國連太郎
杉戸八重 : 左幸子
弓坂吉太郎刑事 : 伴淳三郎
味村時雄刑事 : 高倉健
杉戸長左衛門 : 加藤嘉
本島進市 : 三井弘次
本島妙子 : 沢村貞子
樽見敏子 : 風見章子
東舞鶴警察署長 : 藤田進

製作 : 大川博
音楽 : 冨田勲
原作 : 水上勉
脚本 : 鈴木尚之
監督 : 内田吐夢

水上勉さんの代表作(読んでないですが)を東映が映画化した作品です。以前、NHK-BSで放送されたものを録画していたのですが、見たのはつい最近です。(^^;

見始めた時、モノクロとはいえ画質があまり良くないので1950年代初期の作品と思って見ていました。見終えてから調べると、16ミリのモノクロフィルムで撮影し、後から35ミリにデュープしているのだそうです。内田吐夢監督は日本人全体がおかれている飢餓の状況を描くために、ザラザラとした質感を求めたかったとの事。

内田吐夢監督と言えば、私が大好きな宮本武蔵(中村錦之助さん)も撮っています。やはり名匠と言われるだけありますね。映画の冒頭、下記のようなナレーションが流れます。

- 飢餓海峡、それは日本の何処にでも見られる海峡である。その底流に、我々は貧しい善意に満ちた人間の、どろどろした愛と憎しみの執念を見る事が出来る -

この作品のテーマですね。

昭和22年、東北から北海道を襲った猛烈な台風により、青函連絡船「層雲丸」が転覆して多くの死傷者が出てしまう。遺体収容に関わった函館警察の刑事、弓坂(伴淳三郎さん)は遺体の引き取り手のない2遺体に不信感を抱く。両名とも額に打痕の跡が。調べると生存者と遺体の数が乗客名簿より2名多いのである。

青函連絡船転覆の同日、北海道岩内の質店に強盗が押入り、一家を皆殺しにした後に大金を奪い、証拠隠滅のために放火。おりからの台風の強風により、街のほとんどを焼き尽くしてしまう。引き取り手のない2遺体は、質店に押し入った強盗たちの仲間割れの結果ではないかと、弓坂は捜査を始める。・・・そして10年が経ち。

主演は「釣りバカ」のスーさんを演じていた三國連太郎さん。若き日の三國連太郎さんを見ていたら、佐藤浩市さんはお父さん似なんだなぁと、思ってしまいました。三國連太郎さん、やはり名優ですね。凄いです。

東舞鶴の海で遺体となって発見された杉戸八重(左幸子さん)の捜査に関わるのは東舞鶴署の捜査主任、味村刑事(高倉健さん)。杉戸八重は大湊(青森県)で世話になった犬飼多吉が新聞に掲載されているのを見て、感謝の意を伝えたく犬飼が住む東舞鶴に来ていたのです。高倉健さんも若いなぁ・・・(^^)

そして老刑事を演じている伴淳三郎さん、渋いですねぇ。これまた名演技です。弓坂一家の様子に当時の一般的日本家族の生活環境が窺い知れます。

さて、この映画を見終わって、私は松本清張さんの「砂の器」と共通している部分を感じました。設定時代もほぼ同じですし、当時のまだまだ貧しい日本(人々)を描いているという事が、双方の作品に共通しているように思います。と同時に、貧しいながらも必死に生きようとしている人たちに共感を覚えます。

もうひとつ、追い詰められる犯人が時の流れの中、社会的に成功を遂げている設定も双方に共通しています。共に幼少期には想像のつかない貧困と苦労を味わっているという。

杉戸八重の一途な想い。可哀想でした。犬飼多吉が津軽海峡を死ぬ思いで渡った舟を焼いた後の灰、それを見つけた弓坂が布に包むのですが、その灰が大きな伏線となります。

しかし、ラストは思わず「え!」と、声を上げそうになりました。樽見(犬飼)にしたら、もう二度と飢餓(津軽)海峡を渡りたくなかったのかも。

余談ですが、後年テレビの時代劇やドラマで悪代官、悪奉行といった悪役を演じている俳優さんが、この映画では正義感の強い刑事の役を演じていた事が新鮮で、何か微笑ましさを感じました。と同時に、生前テレビの対談番組で三國連太郎さんが「主役を演じている人間にタチの悪い人が多くてねぇ。逆に悪役を演じている人の方が人間的には良い人の方が多いものですよ」と、おっしゃっていた事を思い出しました。

尚、18日(月)の13時から、NHK-BSプレミアムで再放送があります。是非、(録画して)ご覧になってください。素晴らしい作品ですから。

2020年5月11日 (月)

ミッション:インポッシブル

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「ミッション:インポッシブル」 アメリカ映画

(原題 Mission:impossible)1996年7月 日本公開

パラマウント映画配給

- 配役 -
イーサン・ハント : トム・クルーズ
ジム・フェルプス : ジョン・ヴォイト
クレア・フェルプス : エマニュエル・ベアール
ジャック・ハーモン : エミリオ・エステベス
サラ・デイヴィス : クリスティン・スコット・トーマス
ハンナ・ウイリアムズ : インゲボルガ・ダクネイト
フランツ・クリーガー : ジャン・レノ
ルーサー・スティッケル : ヴィング・レイムス
マックス : ヴァネッサ・レッドグレイヴ

製作 : トム・クルーズ、ポーラ・ワグナー
音楽 : ダニー・エルフマン
主題曲作曲 : ラロ ・シフリン
脚本 : デヴィッド・コープ、ロバート・タウン
監督 : ブライアン・デ・パルマ

先月だったと思いますが、テレビのチャンネルをリモコン操作で変えていた時、偶然バラエティ番組(番組名と放送局は失念)で「スパイ映画特集」のようなものをやっていたので、途中から見ました。女性司会者の案内でいろいろなスパイ映画の映像を見て、お笑いタレントたちがあれこれ喋っているという。

で、女性司会者が「それではスパイ映画の本家本元、ミッション:インポッシブルをご覧ください」と言ったのです。私は「え!? 本家本元はOO7シリーズでしょう!」と、言ってやりたくなりました。(笑)

そもそも「ミッション:インポッシブル」はOO7シリーズを真似て作られているのですから。番組でも紹介していましたが、元々はテレビドラマとしてアメリカで作られていた「スパイ大作戦(日本放映時の邦題)」がオリジナルで、原題が「Mission:impossible」だったわけです。

「おはよう、フェルプス君」で始まるその「スパイ大作戦」ですが、映画製作に乗り出したトム・クルーズの第一回作品として、オリジナルのタイトルのまま「Mission:impossible」が作られました。

今日ご紹介の作品は第1作ですが、一応全作品のBlu-ray(市販品)を持っています。はい、このシリーズ面白いので、好きです。(^^)

さて、本作のストーリーですが、CIAの極秘部隊 IMF(Impossible Missions Force)のフェルプスが飛行機搭乗中、CAから無理やり映画を見るよう勧められ、その映像カセットを渡される。再生すると「おはよう、フェルプス君」から始まり、プラハのアメリカ大使館からCIA工作員のリストを盗み出そうとしている大使館職員の裏切り行為(リストのコピー)を撮影し、その敵を壊滅するよう指示される。

という事でストーリーは進んで行くのですが、思いも寄らないアクシデントがイーサン・ハントの身に降りかかるのです。映画は快適なテンポで進みますが、「え!?」というどんでん返しが待っています。その結果に、古くからのスパイ大作戦ファンから怒りを買ったそうです。

ところでクライマックスはパリ行きのTGV(フランスの高速列車)が高速走行する中、追って来た敵のヘリコプターがイーサン・ハントによってトンネル内に引き込まれ、そのトンネル内で激しい攻防が繰り広げられる。

そのシーンですが、明らかにCGを駆使して作られた映像という事が分かります。映画そのものは大変面白かったのですが、トンネル内のアクションシーンだけ「ちょっとなぁ・・・」という感想でした。最近の映画、アクションシーンに関しては如何にもCGで作られているという作品が多くなりました。その分、少々リアリティに欠けるという印象は否めません。

出演者の中でイーサン・ハントの取引相手のマックスを演じているヴァネッサ・レッドグレイヴという女優さん、若い頃はお綺麗だったのだろうなぁという感じを受けたので調べてみたら、数々の映画賞を受賞しているイギリス出身のベテラン女優さんだったのですね。恥ずかしながら知りませんでした。「オリエント急行殺人事件」、「大統領の執事の涙」等に出演していました。

お馴染みの軽快な「ミッション:インポッシブルのテーマ」ですが、元々テレビドラマで使われた曲ですね。映画でもそのまま採用していますが、OO7シリーズに「ジェイムズ・ボンドのテーマ」が欠かせないのと同様、ミッション:インポッシブルシリーズにも欠かせません。作曲はラロ・シフリン。ジャズピアニストとして有名ですが、映画音楽もかなりの数手掛けています。クリント・イーストウッド監督もお気に入りですね。

OO7シリーズがイアン・フレミングの原作を離れて以降、最近はミッション:インポッシブルシリーズの方が面白いと思うようになっています。スパイ映画本家、しっかりして頂きたい。ミッション:インポッシブルの次回作は来年公開予定だそうですが、現在コロナの影響でイタリアでのロケが中断しているらしいです。

久しぶりにBlu-rayを取り出して見たのですが、やはり面白かったです。(^^)

2020年5月 9日 (土)

OO7/ムーンレイカー

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OO7/ムーンレイカー

(原題 : MOONRAKER)1979年12月 日本公開

英イオン・プロ制作 ユナイト映画配給

- 配役 -
ジェイムズ・ボンド : ロジャー・ムーア
ホリー・グッドヘッド : ロイス・チャイルズ
ヒューゴ・ドラックス卿 : マイケル・ロンズデール
ジョーズ : リチャード・キール
コリン・ダフォー : コリンヌ・クレリー
M : バーナード・リー
Q : デスモンド・リュウェリン
マネーペニー : ロイス・マクスウェル

主題歌 : シャーリー・バッシー
音楽 : ジョン・バリー
原作 : イアン・フレミング
脚本 : クリストファー・ウッド
監督 : ルイス・ギルバート

「カジノ・ロワイヤル」の後に、ロジャー・ムーアの「ムーンレイカー」を見ました(同日ではないですけど)。拙ブログにロジャー・ムーアのOO7が登場するのは今回が初めてです。何故かと申しますと、大好きなOO7シリーズにも関わらず、ロジャー・ムーアのボンドはあまり好みではないからです。理由のひとつはムーアのボンドにまったく緊張感を感じない事。もうひとつは格闘シーン、アクションシーンでの動きにキレを感じない事。要するに演技がイマイチで、ただコミカルというだけなので。

拙宅にはシリーズ全作のBlu-ray(市販品)がありますが、ロジャー・ムーア出演作品は一度見たきりです。ムーア以外の作品は繰り返し見ているのですが。(^^;

で、他のボンド役者とあまり差別をしてもいかんなぁ・・・という事で、久しぶりにムーアのOO7を見る事に。選んだのは今日ご紹介の「OO7/ムーンレイカー」です。選んだ理由のひとつに、音楽をジョン・バリーが担当しているからです。しかし、映画終盤にボンドが宇宙に飛んで、まるで「スターウォーズ」のような映画になってしまっています。さすがにこれはやり過ぎですね。

イアン・フレミングの原作(小説)は、英国の大富豪であるヒューゴ・ドラックス卿が、自費を投じて開発したロケット「ムーンレイカー」を国家に寄贈するという。ところが政府派遣の人間が変死したため、代わりにボンドが派遣される事になる。ドラックス卿の正体はナチスの生き残りで、寄贈するというロケットは英国の首都ロンドンを攻撃する事が目的だった。

とまぁ、小説の方はそうしたストーリーなんですが、映画の方はロケットの代わりに当時話題になっていたアメリカのスペースシャトルに変えています。アメリカからイギリスへ空輸中のスペースシャトル「ムーンレイカー」が何者かの手によって奪われてしまう。

不審な点がある事から政府はMを通じ、ボンドをそのムーンレイカーを製造したヒューゴ・ドラックス卿の工場へ派遣する事になる。ボンドはベニス、アマゾンへと飛んで調べていくうちに、ドラックス卿の本当の目的を知る事になる。

メインタイトル前、ガンバレル・シークエンスの後は恒例のアクションシーンがありますが、本作はなんと空中でのアクションです。飛行機から突き落とされたボンドが先に飛び降りていた敵のパラシュートを奪うという活劇シーン。現代ならCGを使って幾らでもそういったシーンを作り上げられると思いますが、この時代はそんな技術はないですから、生身の身体を使って本当に撮影。

もちろんプロのスカイダイビングチームを使っての撮影でしょうけど、あの僅かな時間のシーンに撮影は何日も掛かったらしいです。難しい撮影でしょうから納得です。映画ではジェイムズ・ボンドのテーマが流れる中、遥か下を降下する敵を目掛けて、ボンドは出来るだけ空気抵抗を受けないように降下して行きます。

で、メインタイトルではシリーズ三回目のお務め、シャーリー・バッシーの歌声を聴く事が出来ます。本当は「OO7/サンダーボール作戦」の主題歌も担当する予定で録音も済んでいました。その録音が使われていれば、シリーズ四回の主題歌担当となっていたわけです。

ちなみにお蔵入りした「OO7/サンダーボール作戦」の主題歌は「ミスター・キス・キス・バン・バン」という歌なんですが、プロデューサーが歌詞に「サンダーボール」という言葉が入っていないという事で、作り直される事に。結果、「サンダーボール」という歌がトム・ジョーンズによって録音され、映画のメインタイトルに使われました。

お蔵入りしたシャーリー・バッシーの「ミスター・キス・キス・バン・バン」の録音ですが、拙宅にCD(廃盤)が有ります。シャーリー・バッシーらしく、とてもダイナミックな歌唱を聴く事が出来ます。今思うと、エンドタイトルに使えば良かったのに・・・と。

さて、脱線しましたが今日の映画「ムーンレイカー」、クライマックスでスペースシャトルに乗ったボンドとグッドヘッドは、ドラックス卿が米英に対し秘密裏に製造していた宇宙ステーションに潜入し、地球から応援でやって来た米軍の兵士らと共に宇宙ステーション内でドンドンパチパチ。あ、機関銃や拳銃ではなく、「スターウォーズ」で使われていたようなレーザーガンでピュンピュンと撃ち合います。(笑)

まさに「OO7/スターウォーズ」のような映画になっています。(^^;

この「OO7/ムーンレイカー」ですが、ボンドが宇宙に行く前まではそこそこ良いストーリーだったのに、という思いが私には強く、とても残念な作品ですね。

原作通り、ロンドンを攻撃する事がドラックス卿の目的だった、というストーリーだったら、それなりに評価していたのですが(おお、生意気)。要するにボンドが有り得ない宇宙なんぞへ飛ぶ事なく、ロンドン攻撃を事前に防いでメデタシメデタシ、ラストはグッドヘッドとのラヴシーン、そして「JAMES BOND WILL RETURN」で終わっていれば良かったのです。(笑)

配役について簡単に私見を。ヒューゴ・ドラックス卿を演じているマイケル・ロンズデールは敵役としてはイマイチですね。ホリー・グッドヘッドのロイス・チャイルズ、博士の肩書を持っている設定なので、頭の良い美人という感じ。殺し屋ジョーズは前作から続いての登場ですが、漫画ですね。大ヒットしたパニック映画「ジョーズ」の影響ですが、歴史あるOO7シリーズは他の作品の真似はやめて頂きたいです。

2020年5月 8日 (金)

OO7/カジノ・ロワイヤル

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OO7/カジノ・ロワイヤル 2006年12月 日本公開

コロンビア映画、MGM映画配給

- 配役 -
ジェイムズ・ボンド : ダニエル・クレイグ
ヴェスパー・リンド : エヴァ・グリーン
ル・シッフル : マッツ・ミケルセン
M : ジュディ・デンチ
フェリックス・ライター : ジェフリー・ライト
ルネ・マティス : ジャンカルロ・ジャンニーニ
ディミトリオス : シモン・アブカリアン
Mr. ホワイト : イェスパー・クリステンセン

音楽 : デヴィッド・アーノルド
原作 : イアン・フレミング
脚本 : ニール・パーヴィス 他
監督 : マーティン・キャンベル

外出自粛なので、本家(英イオン・プロ)制作の「OO7/カジノ・ロワイヤル 」のBlu-rayを取り出して久しぶりに見ました。で、ダニエル・クレイグが登場した瞬間、「若い!」と。(^^;

当初4月公開予定だった新作「OO7/ノー・タイム・トゥ・ダイ(11月20日に公開延期)」でボンド役を降りるダニエル・クレイグですが、約13年の年月は隠せないものですね。人間、誰しも13年経てば顔つきは変わるもの。そろそろボンド役も引退時期だったのでしょう。

ところで、英イオン・プロはまだOO7シリーズを続けるのでしょうか? ハリー・サルツマンとアルバート・R・ブロッコリによって設立された英イオン・プロダクションは、イアン・フレミングのOO7シリーズを映画化する目的のために設立されたプロダクションでした。両名はすでに亡くなられており、ブロッコリの娘と娘婿によって継続されていますが、原作の全てがすでに映画化済みです。

よって、ティモシー・ダルトンの「OO7/消されたライセンス」以降、本作の「OO7/カジノ・ロワイヤル 」を除いてオリジナル脚本で映画が作られているわけですが、私にはもう「普通のアクション映画」という印象しかありません。ストーリーの面白さよりアクションの派手さで見せる映画になっているように思います。改めてイアン・フレミングの原作は面白かったなぁという思いが。

OO7シリーズの面白さは、原作を生かしたストーリーにジョン・バリーの音楽が被さってこそが私にとってのOO7シリーズなのです。

愚痴めいた事を言っても仕方ありません。(笑)

さて、本作はイアン・フレミングのOO7シリーズ全作品(小説)で唯一映画化の権利を持っていなかった英イオン・プロが、様々な経緯があって初めてイアン・フレミングの処女作を映画化する事が出来た作品です。ボンド役も前作までのピアース・ブロスナンからダニエル・クレイグに変わる事もあってか、それまでのシリーズをリセットし、新シリーズとしてスタートしました。

映画のストーリーは原作を生かしておりますが、時代に合わせて脚色しています。OO(ダブルオー)という「殺人許可証」を得たばかりのボンドはプラハで英国を裏切った支局長を射殺。

その後、マダガスカルでテロ組織の爆弾密造人を追っているうちに、密造人の携帯から「ELLIPSIS」というメッセージを知る。そこには国際的武器商人が絡み、さらには世界各国のテロ組織から預かった大金でマネーロンダリングをしていたル・シッフルという男に行き当たる。しかし、ル・シッフルはアフリカのテロ組織から預かった大金をボンドによって失う事に。

ル・シッフルは失った巨額の金を稼ぐために、モンテネグロの「カジノ・ロワイヤル 」で開催されるポーカー・ゲームに参加する事に。ボンドも後を追って参加し、巨額の金を賭けた対決の結果は如何に?

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ヴェスパー・リンド(エヴァ・グリーン)

OO7のナンバーを取得したばかりのボンドがMI6(エム・アイ・シックス)を辞職して結婚を考えるヴェスパー・リンド(MI6の財務担当)を演じているフランスの女優さん、エヴァ・グリーンです。正しい発音はグリーン(Green)ではなく、グレーンだそうですが、英語読みだとグリーンになるのでしょう。

OO7シリーズ登場のボンド・ガールにしては珍しく「知性を感じる美人」ですね。この人ならボンドでなくても男なら誰もが惚れそう。(^^)

さて、配役について。前作までのシリーズをリセットしたなら、ボンドの上司「M」を演じる役者さんも変えた方が良かったのでは? という感想を持っています。後の作品から登場するQやマネーペニーの役者さんもピアース・ブロスナン時代とは違うのですから。ジュディ・デンチの年齢を考慮したのか、後の作品で死なせる設定も無理がありましたし。

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ボンドカーについてはアストンマーチン DBS、そしてディミトリオスの乗っている車としてアストンマーチン DB5が登場。

そのディミトリオスと出会う場所がバハマのナッソーです。OO7シリーズファンならお分かりでしょう。「OO7/サンダーボール作戦」の舞台となった風光明媚な地ですね。海が綺麗です。実に久しぶりのロケになるのですね。

お馴染みのガンバレル・シークエンスはオープニングではなく、メインタイトル直前に見られるのですが、前作までとは違い、かなりデジタイズされた画像になっており、「ええ・・・!」という印象。

ダニエル・クレイグのボンド、最初は随分違和感を感じていましたが、見慣れて来たと思ったらボンド役を降りてしまったようで。シリーズを続けるとなると、また役者探しですね。

映画のラストはMr. ホワイトを前にしてボンドが、
「The name is Bond, James Bond」と名乗るところで終わるのですが、このまま次回作「OO7/慰めの報酬」に珍しく話しが続きます。

ところで原作はすべて映画化が済んでいる事は前述しましたが、個人的にはロジャー・ムーア時代の作品をリメイクしてもらいたいと思っています。ロジャー・ムーアの作品は原作とは程遠い漫画的な作品が多かったですからね。特に「OO7/ムーンレイカー」は酷かった。ボンドが宇宙に行って宇宙ステーション内で「スターウォーズ」に負けじとレーザーガンでピュンピュン!と撃ち合うという。あまりのバカバカしさに・・・以下自粛。(笑)

2020年5月 7日 (木)

チャップリンの「街の灯」

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 「街の灯(原題 : City Lights)」1931年 アメリカ映画

- 配役 -
浮浪者 : チャールズ・チャップリン
盲目の花売り娘 : ヴァージニア・チェリル
花売り娘の祖母 : フローレンス・リー
街の富豪 : ハリー・マイヤーズ
警官 : ハリー・エイヤース 他

製作、監督、脚本、音楽、編集 : チャールズ・チャップリン

多分、どなたもよくご存知のチャップリンのサイレント映画です。ただ、この作品はサイレントですが、音楽のみ入っています。サイレント映画に拘っていたチャップリンですが、玄人筋ではチャップリンの最高傑作と評されているようです。私もこの作品は大好きです。

私が初めてチャップリンの映画を観たのは大分前、地元横浜の名画座で「チャップリン祭り」といった記念上映があった時で、週替わりで作品を替えての上映でした。観た順番まで覚えておりませんが、この「街の灯」と「ライムライト」、「モダンタイムス」が印象に残っています。

先月からNHK-BSプレミアムで毎週、チャップリンの映画が放送されておりまして、私はタイマー録画し、外出自粛要請なので自宅で見ています。

で、その放送画質ですが、どうやらデジタル修復した映像を放送に使っているようで、どの作品もその見事な高画質に大変感嘆しております。まるでつい最近、モノクロフィルムを使って撮影したのではないかと錯覚するくらい、素晴らしい画質です。古いフィルムに見られる雨が降っているかのような擦り傷が原因のノイズは皆無です。

大雑把にストーリーを記します。遊んでいる子供たちにもからかわれてしまうような街の浮浪者(チャップリン)が、偶然出会った街の花売り娘(ヴァージニア・チェリル)に一目惚れ。ところがその花売り娘は不幸にも盲目だったのです。娘が落とした一輪の花、目が見えないため手のひらで探るように探す花売り娘。

浮浪者がその花を拾って娘に渡してあげると娘は感謝の意味で浮浪者の上着の襟を探して刺してあげます。浮浪者は持っていた小銭を渡すと、娘がお釣りを用意した直後、別の男が車に乗って走り去って行く音を聞き、親切にしてくれた男がお金持ちなんだろうと勘違いしてしまうのです。時代が時代だけに、車に乗れる人は限られていたのだと思います(個人的想像)。

浮浪者はお金が入る毎に花売り娘の為に使います。花売り娘も自分に好意を持ってくれるお金持ちの男(と勘違いしている)が自宅を訪れてくるのを楽しみにしている日々が続きます。やがて、浮浪者は街で出会った泥酔した富豪にもらった大金を娘に渡し、目を手術してくれる医師を紹介。

しかし、浮浪者は無実であるのに強盗容疑で収監されてしまうのです。日は流れ、出所した浮浪者が街を歩いていた或る日、目の手術に成功し、今は花屋を営んでいる嘗ての花売り娘と遭遇する事に。今は目が見えるようになった娘は、自分に手術費用を渡してくれたお金持ちの男が再び訪れてくれるのをひたすら待ち続けています。

なので、目の前に偶然現れた浮浪者がまさかその相手だとは思いません。前にいる浮浪者を気の毒に思い、

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娘は浮浪者に花を一輪どうぞと、さらには親切心で小銭を恵んであげる事に。なんという悲劇でしょう!

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しかし! 恵んであげようと浮浪者の手に硬貨を握らせてあげた瞬間、目が見えない時に何度も触っていた男の手の感触が今!

そして浮浪者の上着の襟に触れて確信を。

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はにかむ浮浪者。そして一言。

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・・・・・。

この後、ふたりはどうなったのでしょうか?

※ 今日の画像はNHK-BSPで放送されたものを使わせて頂いております。

2020年4月20日 (月)

OO7/カジノ・ロワイヤル

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OO7/カジノ・ロワイヤル 1967年12月 日本公開

コロムビア映画配給

- 配役 -
イブリン・トレンブル(OO7): ピーター・セラーズ
ヴェスパー・リンド(OO7): ウルスラ・アンドレス
ジェイムズ・ボンド卿 : デヴィッド・ニーヴン
ル・シッフル : オーソン・ウェルズ
マタ・ボンド : ジョアンナ・プティット
英国特別情報部員(OO7): ダリア・ラビ
ジミー・ボンド(ドクター・ノア): ウディ・アレン
情報部員ミミ(通称レディ・フィオナ): デボラ・カー
マクタリー(M): ジョン・ヒューストン
クーパー(ジェイムズ・ボンド OO7): テレンス・クーパー
マネーペニー : バーバラ・ブーシェ
ミス太腿 : ジャッキー(ジャクリーン)・ビセット

音楽 : バート・バカラック(主題歌 : 恋の面影)
原作 : イアン・フレミング
脚本 : ウルフ・マンキウィッツ 他2名
監督 : ジョン・ヒューストン、ケン・ヒューズ 他2名

OO7シリーズ制作の本家、イオン・プロダクションが携わった映画ではなく、イアン・フレミングの小説で「カジノ・ロワイヤル」の一作だけ映画化権を持っていたコロムビア映画による作品です。

本家作品のような本格的スパイ映画と思って本作品をご覧になったら多分、ガッカリすると思います。私がそうでしたから。(笑)

当初、本作品のプロデューサーはショーン・コネリーにボンド役を打診したものの、コネリーは本家のOO7シリーズ出演に嫌気が差していたため、断られたそうです。そこで思い切って方向転換。本家イオン・プロのOO7シリーズを茶化したようなパロディ映画として制作したようです。

しかし、出演している俳優はオーソン・ウェルズ、デヴィッド・ニーヴンといった当時の一流どころを抜擢。さらに本家シリーズの第1作「OO7/ドクター・ノオ」で衝撃的デビューを果たしたウルスラ・アンドレスがヴェスパー・リンド役で出演。

ストーリーは情報部員を引退して静かな生活を営んでいたジェイムズ・ボンド卿のところへ、英国情報部のM、CIA、KGB、フランス情報部が尋ねて来る。各国の情報部員が行方不明になっているので、ジェイムズ・ボンド卿に出動を要請しに来たわけです。
何者かの攻撃でMが死亡したため、情報部のトップに立ったジェイムズ・ボンド卿はすべての情報部員にジェイムズ・ボンド(OO7)を名乗らせて事件を解決しようと。

スメルシュの幹部、ル・シッフルは組織の金を使い込んだため、イカサマのカジノ賭博で大儲けをし、その金で穴埋めを考えていた。カジノ・ロワイヤルでの勝負の行方は?

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原作はソ連(ロシア)のスメルシュ幹部でフランスでの工作員であるル・シッフルは組織の金を使い込みしており、その穴埋めのためフランスのカジノ、ロワイヤルで一攫千金を企んでいる。英国情報部のMはル・シッフルの邪魔をするようボンドに命じる。とまぁ、こうしたプロットでストーリーは進んで行くのですが、映画もその辺りは原作通りという事です。

ちなみに本作品は米コロムビア映画の作品。後年、そのコロムビア映画を買収したのがソニー(ソニー・ピクチャーズ)です。本家イオン・プロのOO7シリーズを配給していた米ユナイト映画は後年、米MGMに買収されました。そしてずっと後にMGMを買収したのがなんとソニーだったのです。

こうした経緯があり、本家イオン・プロが唯一映画化権を持っていなかった「カジノ・ロワイヤル(ダニエル・クレイグ版ボンド)」を第21作として新規に制作、2006年末に公開する事が出来たわけです。

コロムビア映画のドタバタ・パロディ映画の「OO7/カジノ・ロワイヤル」が、正統派作品を作り続けている英イオン・プロの手によって改めて「OO7/カジノ・ロワイヤル」は生まれ変わったのです。

で、イオン・プロはイアン・フレミングのOO7シリーズ処女作である「カジノ・ロワイヤル」の映画化にあたって、第20作迄のシリーズをリセットし、新OO7シリーズとして現在作り続けているわけです。

さて、コロムビア映画による本作品は本家イオン・プロのシリーズとはまったく関係ありませんので、音楽では有名な「ジェイムズ・ボンドのテーマ」は当然の事ながら流れて来ません。しかしながら、音楽を担当したバート・バカラックの手による「恋の面影」は現在までいろいろなミュージシャンによって演奏、歌われています。

ジャズ・ヴォーカリストでピアニストでもあるダイアナ・クラールも「恋の面影」を録音していますね。本作品、映画そのものより音楽で知られているのかも。(^^)

2020年4月13日 (月)

OO7/ドクター・ノオ

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OO7/ドクター・ノオ(Dr. No)1963年6月 日本公開

1962年 英イオン・プロダクション制作 ユナイト映画配給

出演 : ショーン・コネリー(ボンド)、ジョセフ・ワイズマン、ウルスラ・アンドレス、ジャック・ロード、アンソニー・ドーソン、バーナード・リー(M)、ロイス・マクスウェル(マネー・ペニー)、ピーター・バートン(Q)

音楽 : モンティ・ノーマン、ジョン・バリー
原作 : イアン・フレミング
脚本 : リチャード・メイボーム 他
監督 : テレンス・ヤング

OO7シリーズの第1作ですが、なんと1962年の制作です。半世紀以上も前の作品ですが、今見てもまったく古さを感じません。というより、公開当時は類を見ない斬新な映画だったのではないかと思います。

ちなみに原題は原作のままの「Dr. No(ノー博士)」ですが、日本公開時は「OO7は殺しの番号」でした。当時、ユナイト映画日本支社の社員だった水野晴郎(後の映画評論家)さんは、原題の「ドクター・ノオ」ではスパイ映画としてパンチ力に欠ける、という事で、日本独自のタイトルを考えた(水野晴郎さん談)そうです。

OO(ダブルオー)というナンバー(英国海外秘密情報部、現在のMI6)の情報員は任務遂行時、止むを得ない場合には殺人も認められているライセンス(許可証)を所持。という事で「OO7は殺しの番号」という邦題が付けられたようです。最近の作品は原題を単純にカタカナ表記にする事が多く(最新作も)、水野晴郎さん始め、当時のユナイト映画日本支社の社員さんたちはなかなかオシャレですね。

第2作の原題「ロシアより愛をこめて」も日本公開時は「OO7/危機一発」でした。「一発」は正しくは「一髪」ですが、「髪」も「発」の方が映画の内容に合っているという事で、漢字を変えたらしいです。しかし当時、教育委員会から「字を間違えている」とクレームがあったそうです。(水野晴郎さん談)

さて、本作はお馴染みのガンバレル・シーンから始まります。レンズの絞りを思わせる丸い穴の中(銃口)を人が歩いて来、こちらに向かって銃を撃つ、例のシーンです。第2作からは叩きつけるようなジェイムズ・ボンドのテーマと一緒に始まりますが、第1作の本作品は最初テーマは流れず、銃を撃った後、その銃声の余韻が続く中、突然テーマが、それもサビの部分から始まるオーケストラによって強烈に響き渡ります。

この始まり方もなかなかのオープニングで印象的でした。記念すべき第1作でしたから、当時劇場で観た人たちは印象に残っておられたのでは?
ちなみにこのオープニングで登場した人物はボンドではなく、スタントマンのリーダーが演じています。ボンドがガンバレルシーンに登場するのは第4作の「OO7/サンダーボール作戦」からになります。

物語は米国が打ち上げたロケットが電波によって妨害を受けており、米国の依頼で調べていたジャマイカ支局の英国情報員が秘書と共に何者かに殺害されてしまう。そこでMの命によってボンドがジャマイカに派遣されるわけです。余談ですが、原作者のイアン・フレミングは自身の仕事(英国情報員)を引退した後、ジャマイカに居(ゴールデンアイと命名)を構え、そこでOO7シリーズの小説を書いていました。

一作品(カジノロワイヤル)を除くすべての小説の映画化権を取得したイオン・プロダクションですが、最初の映画という事もあって制作費はそれほど多くなかったのでしょう、比較的こじんまりとしたOO7という感じを受けます。

しかし、ショーン・コネリー演じるジェイムズ・ボンド像を見る者に強烈なイメージを与えた作品で、しばらくはボンド=コネリーという絶対的な組み合わせになったわけです。

そして、お馴染みの「Bond, James Bond」というセリフは本作品から聞かれます。会員制クラブのカジノで美人相手に勝負しているシーン、トランプカードによる勝負はボンドの一人勝ち。相手の美人が名前を尋ねると、初めてスクリーンにボンドの顔が映り、「Bond, James Bond」と答えるのです。う〜ん、なんという見事な演出。(^^)

後にボンド・ガールと呼ばれるようになったボンドの相手役の女性、ハニー・ライダーを演じるのはウルスラ・アンドレス。海からハニーが登場するシーンはもうすっかり有名ですね。そうそう、第20作「OO7/ダイ・アナザー・デイ」で本作品のオマージュとして同じようなシーンがあります。そこではハル・ベリーが海から登場します。

ボンドが使う拳銃はワルサー PPKという事はOO7シリーズファンならどなたもご存知ですが、そのワルサー PPKを与えられるのも本作品です。それまでボンドは小型のベレッタを使っていましたが、ベレッタは婦人用で威力が弱いという事でブースロイド少佐(次作以降のQ)から換えるよう言われるのです。

毎回登場するボンドの上司Mの部屋ですが、あれはセットではなく、イオン・プロダクションの実際の事務所を使って撮影されていたそうです。多分、当初は制作費節約のためだったのでしょうね。(^^)

そのMの部屋に入る前、秘書室でマネーペニーとボンドの掛け合いがこのシリーズのひとつのお楽しみで、タキシード姿で現れたボンドにマネーペニーが顔を寄せながら、

マネーペニー「こんな格好でデートに誘われた事はないわ」
ボンド「誘いたいよ。でも君は政府の所有物だ。手は出せないよ」
マネーペニー「見え透いた言い訳だけど」

と、毎回ユーモアとウィットに富んだ会話が見られます。(^^)

敵役のノオ博士を演じるのはジョセフ・ワイズマンという役者さん。なんとも不気味な雰囲気を醸し出していて、第1作の敵役としてお見事でした。捕らえたボンドと食事をしている最中、ボンドが酒瓶を持って暴れようとすると、

ノオ博士「それはドン・ペリニョンの'55年物だ」
ボンド「'53年の方が上さ」

緊迫した中にもちょっとしたユーモアが。その後、

ノオ博士「我々の力を誇示するのさ」
ボンド「我々の? じゃ、東側に雇われてるのか?」
ノオ博士「東も西もない。愚か者ばかりだ、スペクターだよ」

ノオ博士「対諜報活動 テロ 復讐 搾取を専門とするエリート組織だ」

という事で、以後「スペクター」と名乗る国際的犯罪組織がボンドの敵となるわけです。

外出自粛要請ですから、自宅で映画(Blu-ray等)でも見て過ごすのも一興かと。(^^)

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