2021年10月16日 (土)

IMAX vs IMAXフルサイズ

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OO7/ノー・タイム・トゥ・ダイ

また「ノー・タイム・トゥ・ダイ」を見て来ました。今度は通常のIMAXシアターで、川崎の109シネマです。IMAXフルサイズスクリーン上映のサンシャインシネマ池袋と通常のIMAXスクリーンとを見比べてみようと思ったのです。

参考までに両劇場を比較してみます。
左から上映館、スクリーンサイズ、アスペクト比、投写方式、音響チャンネル数

池袋 25.8 x 18.9m 1.37:1、IMAXレーザーGT、IMAX12
川崎 17.4 x 9.0m 1.93:1、IMAXレーザー、IMAX12

ここ何作か、ずっと川崎の109シネマでOO7シリーズを見て来ました。109シネマもスクリーン側から客席へ入るのですが、スクリーンを見上げた瞬間、「小っさ〜・・・」でした。池袋の時は「デカッ!」だったのですが。これはまぁ、池袋の特大スクリーンを知っちゃったからですが。(^^;

スクリーンの高さ、109シネマは池袋の半分以下ですからね。客席に着くとスクリーンは自分の視野角に余裕で入ってしまいます。というより余裕有り過ぎ。感覚としては自宅でテレビを見るような視野角です。しかし、これが通常のIMAXシアターであって、池袋のフルサイズスクリーンが日本のシアターでは特殊だという事なんだと思います。

フルサイズ上映を見たばかりですから、109シネマのスクリーンはやはり上下を大きく切り取られている事が分かり、がっかり感が半端ではないです。特に空撮のシーンで109シネマのスクリーンは窮屈に感じました。フルサイズスクリーンではスッと上下に映像が広がりますので、地上の様子が広々として自分が空から地上を見下ろしている錯覚を覚えます。

これで同じ料金は辛い。フルサイズスクリーンで見る事が出来るのは池袋と大阪(109シネマズ大阪エキスポシティ)だけですから、贅沢を言ってはいけませんね。池袋と大阪は4Kツインレーザープロジェクターによる投写です。

ちなみにどちらのシアターも音響は12チャンネルですから、音については猛烈です。凄い迫力でした。日本全国のIMAXシアターの半分くらいは5チャンネルです。5チャンネルと12チャンネルの差も大きいでしょうね。

※ IMAX(アイマックス)とは、カナダのIMAX社が開発した撮影、映写システムです。

IMAXデジタル : 2K画質 5チャンネル音響
IMAXレーザー : 4K画質 12チャンネル音響
IMAXレーザーGT : 4Kフルサイズ(1.43:1)12チャンネル音響

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今回の作品は前作(2015年 OO7/スペクター)を見ていないと話しが繋がりませんので、ご覧になられる方はレンタルでもして予習してからの方が良いかもしれません。というより、ダニエル・クレイグのシリーズは「2006年 OO7/カジノロワイヤル」からずっと繋がりがあるのですが。

それと音楽面ではシリーズ第6作「1969年 女王陛下のOO7」との繋がりが大きいです。前回の記事でも書いておりますが、「女王陛下のOO7」の挿入歌として流れたルイ・アームストロングが歌う「愛はすべてを越えて/ジョン・バリー作曲」が重要な鍵を握っています。

映画の冒頭、ボンドとマドレーヌがアストンマーチン DB5でドライヴをしているとマドレーヌが「もっとスピードを出して」とボンドに言います。するとボンドは「急がなくても時間はいくらでもある」と答えるのですが、このセリフは「愛はすべてを越えて」の歌詞の一部なのです。

- We have all the time in the world -
私たちに時間はいくらでもある♪
愛という時間が♪

そこからカメラは一気にロングになり、イタリアの小さな町を空から望み、音楽は「愛はすべてを越えて」のメロディがストリングスで大きく広がって行きます。

他ではテムズ川のほとりでMとボンドが話し合うシーン、ここでバックに流れる音楽は「女王陛下のOO7」のメインタイトルテーマです。こんな事に気がつくのは私くらいでしょうか?(笑)

「女王陛下のOO7」はスペクターのブロフェルドがウイルスを使って世界各国を脅迫しようとするのをボンドが阻むストーリーですが、「ノー・タイム・トゥ・ダイ」もスペクターの一員だったサフィンが特殊なウイルスを使った兵器を開発するという、どちらの作品も細菌兵器が扱われています。

ちょうど現在は新型コロナウイルスで世界が苦しんでいる時ですから、ウイルスという見えない恐怖と戦うという意味では映画の内容は偶々ですがタイミングが合ってしまいました。映画制作は新型コロナウイルスが騒がれる前に完成していますので、新型コロナウイルスとはまったく無関係ですが。

ところで、ボンドはMI6を退職して数年経っていますので、今回登場するOO7はボンドの後にOO(ダブルオー)の称号を貰った黒人女性のエージェントです。大活躍しますが、今回は冒頭のポスターに使われたパロマという女性が評判のようです。

MI6を引退してジャマイカで悠々自適の生活をしていたボンドの元へ、CIAの大親友フェリックス・ライターが仕事の依頼をするわけですが、そのアシスタントとして送り込んだのがパロマという新人だったのです。ところがキューバでボンドを補助して新人とは思えない大活躍。(^^)

二度目の今回気がついたのは、ボンドがマドレーヌと別れる事を決意し、駅のホームでマドレーヌを列車に乗せるシーン。マドレーヌの問い掛けにボンドは「これっきりだ」と答えると、ドアが閉まる瞬間、マドレーヌは左手を自分のお腹に当てるのです。「お腹にはあなたの子がいるのよ」という無言のメッセージだったのかも?

Blu-rayソフトで発売される時はフルサイズではなく、テレビの16:9に合わせたアスペクト比になるのでしょうね。IMAXフルサイズの映像を知った者としては少々残念ですが。

2021年10月14日 (木)

ミステリーはお好き?

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角川文庫

ミステリー小説、お好きな方はいらっしゃるでしょうか?

私はふとした切っ掛けで随分前から読むようになりました。

最初は妹がまだ嫁に出る前、妹は松本清張さんの推理小説が好きで、文庫本を買って来ては読み、買って来ては読みの繰り返しで何冊も溜まりました。私はというと推理小説にはあまり関心がなく、もっぱら純文学でして、川端康成、夏目漱石といった著名な作家の本を読んでいたのです。

その後、北杜夫さんの「どくとるマンボウ航海記」を読んだ事から一気に北杜夫ファンになってしまい、すっかりハマったものです。しかし、妹が残した沢山の松本清張さんの文庫本を偶々一冊読んだらこれが面白く、推理小説も良いものだと。その文庫本で名作「砂の器」を知る事になりました。

で、随分昔の出来事ですが友だちが家に来る度、手提げの紙袋いっぱいに読み終えたミステリー小説の文庫本を私に読むようにと持って来るのです。その文庫本の多くが内田康夫さんの「浅見光彦シリーズ」と西村京太郎さんの「十津川警部シリーズ」でした。他の作家さんの文庫本も入っていますが、内田康夫さんと西村京太郎さんが多かったです。

それで私は「浅見光彦シリーズ」と「十津川警部シリーズ」を知り、すっかり両シリーズのファンになってしまい、テレビドラマ化された両シリーズをも見るようになりました。

さて、この数ヶ月、コロナ禍の影響もあってテレビで放送された推理ドラマ、と言うより刑事ドラマにハマっております。(^^;
その切っ掛けとなったのが4K修復を施されたNHK「刑事コロンボ」の再放送です。途中の第8回くらいから毎週録画して見るようになり、コロンボ刑事がじわじわと犯人を追い詰めて行くストーリーが他の刑事ドラマと違うところに興味を惹かれました。

余談ですが、刑事コロンボシリーズ、ずっと見ていたらOO7シリーズに出演していた男優、女優さんが何人も出ていました。一番嬉しかったのは「ゴールドフィンガー」のオナー・ブラックマンさんが出て来た回でした。昨年春、お亡くなりになりましたが。

閑話休題 さて、「刑事コロンボ」でハマったテレビの刑事ドラマですが、BSの再放送ものを手当たり次第にタイマー録画して見ていました。コロナ禍で用事のない限り外へ出られませんでしたから、録画したものを暇潰しに見ていたのです。それらの刑事ドラマで面白かったものを列挙しますと、

西村京太郎 原作
十津川警部シリーズ(渡瀬恒彦)
警部補・佐々木丈太郎(寺脇康文)

内田康夫 原作
浅見光彦シリーズ(榎木孝明 or 沢村一樹 or 中村俊介)
信濃のコロンボ(中村梅雀 or 寺脇康文)

石ノ森章太郎 原作
おみやさん(渡瀬恒彦)

笹沢左保 原作
タクシードライバーの推理日誌(渡瀬恒彦)

堂場瞬一 原作
刑事・鳴沢了(坂口憲二)
捜査一課・澤村慶司(反町隆史)

東野圭吾 原作
新参者(阿部寛)

相棒(水谷豊)
遺留捜査(上川隆也)
再捜査刑事・片岡悠介(寺島進)
駐在刑事(寺島進)
警視庁南平班〜七人の刑事(村上弘明)
警視庁捜査一課長(内藤剛志)
検事・朝日奈耀子(眞野あずさ) 以上、敬称略

こんなところでしょうか。つい最近再放送された「新参者」は本放送の時に全話見ていたのですが、再放送も楽しめました。結構忘れている部分が多かったので。主役の刑事、加賀恭一郎を演じていた阿部寛さんはキャラクターがハマっていました。映画化された「麒麟の翼」も同じ役でしたが、こちらも面白かったです。東野圭吾さんの作品、「マスカレード・ホテル」もなかなかでした。

比較的最近の事ですが、嘗ての仕事上の大先輩が私に「本を読むのが好きだったよな?」と電話で尋ねられたので「はい、好きです」とお答えしたら、「俺んとこに読み終わった文庫本が沢山有るんだ、あげるから取りに来てくれないか」という事で、ご自宅に行ったのです。

そうしたらこれがまた全部推理小説でした。どうも私の環境、周りは推理小説好きな人間が多いようで。(笑)

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中央文庫

頂いた文庫本、同じ推理小説でも内田康夫さんとか西村京太郎さんは一冊もなく、堂場瞬一さん、柚月裕子さん、相場英雄さんが多かったのです。

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角川文庫

大先輩からは定期的に読み終えた文庫本を頂く事になり、私は堂場瞬一さんの「刑事・鳴沢了シリーズ」、柚月裕子さんの「検事・左方貞人シリーズ」にハマる事になりました。内田康夫さん、西村京太郎さんとはまた違った面白さがあります。

- 罪はまっとうに裁かれなければいけない -

柚月裕子さんの「検事・佐方貞人シリーズ」の中の言葉です。柚月裕子さんの作品、大変面白いです。

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角川文庫

衝撃を受けたのが「狐狼の血」でした。広島の暴力団闘争と警察の癒着、腐敗を描いた小説で、とても女流作家が書いたとは思えない作品でした。この作品は3年前、役所広司さん主演で映画化されましたが、映画の方は見ていません。小説で読んだ破天荒なマル暴刑事のキャラクター、役所広司さんはピッタリかも?(^^)

という事でコロナ禍の中、私は音楽鑑賞、読書、録画したテレビの刑事ドラマを見る、という繰り返しで過ごしておりました。(笑)

2021年10月 5日 (火)

OO7/ノー・タイム・トゥ・ダイ

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IMAXフルサイズ上映(シネマサンシャイン池袋にて)

OO7/ノー・タイム・トゥ・ダイ

(原題 : NO TIME TO DIE)2021年10月1日より全国公開中

英イオン・プロ制作 ユニバーサル映画配給

- 配役 -
ジェイムズ・ボンド : ダニエル・クレイグ
マドレーヌ・スワン : レア・セドゥ
リューツィファー・サフィン : ラミ・マレック
ブロフェルド(スペクター): クリストフ・ヴァルツ
ノーミ(OO7) : ラシャーナ・リンチ
フェリックス・ライター : ジェフリー・ライト
マチルド : リサ=ドラ・ソネット
パロマ : アナ・デ・アルマス
M : レイ・ファインズ
Q : ベン・ウィショー
マネーペニー : ナオミ・ハリス

主題歌 : ビリー・アイリッシュ
挿入歌 : ルイ・アームストロング(愛はすべてを越えて/ジョン・バリー)
音楽 : ハンス・ジマー
原作 : イアン・フレミング
脚本 : ニール・ヴァーヴィス、キャリー・ジョージ・フクナガ 他
監督 : キャリー・ジョージ・フクナガ

緊急事態宣言が解かれたので、遥々東京・池袋まで出掛けてOO7の新作を見て来ました。自宅周辺に幾らでも劇場が在るのに何故、遠い池袋まで行ったのか? 不思議に思われるかもしれませんね。

今回の作品、上映時間の1/4くらいが70mm IMAXカメラで撮影した場面だそうで、撮影された映像をフルサイズで上映出来る劇場が全国で東京に一館、大阪に一館しか無いそうです。その東京の一館が池袋のシネマサンシャイン池袋なのです。

ちなみにシネマサンシャイン池袋 IMAXシアターのスクリーンサイズは25.8m x 18.9m(国内最大)です。客席へはスクリーン手前から入って行くのですが、スクリーンの高さを見た瞬間、「デカ!(◎_◎;)」と。同じお金を払うなら少しでも大きなスクリーンで見たい人間ですから、事前に調べた通りで内心「ヨシヨシ(^^)」とほくそ笑ました。

フルサイズ上映の件ですが、IMAXカメラの画角は4:3に近いようです。ところが全国何処の劇場もスクリーンはシネマスコープサイズですから、オリジナルの撮影映像を上下バッサリとカットしてシネスコの横に細長いスクリーンに合わせなくてはいけません。それが為フル画像の40%少々もカットされてしまいます。

ですが、シネマサンシャイン池袋のスクリーンは上下にも面積を取ったサイズですからIMAXフルサイズのオリジナル映像で見られるのです。上下40%のカットは大きいですよね。

いや〜バカでかいスクリーンに投写されたフルサイズの映像は筆舌にし難い迫力があります。ところどころで画面がさりげなくフルサイズになるのですが、目の視野角いっぱいになります。自分の席の位置とも関係しますけど。

スクリーンは左右が手前に少し湾曲しておりまして、大昔銀座のテアトル東京で見たシネラマを思い出しました。あまりにも大きなスクリーンなので平面ですと左右のピントが怪しくなってしまう事から湾曲させているわけですね。

IMAXフルサイズは真四角の画面を見ているような感じを受けました。派手なアクションシーン、他の劇場で見るとあの画面の上下がバッサリと切られるのか・・・それは無いなぁ・・・と。Blu-rayソフトで発売される時はどうなるのか気になります。

さて、肝心の映画です。途中で「女王陛下のOO7」で使われた主題歌のメロディがストリングスで流れたのです。「あれ?」と私はメロディを頭の中で反芻してみると、「間違いなく女王陛下のOO7で流れたジョン・バリーの曲だ!」と。ストーリー途中のその時は何故使われたのか分からなかったのですが、映画のクライマックス・・・ラストで疑問が解けました。

ストーリー途中で流れたジョン・バリーの書いた素敵なメロディは、ラストの結末を暗示した音楽による伏線だったのです。なかなか上手い趣向ですね。今回の音楽を担当したハンス・ジマー自身の音楽は主題歌含め、実につまらない音楽でしたが。

OO7シリーズは言うまでもなくボンドの活躍を描く映画ですから当然ハッピーエンドで映画は終わります。ですがただ一編、「女王陛下のOO7」だけは悲劇で幕を閉じます。イアン・フレミングの原作を忠実に映画化したからですが。

ところが今回の作品も悲劇で幕を閉じたのです。

で、エンドタイトルで流れて来たのが「女王陛下のOO7」で使われたルイ・アームストロングが歌う「愛はすべてを越えて」でした。ジョン・バリー作曲の名曲がフルバージョンで流れ、スクリーン右側には歌詞の対訳が映し出されます。サッチモの歌声、胸に来ます。今回の作品、思いもかけないラストでした。

そうそう、子役の女の子が可愛いです。なかなかの名演技でした。

映画のあらすじはネットで幾らでも調べる事が出来ますので割愛しますが、映画を見ればダニエル・クレイグの次回作は絶対無いな・・・と、誰もが思うでしょう。御本人も最後のボンド役とインタビューで話していましたし。

ところで、シリーズでボンドの敵役を演じる俳優さんですが、ショーン・コネリー時代に登場していた個性的なアクの強い人たちに比べると物足りないです。今回の作品でのラミ・マレックという俳優さん、全然迫力がなかったです。キャラクター的にはジョーカー(バットマン)の真似?と思ってしまいました。

エンドタイトルの最後の最後に、

JAMES BOND WILL RETURN

と、文字が出ました。

「え!? まだ続けるの・・・」というのが私の正直な感想です。続けるとなれば再び全くの新シリーズとなるのでしょう。今回の作品、上映時間(163分)が長過ぎます。アクション映画はテンポ良く2時間くらいで纏めるべきです。

2021年9月20日 (月)

懐かしい・・・

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山田洋次監督の名作。懐かしい・・・。

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モノクロ時代の名作ですね。

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最近は是非見たい、と思わせる映画が山田洋次監督作品以外・・・無いのが何とも。

2021年8月 9日 (月)

キネマの神様

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山田洋次監督作品「キネマの神様」

2021年8月6日より公開中

- 配役 -
円山郷直(ゴウ): 沢田研二
若き日のゴウ : 菅田将暉
円山淑子 : 宮本信子
若き日の淑子 : 永野芽郁
寺林新太郎(テラシン): 小林稔侍
若き日のテラシン : 野田洋次郎
桂園子 : 北川景子
円山歩 : 寺島しのぶ
円山勇太 : 前田旺志郎
出水宏監督 : リリー・フランキー

主題歌 : 菅田将暉、野田洋次郎
音楽 : 岩代太郎
原作 : 原田マハ
脚本 : 山田洋次、朝原雄三
監督 : 山田洋次

山田洋次監督、待望の新作を観て来ました。松竹映画100周年を記念する作品です。嘗て山田洋次監督は松竹大船撮影所50周年を記念する映画で「キネマの天地」を撮っていますが、今回の作品も松竹大船撮影所が舞台になっています。

実はこの作品、観る前からずっと沢田研二さんの主役を危惧していました。それと自分がよく知らない菅田将暉さんにも。本来なら主役は志村けんさんが演じるはずだったのですが、ご存知の通り志村けんさんは昨年、現代パート部分の撮影に入る直前に新型コロナウイルス感染により急死してしまいました。

沢田研二さんになったのは志村けんさんと親交があったから、という事が報道されておりますが、もし、志村けんさんがご存命で予定通り演じていたら、と思ってしまうようなシーンが・・・。沢田研二さんの本業は俳優ではないですからね。もっとも志村けんさんも違いますけど、コントで何かを演じるのはとても上手い方でしたので。

ギャンブル漬けのゴウ(沢田研二さん)は街金から借金の繰り返しをしており、娘の歩(寺島しのぶさん)からは愛想を尽かされ、もうお父さんの借金の肩代わりはしないと怒鳴られるほどのどうしようもない年老いたダメ親父。しかし、妻の淑子(宮本信子さん)はゴウに対し、なかなか冷たい事が言えず、そういう母の姿にも歩はイライラしてしまう。

何故、淑子は夫であるゴウに辛く当たる事が出来ないのかは、若き日のシーンの大事な部分で「なるほど、そういう事か・・・」と分かります。

しかし、若き日のゴウは映画監督を夢見て松竹大船撮影所で助監督として働いており、親友のテラシン(野田洋次郎さん)、撮影所近くの食堂の看板娘である淑子との交流、スター女優の桂園子(北川景子さん)に思いを寄せられたりと、充実した日々を過ごしていた。

そして、ようやくゴウは自分で書いた脚本で監督をし、映画を撮る夢が叶ったのですが・・・。

映画のストーリーは現代から始まります。テラシン(小林稔侍さん)が経営する名画座でゴウは自分が助監督として製作に携わった往年の映画(桂園子主演)をテラシンと共に観ていると、園子の目に自分が映っていると言う。

そこから50年前の松竹大船撮影所にワープする手法が素晴らしいです。さすが山田洋次監督と、映画を観ながら思ったものです。映画は過去と現在を時折行き来しながらストーリーは進んで行きます。

映画監督として私がもっとも尊敬する山田洋次さんの新作ですが、見始めてしばらくはイマイチ映画にのめり込む事が出来ません。山田洋次さんの作品なのに、私としては珍しいです。やはり、当初危惧していた事が映画を観ながら現実のものとして実感したのです。

沢田研二さんには申し訳ないですが、演技が下手です。セリフ回しに私はシラける一方でした。何故、山田洋次監督は志村けんさんの後釜に沢田研二さんを選んだのだろうか・・・と、映画を観ている間中(沢田研二さん登場の場面)何度も思ってしまったほどです。演技指導に厳しい山田洋次さんらしくないです。

対して、もう一人危惧していた菅田将暉さんは若き日の自由奔放なゴウをよく演じていたと思います。それと私は初めて見る永野芽郁さん、食堂の看板娘を実に上手く演じていました。そして、可愛かったです。

新作映画を観る時、私は出来るだけ白紙の状態で観るようにしていますので、ネット情報などは事前に見ないようにしています。なので、観始めから20分、30分経った頃、「そうか・・・そういう事か・・・」と、ようやく人物関係が理解出来ました。観る前、私が知っていた事は主役のゴウを沢田研二さんと菅田将暉さんが演じているという事くらいでしたから。

沢田研二さんには不満を感じたものの、見終わった後はいつも通り「山田作品、やはり観て良かった」と思ったものです。嘗ての山田組俳優さんのお顔がないのは一抹の寂しさを感じましたけど。若き日のゴウは、山田洋次監督ご自身の若き日を投影していたのではないかと思います。

沢田研二さんに対して生意気な事を申しましたが、是非劇場でご覧になってくださいませ。

映画の最後に以下のような字幕が・・・

さようなら
 志村けんさん

2021年5月16日 (日)

OO7/美しき獲物たち

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- OO7/美しき獲物たち -

(原題 : A View to a Kill)1985年7月 日本公開

英イオン・プロ制作 MGMユナイト映画配給

OO7シリーズ第14作

- 配役 -
ジェイムズ・ボンド : ロジャー・ムーア
ステイシー・サットン : タニア・ロバーツ
マックス・ゾーリン : クリストファー・ウォーケン
メイデイ : グレース・ジョーンズ
ゴゴール将軍(KGB) : ウォルター・ゴテル
M : ロバート・ブラウン
Q : デスモンド・リュウェリン
マネーペニー : ロイス・マクスウェル

主題歌 : デュラン・デュラン
音楽 : ジョン・バリー
原作 : イアン・フレミング
脚本 : リチャード・メイボウム、マイケル・G・ウィルソン
監督 : ジョン・グレン

本作でボンドガールを演じていたタニア・ロバーツさんが新年早々、お亡くなりになっていたのですね。享年65歳だそうです。尿路感染症という病気だったそうですが、まだお若いのに残念です。で、今日はタニア・ロバーツさんが出演していたOO7シリーズの一作をご紹介。

KGBの息のかかったマックス・ゾーリンは米シリコン・バレーを壊滅させる計画を企てていた。シリコン・バレーが壊滅すれば、ゾーリン経営の企業が生産するマイクロチップの市場価格が一気に跳ね上がるからだ。ボンドはゾーリンに近付き、計画を阻止しようとするのだが・・・。

第3作「ゴールドフィンガー」のパロディ作品みたいですね。ゴールドフィンガーが米国の金塊貯蔵庫「フォートノックス」を襲い、そこで小さな核爆発を起こして米国政府が保有する金塊すべてを放射能汚染させ、金の世界市場を高騰させようと企むストーリーと良く似ています。

イアン・フレミングの原作は「From a View to a Kill」という短編です。映画は原作のタイトルを持って来ただけで、全くのオリジナル脚本です。しかし、時代を先取り、若しくは反映させるシリーズですから、当時世界が注目するシリコン・バレーを映画のネタにしていたのはさすがです。

ロジャー・ムーア版ボンド、最後の作品ですね。この頃はさすがにロジャー・ムーアさんに老いの翳りが見られます。二作前の「ユア・アイズ・オンリー」で、敵の殺し屋が乗る車を階段を駆け上がり、先回りして追うアクション・シーンがありましたけど、階段がかなり辛そうに見えました。

音楽はジョン・バリー担当ですから、OO7シリーズの雰囲気だけは感じられます。(^^)

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右 : タニア・ロバーツさん(劇中より)

そのロジャー・ムーアさんも四年前にお亡くなりになっていますから、この作品で主役とヒロインを演じていた役者さん、お二人共すでに鬼籍に入られているのですね。

ロジャー・ムーアさんのボンド役、個人的にはあまり好みではありませんでしたが、お二人に合掌。

2021年2月10日 (水)

4K8Kの事

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映画「マイ・フェア・レディ」(NHK-BS 8Kと4Kで放送済み)

緊急事態宣言下、家に閉じこもる日々で写真など撮りに行けません。なので、今日はテレビ放送についての雑談など。

2011年に東京タワー(関東圏)から電波が飛んでいた地上アナログ放送が終了し、現在は地上デジタル放送に移行されているのはどなたもご存知。ちなみにテレビ放送の解像度は以下の通りです。参考までにDVDソフトも載せておきます。

640 x 480 = 約30万画素(地上アナログ放送)
720 x 480 = 約34万画素(DVDソフト)
1,440 x 1,080 = 約155万画素(地上デジタル放送)
1,920 x 1,080 = 約207万画素(BS放送、Blu-rayソフト)
3,840 x 2,160 = 約829万画素(BS 4K放送、UHD Blu-rayソフト)
7,680 x 4,320 = 約3,317万画素(BS 8K放送)

以上、千単位の画素数を切り捨てています。

未だにDVDソフトが発売されていますが、地上アナログ放送時代のメディアなのです。解像度の低さがお分かり頂けると思います。・・・が、映像ソフトってあまり画質に拘らない方が多くいらっしゃるのと、今でもDVDプレーヤーをお使いの家庭がありますのでメーカーとしてもBlu-rayだけでなく、DVDソフトも出さざるを得ないのでしょうね。

何よりアナログ放送時代にはマルチパス歪みでテレビ受像機の映像が二重になったり三重になったりしていても、気にせず平気でブラウン管テレビを見ていましたよね。マルチパス歪というのは東京タワーから飛んで来る電波が途中の高層ビルや山などに反射し、真っ直ぐ届いた電波より遅れてアンテナに届くために映像が二重になったり三重になったりしたわけです。その点、デジタル放送では電波の強弱次第なので、映るか映らないかのどちらかになっています。

ところで、上の解像度比較をご覧頂くとお分かりになるのですが、地上デジタル放送は俗に言うフルハイビジョン(1,920 x 1,080)ではありません。水平解像度が1,440ドットしかありません。ですから4Kの液晶テレビや有機ELテレビどころか、フルHD(2K)テレビの解像度すら使い切っていません。もっとも、地上デジタル放送で解像度を重視する番組がそもそもありませんが。

ミラーレスカメラの中には8Kの動画を撮れるモデルが発売されていますが、現実問題、撮影した8K動画を8Kそのままご自宅で見られる方はまだまだ少ないと思います。ですが、8Kの液晶テレビもひと頃より大分安くなりました。8Kチューナー内蔵でなければシャープの8Kテレビ(60インチ)が実売25万円くらいまでになっていますから。

現在8Kの本放送はNHKだけです。8Kとは言わないまでも、4K対応の液晶、若しくは有機ELテレビは大分普及しているのではないかと思います。4Kの液晶テレビ、55インチサイズでも実売10万円を切っているものもあるくらいで(有名メーカー品)、倍速に拘らなければ入手しやすくなりましたね。

余談ですが、有機ELテレビをご購入された方は焼き付きにご注意ください。嘗てのプラズマテレビと同じく、有機ELは画素そのものが発光していますので、同じ静止画像が出っ放しのゲームなどを長時間やっていますと焼き付き(画面に残像が残る現象)を起こしますので。ノートリミングのシネマスコープサイズの映画、上下に真っ黒い部分がずっと表示されますが、あれもダメ。

さて、昨秋4K対応のBlu-rayレコーダーを入手以来、NHK-BS 4K放送の番組を録画しまくっています。民放の4K放送は地上デジタルで放送されたものを4Kにアップコンバートしているだけで、純然たる4K収録の番組はほとんどありません。せいぜいニュース番組くらいでしょうか。民放はお話しになりません。電波の無駄遣いです。

その点、NHKはオリジナルの4K収録です。4Kどころか8Kで収録した番組も多いので、私の録画はもっぱらNHKだけです。映画「マイ・フェア・レディ」は8Kでデジタル修復していますので、メチャクチャ高画質でした。8Kを4Kにダウンコンバートした4K放送で録画したのですが、それでも充分な高画質ぶりに驚嘆しました。元々オリジナルは70mmフィルムで撮影された映画でしたから、8Kによるデジタル修復の効果がより一層出ています。

カラーについても2Kの8bitから4Kでは10bitになりましたので、色の階調・・・言い換えればグラデーションが更に滑らかになっています。この辺りはカメラをやられていらっしゃる方にはお分かり頂けると思いますが。

私がNHKの4K放送で録画した番組の一部をご参考までに掲載してみます。

ヨーロッパ トラムの旅(8K収録)全26回
ベートーヴェン/交響曲第9番「合唱」ネルソンス指揮 ウィーン・フィル
Jazz from NewYork(クラブ Blue Noteでのライヴ8K収録)数回分録画
映画「マイ・フェア・レディ」8Kデジタル修復
映画「ウエスト・サイド物語」8Kデジタル修復
映画「ダークナイト」4Kデジタル修復 以下同
映画「地獄の黙示録」
映画「ターミネーター2」
映画「ミッション・インポッシブル」第1〜3作
映画「オズの魔法使」
映画「ジョーズ」
映画「乱」黒澤明監督
映画「羅生門」黒澤明監督
ウルトラセブン 4Kリマスター版(円谷プロ)

「ヨーロッパ トラムの旅」は8K収録ですから素晴らしい映像です。音声は5.1チャンネルなので、実に臨場感たっぷり。拙宅では7.1チャンネルのサラウンド再生を出来るようにしていますので、トラムの中からの映像時、見ている自分もトラムに乗車しているかのよう。停車案内のアナウンスが天井から聞こえて来ます。街中での映像では自分の周り360度から人の話し声、車が行き交う音、トラムが走り去る音が聞こえて来ますから、これまた自分がそこにいるかのようです。(^^)

ニューヨークのジャズクラブ Blue Noteでのライヴなんて8Kで収録し、音声は22.2チャンネルです。4K放送では5.1チャンネルになりますが、これも自分がテーブルで飲み食いしながらジャズの生演奏を聴いている感じです。私が録画したのはマッコイ・タイナーのグループ、ロン・カーター・トリオ、チック・コリアとハービー・ハンコックのデュオ等ですが、演奏は勿論の事、映像と音声も良かったです。その他、ノラ・ジョーンズのロンドンでのライヴもありました。

ウルトラセブンを見たのですが、アンヌ隊員を演じている菱見百合子さん、可愛らしいですね。年齢は自分より遥かに歳上ですがネットで調べてみると、お元気のようで何よりです。

いや〜・・・NHK-BS 4K放送は4Kの高解像度を生かした番組構成が本当に素晴らしいです。民放が今のままならいっその事こと、放送をやめてもらっても良いとすら思います。アナログ放送時代の2時間ドラマを再放送しているくらいで、そういう番組なら地上デジタル放送でも充分なわけです。まぁ、民放はスポンサーが付かないとお金を掛けられませんから仕方ないですが。

ところで、4K放送の高画質ぶりを今日は喧伝していますが、拙宅のテレビは未だ2Kの液晶テレビ(52インチ)です。あ、2Kのプロジェクターもあります。(^^;

Blu-rayレコーダーだけ4K録画対応なので、近い将来4Kか8Kのテレビを購入した時のために今からせっせと録画に励んでいるのです。今は4K録画した番組を2Kのテレビで見ている状況であります。お笑いください。あははは・・・(^^)

2020年12月 5日 (土)

レッド・オクトーバーを追え!

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レッド・オクトーバーを追え!

(原題 : The Hunt for Red October)1990年7月 日本公開

米パラマウント映画配給

- 配役 -
マルコ・ラミウス(ソ連原潜艦長) : ショーン・コネリー
ジャック・ライアン(CIA) : アレック・ボールドウィン
バート・マンキューソ(米原潜艦長) : スコット・グレン
ヴァシリー・ボロディン(ソ連原潜副長) : サム・ニール
ジェイムズ・グリーア(CIA副長官) : ジェイムズ・アール・ジョーンズ
アンドレイ・ルイセンコ(ソ連駐米大使) : ジョス・アクランド

音楽 : ベイジル・ポールドゥリス
原作 : トム・クランシー
脚本 : ラリー・ファーガスン、ドナルド・スチュワート
監督 : ジョン・マクティアナン

ショーン・コネリーにとって、代表作のひとつではないかと思います、この映画は。もちろんOO7シリーズを除いて。

原作はトム・クランシーの小説「ジャック・ライアン」シリーズの第1作になります。ライアンシリーズでは他に「パトリオット・ゲーム」や「今そこにある危機(以上、ハリソン・フォード主演)」が映画化されておりますので、ご覧になられた方も多いと思います。

本作品ですが、時は東西冷戦の時代、ノルウェーやフィンランド国境に近いソ連のムルマンスク港から出港するソ連最新鋭の原子力潜水艦「レッド・オクトーバー」の処女航海の物語。艦長は部下の信任厚いマルコ・ラミウス大佐。

乗組員にはキューバへ向かう訓練と言ってはいるが、ソ連の体制に不満を持っているラミウスは信用出来る下士官の協力の元に、レッド・オクトーバーを手土産にアメリカへ亡命する事が目的だったのである。

ラミウスの真意を知ったソ連政府は「演習」という名目でレッド・オクトーバーをアメリカの手に渡る前に攻撃し、沈没させようと攻撃型潜水艦を差し向ける。しかし、ラミウスの意図を感じ取ったジャック・ライアンは自らも行動を起こす事に。果たしてアメリカはレッド・オクトーバーを無事保護出来るのか?

ちなみにレッド・オクトーバーには、米英のソナーでは探知出来ない「キャタピラー・ドライヴ」という水中での静音推進動力を持った原子力潜水艦という設定になっています。もちろん私はキャタピラー・ドライヴに関する知識などあるはずもなく、この映画で知りました。

さて、ジャック・ライアンを演じているアレック・ボールドウィンという俳優さん、最近どういう作品に出演しているかお分かりになりますでしょうか?

「あ! あれだ!」と思い浮かぶ方も多いかと思います。そうです、「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」と「ミッション:インポッシブル/フォール・アウト」の二作品でCIA長官からIMF長官となるアラン・ハンリーを演じています。

「ローグ・ネイション」を劇場で観ていた時、実は全く気が付いていませんで、エンドタイトルで流れていた配役の名前を見た時、長官役がアレック・ボールドウィンとクレジットされていたのに気付き、「え!? 長官を演じていたのはアレック・ボールドウィン?」という事で、ただただ驚くばかり。

何故かと申しますと、即座にこの「レッド・オクトーバーを追え!」での颯爽たる容姿を思い浮かべたからです(冒頭のチラシ写真をご覧ください)。当時、劇場を出た後にスマホで調べたら、両作品の間には25年の歳月が流れており、「顔も体型も変わるわな」と思ったものです。(^^;

ショーン・コネリーはロシア人役を演じていますが、実に渋いですね。素晴らしいです。「ロシアより愛をこめて」ではロシアを敵に回していますが、本作ではロシア人を演じています。(^^)

良い俳優さんをまた一人、失いました。今日もコネリーさん追悼の意味で映画の記事に致しました。合掌。

2020年11月 3日 (火)

ボンド死す!

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OO7/ダイヤモンドは永遠に

(原題 : Diamonds Are Forever)1971年12月 日本公開

英イオン・プロ制作 米ユナイト映画配給

- 配役 -
ジェイムズ・ボンド : ショーン・コネリー
ティファニー・ケイス : ジル・セント・ジョン
ブロフェルド : チャールズ・グレイ
フェリックス・レイター : ノーマン・バートン
ウィラード・ホワイト : ジミー・ディーン
ミスター・ウィント : ブルース・グローヴァー
ミスター・キッド : バター・スミス
M : バーナード・リー
Q : デスモンド・リュウェリン
マネーペニー : ロイス・マクスウェル

主題歌 : シャーリー・バッシー
音楽 : ジョン・バリー
原作 : イアン・フレミング
脚本 : リチャード・メイボーム、トム・マンキーウィッツ
監督 : ガイ・ハミルトン

初代ジェイムズ・ボンドを演じたショーン・コネリーさんがお亡くなりになりました。滞在先のバハマで最後は睡眠中、そのまま天国に召されたようです。晩年は認知症になってしまったそうですが、90歳という事ですから大往生ですね。フロリダのバハマは第4作「サンダーボール作戦」の舞台になったところで、コネリーさんお気に入りだったのかもしれません。

歴代のボンド役、やはり私は初代のコネリーさんが最高と思っています。最初に見たのが「サンダーボール作戦」でしたが、後年、第1作「ドクター・ノオ」を見た時、カジノの場で勝負していた女性から「ミスター?」と名前を問い掛けられると、初めてスクリーンにボンドの顔が映り、「ボンド、ジェイムズ・ボンド」と答えるシーン、「カッコいい・・・!」と、思ったものです。

今日ご紹介の「ダイヤモンドは永遠に」は「OO7は二度死ぬ」を最後にボンド役を降板してしまったコネリーさんが、イオン・プロ再交渉の結果「もう一本だけ」という約束でボンド役にカムバックした作品です。

前作「女王陛下のOO7」でオーストラリア出身のモデル、ジョージ・レイゼンビーをボンド役に抜擢したものの、世界的規模で興行は失敗に終わる事に。やはりボンドはショーン・コネリーでなければ・・・という事で、多額のギャラとコネリーさんが関係している故郷スコットランドの基金に支援を図る事でイオン・プロは再びコネリーさんとの交渉に成功。そして本作にボンドとして再び出演。

前作でボンドが真剣に愛したトレーシーと結婚式を挙げ、愛車のアストンマーチンでハネムーンに向かう途中、国際的犯罪組織スペクターのボスであるブロフェルド(実際はブロフェルドの秘書)にトレーシーが射殺されてしまい、ボンドは憎き敵であるブロフェルドを追っているところから本作のストーリーは始まります。

本作は南アフリカで発掘されるダイヤモンドが何者かによって大量に盗難され、市場にも出ていない事に関しMはボンドに捜査を命じる。行方不明になったダイヤモンドを追ってボンドはアムステルダムからロスアンジェルスへと。事件を追って行くとそこに現れた陰謀の首謀者はなんと・・・。

さて、せっかくコネリーさんがボンド役に復帰した本作ですが、コネリーさん演じる第1作から第5作までの緊張したスパイ映画という雰囲気はなくなり、何ともコミカルな映画に変貌していて、初めて見た時は随分とガッカリしたものです。登場人物のキャラクター、そしてセリフ回しもまるでコメディ映画タッチで、OO7シリーズを見ている気がしないのです。

久しぶりに見るコネリーさんの風貌も第5作までの頃と違い、やや太り気味で少し老けたなぁと。僅か数年で人間はこんなにも変わってしまうのかぁ・・・と感じたものです。風貌はともかくとして、この映画でコネリーさん演じるボンドのキャラクターも第5作までとは違い、前述したコメディ映画タッチで、これはもう脚本作りの失敗ではないかと。

ただ、このコメディタッチは続く三代目ボンド役、ロジャー・ムーアのシリーズへずっと引き継がれます。初期の緊張感のあるシリーズとはまるで違う路線になりました。初期のような路線に戻るのは四代目ボンドを演じたティモシー・ダルトンに代わってから。

さて、一番の不満はボンドガールを演じているジル・セント・ジョンがまるで喜劇役者ですし、ボンドの宿敵ブロフェルドを演じているチャールズ・グレイも前作までブロフェルドを演じていた俳優さんと比較すると著しく貫禄に欠けます。ちなみに本作でブロフェルドを演じているのは日本が舞台だった第5作「OO7は二度死ぬ」でボンドが情報を得るために日本で接触したオランダの情報員、ヘンダーソンを演じていた俳優さんです。登場直後、スペクターにナイフで殺されてしまう、ほんのちょい役でした。

ちなみにイアン・フレミングの原作にはスペクターもブロフェルドも登場しません。「スペクター」の権利を持っているケヴィン・マクローリーから権利違反との抗議を受け、以後のシリーズからスペクターもブロフェルドも登場しなくなりました。以前、拙ブログでも触れた事がありますが、ケヴィン・マクローリーはイアン・フレミングの小説がどこからも映画化権の交渉が来ていない頃、「Thunderball」という映画向け用脚本をフレミングと共同執筆した人物です。

その映画用脚本はどの映画会社からも見向きされなかったため、フレミングは改めてOO7シリーズの小説として書き直し、発刊されたわけです。後年、イオン・プロが制作した「サンダーボール作戦」はマクローリーと共同執筆した映画用脚本の方ではなく、フレミングが単独で小説として書き直した方を映画化しています。なので、小説が書かれる前に映画用脚本を共同執筆していたマクローリーが自分にも半分権利があると主張し、訴訟問題に発展した事は有名ですね。

不満を感じた本作ですが、素晴らしかったのは主題歌を歌ったシャーリー・バッシー(黒人シンガー)です。第3作「ゴールドフィンガー」で素晴らしいダイナミックな歌唱を聞かせたシャーリー・バッシーが、「ダイヤモンドは永遠に」でも再び見事な歌唱です。「サンダーボール作戦」の主題歌も当初シャーリー・バッシーで録音されたものの、歌詞の中に映画タイトルである「Thunderball」という言葉がないという理由でプロデューサーからダメ出しされ、お蔵入りとなってしまいました。

ともあれ、コネリーさんが亡くなられたニュースを知り、本作のBlu-rayディスクを久しぶりに取り出してコネリーさんを忍びながら見ました。今日はコネリーさん追悼です。
コネリーさん、安らかにお眠りください。

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OO7/ノー・タイム・トゥ・ダイ(原題 : No Time to Die)

最新作の公開がまたまた延期となりました。当初、本年2月に公開される予定でしたが、新型コロナウィルス感染のため、全世界4月へと公開が先延ばしされました。ところが感染は徐々に拡大へと繋がり、改めて11月公開へと延期されました。

しかし、ここに来て欧米では感染蔓延が再び深刻になっている事を受け、全米全英含め映画公開を先月、2021年4月にすると再々延期がアナウンスされました。先月、劇場で宣伝用に置いてあるチラシを頂いて来たのですが、その直後に公開延期のアナウンスです。

そもそも当初、監督の問題でゴタゴタがあってクランクインも予定より一年遅れていました。ようやく2019年に映画が完成し、2020年全世界で公開するはずだったのに・・・。イオン・プロとしては興行収入の受け取りが遅れるでしょうから、次回作(作る予定なら)もますます遅れてしまうのでは?

ニュースを見ているとヨーロッパの感染が再び広がってロックダウンを再度実行する国が出ています。どう考えても来年の東京オリンピック開催は絶望でしょうね。で、シリーズ最新作、来年4月本当に公開されますかねぇ? もう、いっその事Blu-rayを映画公開に先駆けて発売してみては?

さすがにそれはないか。(^^;

2020年6月27日 (土)

OO7/リビング・デイライツ

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OO7/リビング・デイライツ

(原題 : THE LIVING DAYLIGHTS)1987年12月 日本公開

英イオン・プロ制作 MGMユナイト映画配給

- 配役 -
ジェイムズ・ボンド : ティモシー・ダルトン
カーラ・ミロヴィ : マリアム・ダボ
ゲオルギ・コスコフ : ジェローン・クラッベ
ブラッド・ウィティカー : ジョー・ドン・ベイカー
レオニード・プーシキン : ジョン・リス=デイヴィス
ソーンダース : トーマス・ウィズリー
フェリックス・レイター : ジョン・テリー
M : ロバート・ブラウン
Q : デスモンド・リュウェリン
マネーペニー : キャロライン・ブリス

主題歌 : a-ha
音楽 : ジョン・バリー
原作 : イアン・フレミング
脚本 : リチャード・メイボーム、マイケル・G・ウィルソン
監督 : ジョン・グレン

前作までのボンド役、ロジャー・ムーアの後を引き継いで抜擢されたのは英国でシェークスピアなどの舞台俳優として活躍していたティモシー・ダルトンです。ロジャー・ムーアのボンドを私はまったく評価していない(おお・・・生意気)のですが、ティモシー・ダルトンは良かったですね。愛想は感じられませんが、スパイとしての冷徹さを感じますし、或る意味ショーン・コネリー時の緊張感みたいなものが映画から感じる事が出来ます。

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後のボンド役、ピアース・ブロスナンの抜擢を考えていたものの、当時ブロスナンはテレビドラマ「探偵 レミントン・スティール」で主役を演じており、ブロスナン自身はボンド役を受けたかったものの、テレビ局側が契約が残っているとブロスナンを手放さなかったそうです。で、オーディションの結果、ティモシー・ダルトンに決定。そのオーディションで演技テストの相手役を務めていたマリアム・ダボがそのままボンド・ガールとして出演する事に。

映画はまだ東西冷戦時だった時代のストーリー。ソ連の政府高官であるコスコフ将軍がソ連の重要機密を持って英国への亡命を希望しており、亡命については援助協力にボンドを指名していた。東側チェコスロバキアのブラティスラヴァでのボンドの任務は、コスコフの亡命を援助し、コスコフを狙うKGBのスナイパー(狙撃手)を射殺する事であった。

何やら「ロシアより愛をこめて」でタチアナ・ロマノヴァの亡命をボンドが助けるストーリーと似ていますが、原作の小説では東側の重要機密を持って東ベルリンから東西を仕切る壁を乗り越え、西ベルリンに脱出して来る同僚の英国情報員を守るため、東側のスナイパーを射殺せよという任務の短編です。小説はボンドシリーズの短編を集めた本に収録されており、その本のタイトルは「Octopussy and The Living Daylights」です。

OO7シリーズファンならお気づきだと思います。短編集のタイトルを二つに分け、「Octopussy」と「The Living Daylights」というタイトルで二本の映画が作られたわけです。ロジャー・ムーア時代に「オクトパシー(Octopussy)」という作品がありますね。

ところで「The Living Daylights」って、日本語にしたらどういう言葉が適切なのか私はずっと分からなかったので、或る時、日本に住んで何年も経っているアメリカ人女性に訊いてみました。『映画に「The Living Daylights」というのがあるのだけど、このタイトルを日本語に置き換えたらどういう言葉が適切?』と。

そうしたら彼女はしばし考え、右手の拳を左手の掌にパチンとぶつけ、「こういうふうにビックリする事ね。予期しない衝撃的な事にビックリする事」と申しました。

それを聞いて私は納得しました。(笑)
映画でボンドが東側のスナイパー(女性)を射殺しようと、ライフルのスコープを覗いた際、この女は本物のスナイパーではないと直感し、ボンドは女が構えていたライフルを撃ち抜くのです。

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任務を終えて戻る車中、オーストリア支局のソーンダースがボンドに「女だから、わざと外したな。Mには報告するからな」と言うと、ボンドは「プロ以外は殺さない主義でね。あの女は素人だよ」「あの女は死ぬほど驚いたはずだよ」と。

このシーンに映画のタイトルが反映されているのです。

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映画は原作の短編をプロットとして、そこからストーリーは大きく広がって行きます。さすがに長年シリーズの脚本を担当しているリチャード・メイボームの手腕が生かされていて、シリーズの中でも優れた作品のひとつだと私は思っています。

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本作品でカーラ・ミロヴィというボンドガールを演じているマリアム・ダボ、英国出身の女優さん。この映画出演で知られた後、雑誌でヌードなどを披露したそうですよ。チェリストの役柄で、英国に亡命したコスコフがパトロンであり恋人でもあるのです。このシーンはウィーンですが、ウィーンの綺麗な風景が劇中で見られます。庭園に流れるシュトラウスのワルツの調べに乗ってダンスに興じる人たち。その横を馬車に乗ったボンドとカーラが通り過ぎます。あぁ、行ってみたい・・・(^^)

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武器商人のウィティカーを演じているジョー・ドン・ベイカー。本作品ではボンドの敵役を演じていますが、後にピアース・ブロスナンがボンドを演じた「ゴールデンアイ」と「トゥモロー・ネバー・ダイ」の二本でボンドを補助するジャック・ウェイド(米国海軍)を演じており、その二本ではなかなかユニークなキャラクターでした。(^^)

音楽はジョン・バリーが担当していますから、どのシーンでも画面にピッタリの音楽が流れて来ます。しかし、主題歌を担当したバンド、a-haと意見の対立(アレンジ面で)が激しかったそうで、ジョン・バリーはこれに嫌気が差し、以後シリーズの音楽担当から離れてしまったのです。私はOO7シリーズが世界的に大ヒットした一因として、ジョン・バリーの音楽が大きく貢献していたと思うのです。

誰でも知っているあの「ジェイムズ・ボンドのテーマ」、映画のクレジットでは第1作「OO7/ドクター・ノオ」の音楽を担当したモンティ・ノーマンの名前が未だに映画のメインタイトル中にクレジットされていますが、実際は当時まだ無名だったジョン・バリーが作曲しています。所謂ゴーストライターという事です。これはジョン・バリーが日本でコンサートを開くために来日した際、記者会見で本人の口から言われています。

確かに「OO7/ドクター・ノオ」の音楽を聞いてみれば誰でも簡単に分かります。ジェイムズ・ボンドのテーマとそれ以外の音楽は別物です。ジェイムズ・ボンドのテーマ以外、モンティ・ノーマンの手による音楽は実につまらないですから。(^^;

プロデューサーもジョン・バリーのセンスを認めたのでしょう、第2作以降はジョン・バリーに音楽を任せるようになりましたから。ただ、第7作「OO7/ダイヤモンドは永遠に」の後、しばらくは一作おきに担当。で、第13作から第15作(本作品)まで連続したものの、前述した一件を理由にシリーズから離れてしまったわけです。ファンとしてはとても残念です。

ジョン・バリー担当以外の作品、音楽は実に面白くないです。これはハッキリと申します。まぁ、あくまで私自身の好みの問題ですが。ただ、ジョン・バリーが担当していない作品でも、主題歌だけは良いのが何作かありますね。(^^)

という事で、本作品はシリーズ中でも出来の良い作品なので、ご覧になってないのであれば是非に。当時、ソ連のアフガニスタン侵攻が世界で問題になっていたようですが、映画はそれを上手く利用しています。

※ 劇中画像は今回も市販のBlu-rayソフトから使わせて頂いています。

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