2020年9月11日 (金)

ベートーヴェン生誕250年(5)

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ベートーヴェン/交響曲全集

グレ・ブラウエンステイン(ソプラノ)
ケルスティン・メイエル(コントラルト)
ニコライ・ゲッダ(テノール)
フレデリック・ガスリー(バス)
聖ヘドヴィヒ教会合唱団

アンドレ・クリュイタンス 指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

1957年12月〜1960年3月、ベルリンのグリューネヴァルト教会にて録音

TOWER RECORDS TDSA-1/5(SACDハイブリッド)

また交響曲全集のご紹介です。タワーレコードさんが「2点購入すると2割引」というセールをしていた時に購入しました。BOX物の2割引は大きいので。(^^;

半世紀以上前、ステレオ初期の録音ですが、カラヤンが前任のフルトヴェングラーから引き継いでベルリン・フィルの音楽監督に就いた頃でして、カラヤン自身はまだベルリン・フィルとは交響曲全集を録音していない時期にあたります。調べてみるとカラヤンがドイツグラモフォンと契約を交わし、ベートーヴェンの交響曲全集を録音したのは1961年から1962年にかけてです。

クリュイタンスの録音時はまだまだフルトヴェングラー時代の楽員が多く在籍していたでしょうから、カラヤンイズムが浸透する前のベルリン・フィルを聴く事が出来ます。解説によるとベルリン・フィルが一人の指揮者でベートーヴェンの交響曲全集を完成させた最初の録音だそうです。

ベルリン・フィルの最初の全集録音がドイツ、オーストリア系の指揮者ではなく、ベルギー出身で主にフランスで活躍していた指揮者で行われた事が興味深いです。で、タワーレコード さんの解説によると、仏パテ=マルコニー(仏EMI)社が独エレクトローラ(独EMI)社を通じてベルリン・フィルに提案し、完成された録音との事。

解説を読んで成る程と思いました。クリュイタンスは仏EMIにフランスの作曲家作品を多く録音し、評判が良かったようですから、そこで仏EMIがクリュイタンスでベートーヴェンを考えたのでしょう。

クリュイタンスのベートーヴェンは「田園」だけ聴いた事がありましたが、他の8曲は今回初めて聴きました。何故「田園」だけ聴いていたか。

クラシック音楽を聴き始めた十代の頃、音楽雑誌の「名曲名演奏」を紹介する特集などで「田園」の項を見ると、先ず挙がるのがブルーノ・ワルター指揮/コロンビア交響楽団、そしてアンドレ・クリュイタンス指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏でした。選者がお歳を召した音楽評論家や音楽学者が多いので、必然と往年の指揮者による古い録音が中心になるのも無理ないわけです。

その紹介で私はクリュイタンスの「田園」を知り、後年廉価盤で発売されていた盤を購入してみました。聴いてみると確かに良い演奏です。「田園」で私が最高の演奏として挙げるカール・ベーム指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏を知った大分後でしたけど。

それなりの時を経て、初めて私はクリュイタンスの全集を聴いたわけですが、往年のドイツ、オーストリア系の指揮者で聴く、自分にとってはまさに正当的解釈のベートーヴェンという印象です。ベルギー出身とは言ってもベルギーはドイツと隣り合わせの国ですから、ドイツ、オーストリア系の指揮者と演奏解釈が似ていても何ら不思議はないですね。

「田園」が名演奏なのは前述の通りですが、「運命」もなかなか良かったです。第一楽章のところどころに現れる、例の有名なジャジャジャジャーン♪という運命動機の扱い方が大変上手く、「運命」を堪能しました。

比較的落ち着いたテンポをとるクリュイタンスですが、「英雄」の第一楽章は速めのテンポで推進力を感じる演奏です。自分の好みとは若干ズレはあるのですが、ベルリン・フィルの合奏能力が素晴らしいですね。

第九交響曲の第一楽章も落ち着いたテンポで、ここも名演。各曲、各楽章をあまり事細かに書き記しますと長くなりますので止めておきますが、つくづくベートーヴェンの交響曲は往年の指揮者による演奏が自分好みだという事を再認識。と言うより、現代の指揮者でまともにベートーヴェンを振れる人がほとんどいないという事なのです(おお生意気)。

以前ご紹介したアンドリス・ネルソンスは例外中の例外かもしれません。演奏様式も時代時代で変化するものだとは思いますが、奇を衒うような演奏が最近は多いので、今日ご紹介のクリュイタンスのような演奏に出会うとホッとするのも確かです。

2020年8月30日 (日)

ベートーヴェン生誕250年(4)

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ベートーヴェン/ヴァイオリン・ソナタ第4番、第5番「春」

ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)

1987年3月、ベルリンにて録音
独グラモフォン 4794647(CD)

とても面白い演奏です。面白いという表現は適切ではないかもしれませんが、一般的なヴァイオリン・ソナタという曲想とは違い、まるでヴァイオリンとピアノの対決を聴いているかのような演奏なのです。

丁々発止という言葉は、まさにこのような演奏に当て嵌まるのではないでしょうか。普通、ヴァイオリン・ソナタと言えばピアノはヴァイオリンの伴奏的役割と捉え、そうした演奏をするピアニストが多いですが、ここでのアルゲリッチは全く正反対。

「主役はアタシよ。ヴァイオリンは伴奏なの」とでもアルゲリッチが言ってるかのようで、ヴァイオリンとピアノは対等というより、クレーメルのヴァイオリンが地味に聴こえてしまいます。クレーメルも個性的なヴァイオリニストとしてクラシック音楽界では知られていますが、何故かここでは実に大人しく聴こえます。二人の勝負はアルゲリッチに軍配という感じです。(笑)

この演奏が私は大好きで、繰り返し聴いて来ていますので、当初は「私の愛聴盤」で採り上げようかと思っていたのですが、曲がベートーヴェンという事もあり、引き続き「ベートーヴェン生誕250年」でご紹介させて頂きました。

クレーメルとアルゲリッチはヴァイオリン・ソナタを全曲録音しておりまして、他の曲も非常に興味深い演奏が聴けます。上記のCD番号は独グラモフォンが自社の全録音と蘭フィリップス、ルガーノ音楽祭の録音を纏めた全48枚のCD BOXになります。

つい最近、NHK-BSでアルゲリッチ(アルゼンチン出身)さんのドキュメンタリーが放送されました。撮影はアルゲリッチさんの長女(プロの映像作家)でして、非常に興味深いドキュメンタリーでした。結婚は三回しているものの、いずれも籍は入れてなかったとの事。指揮者のシャルル・デュトワさんと別れたのはデュトワさんがヴァイオリニストのチョン・キョンファさんと浮気した事が原因だそうです。

今は長い髪もさすがに白くなっていますが(現在79歳)、映像のところどころで見られた、タバコを雑に吸っている姿は見たくなかったなぁ・・・ファンとしては。(^^;

以上、余談でしたが、ヴァイオリンとピアノがお好きな方は是非お聴きになってみてください。

2020年8月 1日 (土)

ベートーヴェン生誕250年(3)

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ベートーヴェン/ピアノ、ヴァイオリン、チェロと管弦楽のための協奏曲 ハ長調

スヴィアトスラフ・リヒテル(ピアノ)
ダヴィッド・オイストラフ(ヴァイオリン)
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(チェロ)

ヘルベルト・フォン・カラヤン 指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

1969年9月15-17日、イエス=キリスト教会(ベルリン)にて録音
独EMI 1C 065 10 2042 1(アナログレコード 廃盤)

以前、「SACDを楽しむ」のコーナーで当演奏のSACDをご紹介していますが、ベートーヴェン生誕250年という事で、久しぶりにアナログレコードを取り出してこの名演を楽しみました。

録音年が1969年9月という事ですから、多分・・・翌1970年の「ベートーヴェン生誕200年」に合わせて発売するための企画だったのではないかと思います。

現代ならアメリカとロシア、ドイツとロシア等のアーティストが共演しても、別に普通の事で話題にすらならないですが、当録音が行われたのは1969年です。まだまだ東西冷戦の真っ只中。

そういう中で東側のソビエト連邦出身で、世界的にも評価されていた三人のソリストと、西側のドイツ・オーストリア圏を代表するこれまた世界的指揮者カラヤンとベルリン・フィルが共演したのですから、録音当時クラシック音楽界では大変な話題になった事でしょう。

そもそもベートーヴェンの三重協奏曲って比較的地味な曲ですから、おそらく当録音によってこの曲もメジャーになったのではないかと。以後、様々なレコード会社で時代時代を代表するアーティストを使って録音されるようになりましたから。カラヤン自身も後年、独グラモフォンにアンネ=ゾフィー・ムター、ヨー・ヨー・マたちと再録音しています。

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レーベルを撮影しておきました。企画と録音はEMIですから西側の発売権は当然、独EMIと英EMIになります。ソ連側ソリスト三人はソ連国営メロディアレコード所属でしょうから、ソ連国内ではメロディアレコードから発売されたものと想像します。当時、日本ではメロディアレコードと契約があった日本ビクターから発売。その後、東芝EMIに発売権が移ったようです。

第一楽章冒頭、オケの低弦部によって第一主題が静かに奏されるのですが、カラヤンの解釈もベルリン・フィルの音色も実に素晴らしいです。カラヤンのベートーヴェン、特に交響曲の演奏では聴き手によって好き嫌いがハッキリ分かれると思いますが、少なくともこの曲でのカラヤンは非の打ち所がないと言って差し支えないでしょう。

この三重協奏曲、ベートーヴェンの作品としては若干パンチ力に欠けると思えますが、カラヤンはそういう弱さをまったく感じさせる事がありません。カラヤンの解釈にベルリン・フィルがまた完全無比とも言える合奏力で応えています。そこへリヒテル、オイストラフ、ロストロポーヴィチといった最高のソリストが交わるわけですから、実に聴き応えのある作品に変貌しているのです。

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ジャケット裏の写真です。録音時の様子が分かる貴重な写真です。ジャケットは比較的珍しい見開きの体裁です。日本盤では珍しくないですが、欧米では見開きジャケットは少ないですから。

短い第二楽章が終わり、第三楽章(ロンド形式)はチェロによる第一主題の提示で始まります。ロストロポーヴィチのチェロ、本当に素晴らしいですね。もちろんリヒテル、オイストラフも賛辞以外ありません。その三者をバックするカラヤンとベルリン・フィル。まさにこの演奏こそ超名演と称して良いのです。レコード録音の歴史の中でも大変貴重な演奏、録音と言えるでしょう。

6月、NHK-BSプレミアムでダニエル・バレンボイムの指揮とピアノ、アンネ=ゾフィー・ムターのヴァイオリン、ヨー・ヨー・マのチェロによる三重協奏曲の演奏が放送されました。オケはウェスト・イースタン・ディヴァン管弦楽団(私は初見)で、2019年10月、ベルリン・フィルハーモニーホールでのコンサートでした。

こちらのコンサートでの演奏もなかなか良かったです。映像を見ていると、チェロのヨー・ヨー・マは終始ヴァイオリンのムターを見ながら、ムターに合わせて弾いているように見えるのが微笑ましかったです。本来なら協奏曲については独奏者とオケによる丁々発止的演奏を聴きたいのですが、仲睦まじい演奏でした。

で、今日ご紹介の名演盤を知っている身としては、ついつい比べてしまうわけです。レコード録音って本当に素晴らしいですね。半世紀も前の名演を自宅で自由に繰り返し聴く事が出来るのですから。

お聴きになった事がない方、是非この演奏はお聴きになってください。国内盤のCDでも発売されておりますので。

2020年7月15日 (水)

ベートーヴェン生誕250年(2)

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ベートーヴェン/交響曲全集

カミラ・ナイルンド(ソプラノ)
ガーヒルド・ロンバーガー(メゾ・ソプラノ)
クラウス・フロリアン・フォークト(テノール)
ゲオルク・ツェッペンフェルト(バス)
ウィーン楽友協会合唱団

アンドリス・ネルソンス 指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

2017年3月〜2019年4月、ムジークフェライン(ウィーン)での録音

独グラモフォン 483 8503(5CD + Blu-ray Audio)

久しぶりのウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によるベートーヴェンの交響曲全集で、指揮は最近人気のアンドリス・ネルソンス(ラトビア出身)。ベートーヴェン生誕250年に向けて録音されたようです。そして日本では、昨年度の「レコード・アカデミー賞 大賞銅賞 交響曲部門(音楽之友社主催)」を受賞しています。

私が初めてネルソンスが指揮した演奏を聴いたのは、NHK-BSプレミアムで放送されたライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のコンサートで、曲目はモーツァルトの交響曲第40番とチャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」でした。

まったく初めて聴く指揮者でしたので、何の予備知識も先入観もありませんでした。何しろクラシック音楽誌「レコード芸術」の購読を止めてから大分経ちますので、現役の指揮者、ソリストの知識が何も入って来ないのです。(^^;

しかし、その無知識が功を奏し、事前の情報がない事によって頭の中を白紙の状態にして音楽を聴く事が出来るメリットもあるわけです。

そのBS放送を見て(聴いて)ネルソンスに興味を持ち、独グラモフォンから発売されているブルックナーの交響曲第7番のCDを買って聴いてみたら、この演奏も良かったのですね。となると、ベートーヴェンの交響曲を聴いてみたい欲求が沸沸と。

生意気な事を申しますと、自分の場合どれだけ世評が高くとも、ベートーヴェンやブラームスの交響曲で感動を与えてくれる指揮者でないと、以後振り向く事はなくなります。そういう指揮者の多い事。(^^;

さて、ネルソンスのベートーヴェン、全9曲聴き通して感じたのは、ピアニッシモに非常に拘る指揮者だという事。ご存知だとは思いますが、音楽の強弱記号に「pp - ピアニッシモ - 非常に弱く」や「p - ピアノ - 弱く」、或いは「mp - メゾピアノ - やや弱く」といった、音を弱目に演奏する表現があります。で、ネルソンスはスコア(総譜)の強弱記号より一段弱くオケに演奏させている感じなのです。徹頭徹尾、ピアニッシモの表現に拘りを感じます。

そうしたネルソンスの解釈の中でも「田園」がもっとも素晴らしかったです。今迄、カール・ベームの録音を長年愛聴して来た事を拙ブログでご紹介しておりますが、そのベーム盤に勝るとも劣らない演奏です。オケが両者ともウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。曲想にオケの音色がマッチして、曲の魅力に浸る事が出来ます。

第2楽章、「小川のほとりの情景」とサブタイトルが付けられていますが、ウィーン・フィルの弦の音色がゆったり流れる小川のせせらぎを感じさせてくれます。ネルソンスの落ち着いたテンポに自分が野山の中、そこに流れる小川のほとりに座って新鮮な空気を感じながら、まさに野鳥たちの囀りを聞いているかのよう。

楽章の終了間際、木管楽器で奏される例の野鳥たちの囀り。フルートによるナイチンゲール、オーボエのウズラ、そしてクラリネットによるカッコウと、これまたウィーン・フィルの木管楽器のやや鄙びた音色が最高です。

この「田園」で唯一の不満と言えば、第4楽章「雷鳴と嵐」でのティンパニの録音くらいですね。もう少しオンマイクで収録していたら、嵐の描写に迫力が増していたと思います。その点、ベーム盤の録音はサブタイトルの描写に一役買っています。

拙宅にはいろいろな指揮者のベートーヴェン交響曲全集がありますが、それらを購入して来ると最初に聴くのはいつも第1番からです。だからと言って番号順に聴いているわけではなく、ベートーヴェンの交響曲の中では構成が比較的シンプルな第1番に、指揮者の個性が一番見て取れると考えています。第1番にガッカリすると、大抵他の曲もガッカリが続く事が多いのです。

ネルソンスの第1番、序奏が始まって数小節で「お! いいじゃん!」と。(笑)

第1番は「田園」に次ぐ名演です。第1番を聴き終えて、これは以後の曲も期待出来るかもと。有名な「運命」は終楽章の第一主題提示部分に不満を感じたものの、全体的には良かったと思います。その第一主題ですが、解釈があっさりし過ぎです、私の好みからすると。ここはもっと大上段に振りかぶるような解釈で聴かせて欲しいのです。カラヤンはそういうところは実に演出が上手いです。

ネルソンス、年齢を調べるとまだ41歳でした。指揮者としては中堅・・・というより、まだまだ若手と申して良いと思います。これから経験を重ねた後、ベートーヴェンも一段と素晴らしい演奏を聴かせてくれるかもしれません。期待しています。

尚、国内盤と輸入盤で幾つかのパッケージが発売されているようですが、私が購入したのはCD 5枚と全9曲のハイレゾ音源(96kHz/24bit)が収められたBlu-ray Audio 1枚とがセットにされた独グラモフォンの輸入盤です。これが一番安かったので。(^^;

2020年6月24日 (水)

ベートーヴェン生誕250年(1)

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ベートーヴェン/交響曲全集、序曲集

ウルスラ・コシュト(ソプラノ)
ブリギッテ・ファスベンダー(メゾ・ソプラノ)
ニコライ・ゲッダ(テノール)
ドナルド・マッキンタイア(バス)
ミュンヘン・モテット合唱団

ルドルフ・ケンペ 指揮
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

TOWER RECORDS TDSA-136/41(SACDハイブリッド)

今年はベートーヴェン(1770 - 1827)の生誕250年という事で、コロナ禍の影響さえなければ世界中のコンサートホールでベートーヴェン・プログラムの演奏会が開かれていた筈。

しかし、CDでは生誕250年を記念して色々と発売されておりまして、今日ご紹介のディスクもタワーレコードさんからケンペ生誕110年、ベートーヴェン生誕250年を記念した企画で発売されています。1,500セットの限定販売だそうですが(シリアルナンバー入り)。

数年前、ESOTERICさんからもSACDとして発売されておりましたが、今回はタワーレコードさんの手でオリジナル・アナログ・マスターテープから本年最新リマスタリング(SACD層、CD層を個別マスタリング)を施しての発売。尚、ESOTERIC盤では交響曲のみの収録でしたが、タワーレコード盤では序曲も収められており、序曲集のSACD化は世界初との事。

オーディオ誌等でも採り上げていますが、ESOTERIC盤とは使っているマスターテープが違うのでは? と申している方がおりました。もしかしたらESOTERIC盤より世代の若い(より親に近い)テープなのでは? と。私はESOTERIC盤を所持しておりませんので聴き比べられないのですが、音は結構違うようです。これはマスタリングを担当したエンジニアの違いが大きいのでしょう。

この録音は1971年から1973年にかけて独エレクトローラ(独EMI)が行なっており、歴史的名演奏、名録音だと思います。1975年に音楽之友社の「日本レコード・アカデミー賞 交響曲部門」で受賞をしていたようです。日本の評論家陣からも評価されていたのですね。

私は初めて聴く演奏でしたが、購入して良かったと思いました。私が好む、往年のドイツ、オーストリア系指揮者による、正統的ベートーヴェン解釈と言える演奏だったからです。やはり、ベートーヴェンの交響曲は落ち着いて、安心して聴ける演奏が一番です。

バロック音楽の演奏が主であった古楽器オーケストラが或る時代から流行のように出現し、その演奏法が話題になりましたが、演奏曲はバッハやヘンデルに留まらず、時代を進んでベートーヴェンにまで及ぶようになりました。古楽器による演奏は現代楽器とはアーティキュレーション(演奏技法)がまるで違い、私には少々誇張が過ぎるのでは? と思ったものです。

古楽のファンからは叱られるかもしれませんが、楽器というものは時代が進むにつれて進化して来ているわけです。時代考証的に振り返るのは良いとは思いますが、古楽器によるこうした演奏が元々ベートーヴェンの時代でも行われていたのだ、と断定されても・・・です。実際、私は音楽誌でベートーヴェンを現代楽器(ベルリン・フィルやウィーン・フィル等)で演奏するのは間違っている、と記述していた音楽評論家を見ています。そんな事を言われても、ベートーヴェンの時代の演奏を聴いた人はこの世に誰一人いないのですから。(笑)

閑話休題 指揮者のルドルフ・ケンペですが、私の愛聴盤に「ウィンナ・ワルツ・コンサート」というディスクがあります。拙ブログでも以前ご紹介させて頂いておりますが、今回のベートーヴェンは私にとってクラシック音楽を聴く意味では本流という言える音楽です。そのベートーヴェンをケンペは何の外連味もなく、正攻法で聴かせてくれる事に私は拍手を送りたいと思います。

ベートーヴェンの交響曲全曲を久しぶりに堪能出来ました。個々の曲について述べるとまた長くなりますので割愛しますが、音楽ファンには是非お聴き頂きたいと思います。

余談ですがつい最近、気になっている指揮者の交響曲全集を購入しました。現在進行形で聴き進んでいるところですので、聴き終えたらまたご紹介させて頂くかもしれません。期待外れの場合を除いて。(^^;

2020年6月 2日 (火)

フィルハーモニア時代のカラヤン

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チャイコフスキー/交響曲第4番 ヘ短調

今日はクラシック音楽に関心のない方はスルーしてくださいませ。

私、カラヤンは自分が贔屓にしている指揮者の一人ですが、今迄聴いて来た録音は独グラモフォンと契約を交わして以降、時代はもうステレオ録音が主流になってからの音源ばかりでした。英EMIの音源も1970年代以降の、ベルリン・フィルやウィーン・フィルと録音したイタリア・オペラがほとんどです。

で、外出自粛要請で自由に出掛けられなくなっていた期間、カラヤンが独グラモフォンと契約する前の時代、要するに英EMIがカラヤンのために編成したフィルハーモニア管弦楽団との録音を集中的に聴いてみました。1949年(当然モノラル)の録音から、ステレオ初期(1960年)までの音源です。

現在まで枚数にして40数枚。それでもまだ全部の録音を聴き切れていません。如何に当時の英EMIがレコードのために膨大な録音を行なっていたかが分かります。10年足らずの間に、再録音(モノラル → ステレオ)された曲も結構あります。ですから途中経過での今日の記事になります。

チャイコフスキーの交響曲第4番、大分前に拙ブログで採り上げた事があるのですが、私のベストワンは1971年、英EMIにベルリン・フィルと録音した演奏です。これはもう、超名演。もちろん独グラモフォンに残された演奏も名演ではあるのですが、やはり自分は1971年の録音がベストワンになります。

今回、初めてフィルハーモニア管弦楽団との録音を聴きました。1953年(モノラル)と1960年(ステレオ)の2種が残されています。録音方式に人並み以上に関心を持っていたカラヤンですから、ステレオ録音が開発された事でお得意の曲を再録音したのではないかと。

フィルハーモニアとの第一楽章、序奏の後の第一主題が実にゆったりと奏されます。私がベストと思っている1971年の録音でも旋律を丁寧になぞるように落ち着いた解釈を見せるカラヤンですが、フィルハーモニアとの録音(モノラル、ステレオ共)はさらに遅いテンポを取っており、「おお!」と思ったものです。やはりカラヤンのチャイコ4番は格別です。(^^)

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プロムナード・コンサートから
ワルトトイフェル/ワルツ「スケートをする人々(スケーターズ・ワルツ)」

クラシックに興味がなくても、この「スケーターズ・ワルツ」は誰もが絶対どこかで聞いているはず。アイススケート場などでは必ずBGMとして流れていますよね。そのくらい有名な曲。

ところが、拙宅でこの曲を聴いた事は今迄一度もありません。理由はこの有名曲が収録されたディスクを一枚も持っていなかったからです。なので、カラヤンとフィルハーモニア管弦楽団の演奏で初めて拙宅のスピーカーからこの音楽が流れました。1951年のモノラル録音と1960年のステレオ録音が収録されていますが、これはステレオ録音の方がより良いです。

いや〜・・・スンバラシイ(素晴らしいという表現では足りない)演奏、これまた超名演であります。カラヤンはこうした俗っぽい曲を実に上手く解釈(演奏)しますよね。要するにどんな曲であれ、手抜きを一切しないという事ではないかと。最近、繰り返しこの演奏を聴いています。(^^)

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モーツァルト/ホルン協奏曲 デニス・ブレイン(ホルン)

フィルハーモニア管弦楽団の首席ホルン奏者、デニス・ブレインとのモーツァルト。大変な車好きだったそうで、同じく車好きのカラヤンと意気投合して演奏の合間に車の話しで盛り上がったそうな。しかし、スピードを出し過ぎたのか、愛車(トライアンフ)での激突事故で亡くなっています。

モーツァルトのホルン協奏曲は大好きで(特に1番と3番)、このブレインの演奏も素晴らしいです。録音はモノラル。

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チャイコフスキー/バレエ「白鳥の湖」「眠りの森の美女」演奏会用組曲

チャイコフスキーの三大バレエ、カラヤンは全曲を録音した事は一度もありませんが、演奏会用組曲は繰り返し録音している事はクラシックファンならどなたもご存知だと思います。レコード会社も英EMI、英DECCA、独グラモフォンの三社に渡っています。

カラヤンはフィルハーモニアと三大バレエの演奏会用組曲を1952年にモノラル録音していますが、早くも1959年に「白鳥の湖」と「眠りの森の美女」をステレオで再録音しています。チャイコフスキーの交響曲第4番の項で述べたように、録音方式に多大な関心があったカラヤン ですから、こうした有名曲を直ちに再録音したのでしょう。

カラヤンが指揮した三大バレエの演奏会用組曲を愛聴しているのですが、今回初めて聴いたフィルハーモニアとの演奏も良いです。録音年代によって微妙な解釈の違いは当然ありますが、基本は同じです。楽しめました。

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R.シュトラウス/楽劇「薔薇の騎士」全曲

元帥夫人 : エリザベート・シュヴァルツコップ
オクタビアン : クリスタ・ルートヴィヒ
ゾフィー : テレサ・シュティッヒ=ランダル
オックス男爵 : オットー・エーデルマン

1956年に録音され、クラシックレコード界で歴史的価値のある録音とされています。私は最初、ほぼ同時期にザルツブルク音楽祭で収録された映像を見て感動しまして、その後にこのフィルハーモニアとの録音を聴きました。ザルツブルク音楽祭でのオケはウィーン・フィルで、オクタビアンとゾフィー役の歌手にも違いがありますが、映像にも、そしてこのフィルハーモニアとの録音にも大変感動しました。

尚、私が聴いているメディアは英EMIに残されたカラヤンの全録音を、英EMIがCD全160枚(管弦楽88枚、声楽72枚)に詰め込んで発売された二つのBOXです。英EMIクラシックスの全録音(勿論カラヤン以外も)をワーナーミュージックに譲渡する前に発売されたものでして、当時どちらのBOXも買っておいたものの、今迄ずっと聴いていなかったのです。(^^;

1970年代以降の、ベルリン・フィルと録音していた極一部の演奏(音の良いステレオ録音)は聴いていましたが、1940年代のウィーン・フィル、その後のフィルハーモニアとの録音はまったく聴いておりませんでした。この二ヶ月ほど、これらのCDを番号順に40数枚聴いて来たわけですが、カラヤン若き時代の録音から第一級の演奏を残していた事を実感。

今回、フィルハーモニアとの録音をずっと聴いていて知った事があります。同じ曲を繰り返し録音しているカラヤンですが、意外な事にフィルハーモニアと録音した中に、以後再録音していない曲が結構あるのです。英EMIでのフィルハーモニアとの録音については多分、プロデューサーのウォルター・レッグの意思(商業面を考えて)が強く働いていたのではないかと思います。

フィルハーモニアとの録音で聴き終えていないCDは残り数枚になりました。しかし、その後のベルリン・フィル、パリ管弦楽団、さらに声楽(歌劇、宗教曲)等、まだまだ未聴のCDが相当数残っています。(^^;

聴いた音源、すべての感想は書き切れません。カラヤンのレパートリー、やはりベートーヴェンの交響曲は欠かせませんがフィルハーモニアとも全曲録音(モノラル録音)しています。カラヤンにとって最初のベートーヴェン交響曲全集になりますが、非常にオーソドックスなスタイルで、後年独グラモフォンに録音した3回よりオーソドックスと言えるでしょう。カラヤンのスタイルは独グラモフォンの方に、より個性の強さを感じます。

余談になりますが、現在発売されている英EMIクラシックスの音源は、音源を買い取ったワーナーミュージックのロゴマークがジャケット写真(CDブックレット)に使われています。当然ですが。しかし、やはり英EMIの音源は赤色に白抜きの「EMI」ロゴマークに長年親しんだせいか、ワーナーミュージックのロゴマークに少しの違和感を感じます。

2020年3月26日 (木)

珍盤・奇盤

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BASIE MEETS BOND

A面
1. 007(ロシアより愛をこめて)
2. ゴールデン・ホーン(ロシアより愛をこめて)
3. ガール・トラブル(ロシアより愛をこめて)
4. キングストン・カリプソ(Dr. No)
5. ゴールドフィンガー

B面
6. サンダーボール作戦
7. ロシアより愛をこめて
8. Dr. Noのファンタジー(Dr. No)
9. マンゴーの木の下で(Dr. No)
10. ジェイムズ・ボンドのテーマ(Dr. No)

トロンボーン : グローヴァー・ミッチェル、アル・グレイ 他
トランペット : アル・アーロンズ、ジョージ・コーン 他
サックス : エリック・ディクソン、エディ・デイヴィス 他
ギター : フレディ・グリーン
ドラムス : ソニー・ペイン
ベース : ノーマン・キーナン
ピアノ : カウント・ベイシー
以上、カウント・ベイシー・オーケストラ

米UNITED ARTISTS UAS 6480(オリジナル盤)

007シリーズの最新作「No Time to Die(邦題 007/ノー・タイム・トゥ・ダイ)」ですが、当初は4月10日公開予定でした。しかし、新型コロナウイルスの影響で11月20日公開と、半年以上も延期されてしまいました。やはり・・・です。

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で、今日はその007シリーズの音楽を演奏したレコードの紹介です。ただし、当たり前なサウンドトラック盤ではなく、ジャズファンならどなたもご存知のビッグ・バンド、カウント・ベイシー・オーケストラの演奏・録音なのです。

音楽ファンの間では極めて珍しい演奏を収めた盤を「珍盤・奇盤」と言いますが、今日ご紹介のレコードなどはまさにその「珍盤・奇盤」の最たる一枚ではないでしょうか。

A面冒頭の「007のテーマ」は例のエレキ・ギターによるテーマではありません。「ロシアより愛をこめて」の劇中、トルコ支局のケリム・ベイに連れられてボンドがジプシーのキャンプを訪れていた際、ロシアのスパイ、クリレンコ率いる殺し屋軍団が襲って来た時に流れていた音楽。

「サンダーボール作戦」でもボンドと米海兵隊が水中銃を使い、マイアミの海中でスペクターと戦うシーンで流れています。以降の作品でも、時々流れて来る軽快な音楽です。

2曲目はオリジナル・サウンドトラック盤にも収録されていますが、劇中では使われていません。3曲目はジプシー・キャンプで一人の男を巡り、二人の女が決闘するシーンで流れています。場面に合った、シリアスで劇的な音楽。

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レコードのレーベルです。

9曲目は、劇中で貝を拾っているビキニ姿のハニー(ウルスラ・アンドレス)を眩しそうに見ながらボンド(ショーン・コネリー)が歌う曲で、コネリーの歌が聴けるという、珍しいシーン。しかし、ウルスラ(アーシュラ)・アンドレスのプロポーションは素晴らしいですね。^_^

B面最後はお馴染みのジェイムズ・ボンドのテーマ。収められている作品が第4作「サンダーボール作戦」迄なので、このレコードの録音年代がほぼ分かります。レコードはもちろん中古での購入ですが、ジャケット、盤質とも大変状態が良いです。

映画の配給がUNITED ARTISTS社。レコード会社がUNITED ARTISTSレーベル。成る程と思いますが、御大カウント・ベイシー率いるビッグ・バンドに演奏させているところがこのレコードのミソ。

もっともオリジナルのジョン・バリー・オーケストラの演奏もビッグ・バンドですよね。テーマを奏でるエレキ・ギターだけが異質で、ファズとサスティーンの効いた音色が何とも言えないです。何十回、何百回、何千回聴いても飽きない、映画音楽の名曲中の名曲。

こちらのレコードの演奏はベイシー独特のシングルトーン、まるで人差し指一本で弾いているように聴こえます。その個性的ピアノが007シリーズの音楽に寄り添っている演奏、聴きものの一つです。(^^)

007シリーズはジョン・バリーが離れてからはまるで別物の映画になってしまいました。それだけジョン・バリーの音楽が映画の雰囲気にピッタリの曲、アレンジ、演奏だったので。

2019年10月 3日 (木)

Dialogue

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Dialogue/Miki Imai Sings Yuming Classics

卒業写真
中央フリーウェイ
あの日にかえりたい
やさしさに包まれたなら
青いエアメイル
他 全12曲

今井美樹(歌)
STEREO SOUND SSMS-027(SACDシングルレイヤー)

秋の夜長に女性ヴォーカルは如何でしょうか?

「え!? どうしたの? 今井美樹なんて聴くの?」なんて声が聞こえて来そうですね。(笑)

もう大分前ですが、SMAPの草彅剛さんと今井美樹さんが共演していた連続ドラマを途中から偶々見まして、気品があって綺麗な女優さんだなぁ・・・と感じたのがそのヒロイン役の今井美樹さんだったのです。はい、私は歌手が本業だという事を知らずに見ていました。(^^;

何しろポップス系や演歌といった音楽、歌をまったく聴かないので、当然の事ながら今井美樹さんも存じ上げていなかったのです。しかし、歌手である事を知って、「どういう音楽(歌)を歌っているのだろう?」と思って当時調べました。

ところがタイミング良くドラマが終わってほとんど直後くらいだったか、WOWOWさんでライヴコンサートが放送されるというのでタイマー録画してから見ました。で、そのコンサートの最後に歌われた「PRIDE」という歌に感動しちゃったのです。(^^;

以後、隠れ今井美樹ファンに。(笑)

今日ご紹介するディスクは9月14日、ハイエンド・オーディオ誌を発刊しているステレオサウンド社から発売されたばかりで、同社の企画によるシングルレイヤーのSACDでの独占販売(枚数限定)です。今井美樹さん初のSACDとなるらしいです。

荒井由実/松任谷由実さんの歌をカバーしたアルバムで、元々はCDとして発売されていた音源だと思います。ユニバーサルミュージックの全面協力により、オリジナルマスター(トラックダウンマスター)からソニー・ミュージックスタジオ所属のエンジニア(鈴木浩二氏)がマスタリングをしています。

ちなみに私が知っている曲は僅か4曲だけでした。(^^;
でも、実に素敵なアルバムです。秋の夜長にしっとりと聴くのも良いかと思います。ただ、SACDを再生出来るプレーヤーが必要となりますので、ご注意ください。

◎ 最後に今一度SACDとはどういうメディアであるかという事を簡単にご説明しておきます。SACDとは「Super Audio CD」という正式名称の頭文字で、1999年にソニー、フィリップス両社によって規格された光学ディスク(CDと同サイズ)です。次世代高音質CDとして鳴り物入りで登場したものの、現在まで一部の音楽ファン、オーディオマニアに知られているのみです。

2019年9月27日 (金)

プリーズ・リクエストのアナログ盤

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WE GET RIQUESTS/THE OSCAR PETERSON TRIO
(日本タイトル : プリーズ・リクエスト)

コルコヴァード
酒とバラの日々
マイ・ワン・アンド・オンリー・ラヴ
ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー
イパネマの娘
他 10曲

オスカー・ピーターソン(ピアノ)
レイ・ブラウン(ベース)
エド・シグペン(ドラムス)
1964年録音
米Verve V6-8606(アナログレコード)セカンドプレス盤

ジャズファンからは「もう聴き飽きた」と言われるかもしれない、超有名盤のアナログ盤を最近入手しました。中古ショップのプライス表には「コーティングなし」「黒T」という表記があり、2,000円ほどでした。この音源のレコードは初めての購入。

レジで検盤をさせて頂くと、レーベルの黒色が以前入手したビル・エヴァンスのオリジナル盤(TRIO '64)より若干薄いのと、ジャケットにコーティングがされておりませんので、セカンドプレスだな、と思いました。レーベル下の文字もオリジナル盤と少々違っていましたので。それでもスピンドル穴周辺にヒゲが付いていないのと、盤自体の程度も良く、ジャケットもあまり汚れていなかったので購入する事に。

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自宅で以前見ていたオリジナル盤専門の店主さんのサイトを改めて見ると、「1972年から少しの期間同じ黒にシルバーの"T"が入り下部に"7165 SUNSET"のアドレスが入る」とありますので、まさしく私の購入盤はこの時期にプレスされた事になります。多分、残っていたスタンパーでまた再プレスされたのではないかと。録音は1964年ですから。

で、再生してみると、スクラッチノイズも少なく盤の状態は良好でした。「スピンドル穴周辺のヒゲ」って何? と思われた方にお教えします。レコードをターンテーブルに乗せる際、無造作にレコードを押し当てたままスピンドルを探すとレコードのスピンドル穴周辺に擦られた傷がレーベルに付きます。それをレコード愛好者は「ヒゲ」と呼んでいるのです。レコードを大切に扱っていれば、そうしたヒゲは一切付きません。

ちなみに、私のコレクションでヒゲの付いたレコードは一枚も有りません(中古購入は別)。レコードの盤両端を挟むように両手で持ち、ターンテーブルにセットする時はレコードのスピンドル穴からスピンドルを見て盤をセットしますので。概ね、スピンドル穴周辺にヒゲが付いているレコードは盤の状態もあまり良くない事が多いので、中古レコードを購入する際の目安としています。

さて、以前購入し、拙ブログでも掲載した事があるTOWER RECORDSさんから発売されたSACDと聴き比べてみました。

TOWER RECORDSさんが2018年、オリジナルマスターテープからフラットトランスファーでDSD化したSACDもこのセカンドプレス盤に負けない音質でした。しかし、SACDの方はシンバルの音を少し強調している事が分かりました。これはセカンドプレスとは言え、このレコードと聴き比べて分かった事。マスタリングの際、周波数レンジの広いSACDを意識してシンバル帯域を弄ったのでしょう。

しかし、何度聴いても名盤は名盤!

アキュフェーズ AD-50をプリアンプに装着以後、アナログレコードが数枚増えてしまいました。2,000枚以上も処分したというのに。(^^;

2019年8月28日 (水)

美脚のピアニスト

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this is Pat Moran/Pat Moran Trio

メイキング・フーピー
ステラ・バイ・スターライト
降っても晴れても
踊り明かして
イエスタデイズ
他全 12曲

パット・モラン(ピアノ)
スコット・ラファロ(ベース)
ジョニー・ホワイテッド(ドラムス)

1956年録音
ヴィーナスレコード(AUDIO FIDELITY) TKJV-19008

以前、クラシックとジャズのレコードを数回にわたって大量処分する際、手元に残す残さないの選別をしている時に「あれ、こんなレコードを買っていたんだ・・・」と、すっかり忘れていたものが結構ありました。自分でも訳が分からなくなっているほどの枚数を所有していたという事です。お恥ずかしい。その中で、ジャズの二枚が今日ご紹介するレコードです。

女流ジャズピアニスト、パット・モランのリーダーアルバム。ブログタイトルに「美脚のピアニスト』と付けましたが、このジャケット写真の美脚がパット・モランかどうかは分かりません。一般的には多分そうじゃないか・・・と言われているらしいですが。赤いヒールがジャケットにピッタリですね。(^^)

余談ですが、オーディオ評論家で赤いフレームのメガネに赤いシャツを着て、赤い靴を履いている方がいらっしゃいます。余程赤がお好きなんですね。オーディオ誌にしょっちゅう顔を出していますので、ご覧になった方も多いかと。洋服は別の色でも、メガネと靴はいつも赤。オーディオショウで私が見た時も赤いメガネ、赤い靴(エナメル?)でした。

閑話休題 パット・モランのピアノ、なかなか良いですよ。女性にしては打鍵の強さが光ります。私はクラシック音楽分野のマルタ・アルゲリッチを思い起こしたくらいで。ミディアムテンポでのスイング感が最高。

今回改めて聴いてみると、ベースのスコット・ラファロが素晴らしいです。後にビル・エヴァンス・トリオのメンバーになり、「ワルツ・フォー・デビィ」や「サンデイ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード」の録音で知られているようにヴィレッジ・ヴァンガードでの名演を残していますね。

アップテンポでの運指の凄さに圧倒されました。若くして交通事故で亡くなったそうですが、事故さえなければ沢山の素晴らしい演奏を残していたのでしょうね。

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これがレコードのレーベルです。AUDIO FIDELITYというレーベルの数少ないジャズレコードの一枚。私のは国内盤ですけど、マイナーなこうした音源は出た時に購入しないと以後、入手が難しくなるものです。欲しくなったらオリジナル盤を探すようになってしまいます。そういった理由から入手したのかもしれません。

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BEVERLY KELLY SINGS with the PAT MORAN Trio

恋人よ我に帰れ
私の彼氏
恋の味をご存知ないのね
いつか幸せに
貴方と夜と音楽と
他 全12曲

ベヴァリー・ケリー(ヴォーカル)
パット・モラン(ピアノ)
スコット・ラファロ(ベース)
ジョニー・ホワイテッド(ドラムス)

1957年、ニューヨークで録音
ヴィーナスレコード(AUDIO FIDELITY) TKJV-19009

白人女性ジャズシンガー、ベヴァリー・ケリーのアルバムですが、バックがパット・モラン・トリオ。お馴染みの曲が多く、このレコードで初めて聴いたシンガーです。格別に歌が上手いという感じではないですが、個性的な声と歌唱が印象に残ります。これがデビュー・アルバムだそうです。

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今日ご紹介したような音源はレコードがなんとなく良いですね。(^^)

そうは言いながら、ジャズのレコードも実は思い切って処分して来ました。BLUE NOTEのオリジナル盤は数枚だけ手元に残してありますが。

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